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ウインドウォーター王国リゾート施設? 4

 しかし、



「ひゃう……」

「クレマチスちゃん、ひゃうって?」



 クレマチスの脅える姿に指さす方向を見てみると、炎龍がブレスを吐く体勢のまま気を失うように海に転落していた。

 そしてよく見ると、スノーが人型の状態で先ほどまで炎龍がいた場所にいた。

 炎龍が、魔法陣からブレスを放った瞬間に俺が神結界を張ろうと考えていたが、どうやらその必要は無かったようだ。



「スノー様は、龍種に対して全く容赦ありませんわね。ですが、あれ位では炎龍は死にませんから大丈夫ですの」



 死なない程度にって……だから、クレマチスが脅えていたんだ。

 葵がいつの間にか、俺の側に来ていた。

 そして、東の空を指し示す。



「葵?」



 俺が葵に声をかけようとすると、東に見えていた龍とワイバーンが急旋回して東に向かいだしているのが分かった。



「危険と判断して、風龍が逃げましたわね。それに、上に乗っている人も風龍とワイバーンの操作ができなくて慌てていますわよ?」



 風龍が操作不能な状態に陥って、大使に何か有ったら大問題だ。

 恐らく風龍は、スノーの容赦無い攻撃で炎龍が気絶したのを見て、龍種より危険な存在がいると判断し逃げだした可能性が高い。

 なら、それは俺達の責任でもある。



「葵、私ちょっと行ってくるね」

「はい、ですの」



 俺はマウスLV2を使用し風龍の背を指定して、一瞬で風龍の背に飛んだ。

 そして、風龍の背に乗ると慌てているパイ王女と貴族服を着た女性が見えた。



「くっ! 風龍よ、そちらではない。僕の言うことを、聞いてくれ。僕と君は、暴風が吹き荒れる岩山で血の契約を交わし友達となった仲だろ? なぜ、戻ろうとする?」



 パイ王女が風龍にそう言っているが、東に向かって加速しだした。

 恐らく、血の契約を交わしたパイ王女を守りたいが為に、プライドを捨ててまで逃げに徹したのだと思われる。



「王女殿下、私のワイバーンも操作ができません。何かに、脅えているようです」



 そして、もう一人の貴族服を着た女性も必死にワイバーンを操作していて、こちらに全く気づいていない。

 俺は、慌てているパイ王女の背後から優しく声をかける。



「パイ王女様、どうかされましたか?」



 そして、後ろにチョコンと座って小首を傾けた。



「僕の友達の風龍が、言うことを聞いてくれないんだ」



 しかし、風龍を操作する事に必死で後ろを振り返ろうとしない。

 必死なのは分かるけれど、なぜ振り向かないのかな? 

 普通、振り向くよね。

 あっ! でもよく考えたら、この異常な風龍のスピードに誰かがやって来るとは思わないか。



「それは、大変ですね。私が何とかしましょうか?」



 パイ王女は、やっと俺に気がついてくれたようだ。

 そして、ゆっくりと後ろを振り向く。



「そうしてくれると……誰だ、貴様は! なぜ、僕の風龍の背に乗っている?」



 俺の言葉にやっと振り返ってくれたが、パイ王女の顔が警戒の表情を示していた。

 あっ! そう言えばパイ王女とは、初対面だった。

 別に、忘れてたわけでは無い。


 ただ、スミレちゃんとリカステさんから、あまりにも内容の濃い話を色々と聞かされていたので、知り合いだと勘違いしただけなのだ。

 それにパイ王女って、リカステさんの事をかなり気に入っていたんだよね。

 色々と、パイ王女とリカステさんのエピソードもスミレちゃんから聞けたしね。

 だとすると、リカステさんの名前を出せば信用してもらえるかもしれない。



「申し遅れました。私はリカステ先生の教え子で、リリーと申します。私には特殊能力が有るので、リカステ先生より可愛いらしいパイ王女を助けるように言われ、ここに参上致しました」



 べっぴんさんて俺の場合、知り合いのおじさんかリカステさんしか使わないけれど、美人な人って意味だから、少し柔らかく表現して可愛いで良いよね。

 パイ王女って僕っ子だけど、美少女でかなり可愛いんだよね。

 人によっては、可愛いと言われることに抵抗がある人もいるけれど、王女の場合は美しいと表現される事は有ると思うけれど、可愛いと表現されるのは大きくなるとあまり無いと思うんだよね。

 だから、敢えてべっぴんではなくて可愛いと言葉を変更してみた。



「か、可愛い? ……ぼ、僕がか?」



 パイ王女は顔を真っ赤にして、そう言った。

 今にも頭から、蒸気が上がりそうだ。

 可愛らしい表情で照れるのは良いけれど、ワイバーンを操作している女の人の顔が引きつっているよ。

 だって、ワイバーンがちょっと混乱しているし……。



「はい」

「君のような美しい女性に言われると、僕も照れる。だけど、リカステおじさんが、僕のことをそう言っていたのか?」



 本当は、べっぴんさんて言っていたけれどね。

 よし、後でリカステさんと口裏を合わせておこう。



「はい、勿論です」

「そうか、僕が可愛い……」



 あれ? パイ王女が両手を頬に当てて、可愛いと何度も呟いている。

 もしかすると、余計な表現変更をしちゃったかな? 



