海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 4
「パイ王女、鑑定が終わりました。ですが、やはり飛龍の鍔に呪いが付与されていました。それに、ミスリルの宝剣にも呪いが少し浸食していましたよ」
パイ王女は双眸を閉じ、考える表情をすると双眸を開いた。
「ミムラス、この宝剣と鍔は何度も鑑定師達に鑑定させた筈だったな?」
「はい、国王陛下と私の前で、何人もの鑑定士が鑑定していました」
恐らく、パイ王女がミムラスさんに確認していたのは、自身が身を以て受けた呪いの状態と、鑑定士達の鑑定結果が異なっていたからだろう。
「では、なぜ……」
疑問に思うのは、当然だろう。
王女が持つ武器は、細心の注意を払い鑑定士達は鑑定を行ったはず。
にも拘わらず呪いが付与されていたと言うことは、悪意ある者が鑑定後に呪いを付与したと考えられる。
しかし、王女が持つ武器は細心の注意を払い管理されている。
つまり、どう考えても呪いが付与されていた事に理解できないのだ。
俺は、根本的な事をパイ王女に尋ねることにした。
「パイ王女、鑑定士の方は呪いを除去することができる方でしたか?」
「いや、鑑定士は鑑定する事しか出来ない。呪いを解除できるのは、唯一聖人か聖女様だけだからね。それも、呪いの種類によっては限られた方にしか出来ないよ」
成る程ね。
「そうですか。でしたら、この鑑定隠蔽の呪いが付与されていた飛龍の鍔は、鑑定士の方には鑑定不可能な物だったようです。他にも呪いが付与されていましたが、呪いはどうされます?」
パイ王女とミムラスさんが、驚愕の表情をした。
もしかすると、鑑定隠蔽の呪いは珍しいのかもしれない。
「飛龍の鍔だけで無く、父上から頂いた宝剣にまで呪いが浸食か……そんな珍しい呪いは、大聖女様に依頼する他はないな。幸いにもウインドウォーター王国は、西にある聖王国に近い。僕が帰りに、寄っていくよ」
因みに、パイ王女はリカステさんから離れた。
夢現で目覚めてから暫くはリカステさんの腕の中だったけれど、流石に恥ずかしくなったみたいだ。
それにアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、先ほどまでの魔物との戦闘についてリカステさんと話をしている。
ハイビスカスは、長椅子で俯せになり足をパタパタさせて「コリコリ、あまあま、だいちゅき!」と言って歌を歌って海路を笑顔で見つめている。
ハイビスカス、ごめんね。
海禍のメデューサは、危険種で考えるとC級程度なので第五関門までなんだ。
第六関門からは、リカステさんやミムラスさんが退屈しないよう考えたので、もっと強い海の魔物が出現する。
海の街の鮮魚屋さんで販売していると良いのだが、漁師が討伐出来そうにない魔物なので、ハイビスカスのママに言って海禍のメデューサを獲りに行ってもらった方が良さそうだ。
まあ今はそれよりも、パイ王女が聖王国に寄ると言いだしたので、俺は呪いを消去できる事をパイ王女に伝える事にした。
「パイ王女、現在呪いは隔離フォルダーに隔離しています。隔離された呪いは、鑑定隠蔽する呪いと、使用回数により徐々に妨害する呪いと、備え付けた物に同様の呪いを付与する呪いの三つです。もし良ければですが、私が呪いを消去致しましょうか?」
再びパイ王女とミムラスさんが驚愕の表情を示したので、なぜ呪いが消去出来るのか尋ねられる前に、呪いの詳細をパイ王女達に伝えることにした。
呪いの詳細を伝えると、パイ王女は顎に手を添えた。
「……だから僕は、魔法を放つ度に眼を瞑っていたのか。でも、リリーちゃん? 本当に、呪いを解除できるのか?」
……再び何か尋ねられそうな雰囲気だったので、俺は早口で答える。
「パイ王女、解除ではなくて完全に消去ですよ。もし良ければ、完全に消去しますがどうします?」
俺の問いに、パイ王女が笑顔を見せた。
どうやら、詮索される前に話を進められそうだ。
「それは、是非とも頼みたい。解除……ではなく消去か。消去してくれたら、僕ができる褒美なら何でもしてあげるよ」
「王女殿下! また、そのような事を……」
ミムラスさんが、困っていた。
褒美を何でもしてあげるは、パイ王女の口癖なんだろうな。
でも、そんなことを言うと無理難題押しつける輩も世の中にはいるのだから、注意しないといけないよ。
ミムラスさんが心配するのは、無理も無い。
それに、リカステさんの武器のことを話し仲が良くなったことで、友人になろうってパイ王女が言い出したよね。
もしかして、忘れたのかな?
