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挿話 最後の航海 碇をあげて 二
川の上
その動きに
アララたちが気づく
アララ
「えっ……あの船……動いてる……?」
スピーダ
「音 いつもと同じ」
橋の気配が
ざわめく
ユイナ
「このままじゃ、ぶつかる……!」
コスタクルス
「操縦が、安定していない」
けれど船は進む
迷いなく
④ 見えない連携
橋が近づく
船は、橋脚へと吸い込まれるように――
その瞬間
水が、わずかに流れを変える
風が、船を押し戻す
波が、やさしく向きを整える
精霊たちが、動いている
言葉はない
けれど、完全に通じている
ガラン
「左を支える」
コスタクルス
「流れ、少し強くする」
スピーダ
「音、押す!」
船は、橋をすり抜ける
ぶつからない
ギリギリで、
守られている。
ひとつ、またひとつ
船は橋をくぐっていく
少年は気づく
「……覚えてるの?」
船は、かつての航路をなぞっていた
それは観光ではない
別れの巡礼
橋ひとつひとつに
静かに
あいさつしているようだった




