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挿話 かわの きおく

「ねえ、コスタクルス」


ユイナは

橋の下を見ながら聞いた。


「この川って、

 どこからきてるの?」


コスタクルスは

しばらく黙っていた。


そして

静かに答えた。


「とても遠いところからだ」


「山から流れ、

 森をぬけ、

 町を通り、

 海へ向かう」


「そのあいだに、

 たくさんのものを見てきた」


ユイナは

驚いて聞き返した。


「たくさん?」


コスタクルスはうなずいた


「昔の町」


「昔の橋」


「人の暮らし」


「笑った日」


「泣いた日」


川は

すべてを見てきたのだと

コスタクルスは言った。


ユイナは

水面を見つめた。


流れていく水の中に、


遠い昔の光が

ゆらゆら揺れているような気がした。


「じゃあ、この橋のことも

 覚えているの?」


コスタクルスは

静かに言った。


「この橋は

 人の願いから生まれた」


「川はそれを

 ずっと見ていた」


アララが聞いた

 

「わたしの橋も?」


ツムギやふわり

マルカドールも

首をかしげた


コスタクルスは

 やさしくほほえんだ。


 「もちろん」


 水面に

 小さな波が広がった。


 まるで川が

 うなずいているようだった。


 アララが

 少し考えてから言った。


 「じゃあさ」


 「これからのことも

  覚えていくんだね」


 コスタクルスは

 静かに答えた。


 「そうだ」


 「今日の景色も」 


 「今日の足音も」


 「今日の笑い声も」


 スピーダがうれしそうにさけんだ。


 「おと みんな」


 川はすべてを覚えている。


 人の願いも、

 笑い声も、

 そして橋の物語も。


 今日もまた

 新しい記憶が、


 この川を

 そっと流れていく。

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