「パイ王女、ミムラスさんが心配するので迂闊に褒美とか言わない方が良いですよ。それに、私達友達になったよね? 友達には、褒美ではなくてありがとうで良いの」
「……クスッ! リリーちゃん、そうだったな。僕が、悪かったよ。リリーちゃん、ありがとう」
こうして俺は、隔離していた呪いを削除後に完全に消去した。
すると呪いを完全に消去した飛龍の鍔は、名称の後ろに(改)が付き、歪な形が綺麗な鍔へと変化した。
因みに、飛龍の鍔(改)の詳細能力も変更されていた。
今までは、魔石を使用し中級風魔法である風の斬撃を放っていた。
でも呪いを完全に消去したことで、使用者の魔力を消費しないのは同じだが、今までのように風の斬撃を放つだけでは無く、他の中級風魔法までを放つ事が可能となっていた。
但し、連続使用可能回数は二十回で再使用には五分間の自然回復による魔力チャージを必要とするようだ。
更に、今まで呪いがあった詳細能力2の欄に、追加能力を付与する事が可能である事が判明した。
しかし、追加能力には制限があった。
その制限は、詳細能力の追加可能にマウスLV2を使用した事で判明。
どうやら武器には、能力を追加する際に必要な□があり、□の数以上の能力は付与できないようだ。
例えば、法具魔法の魔法命中率を10%上げる場合には□が二個必要で、飛龍の鍔の詳細能力2には□が六個しか開いていなかった。
ただ、幾つもの呪いが付与されていたにも拘わらず、□六個って少なくないかな?
恐らく、能力向上よりも能力低下や呪いなどの方が使用する□の個数が少なくて済むのだろう。
ともあれ、飛龍の鍔(改)の仕様変更と追加可能な能力の幾つか候補をあげてパイ王女に確認することにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
武具名 飛龍の鍔(改)
詳細能力1
⇖ 使用者の魔力を消費する事なく、様々
な中級風魔法までを放つ事が可能。
但し、連続使用可能回数は二十回
で、再使用には五分間の自然回復
による魔力チャージを必要とし
その間は魔法を放てない。
詳細能力2(追加可能)
⇖□□□□□□
⇖□の空き分の
能力を追加可能。
追加能力一覧
法具魔法の魔法命中率10%向上 ■■
法具魔法の魔法命中率30%向上 ■■■■■
法具魔法の魔法命中率50%向上 ■■■■■■■■
武器攻撃力10%向上 ■■
:
法具魔法の魔法攻撃力10%向上 ■■
:
魔石一つ消費により使用回数回復 ■■■■
:
:
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「パイ王女、ミスリルの宝剣は変更は無いですが、飛龍の鍔の呪いが消去された事によって名称が飛龍の鍔(改)となり、今までと能力が幾つか仕様変更となりました。今までは、使用者の魔力を消費する事なく魔石を使用して風の斬撃を放っていましたよね」
「ああ、その通りだよ」
パイ王女に、今までの飛龍の鍔の仕様を伝えると深く頷くように返事をした。
「使用者の魔力を消費しないのは、同じです。今までのように風の斬撃を放つだけでは無く、様々な中級風魔法までを放つ事が可能となりました。ですが、連続使用可能回数が二十回と制限されました。その代わり、攻撃を明後日の方向には放たなくなりました。そして、再使用には五分間の自然回復による魔力チャージを必要とし、チャージ中は法具による魔法を放てないようです」
説明をしていくとパイ王女が頷いて聞いていたが、途中の説明で自身の失態を思い出したようで、頷くのを止めて眼を逸らしていた。
そして、呟くように俯き言葉を発する。
「これからは、僕が狙った場所に攻撃を放てるのか……それは、本当に安心したよ」
