14.ポーションって?
本作においてHPはハレンチパワーです。
MPはマゾポイント、SPはサドポイントを意味します。
「ルカ。その鞭って?」
「アイテムボックスから出したんだけど?」
「もしかして、ルカも収納魔法も使えるのか?」
「まあ、一応」
厳密には、アイテムボックスと収納魔法は違うと思うけど、イチイチ説明するのが面倒だから、収納魔法が使えるってことにしておいた。
ジノンは、ボクがアイテムボックス持ちって知って、またもやムチャクチャ驚いていたけどね。
「それなら、今回倒す魔獣の死体を運ぶの、お願いしてイイか? 俺も収納魔法は使えるが、収納スペースが結構ギリギリなんで」
「了解。あと、ちょっとワレ、戦闘服に着替えるから」
「ワレ?」
「この強化モードは、発動すると一人称が何故かワレになるって、訳の分からない制約があってね」
「そうなんだ。でも、それくらいなら、大した制約じゃあないな。それじゃ、向こう向いてる」
そう言うと、ジノンはワレに背中を向けた。
一応、ワレの着替えを見ないようにって気を使っているんだろう。
それと、一人称がワレになったことについても、特に詮索してこなかった。
魔法を習得するに当たって、何らかの制約が生じるって、多分、普通にあることなんだと思う。
ワレは、アイテムボックスから女王様服を取り出すと、今着ている服をさっさと脱いだ。
ちなみに、ワレのSTRは300ある。
『取説君:ステータス画面の表記の意味は、次の通りです。
STR:Strippingの略です。ここでは『脱ぎっぷりの良さ』を意味します。
人間の場合、極めて高い人でも100前後が上限となります』
そして、女王様服に着替えたわけだけど、本当は、この服に着替えたくないんだよね。
でも、戦うんだったら普通の服よりも、こっちの方が動きやすい。
それで、イヤイヤ着替えたって感じだ。
今まで着ていた服はアイテムボックスの中に収納。
荷物にならないって、すごく便利だ。
ただ、靴はピンヒールじゃなくて普通の靴にした。
さすがに、大平原をピンヒールで歩くのは、しんどいからね。
そもそも戦闘向きじゃないし。
「着替え終わったよ」
「ああ」
ジノンがワレの方を振り向いた。
そして、次の瞬間、
「何もかも皆懐かしい……」
との言葉が。
余り大きな声じゃなかったけど、ワレの耳は、その言葉をシッカリと捉えていた。
『取説君:ルカ‐0721号は、男性(異性愛者、同性愛者共に)の声なら、どんな小声でも聞き逃すことはありません。また、女性同性愛者の声も聞き逃しません』
ただ、今のワレの恰好……鞭を片手に女王様スタイルって、どちらかって言うと、
『誰も彼も皆恥ずかしい』
の間違いな気がするけど?
「えっ? 懐かしいって?」
「例の女性も、そう言う恰好をしていたことがあって」
その女性って、やっぱりワレと同類なんじゃ?
