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33.ターンアンデッド!

 ルカ達の昇格試験終了から数時間が過ぎた。



「リマ。ルカとジノンの試験を記録した魔法石を見せてくれ!」



 そう言いながら、ベルデは、慌てた表情を見せていた。

 彼は、ルカの昇格試験の試験官を担当した。

 その時に犯した失態のことを、今、思い出したのだ。


 その記憶の真偽が知りたい。

 記憶違いであって欲しい。

 そう思いながら、彼は魔法石に記憶された映像を確認することを欲していた。



「あれですか? もう、担当の転移魔法使いが、王都のギルド本部に持って行かれましたけど?」


「何だって?」


「多分、ルカさんの試験の際に副ギルド長がやったことを思い出して、それが真実なのかを知りたいんですよね?」


「良く分かってるじゃないか」


「それなら、全て真実です。鞭で叩かれて、蝋燭を垂らされて、さらに縄で縛られて喜んでましたよ」


「なんてこったー!」



 ベルデは、床に両手と両膝をついた。

 まさに横書きでorzの状態である。


 恐らく、裏では相当笑いものにされているだろう。

 しばらく部下であるギルド職員達と顔を合わせるのが怖いベルデだった。



 ❖  ❖  ❖



 ルカ達が昇格試験を受けた二日後のことだった。

 アサスズメ王国王都にある冒険者ギルド本部の一室で、ある魔法石の記録内容が映写されていた。


 その記録は、ルカとジノンの昇格試験の一部始終だった。

 見ていたのはギルド本部長のズヴァルト、ギルド副本部長のメラース、アサスズメ王国王都『リンシャン市』ギルドのギルド長ノワールの三人だった。

 三人共、初老の男性だった。



「全く以てケシカラン」


「同感ですな。何度見ても、本当にケシカラン。まさしく、ガン……ですな」


「これは、さすがに、イラ……って思いますな」



 常識を大きく逸脱したルカの試験映像を見た、彼等の率直な感想だ。

 ただ、ズヴァルトの視線はルカの胸に、メラースの視線はルカの股間に、ノワールの視線はルカの口元に注がれていた。

 顔も妙に、にやけている。

 どう考えてもエロオヤジの顔だ。



「ただ、報告によると、最初はタンヤオ市の冒険者ギルドで不当にFランクにされたとあります」


「飛び級制度の話がされていなかったというヤツだな。その時の受付担当は誰だ?」


「例のギロリン家の関係者です」


「あいつか。ただ、そうなると罰は出し難いな。厳重注意とだけしておけ」


「承知しました」



 普通であれば、冒険者ギルドの信頼を失う行為のため注意だけで済むはずがない。

 あのタンヤオ市ギルド受付嬢の裏には、非常にヤバイ何かが隠されているようだ。


 勿論、ホウテイ市ギルド受付嬢のリマも、そのことに関しては何も知らない。

 ギルド上層部の極一部の者達しか知らされていないことだった。



「それにしても、このルカと言う女性。私が直接出向いで再試験を行う必要がありそうだな。さすがに、これでAランクとは遺憾だ」


「いえいえ。本部長自らが出向く必要はありません。是非とも、この副本部長であるメラースが行って参ります」


「なら、我々三人で直接確認すると言うのは如何ですか?」


「「!!!」」



 ノワールの提案で、この三人の同席の元、ルカの再試験が行われることが決定した。

 ただ、この後、彼等は数時間に渡ってルカの昇格試験の映像を鑑賞し続けたと言う。

 三人共、ルカの肢体に目が釘付けだった。



 ❖  ❖  ❖



 昇格試験から一週間が過ぎた。

 この日、ボク……ルカとジノンはアサスズメ王国最北端の地方都市『ツモノミ市』近辺にあるダンジョンにいた。


 このダンジョンの、第一階層と第二階層はスライムと昆虫型の小型魔物が出現する。

 昆虫型魔物のオスが、ボクの身体にくっついて来るので気持ち悪かったけど……。



『取説君:ルカ‐0721は、全身から超フェロモン魔法を放っています。そのため、同性愛者を除く全ての雄性動物(人間を含む)、及び異性愛者を除く全ての雌性動物(人間を含む)から愛されます』



