ウインドウォーター王国リゾート施設? 1
「「うーみぃー!」」
別荘の前が海なのだが、お約束のように海に向かって叫ぶのは、日本人としての性なのだろう。
ただ、俺の家族は俺が創った物で遊んでいるので仕方ないのだが、隣にいるのがシルクだけというのが寂しい。
「リリー、当たり前でしょ? しかも、何で私まで一緒に海って叫ばないといけないのよ?」
と言いつつ、一緒に叫んでくれるシルク。
要するに、ツンケンしているが根は誰よりも優しいのである。
「シルク、違うのよ。こう海を前にすると、高ぶる気持ちが湧いてきて思わず叫びたくなるの」
分かる人には分かる、とだけ言っておこう。
「思わずって……リリーが、事前に打ち合わせしてきたでしょ」
「テヘッ」
だって、俺の寝言を誰よりも聞いているシルクには、海での作法を教えておいた方が良いと思ってね 。
「テヘッじゃないわよ、全く。それよりも、さっきから王子様がリリーを熱い視線で見ているわよ」
「はうっ……」
そう、もう一つ言わないといけない事があった。
いや、別に忘れていたわけじゃない。
あの眼や笑顔が、どうしても頭を過るので思い出したくなかったのだ。
完全耐性がある、俺の心まで惑わす眼や笑顔ってどんな能力だよ。
神っている淫魔じゃあるまいし、ホントにもう。
ウインドウォーター王国の第三王子の件だが、俺が女神だと分かった事で第三王子が複雑な顔をした。
そして別室に呼ばれて行ってみると、王子としてエンダンの話しを持ちかける事はしないと約束をしたのだ。
……何、炎弾? 澱みの魔物との戦闘後だったので、一瞬そう考えた。
しかし、
「だけど、君のことが諦めきれないんだ。だから、好きでいることは駄目かい?」
と言って、手を握られた。
それで、縁談の事だとハッキリと分かった。
いやいや、縁談ってどういう事?
果物屋さんで偶然会って話して、交流試合の時も笑顔を向けて手を振っただけだよ?
それと事態の収拾を早める為に、国民の事を思いテレポートする時に王子の手を軽く握っただけだよ?
「――――」
しかし、こんな時に何と伝えれば良いか分からなかった俺は黙っていた。
すると、どう伝わったかのかは定かでは無いが、第三王子は笑顔になり
「ありがとう」
と言って手の甲にキスをして、その部屋から立ち去った。
暫くボーッとその部屋で突っ立っていた俺だが、スミレちゃんに手を引かれた事で我に返った。
どうやらスミレちゃんは、心配で俺の後をつけていたようだ。
その日は頭がボーッとしていたが、ウインドウォーター王国の王妃とフォレストムーン王国の王妃と王女が、俺の別荘に泊まりに来たことで、それどころではなくなった。
そして次の日の今日、第三王子が今ここに遊びに来ている。
遠巻きに見ていると、王子とスミレちゃんが俺の事で言い争いだした。
まあでも、杏ちゃんが仲裁してくれているようなので任せておこうと思う。
俺が行くと、またあの眼差しと笑顔を向けられるからね……。
「スミレちゃん、杏ちゃん、ウィリディスム王子、レモンと一緒にリリーちゃんが作ってくれた乗り物に乗ろうよ」
言い争っている二人を見て、レモンちゃんも声をかけたようだ。
それにしてもレモンちゃん、リボンとフリルが沢山付いたタンキニビキニが凄く似合っているよ。
レモンちゃんの成長は、背だけに留まらなかった。
シルクの言うとおり、胸も成長していた。
なので、EからF寄りに変更済みだ。
実は俺が創った水着は大好評で、昨日の夜に女の子達だけでファッションショーが行われた。
初めは皆恥ずかしがっていたのだが、王妃二人とカトレア先生とロベリアさんの大人組が、ほろ酔い気分でリビングにやって来た。
そして私達も着たいと言って、セクシーな肌見せが特徴的なモノキニや、大人のセクシーさが際立つ黒ビキニやアニマルモチーフビキニを着て自慢しだした。
なので、皆すっかり恥ずかしくなくなったようだ。
けれど、折角俺が王妃達やカトレア先生達の事を考えて、肌を隠せるように考慮し透け感のあるワンピースとフレアスカートのような物を付けたのに、全く意味がなかった。
スミレちゃんはレモンちゃんに笑顔を向けつつ、バンドゥビキニセットを着て二つの膨らみを大きく揺らして腰に手をやり、第三王子を再び睨んだ。
バンドゥビキニに、清楚系で透けているドレスがセットになったセット水着なのでスミレちゃんに凄く似合っていて可愛い。
やっぱり、この水着を選んで正解だったな。
だけど、スミレちゃん?
