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掃除屋さんは心も綺麗?  作者: 黒米 紅子
貧乏神VS貧乏神
26/49

ハマった

亮子は一瞬黙った。


本棚の上では屋船さまと童ちゃんが身を乗り出し、


西洋人形は腕を組んでいる。


「言ってみなさいな」


屋船さまが囁く。


「無理じゃろ」


童ちゃんが首を振る。


亮子は小さく息を吐いた。




「笑わない?」


「内容による。」


即答だった。


「そこは笑わないって言うところじゃない?」


「おまえの話で笑った事あるか?」


ぐっと言葉に詰まる。


山川はオレンジティーを一口飲んだ。


「で?」


「私ね……」


言いかけて止まる。




言える訳がない。


神様が見えるんです。


親指サイズの座敷童だった貧乏神がいます。


西洋人形の貧乏神もいます。


なんて。


絶対に無理だ。


「最近ちょっと変なものが見える。」




沈黙。


屋船さまが吹き出した。


童ちゃんは口を押さえている。


「変なもの?」


山川は意外にも笑わなかった。


「うん。」


「仕事の疲れじゃなくて?」


「違うと思う。」


「病院は?」


「行ってない。」


山川はしばらく考えた。


それから本棚を見た。


そして部屋を見回した。


「見えるのは人か?」


亮子の心臓が止まりそうになった。


「……。」


「人じゃないのか。」


「なんでそうなるの。」


「人だったらそんな顔しない。」


「どんな顔よ。」


「疲れているのに楽しそうな顔さ。」



…亮子は黙った。


「ただ疲れているなら、


見えないものが見えて恐怖を覚えるなら


あんなにホタルを見てあんなに優しい顔はできないぞ。」



…言った本人はしまったと言うように

そっぽ向いた。耳が赤い。


「ま、ともかく、おまえが


これからも話せる事が出来たら言え。わかったな?」


「それでは上司命令?」


「ち、違う!…いや、そ、そうじゃない…が

…そんなようなもんだ。

上司からの命令とでも受け取っておけ。」


「じゃ、今日はもう休めよ。」


照れるようにそそくさと山川は立ち上がり、


玄関へと向かう。


「…ありがとう」


見送る亮子に手を振り山川は出て行った。

耳は最後まで赤かった。


カラカラと大笑いする屋船さまの声を無視して

テーブルを片付け、クロスで拭き

おもむろに、お人形の洋服を並べる。


「さ、チャレンジよ!西洋人形さん」


いつまでも揶揄われているのは性に合わない。


リベンジとばかり、亮子は3神をみて

にっこり微笑んんだ。


並べた洋服の傍らで


せっせとシルバニアのハウスから

人形ハウスをセッテイングしていく。


「ほんとのドールハウスって

もっと手が込んでいるんだろうな。」


今度はドールハウスの本でも買おうかと思った亮子だった。



西洋人形貧乏神は


重苦しいドレスがら軽い空色のワンピース

裾からはほんの少しのレースが覗く。

共布のレースはワンピースの襟にもなっている


足首にはアンクレットに

花のついたサンダル。

縦ロールはほどかれ、ハーフアップに

やんわり結ばれてている。


おメメぱっちりの化粧は落とされ、

薄いメイクにピンクの口紅。

ちょこんと載っている小さめのキャスケット。


「うわ!可愛い」


ハウスの洋服ダンスには

二、三着の洋服やバック 靴が並び

おもちゃのテーブルにはTeaセット。

ベッドには亮子のベットより可愛らしい布団がかけられ

天蓋まで付いている。


一方でシルバニアも負けてはいない。

キッチン周りにはオーブンた水回り並び、

外には小さな花壇まである。

緑のベッドや洋服ダンス。

鏡台には小さなブラシ。



「これってハマったらヤバい。


ハマってしまった亮子が言った。



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