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掃除屋さんは心も綺麗?  作者: 黒米 紅子
天石門別命と屋船さま
9/10

幸福論??

「あのぉ ウチのって天石門別命さまですよね?」


『あれなんか、普通にアメでいいわ…あの唐変木』


…いやいやいや、一般人間には畏れ多いって。


『手形を消せって頼まれたんでしょう?』


「…えぇ、まぁ。ただ私…休みなので


夜間清掃員に頼む事くらいいか出来ないのですが…。」



『あれも言ったと思うけど、


貴方にしか消せないわよ。手形』



『そもそも、普通の人には見えないし』



…なにその仕様。



『そうそう、貴方、昔からちょっと運がいいでしょう?』


「いえ、むしろ幸運とは縁がないと思ってます。」


『じゃあ聞くけど、大病した?』


「してません。」


『事故は?』


「ありません。」


『仕事は?』


「忙しいですけど、なんとか。」


『ほら、十分幸運じゃない。人はね、大きな幸せばかり探すけど、何事もなく明日を迎えられるのが一番難しいのよ。』


「…何事もなく…ですか?」


『意外とね、現場維持したまま生きていくって出来ないのよ。』


「…現場維持?」


『大きな可もなく、少しの不可もない…


変動なく毎日過ごせるのは幸福の原点よ』



…そんなノリでいいのか…毎日。




『それに貴方の手は浄化の手よ。


汚れを落としているじゃない』


…掃除屋ですからねぇ。



『だからアレと私の喧嘩に巻き込んでしまって


ほんとにごめんなさいね。』


『現状維持じゃなくなっちゃったわ。』


眉をタラリち下げ、申し訳なさそうに頭を下げられた。


…いやはや全く、その通りです。


とは流石に亮子も言えなかった。


小さく息を吐き聞く。


「私はどうしたらいいのでしょう?」


『お茶しない?』


「は??」


『とりあえず聞いてよ私の話』


ポンと手にした扇子を手のひらで打つと、


途端に喧騒が戻ってきた。


『スタバってとこ連れてってくれない?


一人じゃ敷居が高くって…注文の仕方もよくわからないの』


「…良いんですか?アメちゃんさま放置で」


『お灸据えてるんだから、いいのいいの』


フネさまはそう言って、


亮子のカートを引くようにして歩き出した。



『昔は茶屋だったから 黙って座れば

お団子とお茶が出てきたのよね~』


ふんふんと鼻歌まで聞こえて来そうだった。


…長くなるなぁ。きっと。




冷凍食品を買わなくって良かったと思った亮子だった。






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