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海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 3

 ガキィーン! キィーンキィーンキィーン! 



 その飛んできた風の斬撃を、リカステさんがミムラスさんの前に出て、龍(ドラゴン)紳士(ジェント)ビッグアックスで防いだ。



「あっぶねー。こっちに、飛んできたじゃねーか? 魔物も、数が少なくなってきた。アザレアちゃん、ブルメリアちゃん、一端こっちに退避だ!」

「「はい」」



 リカステさんは、パイ王女の風の斬撃に逃げ惑っていた二人を呼び寄せた。



 キィーン ガガキィーン ガガガキィーン ガキィーン ガガガガキィーン! 



 二人を呼び寄せている間にも斬撃が飛んでくるので、リカステさんが前に出て龍(ドラゴン)紳士(ジェント)ビッグアックスで風の斬撃を全て防いでいた。

 ただパイ王女が振るう風の斬撃は、海禍(カイカ)のメデューサやシーアネモネ擬(モド)きが倒された今、周りに被害をだけを及ぼしていた。

 なので、俺が前面に大きな障壁を張ってリカステさんには下がってもらう事にした。



 ガガキィーン ガガガガガガガキィンキィンキィンキィン! 



「クッ! 風の斬を放つ速度が、上がっている。捌ききれるが、嫌な予感がするぜ」

「リカステさん、危ないので私が前面に障壁を張ります」

「リリーちゃん、頼めるか?」

「はい」



 ガガガキィーン ガガキィーン ガキィーン! 



 リカステさんが風の斬を防ぎながら戻って来たので、俺は前面に障壁を張った。



「ありゃ、嫌な予感がやべえ」



 キキン キン キキキン キン キンキンキンキンキキン! 



 俺が障壁を張っている間も、パイ王女は宝剣で風の斬撃を明後日の方向に放っていた。

 そしてそのまま第五関門に突入し、海禍(カイカ)のメデューサ三十体とシーアネモネ擬(モド)き六十体が出てきたが全て倒していた。

 しかし、明後日の方向に行く風の斬撃の方が多く、俺の障壁をこれでもかと言うほど攻撃していた。


 ユグドラシルが魔物の移動を操ってくれてはいるが、俺の近くに魔物を来させると障壁ごしに、俺達を攻撃ようとしてくるからね。

 それに、攻撃対象を変更するにはリセットが必要なのだ。

 だけど、ここは皆で協力して海の魔物を倒して欲しかったな。

 まあこうなれば、仕方がないけどね。


 それに今日はなぜか不運続きだけど、今日の牡牛座の運勢は何だったのだろう? 

 相性の良い乙女座のアイビーがいたら、モフモフして心を和ませるんだけどね。

 なぜ唐突に、星座の運勢を言いだしたのか? それには、訳がある。

 実は先ほど、妹のような存在のハイビスカスが、海禍(カイカ)のメデューサを見て「リリママ、ありぇね。コリコリして、あまあまよ?」と言って笑顔になり、嬉しそうに燥いでいた。

 もしかすると俺に、海禍(カイカ)のメデューサのデザートをハイビスカスが所望しているのかもしれない。


 甘えん坊のハイビスカスが、コリコリしている甘いクラゲを食べる事を想像し、朝食にナタデココ入りのヨーグルトを食べていた、甘え上手な妹の撫子の事を思い出した。

 そして妹の撫子が、毎朝ナタデココ入りのヨーグルトを食べながら見ていた番組が、星座占いのランキングだったのだ。

 ふー、やっと繋がったよ。

 自身の連想を説明するのって、結構大変だよね。

 俺が妄想と連想に頭を使っていると、リカステさんがミムラスさんを睨んでいた。



「ミムラスさん、よー。ありゃ、何だ? パイ王女に、味方を巻き込むよう指導したんか?」



 リカステさんは、パイ王女の武術専属教師であるミムラスさんに問い質した。



「いいえ、リカステ殿滅相もございません。以前使用された時は、十回に八回は命中していました。ですが、今回は……」



 リカステさんの問いに、ミムラスさんは慌てて答えた。

 つまり、以前は気になる程では無かったが今は異常な状態であると。

 俺は、ミムラスさんの言葉を遮って伝える。



「リカステさん、呪いかもしれません」

「そっ、そんな事は有り得ない。城の鑑定士に鑑定させ、呪いはないと判断した。そうだ、王や私もその場にいたのだから鑑定士が嘘を伝える筈が……」



 俺の言葉にミムラスさんは反論したが、それ以上は反論出来なかった。

 恐らく、眼前で起きている事態に言葉が出なかったのだろう。

 それよりも、パイ王女の様子が変だ。

 持っていた魔石は、既に無くなっているはず。


 では、魔石の代わりに何を使って攻撃をしている? 