「あのー、パイ王女様?」

「はっ! な、なら話が早い。済まぬがリリーよ、どうにか出来るのなら何とかしてくれ。それに、ミムラスのワイバーンも操作不能のようだ。頼む」



 風龍の速度と大型ワイバーンの速度はかなり速く、話している間にフォレストムーン王国近辺まで来ていたようだ。

 なので、俺は風龍とワイバーンごとパイ王女とミムラスさんを別荘の前にある海にテレポートする事にした。



「了解しました。では、テレポートしますね」



 同時に、魔法で風龍とワイバーンの飛翔魔法を解除させて……。

 そうしないと、テレポートした途端に激突するからね。

 勿論、飛んでいる運動エネルギーも同時に無くしたよ。



「テレポート?」



 パイ王女が俺に聞き直した時には既に、別荘前の海の上にいたけどね。



「リリー、お帰り」

「シルク、ただいま」

「「なっ!……」」



 パイ王女とミムラスさんが驚きの表情でいると、スノーと葵が気絶した炎龍を海から引き上げていた。



「全く、ハイビスカスのママも世話が焼けますわね」

「ぅにゃん!」

「スノー様も、ですわよ!」

「……ぅにゃん」

「そんな可愛い顔をされても、無駄ですの!」



 こうしてパイ王女と連れのミムラスさんは、無事にウインドウォーター王国に着いた。

 パイ王女になぜまたウインドウォーター王国に来たのか聞いてみると、どうやらリカステさんに友達である風龍の事を見せたかったらしい。


 パイ王女達をそのまま帰らせるわけにもいけないし、この後俺達は皆でバーベキューを楽しんでいる。

 バーベキューの時、リカステさんの隣がパイ王女だったのは言うまでもない。

 それに、ちゃんと先ほどまでのやり取りをリカステさんには伝えてあるから問題は無いよね。

 だけど、べっぴんさんの代わりに可愛いと伝えた事や、その後のパイ王女の様子を細かく伝えた所、



「リリーちゃん、勘弁してくれ」



 と言われた。

 まあでも、パイ王女が笑顔でいるから良いよね。

 それに、リカステさんは紳士だしその後のパイ王女の対応は任せようと思う。

 イヤ、ハハハ……リカステさん、ややこしくしてごめんなさい。


 次に、ハイビスカスのママと風龍の件だが、クレマチスが間に入ったことで、どうにか蟠(ワダカマ)りがなくなった。

 しかし、クレマチスがハイビスカスのママと風龍にどう話したのか分からないが、スノーが側に来ると二人して脅え出すので、ハイビスカスのママと風龍の配膳は、俺が全てしてあげる事となった。

 まあ、何となく予想はつくけれどね。

 そして風龍もクレマチスとユグドラシルのお陰で、人型に変化出来るようになった。


 次に、朝から召喚精霊達が手伝ってくれていたウォータースライダーの件だが、ようやくドラシルシステムと連動する事が出来た。

 なので、パイ王女を交えて予定通りお昼から楽しもうと考えている。

 今回は色々と魔物のデータが取れて、ドラシルシステムに詰め込んだので絶叫型魔動巨大ウォータースライダーが楽しみだ。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリー「パイ王女様、バーベキューは如何です?」

パイ王女「リリーよ、バーベキューとは何だ?」

リリー「お外で、皆で楽しくお肉やお野菜をじっくり炭火などで焼いて食べる

    料理の事ですよ」

リカステ「おおー、良い匂いだ! リリーちゃん、うまそうだな」

パイ王女「リカステおじさん、これは美味しいのか?」

 パイ王女はリカステさんが、近くに来ると頬と耳を赤く染めた。

リカステ「めちゃくちゃ、うまいぞ!」

パイ王女「そっ、そうか。なら、僕も頂こう」

 パイ王女が、ソワソワしだしたのでリカステさんを少し離れた所に呼んだ。

リリー「リカステさん、ちょっと」

リカステ「何だ? リリーちゃん」

リリー「こっちに、来て下さい」

リカステ「んっ?」

リリー「こしょこしょこしょ……」

 俺は風龍の上での出来事を、詳しくリカステさんに伝えた。

リカステ「リリーちゃん、勘弁してくれ」

リリー「リカステさんの、紳士的な所の見せ所ですよね」

リカステ「うっ、それを言われるとな……」

パイ王女「どうした? 何を、親しげに話している?」

 どうやらパイ王女は、俺とリカステさんが二人でコソコソしていることに

 嫉妬したようだ。

リカステ「リリーちゃん、肉タップリで宜しくな。いやーな、可愛い王女

     さんに、うまいものを食わしてやりたくてな。リリーちゃんに、

     頼んでいたんだ」

パイ王女「ぼぼぼぼ、僕にか……」

 リカステさんに可愛いと言われ、パイ王女が動揺しているようだ。

 パイ王女の鼓動が、ここまで聞こえて来そうな程の狼狽えようだ。

 まさかここまで、乙女のような反応するとは思わなかった。

リリー「はい、リカステさん。別荘にテラスが有るから、そこで可愛い

    パイ王女様とユックリして下さいね」

 俺が可愛いと言った言葉にも、パイ王女は動揺を示した。

 もしかすると、頭の中で可愛いを自身で連呼してしまい、落ち着くことが

 困難になってしまっているのかもしれない。

リカステ「おう、リリーちゃんありがとな」

パイ王女「ぼぼぼぼ、僕とリカステおじさんだけで?」

 パイ王女、可愛いに反応し過ぎ。

リカステ「王女さんは、そういう所も可愛いぞ」

 リカステさんに可愛いと言って止めをさされたパイ王女は、ヘナヘナと

 力が抜けて腰を抜かしたようだ。

 ここまで、可愛いと言う言葉に免疫がない子も珍しい。

リカステ「おっと、危ないぞ。王女さんは、本当に可愛いな。しゃーない、俺が

     テラスまで連れて行ってやる」

パイ王女「はわわわわ……コテッ」

 リカステさんに、お姫様抱っこをされたパイ王女はそこで気を失った。

 僕っ子だが、乙女すぎるパイ王女であった。

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