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第九話 ねむりの橋 三

  そのとき


  橋の下の

  暗い水の奥で


  ほんのわずかに

  ――音がした。


  スピーダが

  ぴくっと顔を上げた。


  「……おと」


  アララも

  風を止める。


  とても小さな

  ほとんど

  消えそうな音。


  けれど

  たしかに

  そこにあった。


  コスタクルスは

  静かに言った。


  「われらが

   感じられぬほど

   深いところで

   眠っておる」



  水面が

  ほんの少しだけ

  ゆれた。


  まるで

  ――応えているように。



  「架け替えらるときは

   眠っちゃうの?」


  「そうだな

   私やユイナも

   そうだ」


  「私たちも?」


  寂しそうに

  アララは言った


  スピーダも

  しょんぼりしている


  「いや、そなたたちは--」


  コスタクルスは

  言いかけて

  静かに目を伏せた。


  川の流れが

  わずかに揺れる。


  「……いや」


  「いまは

   まだよい」


  その気配を

  察して

  ユイナは

  首をかしげたが

  何も言わなかった


  「コスタクルスは

   ここの

   二人を知ってるの」


  「うむ」


  コスタクルスは

  うなずいた


  「わたしたちより

   まえから

   いるからな」


  「そうなの

   どんなふたり?」


  コスタクルスは

  何も言わなかった


  「あっ、ということは

   ユイナも知ってる?

   ねえ、教えて」


  ユイナが自慢げに

  胸をそらせて

  口を開こうとした


  「ユイナ」


  コスタクルスは

  静かに

  首をふった

  ユイナは

  はっとして

  口を閉じた


  「それは

   目覚めてからの

   お楽しみ」


  「えっ ひどい」


  アララがぷっと

  口をふくらませた


  スピーダも

  まねて

  くちをふくらませた


  その二人を

  コスタクルスが

  ユイナが

  そして

  川の流れが

  やさしく見ていた

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