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海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 7

 三人は燐火水(リンカスイ)ワームの粘液を避けつつ、攻撃を与えるタイミングを見計らっているようだ。

 ただどう見ても、粘液を避け切れていないよね。


 足下を取られながらなので仕方がないかもしれないけれど、その粘液が直接死に直結する物だったらどうするの? 

 リカステさんも、少し頭を抱えているように見えるよ。



「ヒャン! アザレア、このニュルニュル嫌いです! あれ? リカステ先生、ニュルニュルがいる奥に何か見えましたよ?」



 アザレアちゃんが戦艦の破壊魚モーレイ イールの魚影に気がついた様だ。



「ブルメリアも、牙のような物が見えました。キャアー! また、粘液かけられた。ブルメリアも、このニュルニュル嫌い!」



 ブルメリアちゃんも、アザレアちゃんとほぼ同時に気づいたようだ。



「リカステおじさん、僕も見たよ。燐火水(リンカスイ)ワームがいる奥の領域に、何かいます」



 パイ王女は燐火水(リンカスイ)ワームに手こずりつつも、少し遅れて気づいたようだ。



「ああ、知っている。奴は、戦艦の破壊魚モーレイ イールだ。奴はかなり危険だ。だから、俺が倒す。お前らは早く、燐火水(リンカスイ)ワームを倒せ。俺は、お前らが燐火水(リンカスイ)ワームを倒したら直ぐにしかける」



 リカステさんは、燐火水(リンカスイ)ワームの燐火に警戒しつつ戦艦の破壊魚モーレイ イールの魚影に眼を光らせていた。

 戦艦の破壊魚モーレイ イールの、本来の縄張りはかなり広い。


 でも今回は、魔動巨大ウォータースライダーに出現する戦艦の破壊魚モーレイ イールの縄張りは頭上とその周りだけだ。

 縄張りに来たものを何でも攻撃するので、燐火水(リンカスイ)ワームとは距離を置いている。

 つまり、奴の縄張りに入った瞬間、海上に上がって顔を出して威嚇するのでその時狙えば良いのだ。



「「「はい」」」



 パイ王女とアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、リカステさんの言葉に返事を返すと、燐火水(リンカスイ)ワームに再び立ち向かいだした。

 そう言えば、さっきからアザレアちゃんとブルメリアちゃんがニュルニュル言ってたけど、もしかして燐火水(リンカスイ)ワームの事を言っているのかな? 

 だけど他にも、粘液をかけてくる魔物はいるよ? 

 だから、正式な名称を覚えた方が良いと思うのだけど……。



「イヤー、もぉー……水着が粘液で、ニュルニュルしてるー。それに、何度見てもあのニュルニュル気持ち悪いです。ニュルニュル、こっちに来るな! えいえい、消えちゃえ!」



 ピガッ ピガッ ピガッ! 



 チュドーン チュドーン チュドーン! 



 アザレアちゃんが文句を言いながらだが、燐火水(リンカスイ)ワームの触手をシェアブレスレットから放たれる雷で倒していた。

 あんのー、アザレアちゃん? 

 近くの触手を攻撃するのは良いのだけど、あまり意味ないと思うよ。

 リカステさんは先にいる危険種に警戒しつつ、アザレアちゃんに指示を出す。



「アザレアちゃん、その魔物は燐火水(リンカスイ)ワームだ。ニュルニュル、じゃねー。それに、雷を落とすなら本体を攻撃せんか!」



 だよね。俺も、リカステさん同様にそう思ったよ。

 だって、触手にばかり雷の魔法を放っているからね。

 それに、シェアブレスレットから放たれる雷の供給源はリカステさんの雷なんだよ。

 そんなにバンバン雷を放っていると、リカステさんがまた雷を転送させないといけなくなるよ。



「ヒャン! リカステ先生が五月蠅いから、粘液をまたかけられました。髪も水着も、粘液でベタベタですよ」



 アザレアちゃん、リカステさんが指導してくれているのだから素直に聞かないと駄目だよ? 

 まあでも、粘液がアザレアちゃんの色々な所に入り込んで付着しているので其れ処ではないか……。



「――ふんっ!」



 鼻を鳴らすと、リカステさんはアザレアちゃんから急に眼を逸らした。

 どうして眼を逸らしたのか見てみると、アザレアちゃんが水着を大きく引っ張って粘液を落としていた。

 どうやら、水着の中に粘液が入り込んで気持ちが悪かったのだろう。

 だけど、アザレアちゃん? 水着を、そんなに引っ張ると見えちゃうよ? 


