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掃除屋さんは心も綺麗?  作者: 黒米 紅子
烏枢沙摩明王さま?
4/18

洗面台

「ごめん、その格好と口調で

てっきり女性かと思ってた。」


タオルを拾ってバケツに放り込みながら亮子は


申し訳けなさそうに答えた。


『人は【じぇんだー】に配慮するとか申しておるが、


刷り込まれた価値観は中々抜けぬものじゃの』



亮子は洗面台の鏡を磨きながら言った。


濡れたタオルで拭きあげ、


乾いたマイクロファイバーで磨く。


自分の疲れた顔が、否が応でも目に入るが、


うすさまの姿は映らない。



「うすさま?」


振り返るとフヨフヨ足を組んで飛んでいる。


…消えてくれても良いんだが。


「その水波能売神ミツハノメ

ミツさまとはどこで会ったの?」


『おお、ミツさま…いい響きじゃの。

妾もそう呼ばせてもらおう』


…許可とってからにしな。


洗面台のカランを磨く。

黄色のスポンジで磨いた後

ついでに洗面台の中も洗う。


意外に石鹸垢や手の脂は、

手洗い石鹸が一番落ちる。

自宅の洗面台も、手洗い石鹸が一番落ちる。


緑の液体をプッシュして磨き上げる。

スポンジを濯ぎ、その水分で、

洗剤分を流していく。


そしてまたマイクロファイバーの黄色で

消毒しながら拭き上げる。

カランに自分顔が歪んで映っていた。


『ここで会ったのじゃ、

ミツさまは、その洗面台で

あの美しい御御足を濯いでおってな…』



…真夏のお客様も、そんな人が居たな…

サンダル履きで汗臭かったのかと思ったけど。


『妾が、どうかしたのかぇと聞いたら、

驚いて、このサンダル落としてしもうてな』


『その真っ赤になったお顔が美しゅうて、


妾は【愛しい人、お名前を…】と問うたのじゃ』


『…小さな声で【水波能売神ミツハノメですわ】と答えて…』


『ポンっと消えてもうたのじゃ』





「うすさま…」


『なんぞえ?』


「ミツさまは恥ずかしかったと思います。」


『何がじゃ?』


「足を晒してるところを見られたんでしょ。」


『顔も足も美しかったぞえ?

あないに美しいのだから…恥ずかしがる事もあるまい。』


…乙女心は通じない神さまだわ。


それにだ。



「なんで人のサンダル履いてるんですか!!」


『…愛しい人の物を


身につけるのは愛の証ぞ』



…こいつキモイ。


亮子は、うすさまごと消毒してしまいたくなった。






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