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海の魔物が出現する絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 2

 第三関門にやって来ると、ブルメリアちゃんが前に出てきた。



「アザレアちゃん、ここはブルメリアが倒しても良いでしょうか?」



 ブルメリアちゃんの申し出に、アザレアちゃんは笑顔を見せる。



「うん、アザレアは良いよ。パイ王女様は……」



 アザレアちゃんが、パイ王女を見ると頷いた。



「僕も、構わないよ。君達の技や魔法は、僕の騎士達とは全く異なる。だから、是非見てみたい。」



 恐らく、先ほどのアザレアちゃんの上位魔法を見て感心を持ったのだろう。

 リーフリュウシン小国の騎士達の技は、基本的に槍術だ。

 それは、ワイバーンに乗っての戦闘を得意とする小国だからだ。


 小国でありながら他国を圧倒する武力は、騎士達全てがワイバーンを乗りこなし、槍術とワイバーンの攻撃に特化した戦闘技術が優れているからであろう。

 それに、高高度から全てを見下ろしワイバーンからの炎弾攻撃や魔法攻撃は、遠距離攻撃が魔法位しかない国にとっては脅威そのものである。

 故に、片手戦斧を持って近距離攻撃を得意とするブルメリアちゃんの技を見てみたかったのだろう。



「では皆様、少しばかりお下がり下さい。ブルメリアの斧技を、ご覧に入れます」



 ブルメリアちゃんが斧を構えると、パイ王女とアザレアちゃんが俺の近くまで下がって来た。

 それと同時に、幾つもの触手が浮き輪の舳(ミヨシ)を覆うように全体に乗った。

 次の瞬間、二十五体のシーアネモネ擬(モド)きがブルメリアちゃんを目掛けて一斉に襲いかかってきた。

 まさにそれを狙っていたかのように、ブルメリアちゃんが炎を纏わせた戦斧を持って、振り回すように横に回転させ、足下から炎を纏った戦斧の軌跡で火の山を形取る。



 ゴォォォォォォォ! 



 唸る炎が轟音を上げると、ブルメリアちゃんが叫ぶ。



「ボルカニック トルネード!」



 グギュルルギュゥゥゥー! 



 刹那、噴火した際に見られる溶岩の様に、幾つもの炎の竜巻が全てのシーアネモネ擬(モド)きを巻き込み破壊し尽くした。

 そして、上空の炎が消え去った後にはブルメリアちゃんだけが残り、回転した状態で戦斧を振り回し降りて来た。



「見事だ!」



 その光景を見たパイ王女は、思わずそう呟いた。

 そして、ミムラスさんはリカステさんの方を振り向いた。



「今の見事な技は、リカステ殿が?」



 その問いに、リカステさんが俺の方を向いた。

 確かに、今の技は俺がブルメリアちゃんに教えた技だ。

 でも、技の切れが格段に上がり隙が無くなっていた。

 恐らく、斧の使い手であるリカステさんがブルメリアちゃんに指導したのだろう。


 だって、リカステさんにもこの技を教えたからね。

 それに、戦斧を振り回す癖が最後に見られた。

 つまり、技の隙を見せないようリカステさんが取り入れたものなのだろう。

 リカステさんが困っているので、ミムラスさんに俺から伝える事にした。



「私が教えた技を、リカステさんが隙の無い完全な形に仕上げてくれた技です。ですので、リカステさんのオリジナルと言っても良いと思います」

「……まあ、そう言うこった」



 リカステさんは、ばつが悪そうにそう言った。

 すると、ミムラスさんは眼を輝かせた。



「通常、技には多少なりとも隙は有るものです。ですが、リカステ殿! 見事と言う他は、ありません」



 実は選抜試験以降、俺が知る斧の技を教えて欲しいとリカステさんが言ってきた。

 なので、戦斧を使用するブルメリアちゃんを交えてリカステさんに色々と教えてあげたのだ。

 先ほどの技の原型も、本来は着地するまでは炎を纏っているので隙は無い。

 しかし、最後まで炎を纏う事が二人には難しいらしい。

 なので、リカステさんなりに考え上空に上り詰めるまでは炎がもつので、降りるときは炎の代わりに回転して斧を振り回し隙が無いようにしたのだ。


 見た目はスマートでは無いが、隙は無いし魔力的にはエコで良いと思う。

 今の技を見て、パイ王女はブルメリアちゃんとアザレアちゃんを認めたようだ。

 俺はそれを見て、胸を撫で下ろした。

 これで、三人で協力し合い魔物を倒すだろう。

 だって次の第四関門からは、更に魔物が増えるからね。

 しかも、集団で来られると厄介な海の魔物がね。



 ピシッ! ピシッ! 