 ダンジョン内では、物理攻撃主体になる。

 魔法攻撃を行ってもイイけど、火炎系だと自分達が窒息するし、水系魔法を派手にぶちかますと、自分達が溺死しかねない。

 当然、使う魔法は限定的になる。



『取説君:ルカ‐0721号は、焼かれて全身が灰になってしまうと修復魔法が発動できなくなります』



 ボクの場合は、溺死はしないけど、火炎系だと燃えて灰になる可能性がある。

 もっとも、ボクは、火炎系や水系の攻撃魔法が使えるわけじゃないから、自分で自分の首を絞めるようなマネはしないと思うけど……。



『取説君:ルカ‐0721号は、性活魔法として蠟燭に火を灯すことが出来ます』



『取説君:ルカ‐0721号は、何時何処でもHができるように魔法でシャワーを浴びて全身を綺麗にすることが出来ます』



 なんか、取説君がボクにも火と水の魔法が一応使えるって力説しているっぽい。



 第一階層、第二階層程度だと大したドロップアイテムは無い。

 なので、ボク達は、さらなる階層へと急いだ。



 第三階層になるとアンデッドが中心となる。

 ダンジョンの中で勝手に湧くんだけど、どうやって発生しているのは分からない。


 魔族大陸にしかいないはずの魔族が湧いているダンジョンも、それなりにあるし、完全にダンジョン内は特殊空間だ。



 アンデッド達は、物理攻撃で何回倒しても立ち上がって来る。

 しかし、倒す術がないわけじゃない。

 アンデッド系魔物を倒す武器と言えば、定番だけど聖水だろう。



『取説君:ルカ‐0721号は、一定時間(あまり長時間ではない)刺激を受けると、股間から人工愛液を噴出します。これにより、使用者は自信が持てるようになります』



『取説君:ルカ‐0721号の人工愛液は、聖なる(性なる)パワーを秘めており、聖水と同等の効果を発揮します。アンデッド退治や悪霊退散に利用可能です』



 実を言うと、ボクは不本意ながら、この聖水を日々溜めていた。

 何故かって言うと……。



『取説君:ルカ‐0721号のフェロモン魔法を最大値から下げた場合、それにより放出できなくなったエネルギーを別の形で放出する必要が生じます。代行処置として24時間毎に1時間、ルカ‐0721号の陰部に何かを挿入してください。この際、男性器を用いることが推奨されます』



 ボクは、フェロモン魔法の出力を下げる代償行為を毎日1時間しなくちゃならなかった。

 ただ、その時に出るモノが、利用できるモノなら捨てるは勿体ない。


 それで、インゲノールの時と同様に空のビンを出して、その中に溜めていたわけだ。

 勿論、鮮度が落ちないようにアイテムボックスの中に保存しておいたけど。

 そして、それが、今日、これでもかとばかりに使用される。



「ターンアンデッド! ターンアンデッド! ターンアンデッド!」



 そう連呼しながら、ボクは、ビンの中の聖水をアンデッド達にかけまくった。

 別に浄化魔法を使うわけじゃないけど、単に『ターンアンデッド』って言ってみたかっただけだ。


 聖水を受けて浄化されて行くアンデッド達。

 なんか()()()になった気分だ。



『取説君:ルカ‐0721号は、どちらかと言うと()()()です。妊娠機能が無いため()()()ではありません』



 アンデッド達が消えたところには、ドロップアイテムとして、一体当たり大金貨が一枚落ちていた。


 大金貨一枚が一千万Gen(だいたい一千万円)。

 それを何十体も浄化させている。


 不要な液体を撒くだけで、こんな大金を手に入れられるとは……。

 完全に金銭感覚が狂いそうだ。



「ルカ。それって聖水?」


「そだよ」


「そんなに大量に、どこで手に入れたんだ?」


「毎日、少しずつだけど、ボクの方で作ることが出来るんだよ」


「まさか、聖水まで作れるとはな……。今度、作っているところを見せてもらいたいな」


「さすがに、それは……。禁則事項です!」



 いくらジノンでも、アレをしているところを見せるわけには行かない。

 さすがに同じパーティのメンバーでも、作り方は秘密だ!



 アンデッド達は、あらかた浄化させた。

 あとはフロアボスのアンデッドだけだ。


 普通なら、これだけ稼いだら、もう撤退してもイイと判断するだろう。

 しかし、このダンジョンに来たのは、単に金稼ぎに来ただけじゃない。

 より強大な敵と戦うためだ……ジノンが。

 なので、フロアボスとの戦いは必須となる……ジノンが。



 ボク達の目の前に、巨大なアンデッドが現れた。

 体高10メートルにはなるだろう、まさに巨人のアンデッドだ。



「ルカ。これだけは、俺にやらせてくれ」


「分かってる。頼んだよ!」


「おお! 身体強化! 剛性強化付与及び振動特性付与!」



 ジノンが毎度のパターンで、魔法で身体強化すると共に、剣に魔法付与を施した。

 そして、声を上げて、巨大アンデッドに斬りかかって行った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「おお! 身体強化! 剛性強化付与及び振動特性付与!」  そう言えばルカも振動特性を付与出来そうだけど……無理かな?  振動するものを創造で出せばいいだけだからと。  ……でも…
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