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13.ワレっ娘!

「ルカって名前を女性に付けるのって珍しいよね?」



 こう、ジノンがボクに聞いて来た。

 この世界では、ルカは男性の名前らしい。


 日本だと、ルカって言うと、女性の名前っぽく感じる人が、結構多いんじゃないかって気がする。

 実は、学生の頃は、ボクもそう思っていた。



 ところが、海外では男性に付ける方が多いらしい

 ハンガリーみたいに、女性にルカって名前を付ける国もあるけど。


 それで、ボクの両親は、イイトコドリで考えて、

『男女どっちにも付けられるから大丈夫なはず!』

 ってな感じで、男が生まれても女が生まれてもルカって名前を付けることにしていたようだ。



 ただ、両親がルカって名前に拘っていたのは、

『カルベルカ』

 で、単に上から読んでも下から読んでも同じになる名前を付けてみたかったから。

 ロクな理由じゃなかったよ。



 でも、この世界でのボクの名付け親は、魔導士エロスか。

 どうして、エロスがボクにルカって名前を付けたのかは、正直、分からない。



「まあ、普通は男性の名前みたいだね」


「だね」


「でも、今更改名する気も無いので。別に、社会的にマズいレベルでDQNってわけでもないし」



 ボクとしては、むしろジノンの名前の方が気になっていたけどね。

 ジノンって、何となくXenonキセノンに似ているって思ったんだ。


 日本人は、キセノンって呼ぶけど、英語圏ではゼノンとかジノン(より正しくはジーノン)とか呼ばれている。



 キセノンは、貴ガス(2005年までは希ガス)の一種。

 一応、酸化物は存在するらしくて、全然反応しないわけじゃないけど、そもそも論として貴ガスだからね。

 反応性が非常に悪いんだ。


 なので、

『HP抵抗性とフェロモン魔法抵抗性になっていて、ナニが全然反応しないのは、この名前のせいじゃないか?』

 なんてことを考えちゃってね(くどいようだけど、ここではHPはヒットポイントではなくハレンチパワーを意味しているよ!)。

 多分、偶然なんだろうけど。


 そんなことよりも、もっと大事なことを確認しておきたい。



「ジノンに聞きたいんだけど、サクラって、どこから取ってきた名前?」


「ああ、あれね。ルカは、転生って信じるか?」



 この切り出し。

 やっぱり、ジノンは日本からの転生者かなって、この時、ボクは改めて思った。



「ええ。じゃあ、ジノンは異世界転生者?」


「異世界?」


「異世界から転生して来たとかじゃなくて?」


「いや。異世界かどうかは分からないけど、転生した時に天使に会った記憶があって。その時の天使の名前がサクラなんだ」



 そう言えば、ボクを女神様のところに案内してくれたのは三級天使のサクラだっけ。

 ジノンも、多分、そのサクラに会っていたってことなんだろう。



「では、そのサクラをパーティ名にしたってこと?」


「そう」



 桜じゃなかったわけだ。

 ただ、三級天使サクラに会っているってことは、

『ジノンが異世界転生者である可能性はゼロじゃないかも知れない』

 と、この時、ボクは思った。



「あと、もう一つ。例のボクに似た女性のことだけど、それって、転生前の話? それとも後の話?」


「分からない。でも、そう言われると転生前のことかも知れないな」



 なんとなくだけど、やっぱりジノンの転生前の話じゃないかって気がした。

 もしかすると、ボクがジノンの前世の業のところにアクセスできないようにされている理由も、それと関連しているのかも知れない。


 あともう一つ。

 ジノンの言う女性って、まさかだけど、ボクの製作者エロスが前世で作った魔玩具とかじゃないよね?

 もしそうなら、色々と納得できる気がするんだけど!



 ❖  ❖  ❖



 昼食を終えると、ボク達はダイサンゲン村から数十キロ離れたホウテイ市へと向かった。

 一瞬、

『ホウケイ市』

 かと思っちゃったけど。



『取説君:ルカ‐0721号は、聞いたり読んだりした単語を即座に下ネタに変換することが多々あります』



 ただ、結構な距離だからね。

 ボク達は、ボクの転移魔法で移動した。

 数回連続での発動(発情じゃないよ!)だったけど。

 ちなみに、ジノンは転移魔法が使えないらしい。



「俺は、ホウテイ市に来たのは初めてだけど、何処かイイ食べ物屋とか知ってる?」


「ええと、ボクも初めてなんで……」


「もしかして、ルカは、ここに来たことが無いのか?」


「そうだけど」


「じゃあ、来たことが無いところにも転移可能ってことか。それは、凄いな……」



 多分、普通は、一回行ったところでないと転移できないって制限があるんだろう。

 ストリートビュー機能には感謝だね。



『取説君:ルカ‐0721号は、マップ機能が内蔵されており、ストリートビュー機能も付いております。これにより、今まで行ったことが無い場所もイメージできるため、最大移動距離以内であれば、転移先の制限はありません』