笑顔に、なろうよ。
「ウィリディスム君、話はこれで終わりにします。ですが、リリーちゃんをその眼と笑顔で見ないで下さい。スミレ、気分が悪くなります」
ウィリディスム君は、流石王子様だね。
スミレちゃんの二つの膨らみがあんなに大きく揺れているのに、そこに眼が行っていない。
エレモフィラ君とバレリアン君とは、えらい違いだ。
俺も、人の事は言えないけれどね。
この二人は皆の着替えを覗こうとした事で、リカステさんに拳骨を喰らって只今正座中である。
しかし、二人の眼は色々な所に行っている。
恐らく、皆の水着姿を眼に焼き付けようとしているのだろう。
それは、健全な男の子として分からなくはないよ。
だって、今この砂浜は美女と美少女しかいないからね。
「パープルちゃん、だけどこの眼は生まれつきなんだ。どうすることも、出来ないよ」
確かに、生まれつきならしょうがないよねウィリディスム王子。
だけど、女の子達を虜にするあの能力って王子特有の能力なのかな?
……あっ! あの白い歯も、そうか。
って言うか、スミレちゃんの隙をついて、笑顔をこちらに向けて来ないでください。
ほら、ウィリディスム王子?
また、スミレちゃんに睨まれているよ?
「まあまあまあ、二人とも落ち着いて下さい。レモンちゃんが誘ってくれていることですし、杏も行くのでご一緒しませんか?」
うんうん、杏ちゃんも清楚系の水着が凄く似合っているよ。
杏ちゃんには水着を創っていなかったので、どの水着が良いか確認すると、スミレちゃんが着ている水着姿を見て虜になったのだ。
なので、杏ちゃんの水着はスミレちゃんと同じ形だけど色違いの水着にした。
水着が同じだと、スミレちゃんの機嫌が悪くなると思ったが寧ろ喜んでいる。
どうやら今回の戦いで、杏ちゃんとかなり仲が良くなったようだ。
レモンちゃんも、良い頃合いで来てくれたようだし任せていても大丈夫だよね。
それに、魔動水上バイクで皆で遊べば蟠りも無くなるだろうしね。
若しくは、この砂浜から少し離れてはいるが、全長が1500mもあって高低差が150mもあるアトラクションが超満載の魔動巨大ウォータースライダーが三つある。
それに皆で乗って協力すれば、蟠りも無くなるんじゃないかな?
