絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 5
「無事に、皆通過出来ますように……」
そう言って、心を込めて祈りを捧げていると第十五関門の魔物が出現しだした。
ドゴォ! ドゴォ! ドゴォ! ドゴォ! ドゴォ! ドゴォ!
ギャギャ! ギュエー! ギュギィ! ギュゲー! ギュゴォー!
ズダーン! ズダーン! ウォー! オォー!
……ケットちゃん、多いよ。
どれだけタッチパネルに触ったら、この数行くの?
その数、なんと九十九体。
ウォータスライダーの管理システムで出現させる、最大数って普通は有り得ないよ。
しかも、全部の魔物がS級危険種。
俺、変な神にお祈り方したのかな?
ちゃんと、お手々を合わせて……この場合は、誰に? 俺に?
いや、それは変でしょ。もしかして、それがいけなかったの?
だけど、このままでは不味い。
バレリアン君には願ったり叶ったりかもしれないが、カトレア先生の絶対領域が露わになる可能性がある。
因みに、氷眼のサイクロプスが二十三体で、業風のガーゴイルが六十五体で、新しく加わった炎獄にいる炎角のミノタウロスが十一体現れた。
ウォータスライダーの第十五関門であるこの場所は、他より広大に創られているが魔物のお祭り状態である。
特に炎角のミノタウロスが巨大であるにも拘わらず先頭にいて、他の魔物を後ろに追いやっていた。
恐らく、ケットちゃんが逃げようとした時に炎角のミノタウロスを選択し、思わぬ勢いで水しぶきがガラスに当たり、走って逃げようとした時にタッチパネルに足を滑らせ十一体を選択。
知らずに画面が切り替わり、次の選択で氷眼のサイクロプスが選ばれ、レモンちゃん達に捕まえられそうになりあっちに行ったりこっちに行ったりして肉球で押していき二十三体の所で再びガラスに水しぶきがかかり逃走し選択。
更にまた画面が切り替わり、次の選択肢で業風のガーゴイルが選ばれ、レモンちゃん達に追い詰められた所を、激しく行ったり来たりして肉球で激しく数を上げていき最大数で止まった。
しかし、追い詰められたケットちゃんは少し高い位置にある場所に逃げようとして、タッチパネルの上部にある実行を肉球で選択。
タッチパネルには、【はい】と【いいえ】の最終選択実行画面が開いていた。
そして、レモンちゃんによってケットちゃんは遂に御用となった。
しかし神様の悪戯か、ケットちゃんを捕まえた時、知らずにレモンちゃんは胸で最終選択の【はい】を実行をしていた。
レモンちゃん、胸が大きく成長したからね。
うん。それは、仕方がないよ。
恐らくこれが、真相だろう。
「リリーちゃん、これは一体どういう事?」
そう言って、カトレア先生が少し焦った顔でこちらを振り向いた。
「初回限定、ウォータスライダーの魔物祭りです……嘘です。ちょっと、悪戯な子猫さんがね……」
少し冗談を言ってみたが、そう言う雰囲気では無かったので訂正した。
「えっ? あれって、本当だったの?」
「はい。それでシステム設定が滅茶苦茶になって、第十一関門から楽しいことに……」
魔物の量に圧倒されているので、少しポジティブに話しているのだがあまり効果が無い。
「うっ……私も変な事言ったから、リリーちゃんに何も言えないわ」
カトレア先生は現状を見て、自身が言った言葉を振り返り落ち込んだだけだった。
先生、ごめんなさい。明るく振る舞ったけど、逆効果だったね。
だけど、新たな能力を使用すれば問題は一気に解決するよ。
なので、その提案を伝える事にした。
「でもカトレア先生、新しくなったコウリションシステムを使用して、ロベリアさんとハイビスカスちゃんの三人で三位一体になれば、龍人形姫ドレスアーマーを纏えます。それを使用すれば、一撃で片が付きますよ」
「リリーちゃん、そんな機能も追加したのね。だけど、三位一体は止しておくわ。この状態で数を減らしていき、ウィリディスム王子、エレモフィラ君、バレリアン君に残り一体を倒させて経験を積ませるわ。その方が、学べるもの」
カトレア先生はこの現状を見ても、学ばせる事を優先したいようだ。
ですがカトレア先生、炎角のミノタウロスは氷眼のサイクロプスより力が強く、業風のガーゴイルよりも強靱な肉体をしています。
そして他を圧倒する巨大な肉体と、燃えさかる炎角がかなり厄介です。
その二つの炎角の上に、大きな炎弾を作り出し放たれたら最後、滅んだ町や村も数多くある。
なので、早期に炎角のミノタウロスを倒す必要があります。
この巨大な浮き輪は障壁が張られているので、SS級危険種の攻撃も受け付けませんが、炎弾を放たれると浮き輪の上が火の海になりますから……。
そう勘考したものの、そうならないように俺が直前に防げば問題はない。
それに、この魔物の大軍を知見する時間が一瞬よりも、少しでも長い方が学べることが多いはずだ。
「分かりました。カトレア先生に、お任せしますね。ですが、危険と判断すれば私が介入します」
