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掃除屋さんは心も綺麗?  作者: 黒米 紅子
貧乏神VS貧乏神
27/49

沼る

「うーん、ワンピも可愛いけど


今度はこれ!」


シンメトリーになった

アジアンテイストの胸元シャギーな

肩紐なしのパンツドレス。

薄手の黒のショート丈のプラウス

大きなイヤリング。

ヒールのミュール

髪はお団子を遊ばせて簪止める。


このアンバランス差

アンニョイな感じだけど



「うわ!可愛い」


亮子が手を叩いた。


「か、可愛くなどない!」


西洋人形は真っ赤になる。


「可愛いよ。」


「可愛くない!」


「可愛い。」


「可愛くない!」


「可愛い。」


「ぐぬぬぬ……。」


屋船さまが扇子で口元を隠した。


「素直じゃないのう。」


童ちゃんも頷く。


「昔の妾を見ているようじゃ。」


「一緒にしないで!」


西洋人形が叫ぶ。


その瞬間、


亮子はドールハウスの小さな鏡を持ってきた。


「ほら。」


「え?」


「自分で見てみな。」


恐る恐る鏡を覗いた西洋人形は固まった。


長い間見たことのない顔だった。


怒っていない自分。


泣いていない自分。


誰かに嫌われていない自分。


ただ普通に笑えそうな自分。


「……。」


何も言わない。


言えない。


亮子はそんな西洋人形を見て、


今度はドールハウスの家具を並べ始めた。


「次は本棚かな。」


「本棚?」


「うん。」


「なんで?」


「家には本棚いるでしょ。」


「……。」


「あとラグも欲しいな。」


「……。」


「照明も欲しい。」


「……。」


屋船さまが呟いた。


「亮子さん。」


「なに?」


「もう手遅れね。」


「何が?」


「沼よ。」


童ちゃんが深く頷いた。


「沼じゃな。」



「童ちゃんはここの座ってみて!」


ドールハウスのウッドデッキに

ゆりいすを置き

足元に編み物セット。


「妾も沼るかもしれぬ。」


渋々というか嬉しそうに童ちゃんが、

立ち位置…座る位置にスタンバる。


「屋船さまはこれきて!」


扇子が落ちた…。


「我もか…」


亮子が渡した一枚は


シックは色合いのロングドレス。


「腕がなるわ~その艶々の黒髪に

ラメ入りドレス。夜会のイメージよ」



「うぬぬ…」


屋船さまとて亮子のノリからは

逃げられなかった。


西洋人形が今度は自分で

元のワンピースに着替えていた。


そしてハウスの中の姿見で自分の姿を眺めている。


「…否定しなくて良いんだ。」


「お主はお主のままで良いのじゃよ。」


毛糸と戦いながら童ちゃんが言う。



「居場所は自分で作るモンじゃ

妾は亮子殿にそう教えられた…。」



亮子はハウスの小さな食器に

オレンジTeaをそっと入れる。


「さぁ神様のお茶会よ」



3神は顔を見合わせた。


そして席についた。


今日は亮子に付き合ってやろう。


…楽しいから。



神様たちが席についた瞬間に、


亮子が真顔で


「あ、写真撮ろう」


シルバニアにはカメラセットまでついている。


慎重に三脚を立て、3人の前のセットする。


「覗けない…」


亮子はスマホを取り出した。


「我が見てやろう。」


屋船さまが三脚を覗きにっこり笑った。


「良い写真が撮れそうじゃ」


童ちゃん

「しゃしん?」


屋船さま

「そうじゃ記念撮影じゃな。」


西洋人形

「嫌よ!」


カシャ。



西洋人形

「まだ心の準備が!」


カシャ。


亮子

「可愛い。」


西洋人形

「やめなさい!」


童ちゃん

「もう一枚じゃ!」


屋船さま

「今度はこちらを向くのじゃ。」


――結果。


スマホと


お人形セットのカメラで無事に記念撮影は終了した。


神さま効果なのか


三脚カメラはポラロイドのように

写真がいく枚も落ちていた。


亮子がそれをピンセットで


丁寧に小さな写真立てに入れたり

メモ用紙より小さなノートに貼っていく。


「本棚に一番最初にアルバムが入ったわ!」



屋船さまと童ちゃんが呟く


「やっぱり沼じゃな。」


「完全に沼ね。」



その向こう側で


こっそりとアルバムを開く西洋人形がいた。


2人は、優しく顔を見合わせた。





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