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海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 9

 第八関門は、戦艦の破壊魚モーレイ イール二体と燐火水(リンカスイ)ワーム十六体が出現する。

 そして、今まさに燐火水(リンカスイ)ワーム十六体をパイ王女を含む女の子達三人が協力しあい連携して倒していた。

 ただ少し気になるのは、アザレアちゃんとブルメリアちゃんの連携よりも、パイ王女との連携にかなり時間がかかっていた事だ。


 まあでも、その辺りはリカステさんが補っていたので問題は無いだろう。

 それに、燐火水(リンカスイ)ワームが残り少なくなってくると、慣れてきたようで三人だけでも倒せるようになっていた。


 ハッキリ言うと、エレモフィラ君とバレリアン君が倒したA級危険種のワイバーンよりも、戦艦の破壊魚モーレイ イールや燐火水(リンカスイ)ワームはもちろんであるが麻痺触手を持っている海禍(カイカ)のメデューサの方が難易度は上だ。


 それに、第一チーム目はカトレア先生とロベリアさんがイケイケ状態であった為、エレモフィラ君とバレリアン君は、魔物をあまり苦労せずに倒せたとも言える。

 因みに、イケイケ状態とは今回の場合……心高ぶるほど元気な姿で喜びに満ちあふれ、勢いそのままに遠慮なく、誰も抑制する者さえ居ない状態で、どんどん好きなように突き進み、魔物を次々に打ち倒していくさまを表すよ。


 それにアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、スミレちゃんと一緒に訓練していたのでかなり鍛えられた。

 スミレちゃんは、勇者の能力を有しているので基本能力も異常に高い。

 恐らくアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、他の国の冒険者学校の訓練とは比べられない程の経験を積んでいる筈。


 なので、厄介な海の魔物とも渡り合えているのだ。

 今は、燐火水(リンカスイ)ワームの粘液もほぼ避けられるようになっているしね。

 でも海の魔物の倒す的確さや早さは、リカステさんの指導のお陰だろう。



「にゃひぃ」



 失礼……ミムラスさんの遠慮が無い愛情表現に、思わず声が漏れました。

 そう、俺は未だにミムラスさんに捕まっているのだ。

 耳の良いブルメリアちゃんが一瞬こちらを見ると、笑顔を向けてきた。


 あれは、一体何の笑顔なのか? ちょっと、気になるよ。

 いやそんな事よりも、次は少し離れた海路の奥にいる、戦艦の破壊魚モーレイ イール二体だ。

 リカステさん、二体もいるけれど、どうするのかな? 



「お前ら、よく見ておけ! 戦艦の破壊魚モーレイ イールの弱点を、今から切り裂く。俺が切り裂く場所を、よーく見て確認しろ! 補助はするが、次はお前らにも倒してもらう。いいな!」



 リカステさんは龍(ドラゴン)紳士(ジェント) サンダー スパークで一気に倒さずに、パイ王女を含む女の子達三人に戦艦の破壊魚モーレイ イールの弱点を実際に見せて倒すようだ。

 巨大な魔物なので、二体同時に切り裂けるかな? 

