『愚かなパラキートの日記』※微残酷描写
『禁じられた実験が再開することのないよう祈る。愚かなパラキート』
今日から日記をかこうとおもう。
『1頁目』
研究者になり様々なことを探求してきたが、とうとう私は一つの大いなる課題のメンバーに選ばれた。
それは遥か昔から密かに研究されていたオートマタの技術についてだった。どうやら遺跡発掘チームが古い遺跡からオートマタを『そのまま』捕縛したらしい。なんて素晴らしいんだ!
『2頁目』
オートマタと意思の疎通ができた。噂では聞いていたがまさか本当にそれを体験できるとは!
遺跡から離れると『停止』するかと思えばどうやら違うらしい。尋ねても「侵入者を排除する」としか繰り返さない。非常に興味深い。
『3頁目』
どうやら、オートマタは予め一定の文章が組み込まれているようだ。他の研究者がそう言っていた。数百年も起動し続ける謎を解明してやろう。
『4頁目』
とうとうオートマタの核を取り出し符呪機で分解したが魔素粒子が結合した何の変哲もない鉱石だった。そこで私は率先してその核を数年に渡り研究した。
あらゆる魔法器具や魔法陣、果てには薬草学、天文学に至る知識まで貪り原点に立ち返ったとき私は驚くべきことに気づいたのだ。
そう!オートマタの核は魔素粒子を自然に取り込む特別な力がかけられていたことを!
永続に魔素粒子が供給されるのだから数百年起動し続けれるのだ!
私はこの素晴らしい核を賢者の石と名付けようと思う。
『5頁目』
朝夜を徹した私を周りのものは愚かだと指をさす。いつの間にか私は愚かなパラキートと呼ばれていたが、それでも研究室に籠り研究を続けた。
愚かだと笑っていられるのも今のうちだと鼻であしらってやった。
『6頁目』
いくら調べても賢者の石の構成がわからない。ただの鉱石に特別な符呪でもかけられているのだろうか?
『7頁目』
なんということだ!まさに神の思し召しに違いない!青天の霹靂とはこのことだ!!
ついに私は確信に一歩近づいた!たまたま切れた傷口から零れた血が賢者の石に吸い込まれたのだ!!
慌てて厨房で掻き集めた鳥と豚の血を混ぜた皿に核を沈めるとそれすら煌々とした光を放って吸い込んでいく。これだ!これだったのだ!
瞳に集めた魔力で魔素粒子の世界を見ると次々に凄い勢いで粒子たちが核に取り込まれていく。なんて美しい!
『8頁目』
つまり、賢者の石は血を吸うことで空気中の魔素粒子を結合させる力を強める。オートマタ一体につきどれほどの生贄が捧げられたのだろうか。
これは未だ仮説の段階であり長い期間の実証が必要となるだろう。
だが他にも問題はまだ山積している。賢者の石の効能は分かったが、それをどのように創り出すかが未だ分かっていない。古代人の歴史を紐解けば解決の糸口が見つかるだろうか…?
『9頁目』
「手を引きたまえ。愚かなパラキート」
わたしの仮説を聞くと歴史家の友人が長い間黙っているかと思ったらそう言ってきた。彼こそ愚かだ。賢者の石を解明することがどれだけ我々の生活に利を運ぶか分かっていない。
『10頁目』
遺跡発掘に随行した。
『11頁目』
来たことを後悔したくなるほどの悪路と環境であったが、遺跡の奥に彫られていた壁画をすぐに書き写した。
まるで仮説通りの光景がそこに彫られていたからだ!だがその周りをみても賢者の石の構成の糸口になるような壁画はなかった。ここで三年間費やした。
『12頁目』
とうとう50歳を迎えた。歴史家の友人は既に死んでいた。手紙が残されていると侍従が持ってきた。
「『見えてる物が事実とは限らない』愚かなパラキートもそう思うか?しかし見えてない物ばかりに気を取られる必要もない。と、私は思うがね」
…。花を手向け愚かな私は研究室に戻った。つまりは、そういうことだったのである。
レリーフには沢山の生贄が大きな鍋へと放り混まれていた。つまり、賢者の石そのものが、血でできていたとしたら?
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『25頁目』
仮説は途中まで正しかったようだ。しかし、どうにも上手くはいかない。
30年以上の月日を費やしたが昨今では探究心よりも後悔の念が勝る。まるで押し潰されそうだ。賢者の石を知れば知るほどこの世にあってはならぬものだとすら考える。
一度しかない人生を無駄に費やした愚かなパラキートと人々は嗤うだろう。しかし、この研究を公表してはならぬのだ。私は甘んじてそれを受けよう。
賢者の石、誰も作り出してはならない。それは賢者などではない、血にまみれ卑しく残虐な。愚者の石ころに過ぎないのだから。