勿論、全長が50mと100mの高低差で動く普通の魔動ウォータースライダーも二つ有るよ。
普通とは言っているけれど、全ての魔動施設は全自動で安全に管理されている。
なので、壊れる心配はないし整備も掃除をする必要も一切無い。
それに、一つ目のアトラクション型の魔動巨大ウォータースライダーは、海の滝や珍しい花の情景、それに魚達が見える海底トンネルを再現した物が多数あり、皆で巨大な浮き輪に乗って探検気分を楽しめる。
通常施設は高低差を考えなければ動かないが、魔動施設の強みは高低差を一切考えなくて良い点だ。
それに二つ目と三つ目の超アトラクション型の魔動巨大ウォータースライダーは、一般人向けと冒険者向けがある。
二つ目の超アトラクション型の魔動巨大ウォータースライダーは一般人向けで、皆で巨大な浮き輪に乗って疑似型魔物が現れた所を、専用のウォーターガンで当てる事で魔物討伐気分を楽しむ事ができる。
三つ目はドラシルシステムとまだリンクさせていないので、お昼から皆で行こうと考えている。
恐らく、これらを堪能すればスミレちゃん達も笑顔になってくれるだろう。
これらの超魔動施設が創れたのは、ホワイト王妃の個人所有している浜辺から少し離れた浜辺一体を、この度の報償としてウインドウォーター王から賜ったからだ。
ならば、海で遠慮なく遊び尽くそう。
と言うことで、他にも色々とアクティビティに遊べる物を海辺に創ったのだ。
その一つが、レモンちゃんがスミレちゃん達を先ほど誘っていた魔動水上バイクだ。
魔力で動くプロペラが付いたボートのような物で、ゆったりと海を移動することが出来る。
その他にも、カイトボード、カイトサーフィン、バナナボート、ビックマーブル、シーカヤック、ウィンドサーフィン、サーフィン、ボディーボード、ニーボード、スタンドアップパドルボードが出来るように道具を色々と創ってみた。
カイトボード、カイトサーフィン、バナナボート、ビックマーブルは、魔動カイトまたは魔動ジェットスキーで引っ張ろうかと考えた。
しかし、クレマチスとハイビスカスが飛びたそうにしていたので、空を自由に飛んで二人に引っ張ってもらうことにした。
カトレア先生とロベリアさん達は、その白龍と炎龍が引くカイトサーフィンとバナナボートに、只今絶賛中である。
因みに、カトレア先生とロベリアさんの水着はセクシーな肌見せが特徴的なモノキニの色違いである。
カトレア先生は元々セクシーな服が多かったので、着ることに抵抗はないだろうと考えていたが、ロベリアさんも抵抗なく着てくれた。
お酒の勢いもあって、着たまま皆の前で眠りについた事が、ロベリアさんの心情を大きく変えたのかもしれないけれどね。
「何これー、凄いわ凄いわ。クレマチスちゃん、もっとスピード上げても良いわよ」
「カトレア先生、行きますよー」
「ヒィーヤッホォー! クレマチスちゃん、最高!」
そう言ってカトレア先生とクレマチスちゃんが、カイトサーフィン改めドラゴンサーフィンをして楽しんでいた。
魔動カイトや魔動ジェットスキーと違って、動力が白龍なのでスピード感が異常なほど出ているのだが、カトレア先生は自信の能力である疾風迅雷で慣れているせいか燥いでいた。
一方ロベリアさんとアザレアちゃんとブルメリアちゃんは、バナナボートをハイビスカスに引いてもらっている。
因みに、アザレアちゃんはフリルやフレアを沢山あしらったオフショルダービキニで、ブルメリアちゃんはヘルシーフェミニンなフリルやリボンが沢山付いたカットアウトバンドゥビキニである。
クレマチスとハイビスカスは、現在龍に変化しているので何も着ていない。
でも人型になったときは、一瞬でアクセサリーから自動で排出され水着を着ることが出来る。
因みにクレマチスの水着は、胸元をクロシェ編みのフリルで隠したハイネックのビキニで、下もクロシェ編みのフリルと可愛らしいリボンが付いている大人可愛い水着だ。
ハイビスカスはクレマチスより小さいので、可愛いリボンとフリルが沢山付いたワンピース水着である。
「ハイビスカスちゃん、はーやーいー。もっと、遅ーく」
いや、ちょっと待ってよロベリアさん?
普通、バナナボートって早く引かないと面白くないと思うのだけど?
