海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 8
「ミムラスさん、モフモフご満喫中にすみません」
「ふにゃい?」
何か凄い、噛み方したよミムラスさん。
そんなに焦らなくても、いいですよ。
それに、俺もミムラスさんの様な顔になっていると、友人から指摘されたことが有りますし……それよりも、よだれよだれ。
「ジュルリ……。リッ、リリー殿、申し訳ありません。私、可愛い物に目が無くてつい」
「ミムラスさん、安心してください。私も、モフモフで可愛い子が大好きなんです」
そう言って、俺はミムラスさんに笑顔を向けた。
しかし、俺の目線が気になったのか下を向くと何かに気がつく。
「はっ!」
そして、急に胸元を隠した。
どうやら、ちっぱいを気にして隠したようだ。
確かに、海嵐の海豹がいた場所が水着としては不自然に拉げていたからね。
でも、安心してね。
形状記憶機能があるフリルとフレアなので、押しつけられていたとしても、既に水着はふっくら元通りになっている筈だから。
――だからと言って、今のちっぱいではない俺には説得力が無いよね。
俺は容姿を、五歳の容姿に変更する事にした。
でも、ミムラスさんには俺が年齢を変更出来る事を見せたことが無かった気がする……たぶん?
いやー、だって家族の人数が増えたから誰に見せたかハッキリしなくなってきたのだ。
昼食の時にパイ王女やミムラスさんとはかなり席が離れていたし、アザレアちゃんとブルメリアちゃんの所望で五歳の容姿になり二人の膝の上に座っていたけれど、見ていなかったと思うし、料理を運ぶ時などは十五歳の容姿だったからね。
それに、髪や睫毛の色を変更したときは「リリー殿、変わった魔法を習得されていらっしゃるのですね」と言われたのだ。
なので、年齢を変えて容姿が変わる時は呪文を唱えないと不思議に思われると思うのだ。
と言うわけで、俺は呪文をちっぱいにかけて唱えることにした。
「ちっぱ、ちっぱ、ちぃーぱっぱ。願いを叶えて、女神様……」
俺はお尻をくねらせ猫のポーズでスノーダンスを踊り、適当なちっぱいの歌詞を付けて歌っていると、急にミムラスさんに両肩をつかまれた。
「リリー殿? お気を確かに! 急に、どうされたのですか?」
「ふえっ? 私が、小さくなるための魔法の呪文ですよ?」
もしかすると、水着で踊りだしたので変に思われたのかもしれない。
だけど、何も知らないミムラスさんの前で十五歳の容姿から、急に五歳の容姿にならない方が良いと思ったんだもん。
「はあ……」
ミムラスさんに、何故かよく分からない溜め息をつかれた。
もしかすると、ミムラスさんの落ち込んでいた心がぶり返したのかもしれない。
早く、何とかしなくては……あっ!
ミムラスさんに説明をしていると、後のセリフを全部忘れてまったよ。
適当に作った、歌だから仕方がないのだけどね。
もしかして、ケモ耳尻尾を付けていなかったのが悪かったのかな?
斯くなる上は、スノーのケモ耳尻尾を付けて巫女幼女に変身だ。
……いや、そもそもそれじゃ呪文唱えてないよね?
それに、巫女と言えば葵なのだが……葵の狐ケモ耳尻尾を付けると、葵の行動からして何となく悪戯っ子になりそうなんだよね。
……そう言えば、葵で良い呪文を思いついたよ。
「ミムラスさん、今から私が小さくなる為の祝詞を唱えます。先ほどとは呪文が違いますが、驚かないで下さいね」
「ええ……」
ミムラスさんは、小首を傾けて頷いた。
俺が女神の法具を装着して、葵と奥底で能力へリンクした時に厨二病満載の祝詞で舞を舞い技を放つものが有ったんだよね。
それなら、俺は舞まで覚えている。
だって、祝詞とか舞って格好いいよね。
なので、その祝詞と舞を少しアレンジして行えば、小さくなるための呪文だとミムラスさんは思ってくれるはずなのだ。
では、早速……。
「剣舞、清目、散供、勧請、祝詞、御座、手草! 恋を司る、幼き女神よ!」
俺が舞を舞い祝詞を唱える度に、なぜか周りには小さな微精霊達や精霊達が集まってきた。
キラ キラ キラ キラ キラ キラ!