 まあでも戦艦の破壊魚モーレイ イールの弱点は、首の鱗が変色している場所だから、分かりやすいのだけどね。


 その場所以外は、鱗がビッシリ詰まっているので通常の武器では刃が入らないのだ。

 しかも、戦艦の破壊魚モーレイ イールの骨は巨大で硬いのだが、鱗が変色しているその場所には骨と骨の隙間がある。

 なので、首を真横に切り裂く事も可能なのだ。

 まあでも、達人の域に達していないと巨体なので難しいと思う。



「「「はい」」」

「へひゃっ」


 俺は、ミムラスさんの愛情表現にまた声を漏らしていた。

 でも、皆の返事と重なって気づかれなかったようだ。

 ミムラスさん、そろそろ胸と脇を擽るのは勘弁して下さい。

 パイ王女を含む女の子達三人が後ろに下がると、リカステさんが前に出た。

 俺は、パイ王女を含む女の子達三人を綺麗にしてあげた。


 第八関門は上手く避けてはいたけれど、それまでに付いた粘液で髪や水着がニュルニュルだったからね。

 水着の中まで入った粘液で、凄く気持ちが悪かったと思う。

 バラエティー番組で、生卵をかけられるシーンがたまにあるが、燐火水(リンカスイ)ワームの粘液はそれどころではないからね。



「「「リリーちゃん、ありがとう……」」」



 パイ王女を含む女の子達三人はお礼を伝えると、ミムラスさんと俺の状況に何か言いかけた。

 なので、俺は手を出して引き留めた。



「可愛いわー。スリスリ、スリスリ」



 俺はその時、胸と脇腹の擽り地獄から解放され、頬をミムラスさんに頬ずりされているところだった。

 先ほどまでの、顔と口を動かされていた擽り地獄を体験した俺にとって、頬ずりは天国と地獄ほどの差が有りやっと落ち着く事ができる状況だったのだ。

 もし万一、また胸と脇に顔と口を移動されると擽り地獄に逆戻りなのだ。



「にゃにも、聞かにゃいで……」

「「「――」」」



 アザレアちゃんとブルメリアちゃんとは違い、パイ王女は驚愕の表情を浮かべていていたが、三人は静かに頷くと再びリカステさんの方を向いた。

 恐らく、パイ王女はミムラスさんのこんな姿を見たことが無かったのだろう。

 そしてアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、俺に同じ事をした覚えがあるので、何も言えなかったという訳だ。


 もしかすると、先ほどのブルメリアちゃんの笑顔は、アザレアちゃんに俺の状況を知らせたものなのかもしれない。

 二人とも、仲良しさんだからね。

 その時、進路上の海路が急に白波がだった。

 すると、二体の戦艦の破壊魚モーレイ イールが顔を上げた。



 ギシャー! ギシャー! 



「おらー! 喰らえや! 龍(ドラゴン)紳士(ジェント)ビッグアックス回転斬!」



 それを狙っていたリカステさんが、既に振り回して勢いをつけていた龍(ドラゴン)紳士(ジェント)ビッグアックスで戦艦の破壊魚モーレイ イール二体の首を、胴体から同時に切り離した。



 ズバッ! ズバッ! ピシッ ピシッ! 



 ギィシャャャー! ギィシャャャー! 



 しかし、何が起こったか分からない戦艦の破壊魚モーレイ イールは、咆哮と共に襲いかかろうとするが、頭だけが置いてけぼりになり海路に落ちようとする。



 ピガァガァガァガァ! ピガァガァガァガァ! 



 刹那、切り離された戦艦の破壊魚モーレイ イール二体の胴体と頭を雷光が襲いかかり光りとなって消え去った。



 ズドドド ズドドド! ズドドド ズドドド! 



 一瞬遅れた轟音が鳴り止むと、リカステさんは説明しだした。



「お前ら、今の場所が弱点だ! ちゃんと、見てたか? 説明するが、奴の変色している首の鱗の直下にはよ、鱗が密集してねえんだ。それによ、そこを真横に切り裂くと骨にも当たらないんだぜ。つまり、力を入れんでもぶった切れるんだ。分かったな!」



 ……それは、豪腕の能力が有るリカステさんだけですよ。

 それに、戦艦の破壊魚モーレイ イールは、昔の戦艦を噛みついて沈没させるほど大きいのですよ。

 ぶった切るなんて芸当が出来るのは、リカステさんか達人の域にある人だけです。



「「「はい」」」



 リカステさんの指導に、パイ王女を含む女の子達三人は返事を返した。

 そして、リカステさんが俺とミムラスさんの状況に気がついたようだ。



「……ありゃなんだ」



 リカステさんの問いに、アザレアちゃんが首を振る。



「先生、聞かないであげて下さい。誰もが通る道です」

「――」



 そしてリカステさんは、ゆっくり前を向いた。

 アザレアちゃん、一つ言っておくね。

 誰もがは、無いからね。一部の人だけ、だからね。


 その後リカステさんは第九関門の手前付近まで戦艦の破壊魚モーレイ イールの弱点を詳しく説明し、慣れた燐火水(リンカスイ)ワームを戦艦の破壊魚モーレイ イールに見立てて指導しだした。

 そしてパイ王女を含む女の子達三人で、残りの燐火水(リンカスイ)ワームをリカステさんの指導と補助付きで全て倒した。

 補助を行ったのは、燐火水(リンカスイ)ワームと戦艦の破壊魚モーレイ イールの攻撃方法が違うので、あくまでも見立てて攻撃させる為に行ったのである。


 そして第九関門で出現した戦艦の破壊魚モーレイ イール三体のうち二体を素早くサンダー スパークで撃破し、残り一体をパイ王女を含む女の子達三人でリカステさんの補助付きで倒していた。