まあ確かに炎龍の赤ちゃんとは言え、魔動カイトや魔動ジェットスキーとは比べものにならない位早いけれどね。
それに、ゆったりと海を楽しみたかったらレモンちゃん達が乗りに行った魔道水上バイクに乗れば良いのに……。
「ロベリアさん、それじゃ楽しめないですよ! ハイビスカスちゃん、アザレアは早いほうが楽しいです」
うんうん、アザレアちゃん分かってるじゃない。
バナナボートは、早く引いてもらうほど楽しいよね。
「ブルメリアも早いほうが、楽しいです」
アザレアちゃんとブレメリアちゃんの申し出で、ハイビスカスがスピードを上げ始めた。
「キュウー、キュー!」
ハイビスカスも スピードを上げるのが楽しいようだ。
「「キャアー!」」
アザレアちゃんとブルメリアちゃんの楽しい悲鳴が聞こえてくる中、ロベリアさんの顔色が悪い。
「ウプッ! お姉さん、酔っちゃったー」
まるで大阪で会った、飲んだくれのお姉さんのようだ。
その様子を横目で見ていたカトレア先生が、ロベリアさんを気遣ってかバナナボートにドラゴンサーフィンを寄せて併走しだした。
併走していると簡単に言っているが、龍種が引いているので凄いスピードである。
まあ事前に皆には、身体に負担がない程度の身体強化魔法をかけているので、問題はないと思うけれどね。
「ロベリアちゃん? これ位の早さで、何青い顔しているのよ? 私なんて、クレマチスちゃんのスピードを思う存分楽しんでいるわよ」
あれ? ロベリアさんの、顔つきが変わった?
嫌な、予感がする。
カトレア先生、気をつけて……。
「エヘヘー。じゃー私もカトレアちゃんみたいにー、楽しんじゃおーかなー」
やっぱり、あの顔が悪戯するときの顔か……気をつけないとね。
「キャー、馬鹿! ロベリアちゃん、水着を引っ張るな!」
ザッバァァァーン!
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リカステ「お前ら、女性には紳士に振る舞えとあれほど言っておいたのに、寄り
にも寄って着替えを覗くとはな。馬鹿どもが、これも精神訓練だ。
正座して、完全に目を瞑れよ」
バレリアン「先生、これは僕達に対する嫌がらせですか? この仕打ちは、
蛇の生殺しですよ」
エレモフィラ「ふっ! 俺は、リリーちゃんの水着が見られるなら、どんな困難
にも耐えられるよ」
リカステ「だから、お前ら眼を瞑れと言っとるだろうが! 今回の訓練は、様々
な事にも役立つぞ! 視覚を遮断された状態で、惑わす能力を持った
魔物に対する対処方法だ。音を聞き分け、必要な情報だけを聞き取れ」
バレリアン「先生、可愛らしい女の子の声しか聞こえません」
エレモフィラ「ふっ! 俺は、リリーちゃんの声だけが聞こえるよ」
リカステ「お前らなー……二十分眼を瞑ったまま、精神統一する事! それが
終われば自由にしてやる。但し、邪な事をすると延長するからな!」
バレリアン&エレモフィラ「「はい」」
リカステ「……お前ら、あと三十分追加な!」
バレリアン「先生、僕は両目で見ていませんよ! なんで、時間が増えているの
ですか?」
エレモフィラ「ふっ! 俺も、片方しか開けてないよ」
リカステ「俺は、両目を瞑れと言ったんだ。不正をすると、十分増えるからな!」
バレリアン&エレモフィラ「「はい」」
リカステ「……お前ら、あと四十分追加な!」
バレリアン「先生、前に立たれると見えません」
エレモフィラ「ふっ! 角度を変えれば良いのさ」
リカステ「俺は、薄目を開けて見て良いと言ってないぞ」
エレモフィラ「ふっ! 今度は、少し横にずれたら良いのさ」
バレリアン「エレモフィラ君、頭良い!」
リカステ「……お前ら、どれだけ見たいんだ。訓練に、ならんぞ! それと、
あと五十分追加な!」
バレリアン&エレモフィラ「「はい」」
どうにかして、美少女の水着姿を眼に焼き付けしようと奮闘する
思春期真っ盛りの男子二人組であった。