「ええ。リリーちゃん、それで良いわ。だけど、炎角のミノタウロスだけは早めに倒さないと被害が出そうね……シルちゃん」
流石カトレア先生、魔物のことに詳しいですね。
先に、倒すべき魔物の事を理解している。
俺の知識は全部、ユグドラシルの眷属経由だから実際に見た情報。
なので、より詳しいのだけどね。
カトレア先生の指示を受け、ドラシルシステムと繋がっているアクセサリーが反応する。
「イエス マイマスター」
「龍人形姫レールガンをお願い」
ドラシルシステムは先読みが、早いな。
既に、カトレア先生の心情を読んだようだ。
「マスターカトレア オール スタンバイ オーケー。マスター、ご指示を」
「目標は、十一体の炎角のミノタウロス! 他の魔物も、巻き込んでも構わないわ。そうねー、どうしようかしら?」
カトレア先生が迷っていると、ロベリアさんが振り向いた。
「カトレアちゃーん、シルちゃんにー減らす量を任せるとかー?」
まあ、その方が正確では有るのですけどね。
「マスター ロベリア、現時点の魔物をお二人で倒す事は容易です。ですが、生徒に学ばせるのでしたら、龍人形姫レールガンで全面の炎角のミノタウロスと後方の魔物を撃ち抜き、残りの氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルを二体ずつ残すように龍人形翼を使用されるとよろしいかと」
「そうねー、シルちゃんのー案が良いわねー。カトレアちゃーん、どうかなー?」
やっぱり、ロベリアさんもドラシルシステムに丸投げのようだ。
カトレア先生も、頷いているのでドラシルシステムの案に賛成かな?
「それで、良いわよ。では改めて、龍人形姫マスターが一人、カトレアが命じます。悪しき魔物に、聖なる光りを解き放て!」
キュイーン! キュイーン! キュイーン!
キュイーン! キュイーン! キュイーン!
ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ!
ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ!
いつの間にか龍の着ぐるみを着た人形がカトレア先生とロベリアさんの前に二体ずつ増えており、合計六体の両手から光りが放たれたかと思うと、炎角のミノタウロス十一体の同体に大きな風穴を開け、後ろに群がる氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルの大半が光りとなって消え失せた。
更にカトレア先生は、魔物に指を指し示す。
「龍人形翼射出! 悪しきものを打ち払え!」
キヒィーン!
シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン!
シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン!
カトレア先生がそう言った瞬間、カトレア先生のスカートが短くなっていった。
そして、射出した龍人形翼に付いている砲身から青白い光りが放たれる。
チュドン! チュドドン! チュドドドン!
チュドドドドン! チュドドドドドン! チュドンチュドドン!
青白い光りに風穴を開けられる度に、魔物の数が減っていった。
そして氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルが二体ずつとなった時、カトレア先生のスカートは昔で言えばディスコのお立ち台で踊っていた、ボディコンのお姉さんのようになっていた。
つまり、絶対領域がギリギリで見えているか見えてない境目の状態なのだ。
それを真面に見たバレリアン君が、鼻血を出してひっくり返ったのは言うまでもない。
「シルちゃん、何よこれは?」
「マスターカトレア、絶対領域ギリギリです」
「そういう事を、聞きたいわけじゃ無いわよ。全く……だけど、龍人形翼って便利ね。私、何もしてないのに三十体以上はいたと思うのだけど……二体ずつ残して、残りの魔物は討ち滅ぼしたわ」
「マスターカトレア、龍人形翼が射出され暫くその状態ですが、数秒で元の状態に戻りますのでご安心を」
ロベリアさんは、バレリアン君の姿に思わず口を押さえた。
「プププー! カトレアちゃんのー、破廉恥な姿見てーバレリアン君がー、大ダメージを負ったわよー」
「良いから早く、ロベリアちゃんは私のスカートが元に戻るまで遅くさせて!」
カトレア先生、前を押さえたら後ろから見えてしまいますよ。
そういう時は、まっすぐ立ってないとね。
仕方がない。バレリアン君達から見えないように隠蔽魔法をかけておきますね。
「はーい。エヘヘー。カトレアちゃんのー、サービス期間はー終了でーす」
俺の魔法に、ロベリアさんが親指を立てた。
「もぉー、ロベリアちゃん? 変な事、言わないでよ!」
二人とも、ボケと突っ込みの名コンビのようだ。
だけど、カトレア先生達とロベリアさん、二人で何だかんだ言っていても見事な連携ですね。
魔物もなぜか誘導されて、ロベリアさんの能力内におさまりそうだ。
