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掃除屋さんは心も綺麗?  作者: 黒米 紅子
貧乏神VS貧乏神
29/49

迷子

その母親はいつもベビーカートに

小さな男の子を1人子どもを乗せ

5歳くらいの女の子と

それより少し下の女の子とを2人で

おもちゃ売り場に待たせたまま、

自由に買い物かウインドショッピングをしている。


土日以外 ほぼ毎日見られる光景だ。


おもちゃ売り場の遊べるコーナーで

よくパン(食パン)を食べ水筒で飲み物を飲んでいる

2人の姿をよく見かけていた。


その日は妹がいなくなったのか泣きそうな声で

「梨沙ちゃん」と呼びながら歩き回っていた。


「どうしたの?」


亮子はしゃがんで姉と見られる女の子に声をかけた。

「妹が梨沙ちゃんがいなくなったの。トイレに行くって言ったから、あそこの…」


子どもの遊び場付近の子どもトイレを指さし


「あそこのトイレまで妹を連れて行って

ちょっと、さおり…私が、おもちゃ見てたらもういなかった。お人形なんか見てなきゃよかった。」


シクシクと泣き出すさおりの手をそっと握り、

「迷子コーナーに行ってみようね」

と誘導した。



清掃員は清掃だけじゃなく

お客様の案内をしたりもする。

特にトイレの場所だけじゃなくATMコーナーやクリーニングの場所を聞かれることが多い。

もちろんテナントも聞かれる。


確かに移動が多い仕事だが

なかなかお店の名前が覚えられない。


そう言う時の頼みの綱がインフォメーションだ。

迷子や…帰り道のわからなくなった老人や

自分の車をどこの停めたかわからなくなってしまったお客様などは、インフォメーションに丸投げだ。


「ママに怒られない?」

「お姉ちゃんも一緒に謝ってあげるね。」

そう言うと彼女の手を引いてインフォメーションへ連れて行く。


インフォメーションでは、素早く彼女の名前、年齢を聞きだし

おつれさまである妹の名前をきき館内放送をかける、


インフォにはたまたま、仲の良い マリが対応してくれた。

「かなり我慢している子だね」小さく声を掛けてきた。

「普通、ママを呼んでと言うのに、妹を探してって言うのよね」


泣き顔の彼女におしぼりで顔をそっと拭いてあげながら

亮子は黙って上を見上げた。


屋船様とキャロが不思議そうに見下ろしていたからだ。

『親はどうしたの?』キャロが呟く。


その瞬間。


「ママはね、弟の涼太のお世話で忙しいの」


亮子は目を見開いた。

……今の。

私、何も聞いてない。

キャロを見上げる。

キャロも同じように固まっていた。




・・・キャロの声が聞こえてる?


「きっと迎えにくるよ」


亮子は、頭を撫でながら応えた。


『キャロ 何か聞いてみろ。』

屋船様が扇子でキャロをこづいて促がす。

屋船様の声は聞こえていない様子だ。


『何を聞けばいいのよ。歳とか??』


「何?沙織は5歳だよ、なったばっか」


亮子の顔を見て答える。

どうやら、亮子が聞いてると思ってるようだ。


キャロの声だけに反応する。



『幼子はのう、まだ"こちら"との境が薄い。』

『大人になるにつれ、聞こえなくなるものじゃ。』

『じゃから童も、子どもに好かれるのよ。』


扇子を広げ囁くように屋船様が

キャロに話しているのが聞こえた。



とりあえず、亮子はマリに任せて

仕事に戻る事にした。


実際には

屋船様とキャロに任せてになるのだろうか?



キャロは嬉しそうに笑っていたから・・・。

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