21.本領発揮!
「まさか、本当にショッシーを見ることができるとは!」
「審査に同行して、超得した気分です!」
ギルド長も受付嬢も感激していた。
二人共、ギルド長がボクの犬になり、受付嬢がドス黒いオーラを放っていたことなんて全然覚えていないだろうけど。
でも、ボクがショッシーを惹き付けるための条件を解除……つまり、強烈なフェロモン魔法と高HPは、共に下限値まで下げたからね。
ここにショッシーが留まる理由は無くなった。
当然だけど、ショッシーは水の中に潜って行ったよ。
ふと、ボクが周りを見渡すと、ジノンが張った多重障壁を、たくさんのヤロウ共が取り囲んでいた。
ショッシーと同じで、コイツ等もボクの強烈なフェロモン魔法と高HPに惹き付けられて集まっていたんだろう。
コイツ等の半分は、
「俺、何をしていたんだ?」
「ショッシーが見られたのは良かったけど、いつの間にここに来たんだ?」
「おかしいな。俺、あっちに方にいたはずなんだけど?」
「瞬間移動でもしたか?」
「直前までの記憶が無い……」
と言いながら、半ば困惑顔で元居た場所に戻って行った。
チラチラとボクの方を振り返ってはいたけど、一応、エロ思考から分離されていたみたいで、特段、ボクにちょっかいを出して来る気配は無かった。
ボクの方を見るのは……、まあ、綺麗な女性がいて気になるからってことだろう。
自分で言うのも何だけど……。
ただ、残りの半分は、
「よお、姉ちゃん。俺と付き合わないか?」
「突き合おうぜ!」
「脱げ脱げ!」
「合体しよう!」
と、エロ思考から完全に抜け出せていないようだった。
もしかすると、コイツ等は、フェロモン魔法とか高HPへの感受性が必要以上に高いのかも知れない。
それで、今のボクのフェロモン魔法強度&HP50に過剰反応しているんだろう。
あるいは、素がエロなのか……。
ただ、ここにいても、コイツ等がウザいだけだ。
なので、そろそろ、ここから逃げたい。
「ギルド長。これで、ギルドに戻ってもよろしいでしょうか? 転移魔法、収納魔法、身体強化魔法、治癒魔法、魔獣を服従させる魔法の全てを見ていただきましたので」
「そうだな。でも、また連続転移か……。まあ、ギルドに戻れば低級ポーションくらいあるから問題無いか」
「よろしければ、また高次治癒魔法をかけますけど」
「いや、それは無しで。癖になっても困るのでな」
多分、既にギルド長は、ボクにピンヒールで踏まれて喜ぶ側にいると思う。
だからこそ、これ以上踏まれるのはマズイって思ったんだろう。
完全にボクに踏まれないと生きて行けない身体になったら困るからね。
「なら、サービスで超上位治癒魔法にしておきます」
「いや、なんか、それは勿体ない気がするが……」
「ポーションを使う方が勿体無いですよ。それでは行きます。転移!」
連続転移発動。
最終到達地点と、途中の転移先は、特に問題無し。
数秒後には、ホウテイ市のギルド前に到着していた。
案の定、ギルド長と受付嬢は、一気に体調を崩して顔が真っ青になっていた。
平然としているジノンの方が、むしろ異常なのかも知れないと思えて来た。
ボクは、ギルド長と受付嬢のステータスを覗き見した。
超上位治癒魔法を発動する前に、ちょっと確認しておきたいことがあったんだ。
何をって……、備考欄に記載されている性的な悩みに関する記載をね。
『取説君:ルカ‐0721号は、超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)が使えます。これにより、欠損部位の再生や、男性器の増大、男性器の余剰部位の切除が可能です。女性の豊胸術も可能です。しかし、女性異性愛者にはS-eX-ヒールを発動することが出来ません』
確認を終えると、
「S-eX-ヒール発動!」
ボクは、先ずギルド長に超上位治癒魔法を放った。
高次治癒魔法よりも強力だからね。
彼の体調は瞬時に良くなった。
ただ、彼に起きた身体の重要な変化には、彼自身、気付いていなかったみたいだけど。
「ギルド長。ご気分はどうですか?」
「ああ、ルカ君、ありがとう。この程度のことに超上位治癒魔法をかけてもらうなんて気が引けたが、詠唱がヤバイな。セッ〇ス、昼から発情とか」
「セッ〇ス昼からじゃなくてS-eX-ヒールです。あと、発情じゃなくて発動ですけど」
「あっ! そうか。すまんすまん」
こんなアホみたいな聞き間違いをするとはね。
多分、ギルド長も何気にエロ脳になっているんだと思う。
ショウサンゲン湖の畔で、至近距離で全開のフェロモン魔法と超高HPに晒されたのが原因かも知れない。
「それと、何気に人体改造もしておきました。ボクの超上位治癒魔法は、性的事情であれば改造可能ですので」
「えっ?」
ギルド長が、ズボンの上から自分の股間を押さえた。
驚きと喜びが混在した表情。
『取説君:ルカ‐0721号は、長さ30センチまで受け入れ可能です。太さは、一般男性の頭くらいまで許容します』
『取説君:ルカ‐0721号の超上位治癒魔法(S-eX-ヒール)で男性の局部を増大する場合、ルカ‐0721号の中にギリギリ納まる大きさが上限となります』
これぞまさに、S-eX-ヒールの本領発揮!
