ミーティングと1on1の条件 警戒
会議終了後、世良は退出前の高田を捕まえ「あれで良かったでしょうか?」と確認する。
「いいんじゃない。期待通りだ」
とだけ高田は言い、別の会議があるからと、先に出た水野、北嶋の後を追った。
席に戻り、ノートPCをシャットダウンしていると青田と所沢、本店店長の長澤が足を運ぶ。
「相変わらず世良節全開だったな」
と長澤。
「うん。ああいう話題になると止まらなくてね。。。みんな引いてなかった?」
「そんなことないです!他はよく分からなかったけど、世良さんの話だけは分かりました!」
という、青田の言葉に「他も分れよ!」と長澤と所沢が突っ込む。
「しかし、なんか悪いことしちゃったな」
と世良。
「何が?」
「北嶋さん、悪者みたいにしちゃった」
「でも、そういう役割なんだろ」
長澤の言葉に、世良は黙って頷く。
水野が元々コンサルタント嫌いなのは世良は良く知っている。好むと好まざると、会社には時折コンサルタントが入ることはある。こちらから依頼することもあれば、スポンサーの意向だったり、銀行の意向だったり、対外的な形式を取る為だったり。
そういう時に、コンサルタントに振り回されないように牽制するのも時には必要だ。
今回、世良はそういう役割で呼ばれたのだろうと察していた。
その時、着信音が鳴る。
「うげっ!」
世良が自分の社用携帯を見て言った。
「どうした?」
「その北嶋さんにスケジュール入れられてる。『1on1希望』だって・・・皮肉かな」
「これから?」
「いや、今日の夜だ。場所は・・・居酒屋だな」
「えっ!断れないんですか。あんな偉そうなこと言っておいて飲みニケーションとか、矛盾してますよ」
と青田。
「うん。ただ開始が勤務時間内だからな・・・まぁ行ってくるよ」
「気を付けろよ。何かのの意趣返しかもしれない。行ったら向こうの社員に囲まれて圧迫で論破されるとか」
「怖いな。ただ、『1on1希望』って書いているから、それは無いんじゃないかな。まぁクレームぐらいは言われるかもね」
と言いつつ、世良はさほど気にしていない様子だ。
肩書こそ社長室室長と立派だが、経営に関する権限はさほど無い立場だからだ。要は世良にクレーム入れる仕事上の意味が無い。
だからこそ水野は世良に牽制役を振ったとも言える。先方の気分を害しても「彼は特殊なので」と切り捨てることが出来るからだ。
もし世良にクレームを入れる意味があるとしたら感情的なものたが、北嶋はそういうタイプには見えなかった。
「勤務時間超えたら帰ってくださいね」
心配する青田に、「嫁かよ!」という所沢が突っ込みを入れる。
青田は所沢をひと睨みしてから、誰もいない方向を見て呟いた。
「だって、あの人、絶対自分が美人だって自覚してるタイプですよ。。。」
長澤と所沢は軽く目を合わせると、無言で首を横に振った。(これは、あまりいじらない方がいい)というサインだ。
「そうだな。丸めこまれないよう、気を付けるよ」
と言う世良に、まだ青田は何か言いたそうだったが、「時間だ」と長澤に促されて退出するのだった
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