恐らく、祝詞が様々な精霊に呼びかけているのかもしれない。
だけど、これってあくまでもアレンジの祝詞と舞なんだよね。
なので、本当の祝詞と舞のように魔法的な事は起こらない筈なのだ。
つまり、この子達は偶然集まってきたと言うこと。
それに、恋を司ると言っているのには訳がある。
恋は、内にある心で感じるものだと俺は思っている。
そして、心は心臓に近い場所に有るものだとも思っている。
つまり、心臓は胸に有るもので胸を気にするちっぱいさんは、ちっぱいであるが故に恋を敏感に感じる人なのだ。
そして、恋と言えば男性より女性の方が、幼い頃より思いを抱く人が多いと思う。
それに、幼い女の子の願いを叶える神はやっぱり幼くて可愛い女神様。
なので、ちっぱいなミムラスさんの事も考え、恋を司る幼き女神と唱えているのだ。
……全ては、私リリーの個人的意見なので責めないでくださいね。
俺が、舞いを舞えば舞うほど微精霊や精霊達が笑顔を見せ同じように舞を舞いだした。
その光景に、ミムラスさんが双眸に涙を浮かべ両手を重ねて神に祈る様な姿をした。
俺は、精霊達と一緒に笑顔になって舞うと片手間に魔法陣を展開させた。
だって、どうせなら演出は派手な方が良いしね。
「我を現し身として、ここに降臨せよ! 巫女幼女神楽! 七幼聖霊の集い!」
因みに、七大天神最後の審判は何となく危ない気がしたので、周りに集まった精霊達を見て七幼聖霊の集いに変更したのだ。
俺がアレンジした舞いと祝詞を唱え終えると共に、容姿を五歳に変更しケモ耳尻尾と巫女ロリ服セット(白・赤色)を纏うと、急にミムラスさんが手を伸ばした。
刹那、七体の小さな聖霊が目映い光りと共に頭上に現れる。
ポワ ポワ ポワ ポワ ポワ ポワ ポワ!
ギシャー!
同時にリカステさんの眼前に、戦艦の破壊魚モーレイ イールが現れた。
「女神様、心に響く舞を感謝致します。私達も、感謝の意を示します!」
その七体の小さな聖霊の内、一体がそう述べた瞬間、俺が展開させていた魔法陣が七つに分かれそれぞれの精霊の手元に移動した。
チュィン チュィン チュィン チュィン チュィン チュィン チュィン!
刹那、リカステさんの攻撃よりも早い七色の光りで戦艦の破壊魚モーレイ イールを一瞬にして撃ち抜いた。
キィーン――!
ガッ!
戦艦の破壊魚モーレイ イールは、大きく口を開けた状態で光りとなって消え去った。
……あっ、やっちゃった。
姿を小さくするために、舞を舞って祝詞を唱えたのだけれど予想外の事になったよ。
「うぉい! 今の何だよ! って言うか、リリーちゃん危ねえじゃねえか!」
リカステさんの声が聞こえてくる中、七体の幼い聖霊達は俺に笑顔を向け消えていった。
えっと……幼い聖霊さん達、ありがと。
だけど、リカステさんの出番を奪っちゃったよ。
先ほどの幼い聖霊達は恐らく、何かの切っ掛けで数多の微精霊が数多の精霊達を呼び、数多の精霊達の思いが届いた事で、呼び出された者達だったのだろうと思われる。
その切っ掛けは……いや、そうだとは言い切れないけれど。
恐らく、恐らくだよ。
俺が舞を舞って祝詞を唱えると、精霊や聖霊達がお節介いをやくのではないかと考えられる。
だって南の森に現れた、氷眼のサイクロプスの時もウンディーネの眷属達が集まって、サイクロプス十体を含む多くの魔物を撃ち抜いたからね。
それに、ウォータスライダーの管理室で見ていたユグドラシルから慌てて連絡が有ったが「問題ないから、心配しないでね」と言っておいた。
どうやら、召喚精霊になった聖霊であるユグドラシルは問題ないようだ。
けれど、俺が舞を舞って祝詞を唱えたのが悪いのでリカステさんに謝っておこう。
「リカステさん、ごめんね」
「まー、良いけどよ。今度から、知らせろよ」
そう言って、リカステさんに睨まれた。
確かに、見学ですと言っておきながら攻撃するとは思いもしないよね。
俺じゃ、無いんだけれどね……。
「ひゃい」
俺はそう言って、顔を逸らした。
容姿が小さくなった事で、リカステさんの顔の恐怖心が高まり、本気でチビリそうになったのだ。
直ぐに顔を背けたので、耐えたけれどね。
俺の、膀胱よく頑張りました偉い!
