↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

172/240

絶叫型魔動巨大ウォータースライダー? 2

 エレモフィラ君とバレリアン君とウィリディスム王子達は、ワイバーンの出現が三体目までは何とか倒す事が出来た。

 しかし、四体になった所で厳しくなったのだ。

 見ていると、エレモフィラ君とバレリアン君は攻撃のパターンに修正を加える事で連携しワイバーンを見事倒していた。


 しかし、三体から四体になった時点でウィリディスム王子とバレリアン君の連携が崩れたのだ。

 バレリアン君は弓の攻撃パターンに修正を加え、ワイバーンに躱されながらも打ち落としていた。

 そして打ち落とされたワイバーンを、エレモフィラ君とウィリディスム王子がそれぞれ止めをさすのだけれど、ウィリディスム王子の攻撃がワイバーンに何度も躱されていた。


 つまり、そこで大幅にズレが生じるのだ。

 ここの魔物は学習機能が有るので、同種の魔物の場合は攻撃パターンを学ぶんだよね。

 だから、同じ攻撃が通用しなくなるのだ。

 それに数が多いだけのゴブリンや牙コウモリやオークと違って、ワイバーンはごり押しの攻撃が一切通用しない。


 なので、必ず急所を攻撃する必要が有るのだ。

 エレモフィラ君とバレリアン君の場合は、普段から闘技場の魔物でその事を学んでいる。

 なので、エレモフィラ君とバレリアン君は攻撃パターンを変えつつ、ワイバーンの動きに対応し急所を的確に攻撃する。


 そこが、ウィリディスム王子では対応しきれていないのだ。

 エレモフィラ君とバレリアン君が、ウィリディスム王子のカバーをして対応するも、ワイバーンが五体同時に出た今回は一匹を取り逃がしたようだ。

 すると、バレリアン君がカトレア先生の顔を見た。



「カトレア先生、済みません。一体、そちらに行きます」



 斥候の能力が高いが故に、バレリアン君はウィリディスム王子に危険が及ばないよう、カトレア先生達の所にワイバーンを誘導したようだ。



「捌(サバ)ききれない様なら、こちらに遠慮無く任せなさい。バレリアン君は、エレモフィラ君とウィリディスム王子の攻撃を、遠距離から弓でしっかりサポートすること」

「はい!」



 そう言えば、カトレア先生の戦闘スタイルは知っているけれど、ロベリアさんが実際に戦ったのは見たことは無いんだよね。

 カトレア先生曰く、



「ロベリアちゃんの特殊能力は凄いのだけれど、前衛がいないと上手く機能しないのよね」



 と言っていた。

 炎龍との戦いのデータを見たが、【【緩慢(カンマン)の微笑(ビシヨウ)!】】は正直驚いた。

 カトレア先生からロベリアさんの緩慢(カンマン)の微笑(ビシヨウ)は、対象相手を劇的に遅くさせダーメージを与えるスロワー族特有の能力だと聞いたが違っていた。


 あれは、空間自体の時を操る時空魔法に似た特殊能力だった。

 しかも、相手を弱らせる持続ダメージ付き。

 ロベリアさんには他にも固有能力が有るようで、解析して龍(ドラゴン)人形(ドール)姫(プリンセス)ドレスを纏った時は自由に使いこなせるようにしたいと思う。


 今回は、緩慢(カンマン)の微笑(ビシヨウ)を自由に操れるよう龍(ドラゴン)人形(ドール)姫(プリンセス)ドレスに補助機能を追加した。

 なので、緩慢(カンマン)の微笑(ビシヨウ)を発動する瞬間に、ロベリアさんの特殊能力の影響が及ばない者をロベリアさんが指定出来るようにしたのだ。


 次にカトレア先生の疾風迅雷だが、元は韋駄天の特殊能力らしい。

 韋駄天と言えば、俺の知識では神速を操(アヤツ)る神様なのだが、この世界ではどうやら種族のようだ。

 カトレア先生が韋駄天と人とのハーフだと言うことにまず驚かされたが、疾風迅雷もカトレア先生自体が自身で思っているものと違っていた。


 自身の早さを劇的に上げるだけでは無く、操るものにさえその影響を与える能力だった。

 しかも早さの段階には、まだ上があるようなのだ。

