5.5時間目 ✳︎微BL注意
微BL風味。飛ばしても大丈夫。なんちゃってNG集も。
『廊下』
「やあ鷲野。ずっと探してたんだ」
涼やかな声に鷲野が振り返るとそこには同学年かつ腐れ縁の三年生、雉羽 誠が立っていた。
雉羽が小脇に抱えるプリントの束に目を奪われつつも鷲野は太陽みたい!と好評な笑みを浮かべてまるで飼い主に駆け寄る犬のように雉羽に近寄った。
「どうした誠、わたしに何の用だ?」
「何の用だじゃないだろう。さっき偶々長元坊先生に会ったんだけどほらこれ、反省文書けってさ」
細い指から手渡されたその分厚いプリントの束を素直に鷲野は受け取りはしたがすぐに首を傾げ理解できないと続けた。
「わたしは反省文を書かされるようなことはしていないぞ?」
「僕は君が魔法実践学でルールを破ったと聞いたけどな」
心底分からないとより深く首を傾げる鷲野に雉羽も首を傾げた。
「ルールなんて破っていないし、反省することもない。だからコレいらないよな」
「あーあぁ」
鷲野がそう言い切ると同時に目の前で燃え上がったプリントたちの残骸に溜息を漏らしつつも雉羽は何時ものことだと歯牙にかけることはなかったが、周囲に人がいないことを確認して一つ注意することにした。
「鷲野がそうすることに文句はないけど、僕に迷惑かけたら調教し直すから気をつけてね」
からかいめいた口調の雉羽に、鷲野は焦げた臭いを発する残骸から視線を上げて雉羽のそれと交錯させた。
その瞳に滲む好奇の色に隠された雉羽の嗜虐性を野性の勘で感じ取った鷲野は低く喉を震わせ無意識に釣り上げていた唇を動かした。
「し直すなんて失敬な。ま、誠に調教なんてされた覚えはないが、それもそれで面白そうだ」
「…じゃあ先ずは服従の印として、その生意気な言葉を紡ぐ口でも閉じようか…ねえ、鷲野?」
口内の歯列を割って唇を舐める赤い舌が蠢くのが酷く淫猥にみえて。雉羽はそっと白い指をなぞるように濡れそぼる熱い唇に這わせた。
所謂『品行方正な優等生』で颯爽と校内を歩く雉羽が俗物らしくもこうも艶美な表情を浮かべて己を見上げていることに鷲野はどこか嬉しく感じて唇に触れてきた指を熱い舌でぺろりと舐め上げた。
離れていく華奢な指にしゃぶりつき、骨まで喰らってやりたい。ふっと浮かんだ欲望にぞくりと背中が震えた。咄嗟に動きそうになる衝動を鷲野は獣のように深く喉を鳴らすことで必死に抑える。
「誠にそれができると思わないけどな。それにお前だってわたしに手を出したくないはずだ」
「へえ、珍しいこともあるね。駄犬如きが僕に指図する気?」
ぐるぐると獲物を目の前にした獣のように喉を鳴らすくせ、それを内部に留めきった鷲野に雉羽は一つ薄い笑みを浮かべた。これでも調教されてないと言い張る無自覚さに本当は腹を抱えて笑いたいぐらいだった。
しかし、ふいに雉羽を見下ろすその瞳に一陣の真剣な光が宿って緩めていた気を戒めた。伊達に三年間も付き合ってるわけではないら、鷲野一が『理性』らしきものを浮かべた時が一番危ういのだ。
すぐさま防御魔法が練れるように構築を掌でおこなっていた華奢な手を、ふいに大きな手が包み込んだ。
大きな手から漏れる魔力にかき消された構築の残照に目を瞬かせた雉羽は大きな手の持ち主である鷲野を見上げた。
「わたしは駄犬じゃない!鷲野一だ!しかもどちらかというと犬より猫が好きだ」
「……鷲野ってなんというか頓珍漢だよね」
「誠の手、ちっさいなあ」と手のひらを合わせて大きさを比べ始めた鷲野に毒気を抜かれた雉羽は身構えた自分が馬鹿だったと先程舐められた指を水魔法で洗い始めた。
「君は猫より犬だよ。さっさと左手離してくれないかな」
「んー?なんだ誠。恥ずかしがってるのか?」
「ほんと鷲野って生意気だな。いつ僕が恥ずかしいなんて言ったの。さっさと黙らないとまた調教するよ」
ハンカチで嫌そうに指を拭いながらそうのたまった雉羽の頭に顎を乗せた鷲野は、「ジャストフィットの身長差〜」と訳の分からない事を呟き、いつものようにニッカリと笑った。
「言っただろう?それはそれで、面白そうだって」
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以下お遊び、読まなくても本編には関係ありません。
『NG1』
「ルールなんて破っていないし、反省することもない。だから、コレいらないよな」
「あっ馬鹿!」
「なぁあっ!あっつっ、ちょ、誠!水魔法頼む!」
プリント燃やしたらその勢いで袖口も燃やしちゃう鷲野。頓珍漢な思考回路をしてるように行動も頓珍漢すぎる彼に雉羽はきっと水魔法をぶっぱなす筈。
『NG2』
「し直すなんて失敬な。ま、誠に調教なんてされた覚えはないが、それもそれで面白そうだ」
「…じゃあ先ずは服従の印として、その生意気な言葉を紡ぐ口でも閉じようか…ねえ、鷲野?」
ニヤリと歯列を割って赤い舌が蠢く唇に雉羽はそっと指を這わせた。
「………」
「……?」
「………ん」
「!!!」
口元に指がきたから思わずパクッとした鷲野に雉羽は『きゅん』とくるどころかその米神に青筋立てて咥えられた指を鷲野の喉奥に突っ込んで嘔かせた。