 リカステさんの補助は有ったけれど、こんなに早く女の子達だけで倒せるとは思わなかった。


 燐火水(リンカスイ)ワームを、戦艦の破壊魚モーレイ イールに見立てて弱点を何度も攻撃させたのは正解だったね。

 燐火水(リンカスイ)ワームは、戦艦の破壊魚モーレイ イールよりも遥かに小さいけれど、弱点の把握には細長いところが似てはいるので、教材として打って付けだったのだ。


 リカステさんの教え方は、カトレア先生の教え方と違って本当に丁寧で的確だ。

 しかも、補助の仕方も上手い。

 この辺りでミスをしそうだという所に、リカステさんが必ずいて補助をし指導する。

 恐らく、リカステさんは苦労に苦労を重ねて技などを習得したのだと思う。


 カトレア先生は、素早さに特化した様々な技と魔法を組み合わせる事で、魔物を倒す早さはリカステさんよりも圧倒的に早い。

 しかも、正確無比な攻撃で確実に魔物を倒す。

 見たままで言えば、カトレア先生は天才肌でリカステさんは努力家だ。


 しかし、カトレア先生は暇が有ると剣を使用し技に磨きをかけている。

 つまり、二人とも努力家なのだ。

 要するに、カトレア先生はただ単に教えるのが下手(ヘタ)なのだ。

 教える時に、人形を使って上手く説明しようと努力してはくれているのだが、いかんせん説明が下手(ヘタ)なのだ。



「ここの魔物は、こうしてシャッよ! 次の魔物は、ぴょーんと上がってズババババとするの! 最後にこの魔物は、くるくるシュッよ! 皆、分かった?」



 いや、分からないから! 

 だけど授業中に、カトレア先生が切り株を持ってきて空中に放り投げたかと思うと、剣先だけで切り裂き空中に止め、舞い降りてきた木屑が花弁かと錯覚していると、カトレア先生の手に落ちてきた物が美しい花の彫刻になっていた時は本当に皆驚いた。

 しかも、細部にまで拘った物で色さえ付けば本物と見間違える程の物だった。


 リカステさんは、そんなカトレア先生の努力する姿をよく見ているので、自身と重ね合わせ何かと気遣っているのだろう。

  第十関門に入ると、リカステさんがパイ王女を含む女の子達三人の位置を移動させた。

 パイ王女を中央から、アザレアちゃんがいた位置に移動させて、アザレアちゃんを中央の後方寄りに移動させた。


 恐らく、アザレアちゃんの魔法の範囲が広いことを考え、前衛と中衛に分けさせたのだと思われる。

 配置につかせた所で、リカステさんは前を向くと指示を出す。



「今度はその陣形で四十八体の燐火水(リンカスイ)ワームを戦艦の破壊魚モーレイ イールと見立てて、全て倒せ! それに、その陣形は戦艦の破壊魚モーレイ イールにも有効だ。皆、心してかかれ!」

「「「はい」」」



 パイ王女を含む女の子達三人は、新たな陣形で連携していくと、先ほどとは打って変わり順調に燐火水(リンカスイ)ワームを全て倒した。

 リカステさんの指導が、的確なのがよく分かる。


 六体の戦艦の破壊魚モーレイ イールが同時に現れると、リカステさんは三体纏めてサンダー スパークで撃破し、残りの三体のうち二体をサンダー ショックで痺れさせた。

 そして、一体につきパイ王女を含む女の子達三人で挑むよう調整を行い、全ての戦艦の破壊魚モーレイ イールを撃破した。

 パイ王女を含む女の子達三人は、リカステさんの指示の元、怪我をすることも無く無事に第十関門までを突破することが出来た。


 因みになのだが、第七関門の戦艦の破壊魚モーレイ イールとの戦いが終了してからずっと、俺は第八関門から第十関門までの間、ミムラスさんに揉みくちゃにされただけである。

 そしてハイビスカスはというと、海(カイ)嵐(ラン)の海豹(アザラシ)を枕にして可愛い寝顔でスヤスヤと寝息を立てていた。


 第十一関門までは小休憩出来るようにしているが、いい加減ミムラスさんに離してもらわないと話が進まない。

 なので眼を覚ましてもらう為に仕方なく、俺とミムラスさんの障壁を解除した。

最後までお読み頂き、本当に感謝しています。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ウィリディスム「エレモフィラ君、バレリアン君、アロマテラピールームを

        出よう。ここは、君達の目の毒だよ」

エレモフィラ「……フッ! 危ない危ない、王女様や王妃様に惑わされる所

       だったよ。ウィリディスム王子、感謝するよ。フフッ!」

バレリアン「……大丈夫! ここには僕に任せて、君たちは先に進むと良いよ。

      ムフフ」

ウィリディスム「バレリアン君、君もだよ?」

バレリアン「……アー、アー、聞こえない、聞こえない」

ウィリディスム「フッ! バレリアン君、もう諦めら方が良いよ。王女様が、

        変な目で見ているからね。フフッ!」

バレリアン「くっ! 女神は、僕を見捨てたのか……」

エレモフィラ「フフッ! バレリアン君、大げさだよ」

ウィリディスム「僕は少し、頭が痛くなってきたよ……」

 こうしてウィリディスム王子達は、リリーの別荘でプチエロである水着で

 エプロンの試練に立ち向かう事になったのである。

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