 カトレア先生の疾風迅雷は、本来の韋駄天が使用する疾風迅雷で言えば、十段階の内で一段階の早さだ。


 しかも、一段階の本来の力さえ全く発揮していなかった。

 更にこの能力が優れているのは、自身の操るものやそれに準じるもの……つまり、技と魔法の鋭さや威力、そしてハイビスカスにも疾風迅雷の影響を与える事が出来る点だ。

 ただロベリアさん同様、他にも何か有るようで、もっと解析する必要が有る。


 解析が進むにつれて、龍(ドラゴン)人形(ドール)姫(プリンセス)ドレスに補助機能を追加していこうと思う。

 今回は疾風迅雷の早さを、自身と操るものに最大で二段階あげられるように補助機能を追加した。

 これでカトレア先生は、固有能力を発動すると更に早く鋭く攻撃が出来き、技や魔法の威力や距離さえも向上する事になるだろう。


 恐らく、今まで不可能だった技も可能になるはずだ。

 それと、ユグドラシルの能力をドラシルシステムに追加で組み込んだので、華の名前がある技の威力も向上される。

 つまり、カトレア先生のように技に華の名前を付ける場合は、その能力で更なる高みの技を放てるようになるのだ。



「ロベリアちゃん、あのワイバーン任せるわよ」

「あはー。カトレアちゃんとー、こうしてペアを組むのー久しぶりよねー」

「良いから、ロベリアちゃん早く特殊攻撃を放ってよ!」

「はーい。エヘヘー、ワイバーンちゃんはー効果があったよねー」



 特殊攻撃? 

 ロベリアさんは、緩慢(カンマン)の微笑(ビシヨウ)という強力な能力低下以外にもやっぱり固有能力があったんだ。



「【【緩慢(カンマン)の葬送(ソウソウ)!】】」



 ギッ……――――


 バッシャーン! 



 ワイバーンが叫び声を上げ襲おうとした瞬間、ロベリアさんは瞬時にワイバーンの息の根を止めた。

 息の根を止められたワイバーンは、泡を吹いて墜落し水中に消えていった。

 ロベリアさん曰く、スロワー族は破壊の化身となったエンシェントドラゴンとの戦いで全滅し、ロベリアさんの家族が最後の生き残りらしい。


 けれど、この能力は異質すぎる。

 まるで、魔王や悪魔のような能力だ。

 フロックスさんは、ロベリアさんの事を小悪魔って言っていたけれど……リカステさんが、怖がる意味がよく分かったよ。



「ロベリアちゃん、相変わらず怖い固有能力よね。詠唱を必要としないし、自身よりもランクが低い魔物には必ず効果が出るし……」



 カトレア先生も俺と同じように、怖い能力だとやっぱり思ってたんだ。

 だけど、ランクが低い魔物だけ? 

 そうか……確かに、どんな相手にも使用出来るのならロベリアさんの種族は全滅しなかった。

 だけど、強力な能力が故に制限があると言うことか。



「だけどー、連発はー出来ないしー一体だけなのよねー」



 そんな能力を連発できたら、ロベリアさん魔王や悪魔って言われるよ? 

 ホント、綺麗な顔しているのに怖い事言うよね。



「だから、私がいるんでしょ」



 カトレア先生は、自信の胸に手を添えてそう言った。

 カトレア先生達の様子を見ていると余裕があり、ワイバーン一体程度では全く足りないようだ。

 そりゃそうだよね。


 だって、カトレア先生は龍(ドラゴン)人形(ドール)姫(プリンセス)ドレスを纏っていない状態でも、独りで氷眼のサイクロプスを倒せるしね。

 そう言えば、ロベリアさんってバナナボートの時は気分悪そうにしていたのに、魔物と戦っている場では平気なんだ。


 元、冒険者だからかな? 

 そう考えを巡らせていると、第十関門である六体のワイバーンが同時に出現した。

 しかも、エレモフィラ君とバレリアン君とウィリディスム王子達にかなり近い。


 ここまで近いなら、近接戦をしかけた方が得策だ。

 しかし、ワイバーン六体に周りを取り囲まれた。

 その状況を、危険と判断したバレリアン君が反応する。



「カトレア先生、済みません。四体、そちらで対応お願いできますか?」



 バレリアン君に頼まれたカトレア先生は、眼を輝かせていた。

 もしかして、カトレア先生スイッチ入っちゃった? 