そんなことより、ミムラスさん?
一瞬のことで、逃げられなかった俺が悪いのだけれど、流石Aランク冒険者の資格を持つミムラスさんである。
腕を伸ばしたミムラスさんの早さに気づかず、俺は抱きしめられていた。
お陰で、リカステさんの怖い顔から背けるのも簡単だったのだけれどね。
最近十五歳の姿が多かったし、油断していたのかもしれない。
カトレア先生とは違った抱きしめられ方で、ミムラスさんはちっぱいである分、抱きしめ方が優しいのだ。
恐らく、カトレア先生は人形を抱きしめる事に慣れすぎて、力の加減がよく分からなくなったのだろう。
「ななななっ、何て、可愛いのー」
ただ、ミムラスさんの愛情表現がかなり激しいよ。
俺が、動物達にしている事とほぼ同じだよね。
顔をお腹に埋められ、匂いを嗅がれ、鼻や頬にキスされて……兎に角、大変なのである。
それに落ち込んでいるミムラスさんが、こんな事で復活するのなら無碍には出来ないし耐えるしかない。
ただ、脇と胸の辺りが非常に擽ったい。
なので、ソロソロ限界なのだ。
「ヒャン! ……ミムラスさん、擽ったいよ」
一応、愛情表現を止めてもらえるかと思い訴えてみたが無駄であった。
カトレア先生のように大きい膨らみがなく苦しくはないのだが、ちっぱいなので持つ場所も腕しかない。
つまり、腕っ節が強いミムラスさんに対して幼女の力は無力なのである。
それに俺と同じで、一度愛情表現が始まると現実世界には中々戻って来れないらしい。
やはり、耐えるしかないようだ。
でもせめて、顔と口を動かさずにしてもらえると助かるのだけどね……。
ミムラスさんに好きなように弄くられていると、どうやら第八関門に到達したようだ。
最後までお読み頂き、本当に感謝しています。
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葵「……ハイビスカスのママさん、これは一体何ごとですの?」
ハイビスカスのママ「葵様、美味しい海の幸です」
葵「そうではなくて、海の魔物ですわよね?」
ハイビスカスのママ「葵様、リリー様から頼まれてコリコリを一体と、近くに
居た海ウナギを獲って来たのですが、海ウナギも今度
料理してくれると仰ったので他にも美味しい物を獲って
来ました」
葵「事情は、分かりましたわ。ですが、リリー様はこの量を獲ってくるように
仰いましたの?」
ハイビスカスのママ「リリー様が、程々にと仰いましたので控えめに獲って
来ました」
私は、指導役のクレマチスちゃんを直ぐにテレパシー呼びだしましたの。
すると……
クレマチス「葵様、お呼びですか?」
葵「クレマチスちゃん、これを見て頂けるかしら?」
クレマチスちゃんに、ハイビスカスのママが獲って来た海の魔物を
見て頂きましたの。
すると……
クレマチス「美味しそうな、海の幸ですね。ですが、量が少ないですよね?
ハイビスカスのママさん、私も一緒に取りに行きましょうか?」
ハイビスカスのママ「クレマチス様、リリー様が控えめにと」
クレマチス「そういう事ですか。でしたら、適量ですね」
葵「……どこがですの! スノー様の、指導が必要なようですわね」
クレマチス&ハイビスカスのママ「ひえー! 葵様、それだけは……」
葵「仕方がありませんわね」
私は、リリー様が帰ってくるまでスノー様に言って巨大な海の魔物を
瞬間冷凍させた。
結局、スノーに知られたクレマチスとハイビスカスのママは、風龍も交えて
キツいお仕置きをされた挙げ句、有ることに参加する事になったのである。
風龍、とばっちりである。