 まあでも、燐火水(リンカスイ)ワームが燐火を放って来ていないので、粘液塗れになるだけで済んでいるんだよ。

 恐らく、リカステさんは燐火にも警戒しているので、周りに眼をやっているのだと思う。

 けれど、前にいる女の子達は全身粘液塗れなのだ。


 リカステさんは上級騎士(ノーブルナイト)スーツを纏っているので、仲間以外を上級騎士(ノーブルナイト)スーツが感知し、雷が自動で粘液を攻撃してくれている。

 なので、上級騎士(ノーブルナイト)スーツは汚れずにいるのだ。


 先ほど、アザレアちゃんの愚痴に怒らなかったのは、そう言う理由もあり怒るに怒れなかったのだろう。

 ブルメリアちゃんを見ると、いつもはフワフワな耳と尻尾が粘液でベタベタになっていた。

 水着は水に濡れても良い装いなので、粘液塗れは仕方がないよ。



「嫌です、もぉー! リカステ先生、この粘液どうにかなりませんか?」



 ブルメリアちゃんは、耳と尻尾が敏感だからその粘液は気持ち悪いよね。

 俺の周りに障壁を張っているので、俺とハイビスカスとミムラスさんは粘液塗れにはなってはいないけれど障壁の周りが粘液塗れだよ。



「ブルメリアちゃん、無茶を言うな。燐火水(リンカスイ)ワームと戦闘が終わるまで、そのまま我慢しろ!」



 リカステさんが困った顔をすると、ブルメリアちゃんがお尻を振り出した。



「ブルメリアの尻尾が、ベタベタですよー」



 ブルメリアちゃん? 浮き輪の機能で、出来るだけ足下に落ちた粘液を排除してはいるけれど、お尻を振ると足下がおぼつかなくなって危ないよ。

 まあ粘液がドロドロすぎて、排除が追いつかないから俺の障壁の周りが粘液塗れなんだけどね。



 ザシュバチバチ! ザシュバチバチ! ザシュバチバチ! 



「分かったから、ブルメリアちゃん尻を振って燐火水(リンカスイ)ワームを攻撃するな! 雷を纏っている戦斧を、振り回しているんだからよー。危ねえ、じゃねえか!」



 リカステさんは、お尻を振り出したブルメリアちゃんから眼を逸らた。

 まあ確かに、獣人の子達は水などが付くと身体(カラダ)を振る癖が有るからね。

 それに、粘液が気持ち悪いからと言って可愛らしい獣人の女の子が、粘液塗れの胸やお尻を振られるとちょっとね? 

 別に、俺は何とも思ってないよ。同じ、可愛い女の子だしね。……中身は、おっさんだろ! という言葉の、本日の受け付けは終了しました。

 それに、



「リカステさんの心情を、代弁しただけだよ」



 あっ! 思わず、口に出してしまった。



「リリーちゃん、何か言ったか?」

「リカステさん、ごめんなさい。何でもないです」



 それぞれが文句を言いながらも、アザレアちゃんとブルメリアちゃんは三体ずつの燐火水(リンカスイ)ワームを倒していった。

 しかし、その隣でパイ王女は苦戦していた。

 そもそも、これだけヌルヌルでベタベタな粘液の細長い燐火水(リンカスイ)ワームに対して、雷を纏ってはいても、槍による攻撃はどうしても致命傷を与えられないのだ。



「キャッ!」



 パイ王女が、粘液で足を取られひっくり返りそうになった。

 そこを、リカステさんが助けに入った。



「危ねえ!」



 リカステさん、どうしたの? 

