小さいおっさん?
片付けをする亮子を、腕を組んで待っている山川。
…手伝ってくれてもいいんだけど?
モップを外し、タオルを種類ごとにバケツに入れる。
流石にトイレ用タオルと
一般拭き掃除用タオルとは一緒に洗えない。
「ちょっと待ってて。」
「なんで?」
「洗い終わったモップ干さないと…」
…山川が側に寄ってきて
洗濯機から取り出したモップを手で広げる。
「叩きつけると早いよ」
亮子は床にバンバンと洗ったモップを叩きつける。
「俺の事を思い浮かべてやってるんじゃないよな。」
m思いの外、丁寧な手つきでモップの捩れを
直して行く山川に思わず笑った。
「今度からそうしようか?」
20枚ほどのモップを
モップ干しにかけて行く。
「濡れたままキャッチャーしておけばいいんじゃね?」
「きちんと乾かさないと、カビルンルンだらけになって
めちゃ不衛生でしょう!」
そう山川に言うと
「カビルンルンね…」と可哀想な奴を見る目で
亮子を見下ろした。
片付けも終わり、上着を羽織ると
二人で通用口から外に出る。
その瞬間、肩に重みを感じた。
いやーな予感に通用口のガラスに映った自分を見た。
「車回してくるから
ここで待ってろ」山川はスタスタ歩き出した。
「あめちゃん様?」
「ありがとう…これで中に入れるわ。」
「そ、その彼女も一緒に?」
あめちゃんの横には、腕をガシっと掴む
まるでフランス人形の様な女の子…でいいと思う…が
にっこりと笑いながらしがみついていた。
…貧乏神さまのイメージってなんだったんだろ。
貧相な姿
やる気のない表情
疲れ果てたおじさん…
全く違うイメージが音を立てて崩れて行った。
「可愛いやろ??」
あめちゃんおっさん神様の目はハートだ。
確かにこんな子が貧乏神さまとは思えない。
普通の可愛い女の子…
「でもな、心が寂し過ぎて…育ってないんだ。
何をやっても心が弾む事もない…」
「どうして?」
「どうして?そう言う人が多過ぎだからだな。
この子は同じように心が飢えている人にしか
とり憑けない…」
「だから心はいつまでも飢えてしまうって事?」
「あぁ…小さく不幸を自身で浄化していかないと…
ますます、不幸と感じてしまうな」
…現状維持の幸せ…屋船さまの声がリフレインした。
「何をブツブツ独り言言ってんだ。」
いつのまにか山川が横に立っていた。
「キモいぞ」
「失礼ね!!」
「ほら帰るぞ」
山川が手を差し出した。
無意識にその手を握った。
あめちゃんと貧乏神さまは、亮子の肩から降りて
目の前でフヨフヨしていた。
歩き出し振り返って小さく手を振った。
「お前…大阪人か?」
「なんで急に??地元よ私」
「小さいおっさんでも見えるのかと思ってな。」
…確かに小さいおっさんだが。…
ドキドキしながら首を振って歩き出した。
握った手はそのままで。