「んっ?」



 リカステさんが、誰よりも早く気づいたようだ。

 そう、この音。

 海でこの音を鳴らすのは、一体しかいない。

 しかし、海の魔物に詳しくない者はこの音を聞いても何なのか分からないのだ。

 そして気がつくと、ハイビスカスが起きていた。

 でも、なぜだか分からないが足をプラプラさせて嬉しそうだ。



 ピシピシッ! ピシッ! 



「この嫌な音を鳴らすのは、海禍(カイカ)のメデューサか。お前ら、メディーサの他より少し大きな麻痺触手に気をつけろ! チッ! シーアネモネ擬(モド)きも、セットかよ!」



 海禍(カイカ)のメデューサとはクラゲの魔物の事で、麻痺触手を摺り合わせた時にあの奇っ怪な音が発生している。

 この魔物は、海の中から長い触手を伸ばして相手を麻痺させる。

 麻痺させてから攻撃してくるので、特徴的な音を聞くと周りを警戒しなくてはならない。

 そして、他の魔物と一緒に遭遇した場合は、まず初めに海禍(カイカ)のメデューサを倒さなくては全滅する恐れがある厄介な魔物なのだ。


 過去にあった話だが、夜の海で船団が多数の海禍(カイカ)のメデューサ襲われ、何隻も海に沈められた事から禍(ワザワイ)を呼ぶ海の魔物として恐れられている。

 嫌な音を立て、浮き輪の前に海禍(カイカ)のメデューサが三体姿を現すと、同時にシーアネモネ擬(モド)きが舳(ミヨシ)の縁に無数の触手をかけた。

 通常、魔物は協力しあわない。


 しかし、このウォータスライダーの魔物はリーダーの魔物に従う。

 今回の第四関門は、海禍(カイカ)のメデューサの内一体をリーダーとし二十体のシーアネモネ擬(モド)きを部下とし、他の二体も二十体のシーアネモネ擬(モド)きを部下として従える。

 つまり、二個の分隊を率いる海禍(カイカ)のメデューサ小隊。

 指揮する魔物がいる分、通常の海の魔物より非常に厄介なのだ。



「んっ? ……魔物の編成に、気がついたようだな」



 リカステさんが、そう呟いた。

 アザレアちゃんとブルメリアちゃんは、陸上の魔物に対しては、小隊を率いる魔物と何度も闘技場で戦闘訓練しているからね。

 前方を見ると、パイ王女を中心にアザレアちゃんとブルメリアちゃんが左右に分かれていた。

 どうやらパイ王女も、シーアネモネ擬(モド)きの触手の数が別れている事に気がついた様だ。



「ミムラス、僕の宝剣をくれ!」

「はい、只今! ですが、以前仰っていられた事は改善されたのでしょうか?」



 パイ王女はミムラスさんに、装飾された剣を持ってこさせ長槍と交換し、バックホルダーに短槍を付けた。



「……いや。だが、数が多い場合には役に立つ。それに……いや何でもない」



 そう言って、パイ王女は宝剣を構えた。

 その瞬間、シーアネモネ擬(モド)きが一斉に姿を表した。



 ビュウゥゥゥゥゥゥ! 



 刹那、アザレアちゃんの前とブルメリアちゃんの前に現れたシーアネモネ擬(モド)きが一体ずつ切り裂かれた。



 ビューズバッ! ビューズババッ! ビューズバババッ! 



「ブッ!」



 その光景を見て、リカステさんが思わず吹いた。

 しかし、リカステさんが吹いたのも無理は無い。

 パイ王女が振るった宝剣から放たれた風の斬撃は、眼前の海禍(カイカ)のメデューサやシーアネモネ擬(モド)きではなく、明後日の方向のシーアネモネ擬(モド)きを切り裂いたのだ。



 ビューズバズバッ! ビューズババズバッ! ビューズバババズバズバッ! 