「いいわよ。ロベリアちゃん、今度は私が行くわね」



 カトレア先生は、武器を握りしめるとロベリアさんの顔を見た。



「はーい。カトレアちゃーん、頑張れー」



 カトレア先生の顔を見て、ロベリアさんが笑顔で送り出した。

 しかし、バレリアン君は近接戦をしている二人の事が気になり、四体のワイバーンを上手く誘導する事ができていない。

 そのまま倒しても良いと思うのだが、カトレア先生はそこで立ち止まった。



「バレリアン君、誘導するのなら鋭く弓を放ちなさい。それでは、また戻ってくるわよ? それに、近接戦は二人に任せ四体を誘導する事に集中しなさい」

「はい」



 どうやらカトレア先生は、すぐに四体を倒すよりバレリアン君の指導を優先したようだ。

 バレリアン君はカトレア先生の指導で、どうにか四体を二体から引き離した。

 そして、エレモフィラ君とウィリディスム王子が近接戦をしている二体に応戦しだした。

 四体のワイバーンの標的がカトレア先生達に移ったが、カトレア先生達は余裕を見せていた。



「クスッ! ねえ、ロベリアちゃん? こうして二人でペアをすると、二人だけで盗賊のアジトに乗り込んだ事を思い出すわね」

「あははー。カトレアちゃんがー、剣で盗賊の毛という毛をー、全部切り落とした時のあれねー」

「あの時は、笑えたわ」



 指導する姿は格好良かったのだけれど、二人とも何を話しをしているの? 

 しかもカトレア先生とロベリアさん、えげつない事を笑顔で話しているよね? 

 それに、毛という毛って……一体、どこの毛? 


 俺は思わず、自信の頭をおさえた。

 前の世界でも、髪の毛はフサフサだったけれど、髪は女の命っていうしね。

 そう勘考していると、カトレア先生が剣を握りしめた。



「じゃー、軽く身体を動かしてくるわね」



 そう言ってカトレア先生は、ロベリアさんに笑いかけた。



「はーい」



 そして、バレリアン君が必死で誘導した四体のワイバーンに対して、カトレア先生はやっと眼を向けた。

 ワイバーンが眼前に迫っているのに、カトレア先生は余裕の表情である。

 ワイバーンがカトレア先生に攻撃を仕掛けた瞬間に、カトレア先生が能力を発動する。



「疾風迅雷! えっ? この早さは何? ……リリーちゃん?」



 カトレア先生がステップをしてワイバーンの攻撃を躱した瞬間、自身の早さに気がついた様だ。



「カトレア先生、気づきました?」

「私の固有能力が……」



 カトレア先生は、四体のワイバーンの同時攻撃を軽く避けながら呟いた。



「はい。龍(ドラゴン)人形(ドール)姫(プリンセス)ドレスを纏ったカトレア先生の疾風迅雷の能力は、今までの倍以上になります。ですので、思う存分楽しんで下さいね」



 俺がそう言った瞬間、カトレア先生がワイバーン達の攻撃をあざ笑うかのように避ける。



「うふふ。じゃー、早さが足りなくて断念した技……あの技が、使えるわね」



 そう言って、自信の剣を右手で持ち切っ先をワイバーン達に向け、弓を引くように構えると、左手で誘うような仕草をした。



「ワイバーンよ! 甘美な薫りに誘われて、儚い恋のように散りなさい」



 その瞬間、カトレア先生は目の前から姿を消した。

 俺には見えているが、恐らく他の者達にはそう見えたであろう早さだ。

 空中を、俺のように瞬間移動している? 


 いや、違う。

 僅かな魔力で足場を作り出し、一瞬で駆け回っているんだ。

 もはや、今のカトレア先生は足場が不要のようだ。

 足にだけ、小さな魔法陣が展開されている。



「ワイバーン達よ、一時の命と共に踊りなさい!」



 シッ――――! シッ――――! シッ――――! シッ――――! 