性事情に対する治癒魔法だ!
自分で言っていて、
『治癒魔法のムダ遣いだなぁ~』
とは思うけど……。
でも、性の悩みは、本人にとって深刻だからね。
それを解消する魔法って、実は重要だったりするのかも知れない。
「ちょっと、トイレに行ってくる」
そう言うと、ギルド長は、大急ぎでギルド建物内に駆け込んで行った。
自分の身に起きた超嬉しい変化を、キチンと自分の目で確認したいんだろう。
これでギルド長の回復&治療は終了。
次は受付嬢の番だ。
ボクは、またジノンに、
「悪いけど、また受付嬢を治療するようお願いしてくれるかな?」
と頼んだ。
『取説君:ルカ‐0721号は、ピンヒール等のハイヒールで治療対象者を踏むことで、高次治癒魔法を発動できます。しかし、女性異性愛者にはハイヒールを発動することが出来ません』
『取説君:例外的に、男性に懇願された場合は、ルカ‐0721号は女性異性愛者にハイヒールを発動することが可能になります。その際、懇願者がHP50以上の男性であれば一人で条件クリアとなりますが、懇願者がHP50未満の男性の場合は、同時に複数人からの懇願が必要となります』
『取説君:超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)も同様です』
取説君、ワザワザ解説有難う。
でも、そろそろイチイチ言わなくても分かるから。
ジノンは、
「了解。じゃあ、ルカ。受付の娘も治してやってくれ」
ってボクに言ってくれたけど……、面倒をかけてゴメン。
彼が、ボクの能力に理解があって助かっている。
本当は、ワザワザ男性から依頼されなくても、女性異性愛者に、これら治癒魔法を発動できるのが、望ましいと思っている。
仕様だから仕方が無いけど。
「ありがとう、ジノン。じゃあ、超上位治癒魔法(S-eX-ヒール)!」
ボクは、受付嬢にも、人体改造も含めて超上位治癒魔法を放った。
瞬時に体力は回復。
さらに、身体付きも大きく変化した。
特に彼女の場合は、その身体の構造変化が普通に見てわかる。
貧乳だったのが、いきなりFカップの双丘に進化したからね。
もっとも、これをしてあげるために、敢えてジノンに彼女の治療をボクに依頼させたわけだけど。
「気分は如何ですか?」
「大丈夫です。ただ、何か、いつもより身体が重いんですけど?」
「それは、胸の分ですね」
「胸?」
彼女が自分の胸を触った。
そして、今まで経験したことが無かったであろう感触に驚いて、彼女の視線は、自然と自分の胸の方に行く。
「マジ?」
最初は驚愕の表情をしていたけど、すぐに一転して喜びのニヤケ顔に変わった。
今までクソマジメモードだった彼女が見せる……ショッシーを目の前にした時は歓喜していたけど……勝ち誇った笑みだった。
「実は、ボクの超上位治癒魔法は、増大とか豊胸も可能でして……。ちなみに施術代は不要です。再審査のお礼ってことで。差し出がましいとは思いましたが、グレードアップさせていただきました」
「そ……そうですね。これでは、全部下着を買い替えなくてはなりません。大変な出費ですよ、これは」
「では、元に戻しますか?」
「いいえ。折角ですので、このままにしておきます」
この受付嬢は、何気にツンデレ気質なようだ。
彼女のことが、ちょっとだけ可愛く思えたよ。




