19.エリクサー製造装置とかを作って売った方が儲かったんじゃない?
外階段からギルドの二階に入ると、一人の中年男性がボク達を出迎えてくれた。
「スーカンツ村冒険者ギルド長のカカンです。アナタがルカさんですか?」
「はい」
「この度は、飛び級試験で超上位治癒魔法にチャレンジすると伺っております。患者達のためにも、可能な限り治療をお願いします」
ただ、カカンは、物腰の柔らかい口調とは裏腹に、その表情からは、
『ヤれるもんならヤってみろ!』
みたいな雰囲気が感じられた。
「カカンさん。患者の治療にポーションは使われないのですか?」
「普通の患者でしたら使います。しかし、ここにいるのは、中級ポーションか上級ポーションでないと治せない患者ばかりです。さすがに、それらは高くて手が出せません」
「ボクは、ポーションを買ったことが無いのですけど、いくらくらいするんですか?」
「低級ポーションなら一ビン銀貨一枚程度ですが、中級ポーションと上級ポーションは時価になります。目安としては、中級ポーションが一回分で大金貨数枚(数千万Gen)、上級ポーションが一回分で聖金貨数枚(数億Gen)ってところです。最上級ポーション(エリクサー)ともなると、聖金貨数十枚(数十億Gen)と言ったところでしょうか」
これを聞いて、ボクは言葉を失った。
傍目には、一般に入手不可能な金額に驚いていたように思われただろう。
カカンもそう捉えたようだ。
「その額に驚いたようですね」
でも、ボクが一番驚いたのはそこじゃない。
ボクのウ〇コが数十億Gen、お〇っこが数千万Genもの価値があるってことを知って全身がフリーズしたんだ。
『取説君:ルカ‐0721号の疑似的大便は、魔素エネルギーを質量に変換したところに、さらに大量且つ高純度の魔素を追加しております。そのため、最上級ポーション(エリクサー)と同等の効力を発揮します』
『取説君:ルカ‐0721号の疑似的尿は、ポーションとして使用可能です。しかし、疑似的大便と比較しますと魔素が薄まっているため、効力は中級ポーションレベルとなります』
ここで、ボクはふと、
『ウ〇コエリクサーと、お〇っこポーションって、どれくらい摂取すれば効くんだろう?』
と思った。
すると、例の如く、ステータス画面の取扱説明書のページが開いて、取説君が読み上げてくれた。
『取説君:ルカ‐0721号の疑似的大便を最上級ポーション(エリクサー)代わりに使用する場合の必要量は、体積にして25立方センチメートルです』
『取説君:ルカ‐0721号の疑似的尿を中級ポーション代わりに使用する場合の必要量は、体積にして25ccです』
つまり、どっちも、一応、一口二口程度で済むってことか。
だったら、ボクのウ〇コとかお〇っこを販売するってのも手だな。
でも、それなら、魔導士エロスは、ボクなんか作ってないで、エリクサー製造装置とかを作って売った方が儲かったんじゃないか?
アイツは超天才だけど、やっていることがおかしいと改めて思ったよ。
通された患者部屋は、一番奥の部屋だった。
そこには、大怪我を負った者達が十三人、ベッドの上に寝かされていた。
しかも、全員が片腕や片足を失っていたり、両目の視力を失っていたりしていた。
今後の生活に支障が出ることは間違いないだろう。
大怪我部分だけなら、高次治癒魔法で何とかなる。
多分、当初の予定では、大怪我部分の治療だけのつもりだったんだろう。
手前の患者部屋には、大怪我だけで済んでいる患者もいたからね。
それが、超上位治癒魔法が使えるってことで、状況が変わったんじゃないかって気がする。
見たところ、この部屋には女性患者がいなかった。
なので、いちいちジノンからボクに治療の依頼をしてもらう必要は無い。
ある意味、それはボクにとって救いだと言える。
カカンがボクに、
「では、ルカさん。お願いしますよ」
と言いながらニヤニヤしていた。
基本的に、今回はボクの試験なので、ボクに治療代は発生しない。つまり、重傷冒険者達が治れば、スーカンツ村冒険者ギルドとしては得をする。
治せなければ、単にボクとホウテイ市冒険者ギルド長……レッドがメンツを失うだけ。
この場合は、スーカンツ村冒険者ギルド長の立場からすれば、面白いこと間違いないだろう。
なので、カカンとしては、どっちに転んでもイイってことだ。
カカンのことは気に入らないけど、ボクのランクアップを計画してくれていたジノンや、審査のために動いてくれたレッドや受付嬢のためにも、ここではベストを尽くす。
ボクは、端から順に、超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)で患者達を治して行った。
欠損部位は再生し、視力を失った者達の視力も、元通り戻って行った。
患者達は、
「奇跡だ!」
「あ……ありがとう」
とボクにお礼を言いながら……抱き付いて来たよ。
ただ、手つきがイヤらしいんだけど……。
しかも、ボクは魔法発動時に、
「S-eX-ヒール」
と言う必要があるからね。
しかも、人数分……十三回……。
案の定、治療を受けた連中は、
「俺とセッ〇スしたいのか?」
「いや、俺だ!」
「だったら、この十三人併せて面倒見てもらおう!」
「14Pだ!」
と、精力的にも超元気になっていたよ。
「スーパーエクスヒールの略です! では、ボクは次の試験がありますので、これで失礼します」
そう言うとボクは、コイツ等の手を振り払おうとした。
でも、コイツ等、力だけは強くて、今のボクじゃ振り払いことは出来ない。
なので、
「ワレっ娘機能発動!」
ボクは、ここでマッチョ娘に姿を変えた。
『取説君:ルカ‐0721号は、マッチョ好きな相手のために筋肉隆々の身体に変形することが可能です。その際、腹筋が割れますので、この機能のことをワレっ娘機能と呼びます』
『取説君:ワレっ娘機能発動時は、ルカ‐0721号の戦闘力が上がります。その際、ルカ‐0721号の一人称はワレになります』
このモードなら、屈強な男性相手でもパワーで劣ることはそうそう無いだろう。
ボクは、ボクに抱き付いているヤロウ共を、一斉に振り払った。
ヤロウ共を相手にヤルつもりは無いからね。
女性が相手でもヤル気は無いけどさ……。
ただ、これを見てレッドは、
「これが強化魔法か!」
と驚いていたよ。
結果的にボクは、この場で強化魔法も披露したことになったようだ。
そして、ボクが部屋を出て行こうとした丁度その時だった。
レッドが、
「協力してくれたこと、感謝する」
と、カカンに言っていた。
純粋に、ボクの審査のために患者達を提供してくれたことへの礼だ。
ただ、この時、カカンは、ちょっと悔しそうな顔していた。
失敗した方が良かったってことか?
でも、タダで冒険者達が治ったんだから、ここは素直に喜びなよ!
対するレッドは嬉しそうだったけど、これは多分、タンヤオ市ギルドが、ボクを不正に低ランクに張り付けた証拠が、また一つ増えたからだろう。
別に、
『スーカンツ村冒険者ギルド長を負かしてやった!』
とかは思っていないと思う。
多分……。
でも、受付嬢は、カカンに会釈すると、
『ざまぁ』
とでも言いたげな顔をしていたよ。
多分、カカンから、ボクの失敗を期待している雰囲気を感じ取っていたんだと思う。
それから、ジノンだけど、
「俺のパーティメンバーに手を出すなよ!」
と、ボクに抱き付いて身体を触っていた連中に睨みを利かしていたよ。
やっぱり、パーティメンバーへのセクハラ行為は許せないってことなんだろう。