 早い。恐らく、俺の眼でしか追えないほどの早さと斬撃。



「【【月下美人!】】」



 そして華が咲いたと思った刹那、四体のワイバーンが華のように散った。

 全てのワイバーンを倒して一瞬で戻って来たカトレア先生は、髪をかき上げて笑顔を俺に向ける。



「リリーちゃん、まだ楽しませてくれるのでしょ?」

「ははは、分かっちゃいました?」

「ワイバーンなんて、全然物足りないわ」

「カトレア先生、今のは数が少し多かっただけですしね。次は、もっと楽しめますよ。期待して下さいね」



 今のは、第十関門です。

 つまり、本来のZクラスの生徒であれば余裕で倒せる魔物の数と構成配置なんです。

 今回は王子も参加されたので、数を少なくしたつもりなのですが、Zクラスの魔物との戦闘における実力とウインドウォーター王国の戦闘技術にかなり差が有ったようです。


 それにカトレア先生達は久しぶりの魔物討伐に燥いでいますが、ウィリディスム王子の事を忘れていませんか? 

 エレモフィラ君とバレリアン君は、ウィリディスム王子の事を気遣って戦っているのでかなり大変だったと思いますよ。


 ウィリディスム王子も、今は全く余裕がなくなっているみたいですしね。

 本当なら王子のキラキラした笑顔を、これでもかと言うくらい俺に見せてくる場面でも、肩で息をしていましたし……。

 まあ、俺がZクラスの皆の実力を考えて魔物の配置や数を決めたからいけないんだけどね。


 でもお陰様で、王子の惑わされる笑顔に晒されなくて助かりました。

 エレモフィラ君、バレリアン君、でも安心して下さい。

 第十一関門は、もう少し先です。


 うねる海路と暴風に晒されながらになりますが、Zクラスの皆の事を考えて計算しているので休めますよ。

 思いを巡らせていると、ウィリディスム王子の足下がうねる海路の揺れでふらついた。

 なので、俺は思わず駆け寄ってウィリディスム王子を支えてあげた。



「リリーちゃん、ありがとう」



 はうっ! 思わずウィリディスム王子を支えたので、抱きしめてしまった。

 この状況ってよく小説にある状況だけど、王子様とこの状況って……。

 いやいやいや、考えすぎだ。

 たんなる、ハプニングだ。そう、思うことにしよう。

 それにこんな場合は、状況を確認する言葉を使うはずだ。



「大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。でも、リリーちゃんに恥ずかしいところを見せたね」



 ……ごめんなさい。

 よく考えたら、ウィリディスム王子の体力の事を考えていませんでした。

 それに、キラキラした瞳で見つめてこないで下さい。

 言葉が、全然思いつかないよ。



「いえ……」



 ドキドキする気持ちを落ち着かせる為に辺りを見渡すと、エレモフィラ君とバレリアン君達も予想以上に体力や魔力を消耗したようだ。

 だけど、ウィリディスム王子と共に戦うエレモフィラ君とバレリアン君が、予想以上に消耗したのなら俺に責任がある。

 なので、俺はさりげなく皆の体力や魔力を回復する魔法をかけておいた。

 だけど、そろそろ第十一関門だよ皆頑張って。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エレモフィラ&バレリアン「「ウィリディスム王子!」」

ウィリディスム「二人とも、なぜ怒っているんだい?」

エレモフィラ「抜け駆けしましたよね?」

バレリアン「――」

ウィリディスム「エレモフィラ君、いつものフッ! はしないのかい? 

        それに、バレリアン君はなぜ僕の頭を触るのだ?」

エレモフィラ「フッ! そこまで、気が回らなかったのさ」

バレリアン「ここに、リリーちゃんの膨らみが……」

エレモフィラ「いくら王子でも、羨ましすぎるじゃないか。フッ!」

ウィリディスム「でもあれは、事故だろ? ……だから、バレリアン君? 

        僕の髪を、触らないでくれるかい?」

バレリアン「ところでウィリディスム王子、リリーちゃんに抱きしめられた

      感想は?」

ウィリディスム「……良い薫りがした」

エレモフィラ&バレリアン「「エロ王子」」

ウィリディスム「おい、今のは取り消してくれ!」

エレモフィラ「フッ! いいから、王子。倒れるタイミングを、俺達に

       教えてくれるかい?」

バレリアン「詳しく……」

ウィリディスム「だから、あれは事故だと……」

 こうして、ウィリディスム王子とエレモフィラ君達は、今まで以上に協力し

 合い仲が良くなったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。