「【【緩慢の微笑!】】」
能力が発動した瞬間、魔物の時を支配した。
これで、厄介な攻撃をある程度押さえ込める。
長引けば、魔物の思考が追いつくがチャンスは今ですよ。
「酷い目に、あったわ。だけど、もうお終い。蝶の舞い!」
成る程、そういう事か。
ウィリディスム王子や生徒達に知見させる為に、ロベリアさんの緩慢の微笑で魔物の動きを遅くさせ、疾風迅雷の能力を使用せずに舞うように躱し躱し方を教えているのか。
動きが遅くなっている今だからこそ、見えるように実戦しているという訳か。
「行くわよ、氷眼のサイクロプス。捻り蓮華突き! 序でに、業風のガーゴイルよ喰らいなさい。一輪の薔薇刺し!」
そして、氷眼のサイクロプスの弱点である瞳を派手な散り方をする捻り蓮華突きで示し、業風のガーゴイル等の飛んでいる魔物や遠距離の魔物に有効な、濃密に凝縮した剣気を放ったのだ。
氷眼のサイクロプスは、カトレア先生の捻り蓮華突きを喰らうと、喰らった眼が蓮華の華の様な文様になり消え去った。
一方、業風のガーゴイルは剣気で眉間を撃ち抜かれ、撃ち抜かれた後部が薔薇の様な形に飛沫を上げたかと思うと光りとなって消え去った。
つまり、カトレア先生は一度に躱し方と弱点を、ウィリディスム王子や生徒達に知見させたのだ。
「ウィリディスム王子、エレモフィラ君、バレリアン君、私達がサポートするから、貴方達も氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルを倒してみなさい。良い経験になるわよ」
「「「はい」」」
「では、まず初めに疾風迅雷! 【【覇王樹開花影食い突き!】】」
ズドドドドドド! ズドドドドドド!
流石と言うべきかカトレア先生は、氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルの一番厄介な氷眼と業風を纏った翼の能力を棘のような剣気を飛ばし封じた。
動きが遅くなっている今は、そこまで警戒する必要は無いが、念を押すように封じたのだろう。
「うっ! 鼻血が……だけど、僕の滾るリビドーを喰らえ!」
バレリアン君が鼻血を出しながらも弓を放ち、二体の急所である眼と眉間に突き刺した。
しかし、弓ではやはり浅い。
でも同時に、エレモフィラ君とウィリディスム王子が飛び上がっていた。
「フッ! 俺の剣を、喰らいな!」
そして、エレモフィラ君はバレリアン君が弓で開けた氷眼のサイクロプスの眼に深々と剣を突き刺し、
「君たちだけには、負けないよ! 絶対に、僕が幸せにする!」
同時に飛び上がっていたウィリディスム王子も、バレリアン君が開けた業風のガーゴイルの眉間に深く剣を刺した。
特殊能力と動きを封じられた氷眼のサイクロプスと業風のガーゴイルは、ウィリディスム王子とエレモフィラ君とバレリアン君の三人によって止めをさされ光りとなって消え失せた。
ウィリディスム王子、止めをさした時こちらを見ているような気がしましたが、戦っている時によそ見をすると危ないですよ。
俺は、リカステさんの武器を仕上げるのが忙しかったので、殆ど皆の勇姿を見ていませんでしたけどね。
ですがお陰で、リカステさんの武器と装備が良い感じに仕上がりました。
実は、リカステさんにもカトレア先生達のように武器や装備をプレゼントしようと考えていたのだ。
リカステさんには、ワイバーン戦の時にシルク達がお世話になったようだしね。
いやー、でも今回は可愛い子猫ちゃんによるハプニングでしたが、色々と良いデータが取れました。
是非、次のアップデートにいかそうと思います。
カトレア先生、ロベリアさん、ウィリディスム王子、エレモフィラ君、バレリアン君、お疲れ様でした。
ハイビスカスは、良い子だったね。
大波瀾の第一チーム目だったが、俺が介入する必要も無く、無事終了することが出来た。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「よし、後はハイビスカスのママと風龍から貰った鱗をリカステさんの
大戦斧と装備に組み込んで終了」
実は、スノーが炎龍と風龍を指導した時に鱗が取れたらしい。
どんな指導を、行ったのか聞かなかったけどね。
リリー「ベルトのバックルに、ドッグタグをはめ込んで……変身をする時の、
合い言葉は何にしよう?」
考え事をしていると、リカステさんとエレモフィラ君とバレリアン君が
やって来た
リカステ「お前ら、リリーちゃんが作った遊戯施設では、常に紳士に
振る舞えよ。それだけで、モテるぞ!」
バレリアン「リカステ先生、学校ではカトレア先生と一緒に居る所しか
見ていませんが、彼女はいるんですか?」
リカステ「――紳士は、常に心の中にいる」
エレモフィラ「フッ! バレリアン君、野暮だよ」
リカステ「ほっとけ!」
成る程、リカステさんは紳士も良いけれど、変わる必要があるようだね。
リリー「あっ! よし、これにしよう」
変身をする時の、合い言葉を思いついたリリーであった。