 そして風の魔法が様々な方向へ飛び交う中、アザレアちゃんとブルメリアちゃんの悲鳴が木霊する。



「えっ? キャー! アザレアちゃん、危ない!」



 ブルメリアちゃんが、アザレアちゃんの元に行き素早く姿勢を低くさせ、風の斬撃を回避させた。



「ひゃっ! ありがとう。キャー! ブルメリアちゃんも、姿勢を低くして下さい」



 アザレアちゃんも、ブルメリアちゃんの姿勢を低くさせ、風の斬撃を回避させた。

 ウォータスライダーで発生させている、暴風と高波さえも関係なく、パイ王女の風の斬撃があちらこちらに飛んで切り裂いていた。

 パイ王女の風の斬撃が、海禍(カイカ)のメデューサを全て倒し、シーアネモネ擬(モド)きの数を減少させてはいるが味方を巻き込んでは意味が無い。


 しかもよく見ると、パイ王女が宝剣を振るう瞬間に双眸を瞑っているのだ。

 魔法は放った後でも、眼で確認し多少なら位置修正が可能だ。

 しかし、あれでは修正のしようが無い。

 しかも、それだけではない。

 放つ瞬間、足先の位置が変わっているのだ。


 技や法具による魔法などを放つ場合、足先の位置は命中に直接関係する重要なものだ。

 つまり、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だとしても、足先が明後日の方向を向いていると数を撃っても当たらないのだ。

 ただ、なぜか魔物が当たりに行っているのか魔物の数が減っていった。

 そうか、ユグドラシルがパイ王女の行動を危険と判断して魔物達を操ったのか。



「ミムラスさんよー、ありゃどうなってる?」

「パイ王女がお持ちになっている魔石を消費して、中級風魔法を放つ事が出来る宝剣です……」



 ミムラスさんは立ち竦み、宝剣の説明をしただけだった。

 恐らく、眼前の光景が信じられなくて頭が混乱しているのだろう。

 口を大きく開けて、何かを言おうとしているが言葉になっていなかった。

 その時、ミムラスさんを目掛け風の斬撃が飛んできた。

最後までお読み頂き、本当に感謝しています。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 私は水着と言う名の、破廉恥な装いの前に佇んでいた。

パイ王女「ミムラス、なぜ君はリリーちゃんが貸してくれた水着を着ないのだ?」

ミムラス「王女殿下、リカステ殿を誘惑する作戦なのは分かりますが、そんな

     はした……いえ、奇抜な姿では殿方のもとへ行けません」

パイ王女「そなたは、胸の大きさを気にしすぎだぞ」

 王女殿下は、私と違って大きいですものね。

 ……少し、腹が立ってきました。

 王女殿下からは、畏まらなくて良い! 

 と仰られておりますので、こういう時こそ……

ミムラス「王女殿下は、龍の血が他の殿下達よりも濃く受け継いでいるようで、

     胸にもその影響を受けているようですね? ですので、私のような

     者の気持ちは分からないのですよ!」

パイ王女「ミムラス、そんなに怒るな。僕が悪かった。その装いで良いが、

     魔動巨大ウォータスライダーとやらは海水に濡れるようだぞ?」

 魔動巨大ウォータスライダーとは、聞いたこともないですね……。

 海水に、濡れるとは……一体、何なのでしょうか? 

ミムラス「そうなのですか?」

パイ王女「リリーちゃんから、そう聞いたぞ。なのに、その装いで良いのか? 

     水に濡れると、間違いなく透けるよ?」

 えっ? 透ける様な薄い生地を重ねて、目立たない様にしているので

 濡れるのは不味いです……。

ミムラス「王女殿下、それは困ります。どうすれば……」

葵「どうされましたの?」

 私は、葵殿にお話しすることにした。

葵「なんだ。その様な事はお気にせずとも宜しいですのに。それに、リリー様

  の水着は、その様な事は対応済みですわ。それに、ちっぱいは正義ですの」

  私はこの時なぜか、葵殿の仰る言葉に勇気をもらった。

葵「パイ王女は、胸元をクロシェ編みのフリルで隠した殿方の心を虜にする、

  ハイネックビキニの上下を着られたようですわね。ミムラス様には、

  リリー様がお勧めの、胸元にフリルとフレアでボリュームを持たせ可愛

  らしさをあしらったオフショルダービキニか、若しくは葵お勧めの、

  ちっぱいを敢えて見せる旧スク水着が良いかもしれませんわね。ウフ!」

 私は葵殿のウフになぜか危険を感じ、リリー殿お勧めの水着にする事にした。

ロベリア「アハハー。葵ちゃーん、ミムラスさんの誘導にー失敗しちゃったねー」

葵「ロベリア様の、悪戯認定試験は難しいですわね。ですが、葵はリリー様への

  悪戯一筋ですのでロベリア様の悪戯には敵いませんわ」

ロベリア「でもねー、悪戯しがいがある人にーちょっとした悪戯をするのがー

     良いのよー。カトレアちゃんなんてー、悪戯しがいがあるわよー」

 相談したのが葵で、悪戯がまだ増しであったミムラスであった。

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