ますます、エロスが前世で作った作品じゃないかって思えてならない。
「そうなんだ。それで、今更だけど、その女性の名前って?」
「思い出せないんだ。記憶も飛び飛びだし」
「まあ、ムリに思い出そうとしなくてもイイよ」
「ああ、そうする。それと、ルカ。その姿、とても格好イイよ。似合ってる」
「えっ? あっ……どうも……」
多分、ジノンとしては褒めてくれたつもりなんだろう。
右手の親指を立てていたし。
でも、正直、全然嬉しくないけどね。
この格好が似合っているって言われてもさ。
それにしても、HPを300にしたのに、ジノンは平静を保っている。
人間で一番エロい女性の三倍のエロさなのに、ナニが微動だにしていない。
ある意味、それって凄いことなんだけど、この若さでコレって、ちょっと可哀相な気がしたよ。
ワレとしては助かるけど。
そこからワレ達は、南に向かって歩き出した。
どの辺に魔獣がいるかは分からないから、転移魔法でむやみに移動しても意味はない。
ただ、南方に行くのは単なるジノンの勘。
他に頼る術が無いってことで、ここは、A級冒険者としての勘を信じることにした。
そして、歩き続けること三時間。
炎天下を歩き続けて、ジノンは、そろそろ疲れが出てきたようだ。
「ちょっと休憩」
「うん」
「でも、ルカは全然疲れてないみたいだな」
「まあ、体力だけが取り柄なので」
これは、口から出まかせだけどね。
ワレは魔素を吸収して動く人形だから、全然疲れない。
食料も不要だし、水分も不要だ。
『取説君:ステータス画面の表記の意味は、次の通りです。
VIT:Vitalityの略です。ここでは『Hな方面での体力』を意味します。
人間の場合、極めて高い人でも100前後が上限となります』
たしかにワレのVITは300あるけどさ……。
でも、この場合のVIT300は、炎天下を歩いても疲労しないのとは、全く以て関係無い気がする。
「ちょっと疲れた。ポーション飲む」
「えっ?」
一瞬、ジノンの言葉にワレは焦ってしまった。
『それって、ワレのポーションじゃないよね?』
って思っちゃったからだ。
『取説君:ルカ‐0721号は、疑似的大便と同様に魔素エネルギーを質量に変換することで疑似的尿を放出することが可能です。勿論、飲料として使用可能です』
『取説君:ルカ‐0721号の疑似的尿は、ポーションとして使用可能です。しかし、疑似的大便と比較しますと魔素が薄まっているため、効力は中級ポーションレベルとなります』
すると、ジノンは、
「何を驚いているんだ? 別に怪我とかしていなくても、体力が削られたら普通は飲むだろ? と言っても低級パーションしか持ってねえけどな」
と言って、魔法収納していたポーションを出して飲み始めた。
飽くまでも、普通に市販されている低級ポーションのことだったんだね。
ワレの考え過ぎだったようだ。
ただ、一応、ワレはハイレベルな治癒魔法が使えるからね。
ポーションを使っちゃって勿体無いなとは思ったよ。
『取説君:ルカ‐0721号は、超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)が使えます。これにより、欠損部位の再生や、男性器の増大、男性器の余剰部位の切除が可能です。女性の豊胸術も可能です。しかし、女性異性愛者にはS-eX-ヒールを発動することが出来ません』
『取説君:ルカ‐0721号は、ピンヒール等のハイヒールで治療対象者を踏むことで、高次治癒魔法を発動できます。しかし、女性異性愛者にはハイヒールを発動することが出来ません』
『取説君:但し、ルカ‐0721号は、初級治癒魔法(単なるヒール)を発動することが出来ません』
❖ ❖ ❖
この日は、目的の魔獣とは遭遇しなかった。
それどころか、普通の動物すら見かけなかったけどね。
気が付くと、既に日が傾いていた。
「じゃあ、今日は、この辺でテントを張るか」
「えっ? テント張るの?」
そう言いながら、ワレの視線はジノンの股間に向いた。
飽くまでも、
『股間に向いた』
のであって、決して、
『股間を剥いた』
ではない。
『取説君:ルカ‐0721号は、聞いた単語を、語呂が近いエロ関連単語と聞き違えることが多々あります』
『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』
すると、ジノンが股間を押さえながら、
「ココのテントじゃないから」
って言って来たよ。
「あ……そうだよね。でも、ここでテント泊って危なくない? 寝込みを魔獣に襲われるとか」
「まあ、可能性としてはゼロじゃないが……」
「だったら、ワレの転移魔法で元いた街まで移動して宿に泊まらない? その方が安全だし、明日、ここまで転移魔法で来れば問題無いでしょ?」
「たしかに、言われてみればそうだな。俺一人ならともかく、ルカもいるし」
別に、ワレは魔獣に喰い殺されたりはしないけどね。
破壊される心配はあるけど、バラバラにされても修復魔法で復活できるし。
むしろ、ワレとしては、ジノンの方を心配しているんだけどね。
「じゃあ、行くよ」
「ああ、頼む」
「転移!」
そして、ワレとジノンは、ホウテイ市に戻った。
一瞬で戻れるってマジで便利だ。




