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ウインドウォーター王国リゾート施設? 3

 東の空を見上げると、鳥にしてはあまりにも巨大すぎる物が二体見える。

 俺が眼を凝らして東の空を見ていると、海の浅瀬からシルクとアイビーがやって来た。



「もぉー! アイビーのせいで、酷い目にあったわ。それに、私の可愛い水着が濡れたじゃない」



 シルク? 勘違いしているかもしれないけれど、水着って濡れても良い装いのことだからね。

 それに、海水で胸の辺りが濡れた事を頻りに気にしているけれど、可愛いフリルがたっぷりと付いているから胸が小さくても目立たないよ? 

 シルクもそれが分かったようで、安心した顔になった。


 成る程ね。

 先ほどから海に入らなかったのは、濡れた時に水着のフリル部分が、濡れて拉(ヘシヤ)げるとでも思っていたのだろう。

 だけど、その事は織り込み済みだよ。


 ちっぱいの事は、ちっぱいであるが故に理解しているよ。

 今の姿は、違うけれどね。

 だけど、ちっぱい同盟は強い絆で繋がっているんだよ。



「クシュン! 誰か、私の噂したのかな?」



 シルク、ごめん。

 噂はしていないけれど、たぶん俺です。



「クシュン! シルク、海から早く上がって。クシュン! だけど、僕の鼻にお菓子の屑(クズ)を沢山落としたのがいけないんだよ。クシュン!」



 アイビーは、シルクに申し訳なさそうにそう言った。

 確かに、嗅覚が優れている狼は鼻に物が付くのが一番困るよね。

 しかも、シルクより嚔(クシヤミ)をしているし……。


 鼻に、お菓子の屑(クズ)が入ったのかな? 

 でも、もう少し強く言っても良いと思うのだけれど、アイビーはどこまでもシルクには甘いらしい。


 アイビーが、鼻の上に付いたお菓子をシルクに落としてもらっているけれど、まだ背中にばら撒かれたお菓子の屑(クズ)が沢山有るよ……それは良いの? 

 まあ、アイビーが良いなら良いけれどね。


 シルク達の仲睦まじさに眼を奪われていたけれど、東の空に見えているのって大きなワイバーンと……ワイバーンよりも大きくて薄緑色をした龍? 

 しかも、人を乗せているよね。


 だけど、この距離でシルクよく分かったね。

 小さい物が大きくなる事に、妖精族は敏感だって言っていたけれど、この距離で気づいたのは驚きだよ。


 あれが大きなワイバーンと龍だと分かったけれど、数日前にパイ王女達はリーフリュウシン小国に帰ったばかりだよね。

 と言うことは、ウインドウォーター王国へ大使が何か伝えに来たのかな? 


 でもなぜ、大きな龍も連れてきたのだろう? 

 リカステさんの話だと、交渉は上手くいった筈。

 それに、攻めてきたとしても二体ではありえない。

 やはり、大使が何かを伝えに来たと言うのが一番妥当だよね。


 ともあれ、警戒は一応しておいた方が良いかも。

 ハイビスカスのママの事も有ったし、薄緑色をした龍が敵じゃ無いという保証は何もないしね。

 だけどまだ離れているので、今すぐ警戒する必要は無さそうだ。



「シルクの言った通り、東の空に見えるわ」

「でしょー。だけど、私の可愛いお眼々では何か分からないのよねー」



 シルクが、眼を主張してきたのには理由が有る。

 実は、ホワイト王妃の専属メイドに付け睫毛をしてもらったのだ。

 シルクは、素のままでもハッキリ言ってかなり可愛い美少女だ。


 しかも進化した事で人のような大きさとなり、美少女すぎた事にエレモフィラ君やバレリアン君も一時期驚いていた。

 今は慣れて、普通に接しているけれどね。


 なので、化粧をする必要は一切無い。

 しかし王妃達の化粧を見ていたシルクが、化粧をしてほしいとせがんだ。

 なので、王妃が専属メイドに案を出して付け睫毛をシルクに施したというわけだ。


 ただその事を知っているのは、王妃と専属メイドと俺だけである。

 シルクは気分を良くして、皆の前に笑顔を振りまいているが誰も気づかない。

 で、どうやらその事にしびれを切らしたようなのだ。


 それにもしかすると、先ほどからずっと俺の側にいるのは、その付け睫毛をした可愛い姿を俺に指摘してもらいたかったのかもしれない。

 今朝から付け睫毛をしていたけれど、わざわざ指摘したりしないよね。


 ちょっとした仕草や自然に振る舞った時に、

 あれ? 今日のシルクはいつもより、目元が綺麗だな。

 と感じてもらう位なのだ。

 それに、



「ねえ、シルク睫毛長くなった?」



 とか髪を切ったような感覚で気軽には言ってこないのが普通である。

 そんな事を勘考するより、今は東に見える龍の事を伝えないと……。



「形から判断すると、大きなワイバーンと薄緑色をした龍? それに、人の姿も見えるね」

「うーん、私の可愛いお眼々では、そこまでは見えないわねー……」



 シルクが頻りに、俺の前に顔を寄せて瞬きをしだした。

 どうしても、俺に指摘してほしいようだ。

 アイビーが近くにいるからって、大げさすぎる。

 でも、そこまでされると逆に言い辛いよ。



「――――」

「何で、誰も気がつかないのよ! って言うか、リリーは私が付けてもらっていた時に見てたんだから何か言いなさいよ!」



 そして、シルク逆ギレである。

 どうやら、アイビーに気づいてもらえなかった事で余計に腹が立ったようだ。

 それに、アイビーの鼻や頭にお菓子をばら撒いていたのはわざとで、自身の顔を見てもらう為の作戦だったようだ。

 ブツブツと文句を言って、その事を話している。

 仕方がない。シルクの小芝居に、少し付き合ってあげるしかないよな。



「シルク、今日はいつもより目元が凄く可愛いわ」



 俺は、アイビーに聞こえるように言ってみた。



「でしょー……」



 そう言って、シルクがアイビーの顔を見た。

 しかし、アイビーは身体(カラダ)を振って頭と背中に付いたお菓子の屑(クズ)を取っている最中だった。



「ハァー、もう良いわよ」



 えっと……俺、小芝居までさせられたのに? 