 何か知らないけれど、今日は本当に格好良く見えるよ。

 しかし、アザレアちゃんとブルメリアちゃんの視線が何かを訴えていた。


 恐らく「パイ王女だけ、リカステ先生依怙贔屓(エコヒイキ)しているよね?」的なことだろう。

 まあでも、リカステさんがパイ王女を助けに入るのは仕方がないよ。

 パイ王女は、こんな粘液塗れの場所で訓練したことがないと思うしね。


 アザレアちゃんとブルメリアちゃんはダンジョンでの戦闘を想定し、粘液を多量に出すジェルスライムとも訓練させたので恐らく問題は無いはず。

 あの時も文句は言っていたけれど、闘技場にあるシャワールームでサッパリすると、二人とも機嫌が良くなっていたよね。


 まあエレモフィラ君とバレリアン君とルビナス君が、張り倒されていたのが気になるけれど……今は、関係ないよね。

 リカステさんがパイ王女を守りながら燐火水(リンカスイ)ワームの攻撃を往なし、パイ王女に説明をしている。



「槍に拘るのも良いけどよ、他に武器が有るのなら魔物の適性を見て、変更する事も大切だぞ」



 リカステさん、パイ王女に説明が丁寧だよね。

 恐らく、リカステさん自身でも思い当たる節(フシ)が有ったのだろう。

 長年、鉄の大戦斧を愛用していた訳だしね。


 まあそれを克服したので、大戦斧を使い続けていると言う事なのだろうけれどね。

 幸い、パイ王女は槍の他に先ほど完全に呪いを消去したミスリルの宝剣がある。

 つまり、その宝剣を使用すれば良いのだ。



「はい」



 パイ王女はリカステさんに返事をすると、長槍を置いて宝剣を手にした。

 リカステさんの指導の下、パイ王女が宝剣を手にするとあっという間に二体の燐火水(リンカスイ)ワームを倒した。

 リカステさんの教え方が上手なのは分かるが、パイ王女の剣術も見事だったのが決め手だ。

 パイ王女が燐火水(リンカスイ)ワームを倒すと同時にリカステさんが前に出て、戦艦の破壊魚モーレイ イールに向き合う為に皆を下がらせた。


 戦艦の破壊魚モーレイ イールは、リカステさんに任せれば、問題ないだろう。

 ともあれ、俺はクリックしようとしていた限界突破LV2の特殊追加能力を確認することにした。

 すると、能力開花付与LV1が現れた。

 他にも+表記が有るのでクリックしようとすると、第一級中位管理者より解放されるもののようだ。

 ……また、権限か。でも、権限に阻まれる事はもう慣れたよ。


 兎に角、使用出来る能力さえ把握出来れば良いのだ。

 俺は、能力開花付与LV1をマウスLV2を使用して確認すると内容が表示された。

 内容を見ると、管理者自身の強い思いや共感する思いに対して、同じように共感する者へ能力開花LV1を付与する事が可能のようだ。

 条件が微妙ではあるが、これなら俺の信者でなくても付与する事が出来る。


 それに、付与期間は能力開花LV1を付与した者が自身でその能力に達するまであり、能力開花に達しやいよう補助機能まで有る事が分かった。

 どうやら、至れり尽くせりの付与能力のようだ。

 ただ、共感を失えばその時点で能力開花LV1を消失するので注意が必要だ。

 つまり、ずっと共感できる事や物でないと、無駄になってしまう可能性があると言うことだ。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 限界突破LV2追加機能


    天狐八尾のロリ服セット解放により


    使徒・眷属・従者・召喚精霊に、主の劣化型神武具の使用許可を承諾

    真字(シンジ)化解放。


  新 第二級中位管理者及び真字(シンジ)化解放により条件が整い解放。

    限界突破LV2特殊追加能力

    - 能力開花付与LV1

       ⇖管理者自身の強い思いや共感する思いに対して、

        同じように共感する者へ、能力開花LV1を付与

        する事が可能。付与期間は能力開花LV1を付与

        した者が自身でその能力に達するまでとし、

        能力開花に達しやいよう補助機能が有る。

        但し、共感を失えばその時点で能力開花LV1

        を消失する。

    + 

     ⇖(第一級中位管理者より解放)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――



 でもこれって、自信を無くしているミムラスさんに使えるかもしれない。

 ミムラスさんは恐らく、胸にコンプレックスがある。

 そして、俺のようにモフモフした動物が好きなようだ。

 だって、俺のように海(カイ)嵐(ラン)の海豹(アザラシ)に顔を埋めて匂いを嗅いでいるし、気になっているようで水着がちっぱいさん専用の物である。


 試さないと分からないが、ミムラスさんに能力開花LV1を付与する事が出来る可能性があると言うことだ。

 それに、能力開花LV1を付与したとしても最後には自身の能力となるのだからね。

 俺は、海(カイ)嵐(ラン)の海豹(アザラシ)に顔を埋めているミムラスさんに声をかけることにした。

最後までお読み頂き、本当に感謝しています。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリー「ママさん、ごめんね。わざわざ、海禍のメデューサを獲って来てくれて」

ハイビスカスのママ「いえ、これ位直ぐに獲って来れますので、お気になさら

          ないで下さい。リリー様、コリコリの他に海ウナギも

          お勧めですよ」

 炎龍は海禍のメデューサのことを、コリコリって呼んでるんだ。

 なら、海ウナギって何だろう? 

リリー「海ウナギって、何かな?」

ハイビスカスのママ「一緒に獲って来たので、リリー様良ければどうぞ。炎で

          やけ目を付けてコンガリ焼くと、凄く美味しいですよ」

 ハイビスカスのママは、海辺の奥から巨大な戦艦の破壊魚モーレイ イールを

 持ってきた。

 巨大なウツボは、炎龍にかかるとウナギなんだ……。

 ハイビスカスのママが、ジュルリと言って涎を思わず啜ったのでママの好物な

 のだろう。

 今度、蒲焼きにしてハイビスカスのママに食べさせてあげよう。

リリー「ママさん、ありがと。今度、調理するから一緒にもらっておくね」

ハイビスカスのママ「他にも海には、沢山美味しい食材が有りますよ。私、

          今からまた獲りに行ってきますね」

リリー「あっ、うん。程々にね」

ハイビスカスのママ「はい、リリー様。程々に、獲って来ますね」

 どうやら、昼食に食べた料理の味付けが気に入ってようで、また獲りに

 行ってしまった。

リリー「いってらっしゃい」

 このあと炎龍の程々が、人の言う程々とは全く違うという事を、思い

 知らされる羽目となるリリーであった。

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