 ここホウテイ市に移動したのには、一応、理由がある。

 実はダイサンゲン村だと、大した依頼が無いんだ。

 それで、大き目の都市に移動したってことだ。



 ホウテイ市は、アサスズメ王国内では王都のリンシャン、商業都市のハイテイ、工業都市のチャンカンに続く大都市。

 全部、名前がナニ(麻雀役)だけど……。


 ちなみに、ハイテイ市は帝国と隣接していて、要塞都市とも呼ばれている。

 かつて帝国が危険な国家であった当時、前進基地的な役割を果たしていたらしい。



 ボク達は、ホウテイ市のギルド建物の中に入ると、そのまま依頼が貼ってある掲示板へと向かった。


 早速、ジノンが、依頼が書かれている紙を一枚、掲示板から取った。

 掲示されていた場所が、Aランク以上って書かれているのが気になったけどね。



「これなんかどうだ?」



 そう言うと、ジノンはボクに依頼の紙を渡して来た。

 パッと見て気付いたのは、金額が何回か書き直されているところ。

 それでいて、依頼ランクの変更をされた形跡はない。


 これは、過去に何回か……と言うか、多分、何回もだと思うけど、Aランク冒険者達が、この依頼を失敗していたことを意味する。

 かなりハードルが高い依頼なんじゃないかな?



「これって?」


「魔獣退治だけど」


「えっ?」



 つまり、Aランク冒険者でなきゃ対応できないレベルの魔獣退治ってことだよね。

 それでいて失敗続きの依頼って……。


 Sランク目前のジノンなら何とかなるんだろうけど、Fランクのボクには、到底ムリなんじゃない?



「これを受けようと思う」


「いや、さすがに、ボクが足を引っ張っちゃうし」


「ヤバいと思ったら転移魔法で逃げればイイからさ」


「でも、ジノンを残して逃げるなんて」


「俺なら問題無い。一応、これでもAランク最強って言われているし。だから大丈夫」



 まあ、マジで最悪の時は、ジノンも連れて転移魔法で逃げることにしよう。

 ボクは、バラバラにされても死なないけど、ジノンは人間だからね。

 死なれちゃ困る。



『取説君:ルカ‐0721号は、大人のオモチャであれば、何でも修復魔法で直せます。勿論、ルカ‐0721号自身も例外ではありません。たとえ、バラバラにされても、修復可能です』



 ジノンは、ボクから依頼書をサッと取り上げると、そのまま受付まで行って依頼書を提出した。


 受付嬢達は、ジノンの顔をうっとりと眺めていたよ。

 仕事大丈夫かぁ~?



 それから数分後、ボクのところにジノンが戻って来た。

 同時に、周りからもの凄い殺気を感じたけどね。


 案の定、受付嬢達が、ジノンのパートナーであるボクを一斉に睨んでいたんだ。

 想定の範囲内だけどさ。



「ルカ。依頼を取ってきた」


「うん」


「場所は、タテホン平原。移動をお願いできるか?」


「了解」



 大森林の方はメンチンだったのに、こっちはメンホンじゃなくてタテホンなんだ。

 別に、どっちでもイイケドさ(麻雀が分かる人じゃないと意味不明だね)。



 ボク達は、ギルドの外に出ると転移魔法で一気にタテホン平原のド真ん中に移動した。

 ホウテイ市からの距離は、五十キロちょっと。


 そこは、広々とした大平原で、生物と言えば植物だけ。

 魔獣どころか、普通の動物の姿さえ、全然見当たらなかった。

 多分、たまたま居ないところに出ちゃっただけだと思うんだけど……。


 今、魔獣の姿が見えなくても、一応、魔獣が出たら、すぐに戦えるように用意しておかないとイケない。

 それで、そう言った装備魔法とかが無いか、取扱説明書を確認した。



『取説君:ルカ‐0721号は、マッチョ好きな相手のために筋肉隆々の身体に変形することが可能です。その際、腹筋が割れますので、この機能のことをワレっ娘機能と呼びます』



『取説君:ワレっ娘機能発動時は、ルカ‐0721号の戦闘力が上がります。その際、ルカ‐0721号の一人称はワレになります』



 また、変な機能が出て来た。

 戦闘力が上がるのは有り難いけどね。

 多少はジノンの負担も減らせるだろうから。


 なので、ボクは、

「ワレっ娘機能発動!」

 マッチョ系女子に姿を変えた。


 とは言っても、顔も等身も変わらないし、ウェスト周りも変わらない。

 腿と尻と腕と胸(胸筋)に筋肉が付いたって感じかな?


 ただ、この姿を見て、ジノンは、

「身体強化魔法を使ったのか?」

 って言いながら驚いていた。



「ええ、まあ」



 取り敢えず、()()(ワレっ娘機能発動中のため)は、身体強化魔法を使ったってことにしたよ。

 正直に話したら、ワレの正体を明かさなきゃならないからね。



 でも、これだけじゃ、全然装備がなっていない。

 それでワレは、

「HP200、SP100、MP30に設定!」

 女王様モードも併せて発動した。


 さらに、アイテムボックスから一本鞭を取り出した。

 この鞭は、ダイサンゲン村のギルド長に使ったヤツね。



『取説君:ルカ‐0721号は、Hに関連するアイテムであれば、何でもそつなく使いこなします』



 多分、鞭の扱いに関してなら、ワレは本職レベルのはずだし、猛獣とか魔獣から自分の身を守ることくらいなら何とか出来ると思うからさ。

そう言えば、なんでタテチン(勃てチン)にしなかったんだろう?

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