 アイビーの顔の様子を窺うと、どうやらシルクの付け睫毛に気づいていたようだ。

 そりゃー、誰よりも一緒にいる時間が長いアイビーは分かるよね。


 それに、恥ずかしくて「シルク、今日はいつもより可愛いよ」とか言えないよね。

 うんうん、分かるよアイビーその気持ち。

 シルクの溜め息に、アイビーの感情について思いを巡らせていると、クレマチスが俺の背中に胸を押しつけてきた。



「リリー様、東から私の眷属の匂いがしてきました。クンクン、リリー様の良い薫りもします」



 アイビーと同じで、クレマチスの鼻が良いことは知っているけれど、なぜ近づいてまで匂いを嗅ぎに来るの? 

 しかもなぜ、ボリューム感タップリの胸を押しつけてくるの? 



「クレマチスちゃん、私の匂いは今はどうでも良いからね。それよりも、貴女の眷属って東の空に見えるあの子の事かな?」



 クレマチスと東の空に見える龍の事を話していると、シルクが俺に炎龍と繋がっている魔道具を見せてきた。



「リリー、炎龍から連絡が来ているわよ。ほら」

「シルク、ありがとう。ハイビスカスのママさん、どうしたの?」



 ハイビスカスの母親である炎龍だが、無闇に俺が名前を付けると進化してしまうので、ちょっと長いがハイビスカスのママと名称している。



「リリー様、そちらに風龍が向かっているのが見えました。私、もう少しで砂浜に着きます。それまで、クレマチス様とご一緒にいて下さい」



 あれ? この前より鱗が少なくなって、より人に近づいている美女だけど、なぜそんなぶち切れた顔をしているの? 

 美しい顔が、台無しだよ。



「ふぇ? クレマチスちゃん、一体どうなっているの? ハイビスカスのママの顔が、ちょっと怖くなっているよ?」



 ハイビスカスはというと、まだアザレアちゃんとブルメリアちゃん達と一緒にバナナボートで遊んでいる。

 ママのこんな顔を見るより、遊ばせていた方が良いよね。



「リリー様、炎龍は風龍とあまり仲が良く有りません。ですので……」



 下町のスケバンじゃないんだから、ハイビスカスのママさんメンチ切らないで下さい。

 それにその怒っている顔、こっちに映っちゃっているからね。

 ハイビスカスが見たら、泣くよ? 

 もう少し、穏やかな表情をしてね。



「クレマチスちゃん、じゃー止めてよ」

「ですが、リリー様。炎龍が、砂浜に到着したようです」



 クレマチスの指摘に後ろを振り返ると、炎龍が人型の状態で大きく羽を広げており、前面に大きな魔法陣が描かれ、既にブレスを放つ体勢を取っていた。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 王妃専属メイドが王妃の装いを決めようとしていると、シルクがやって来た。

シルク「ねえ、ねえ」

王妃専属メイド「シルク様、申し訳ありません。今王妃様の装いを決めて

        おりますので、少々お待ちください」

 シルクがメイドさんに頻りに話をしているけど、ホワイト王妃が手を広げて

待っているよ。

 俺が何とかしないと、メイドさんが王妃に怒られちゃう。

リリー「シルク、メイドさんの邪魔になるからこっちに来て」

王妃専属メイド「リリー様、恐れ入ります」

リリー「良いの」

 今度は、王妃のメイク道具をメイドさんが運んでいるとシルクが声をかける。

シルク「ねえ、ねえ」

王妃専属メイド「シルク様、そんなにも化粧が気になるのですか?」

シルク「うん。私も王妃様みたいに、化粧したいなー」

 シルクが、またメイドさんの邪魔をしている。

リリー「もぉー! シルク? メイドさんが困ってるから……」

 俺が邪魔をしているシルクの手を引いていると、王妃とメイドが話し出した。

王妃専属メイド「私は、シルク様の化粧は必要無いと思うのですが……」

ホワイト王妃「そうよね。シルクちゃん、肌の艶もあって綺麗よ」

王妃専属メイド「恐れながら、申し上げます。ホワイト王妃様も、私は

        化粧をされない方が宜しいかと思うのですが……」

ホワイト王妃「そう? ウフ。リリーちゃんのお酒を、毎日飲んだ甲斐が

       あったわ」

王妃専属メイド「喜ばしい限りです」

ホワイト王妃「そうだわ。シルクちゃんに付け睫毛してあげたら?」

王妃専属メイド「宜しいのですか?」

ホワイト王妃「良いわよ」

王妃専属メイド「かしこまりました」

 こうしてシルクは、付け睫毛をメイドさんに付けてもらった。

 しかし、元々シルクは睫毛が長いので誰も気づかないのであった。

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