 俺が動こうとすると、リカステさんが先に動いた。

 リカステさんは、素早くパイ王女の背後に近づくと、手刀を当て宝剣を落としパイ王女を抱き寄せた。



「リリーちゃん!」



 リカステさんの声に、俺は瞬時に移動するとパイ王女の呪いを解除して体力と魔力を回復させた。

 すると、体力と魔力を回復したパイ王女はゆっくりと双眸を開けた。



「うっ……リカステおじさん?」



 夢現で気がついたパイ王女は、驚きと恥ずかしさが入り交じっていた。

 もしかすると、パイ王女にはリカステさんが理想の王子に見えたのかもしれない。



「パイ王女、気がついたか? どこか、痛いところや苦しいところはねえか?」



 リカステさんは、優しく気遣う声でパイ王女にそう尋ねた。



「はい……」



 パイ王女は頬を染めて、いつもよりしおらしく返事をした。

 俺もパイ王女の様子を見ているのだけれど、絶対に見えてないよね? 

 まあ、良いのだけれど。

 リカステさんは、パイ王女に先ほどの状況を伝えた。

 すると、パイ王女が語り出した。



「僕が、宝剣を一振りした所までの記憶はある。でも、その後の記憶が一切無い。僕がリカステおじさんに、良いところを見せようとしたばかりに……済まない。……僕は一体、何をしていたんだ?」



 パイ王女は、自身の行いに恥じる様に俯き、リカステさんの腕の中でそう言った。



「リカステさん、間違いなく呪いです」



 俺の言葉に、リカステさんも頷いた。



「だな……」



 俺の言葉を示すように、落ちていた宝剣の鍔(ツバ)が黒く怪しい光りを放っていた。

 しかし、宝剣をこのままにしておく訳にもいかないし、素手で持つわけにもいかない。

 なので、パイ王女とミムラスさんに武器鑑定を行って良いか確認することにした。

 危険な物であるのか、先ずは特定してからである。


 それに、第五関門の魔物を思ったよりも早く倒したので第六関門まではまだ距離が有る。

 だけど、どうやら進む速度をユグドラシルが調整してくれているようだ。

 ユグドラシルは、よく気がつく良い聖霊である。

 ならば、今のうちに立て直す事も可能だ。

 だって、そうしないと俺が皆の為にした仕込みが無駄になってしまうからね。



「パイ王女、ミムラスさん、宝剣を鑑定しても宜しいでしょうか?」



 俺の申し出に、パイ王女がリカステさんの腕の中で身体(カラダ)を起こした。



「リリーちゃん、僕の宝剣を鑑定できるのかい?」

「はい」

「では、是非とも頼みたい」



 パイ王女に頼まれたので、早速武器鑑定をすることにした。

 俺の場合は、手に触れずに鑑定できるので呪いが有ろうと無かろうと関係ない。

 ただ鑑定する前に、鑑定士さんに少し言いたいことが有る。


 この宝剣、本当に鑑定したの? 

 だって、怪しさが滲み出てるじゃない。

 刀身と柄の部分は綺麗なので、鑑定しないと判断が難しいのは分かるよ。

 でもね、どう見ても鍔(ツバ)の形が歪(イビツ)だし変な光りを放っているよね? 

 この光りが、特殊なのかもしれないけれど……。


 そう言えば、剣神スキルの武器鑑定と神級全モノ作り師の鑑定スキルを統合出来たんだよな。

 良い機会だし、統合してみよう。

 俺は、剣神スキルの武器鑑定と神級全モノ作り師の鑑定スキルを統合する事にした。

 すると、眼前にシステムの説明が現れた。



 【システム 剣神スキルの武器鑑定が、神級全モノ作り師の鑑定スキルに統合されました】

 【システム 神級全モノ作り師の鑑定スキルで、鑑定された物の呪いを自動で隔離する事が可能です】

 【システム エディット機能で、各種の設定を自由に変更可能です】

 【システム お勧め機能の、設定の変更が可能です】



 へー、自動で呪いを隔離する事が出来るんだ。

 この機能は、至便だな。

 そう言えば、海魔王の剣と風魔王の双短剣に呪いが付与されていたよね。

 まあでも、今はこの宝剣が先決だ。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【神級全モノ作り師スキル】

  ・武器鑑定

        武器名 ミスリルの宝剣(呪い浸食 小)

            呪われた飛龍の鍔(ツバ)