呪いのせいだったとは言え、迷惑をかけた事に心を痛めたようだ。
そして眼を瞑り、思い返すように語り出す。
「ふむ。呪いの能力で、魔石さえ有れば無制限に風の斬撃を放てる事が可能だったのか……恐ろしい、呪いだ。僕は見えを張ろうとして、危うく命を落とすところだった」
パイ王女の悲壮した表情に、ミムラスさんも同様の表情をした。
あの風の斬撃が飛び交う中で、俺より先に行動したリカステさんがいなければ、パイ王女は命を落としていたかもしれない。
俺がパイ王女を回復した時には、既に気を失っていたからね。
それに、呪いは即時ではなかったが、巧妙に細工された呪いであったと思う。
ミムラスさんとも話をしていく内に、飛龍の鍔の事が少し分かった。
他国と他国との戦いで、進攻してきた魔物を討ち取った際に、魔物が落とした物だったらしい。
それを他国の商人が買い取り、この大陸へ船で渡ってきた。
そして、この国の商人がリーフリュウシン小国に納めた物だったらしい。
つまり、何か曰く付きの魔道具だったのだろう。
あっ、パイ王女に言い忘れていることがあった。
「後ね、呪いを消去したことで追加能力が選べますよ」
「リリーちゃん、追加能力って何かな?」
「幾つか有りますので、例を言いますね」
「お願いするよ」
「追加能力には、法具魔法の魔法命中率、武器攻撃力、法具魔法の魔法攻撃力の向上や、今までのように、魔石一つ消費により使用回数回復する能力を付与する事が出来ます。他にも有りますが、お伝えしましょうか?」
「それは、考える余地が有りそうだな。リリーちゃん、本当にありがとう。でも、今度にするよ」
その答えにパイ王女を見ると、目線が海路の奥を見つめていた。
そう言えば、ソロソロ第六関門だったよ。
ユグドラシルが浮き輪の早さを調整してくれていたけれど、止まってはいないし海路を進んでいるからね。
……でも、もう変な武器は無いよね?
俺が荷物置き場を覗いていると、ミムラスさんが
「残りは、通常の弓しかございません。リリー殿、ご迷惑をおかけしました」
と言って、謝罪してきた。
「いえ、大丈夫です」
俺はそう言って、前を向いた。
最後までお読み頂き、本当に感謝しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
バレリアン「エレモフィラ君、最近思うんだけど僕たちって恵まれているよね?」
エレモフィラ「フッ! どうしたんだい? 急に」
バレリアン「右を見ても、左を見ても……美女と美少女しか、いないよね。
王子とリカステ先生とアイビーって言う狼は、外してだけど……」
エレモフィラ「フッ! ハッ! 今更、気づいたのかい? 俺は、とっくに
気づいていたよ。だから、リリーちゃんなのさ」
バレリアン「エレモフィラ君は、凄いよ。だから、僕も好きな子を、絞ろうって
思ったんだ。でも、駄目だった。……僕が、女の子を絞ろうと
思うと――」
ホワイト王妃「バイオレット、貴女大きくなったわね。柔らかいけど、張りも
あってスベスベしているわ」
バイオレット王女「キャッ! お母様、急に何ですか?」
ロセウス王妃「ホワイトちゃんも、柔らかいのに張りがあるわよ?」
ホワイト王妃「うふ、そうでしょ。ロセウスちゃんも、毎日リリーちゃんの日本酒
を飲めば、娘の胸と同じ位になってくるわよ」
バイオレット「お母様、私で確かめないで下さい」
バレリアン「なっ? ……あんなの見せられて、女の子を絞れる訳がないだろ!
違うか? エレモフィラ君!」
エレモフィラ「――――」
何も言えなくなったエレモフィラは、バレリアンと共にその眼福に癒やされ、
ウィリディスム王子が気がつき注意するまで、その光景に考えさせられた
のであった。