 【システム 呪いが付与されています。自動で、呪いを隔離しました】

 【システム 隔離フォルダーに、呪いが隔離されています】

 【システム 現在の設定は、お勧めの設定です】

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 成る程ね。

 やっぱり、鍔(ツバ)に呪いが付与されていたのか。

 しかも、ミスリルの宝剣に浸食しているようだ。

 ともあれ、自動で隔離した呪いを見てみることにした。

 すると、一番初めに鑑定隠蔽の呪いがあった。

 この呪いが有ると、鑑定隠蔽の呪いを解除できる者でないと、一般的な鑑定士では鑑定不可能だろう。


 しかも、次の呪いが即発動型ではなかった。

 即発動型でない呪いというのは、魔道具による魔法使用時、徐々に呪いの効力を上げていく呪いの事を言う。

 即発動型の呪いではない為、鑑定士が手にして確認するも、呪いはかかっていませんと言ってしまったのだろう。


 ……鑑定士さん、こんな呪いがあったのに物申してごめんなさい。

 ミスリルの宝剣の浸食は軽い物だったようで、怪しい光りは直ぐに消えた。

 詳細を見ていくと、呪われた飛龍の鍔(ツバ)を付けた武器も同様の呪いを浸食させ増殖させるようだ。


 今回の呪いは、飛龍の鍔(ツバ)の魔法を使用時に、使用すればするほど、眼を瞑らせ足下を移動させ妨害し、更に使用し続ければ使用者を操り、魔法を放ち続ける呪いと、魔石を消費して魔法を発動する度に魔石の消費量が増え、魔石が無くなれば、今度は使用者の生命力と魔力を奪い続け、魔法を放ち続けるものだった。


 そして、最終的には使用者の生命力と魔力を全て奪い、死に追いやるという呪いだ。

 恐らく、呪いとして効果が即時ではなかったのは、魔法の種類が中級風魔法だったからなのだろう。

 最上級魔法が放てる海魔王の剣と風魔王の双短剣は、呪いが即時で強力だったからね。

 だけど呪いさえ消去すれば、飛龍の鍔(ツバ)の使い勝手は良さそうだ。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【神級全モノ作り師スキル】

  ・隔離フォルダー

    呪い1:鑑定隠蔽。              削除 元に戻す

        ⇖ 鑑定時に呪いを隠蔽する。

    呪い2:使用回数により、徐々に妨害。     削除 元に戻す

          ⇖ 眼を瞑らせ立ち位置を変更。

           使用し続ければ使用者を操り

           魔法を放ち続けさせる。

           使用すれば使用するほど、

           徐々に魔石の消費が激しくなり、

           無くなれば使用者の生命力

           と魔力を奪い続け魔法を

           放ち続ける事で死に追いやる。

    呪い3:備え付けた物に、同様の呪いを付与する。削除 元に戻す

 【システム お勧めは、呪いを削除後、完全に消去です】

 【システム お勧め設定通り、削除後に消去されますか? 【はい】【いいえ】】

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 ……呪いって、コンピューターウイルスなの? 

 それにこの隔離フォルダーも、まるでPCやスマホのセキュリティソフトのようだ。

 ともあれ、消去はパイ王女に確認を取ってからかな。

 俺はパイ王女に、呪いの事を伝えることにした。

最後までお読み頂き、本当に感謝しています。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「カトレア先生、一つ聞きたいんだけど……」

カトレア「シルクちゃん、どうしたの?」

シルク「私食べる事は好きだから、別に良いのだけれど……何で、

    包丁でサンドイッチがまともに切れないのよ! いびつに

    切った、サンドイッチの残骸だらけじゃ無い! で、何で

    自身の剣だと細かい花の雌しべや雄しべまで再現した

    氷の彫刻が出来るのよ! 飾るには良いかもしれない

    けれど、サンドイッチの方が大事でしょ!」

カトレア「だってー、包丁って持つところにツバが無いし手を切り

     そうで怖いでしょ?」

シルク「だからって、指二本で包丁持つ方がもっと怖いわよ! 

    それに、さっきから見ていたけれどテーブルはちゃんと

    布巾で拭きなさい! エプロンで、拭くな! 

    ……それって、私に対する嫌みなの?」

カトレア「だって、テーブル拭くと胸が……」

シルク「五月蠅い! 逆側から、拭けば良いでしょ! 何で同じ

    場所から手を伸ばして拭こうとするのよ!」

カトレア「ロベリアちゃんが、男性はその方が喜ぶって言うから」

シルク「エロリア……もとい、ロベリアさんの指導なら仕方がないか。

    でも、大きいものが邪魔! 私が拭くから、もういいわよ」

 変な拘りが有る、ロベリアとシルクの指導で板挟みになるカトレア

 であった。

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