封印されていた魔物22
俺が【眷属】・『使徒』・「従者」のオープンテレパシーにしたと同時に、澱みの蜘蛛が前進してきた。
それを、ユグドラシルが出した百騎の騎馬隊が突撃をして止める。
しかし、百騎の騎馬隊は一瞬にして蹴散らされ消えた。
それを見てユグドラシルが、新たに百騎の騎馬隊を出現させた。
「皆、大丈夫? 怪我は、していない? 絶対領域! ユグちゃん、騎馬隊に神結界を展開させたわ」
「ありがとうございます、リリー様。フラワー キャヴァリアー、百騎前進! 我を阻む澱みの蜘蛛を、破壊せよ」
神結界と攻撃補助魔法を騎馬隊に展開したが、どこまで耐えられるか分からない。
俺は効果が有るのか不明だが落ちていた石を拾っていたので、その石に魔虫蜜を少し塗って拳神の力を使用しユグドラシルの騎馬隊の補助攻撃を行う。
澱みの蜘蛛に当たった瞬間石は砕けるが、どうやら蜜が付いた石が当たると澱みの蜘蛛はダメージを受けるようで後ずさりする。
よく見ると、魔虫蜜が付着したところが溶けていた。
でも、すぐに再生して元に戻ってしまう。
魔虫蜜という一つの弱点は見つけたものの、巨大な蜘蛛を覆う程の蜜はない。
それに澱みの蜘蛛の糸は、魔法吸収したり反射したりするので、魔法による援護攻撃はできない。
やはり、根本的に攻撃方法を考えた方が良いかもしれない。
澱みの蜘蛛は、蜘蛛の糸をばら撒いて騎馬隊の数を減らしていた。
厄介な糸だ。
攻撃と防御を、兼ね備えている。
ユグドラシルの軍勢は、神結界のお陰で蜘蛛の糸の攻撃を何度か耐えることが出来るが、やはり権限差で神結界が浸潤してしまうようだ。
それに、神結界を纏った騎馬隊の突撃で後退はするものの、騎馬隊の通常攻撃ではダメージを受けないようだ。
「こちらは、ちょっと不味いことになったけれど対応しながら報告を聞くね。
くっ! 何度か耐えたけれど百騎が……ユグちゃん、攻撃補助魔法と絶対領域を全ての軍勢に展開させているからね。
でも、少しでも傷ついた騎馬隊がいたら下がらせて。私が、回復させて再度絶対領域をかけ直すから」
「リリー様、感謝致します。フラワー キャヴァリアー、千騎前進! 我を阻む澱みの蜘蛛を、破壊せよ!」
【「リリー様こちらに怪我はありませんが、思うように澱みの海牛の魔石に攻撃が出来ないでいますぅにゃん。クレマチス、集中して攻撃ぅにゃん!」】
ユグドラシルが騎馬隊を千騎前進させたので、俺も石による補助攻撃をすると、スノーが報告してきた。
【「ひゃい、スノー様」】
クレマチスちゃんは、スノーの指導で上手く攻撃しているようだ。
【「クレマチスちゃん、その調子ですわ。ですが、スノー様の仰るように矢を絶えず打ち続けて下さい」】
【「はい、葵様」】
ただ、スノーと葵に対する返事の仕方が少し違うよね?
まあでも、上手く連携は取れているようだ。
【「リリー様こそ、お怪我はございませんの?」】
「うん、葵ありがと。私とユグちゃんは、元気よ」
その代わり、華の騎馬隊が何度か突撃を繰り返す度に数十騎が消滅させられている。
やはり、俺が直接攻撃した方が良いか?
俺が蜜を付けた二刀包丁を持って出ようとすると、ユグドラシルに止められた。
「いけません!」
「だけどね、ユグちゃん」
突撃する騎士達が、気の毒でならないんだ。
「リリー様、フラワー キャヴァリアー達の顔を見て下さい。皆、誇らしい顔をしております」
確かに、騎士達は突撃するのを躊躇せず突き進んでいる。
だけど、それは花の中偉聖霊王女であるユグドラシルのためだ。
「いえ、リリー様それは違います。私の一番大切なお方は、リリー様です。フラワー キャヴァリアー達は、その思いを受け止めて戦っているのです」
『「リリー様、良いでしょうか?」』
ユグドラシルに止められていると、アイビーの声が聞こえてきた。
「うん、アイビー良いよ」
『「シルクと僕は怪我も無く、問題ないです」』
あれ? でも、アイビーの声が少し大人びている気がする。
それに、自信をもって答えている気もする。
もしかすると、心境の変化が有ったのかもしれない。
『「リリー、本当に怪我をしていないのでしょうね? 貴女、人に心配させないようにするところ有るから」』
シルクって普段は腹ぺこ妖精だけど、こういう時は心配性なんだよね。
でも、心配してくれるのは正直嬉しい。
「シルク、ありがと」
『「レモン達はシルクちゃんが来てくれたので、もう大丈夫だよ。炎龍のママは、寝転んでいるしね。ミィー!」』
シルクにお礼を告げていると、レモンちゃんからの報告があった。
相変わらず、ケットちゃんの声が混ざっている。
でも、炎龍が寝転んでいるってどういう状況?
レモンちゃんの、睡眠魔法で炎龍を眠らせたのかな?
だけど炎龍は、睡眠耐性がワイバーンよりも遥かに高い筈。
そう簡単に、眠らないと思うのだけど?
『「レモンちゃん、それはアイビーちゃんが能力で平伏せさせてくれているのですよ」』
炎龍の状況について考えていると、スミレちゃんが状況を教えてくれた。
『「リリーちゃん、スミレ達はシルクちゃん達のお陰でもう大丈夫です。ですが、リリーちゃん達は大丈夫なのですか? ユグちゃんの指揮で、軍勢を動かしているようですが?』」
成る程ね、アイビーの重力を操る能力か。
でも、スミレちゃん達にシルク達が合流したのなら安心できる。
「実はね、澱みの蜘蛛と現在交戦中よ。今ユグちゃんの華の軍勢が対応してくれているけれど、長くは持たないみたい」
【「不味いですわね。リリー様、何か届いていませんか?」】
澱みの蜘蛛との状況を伝えると、葵が届きものが無いか聞いてきた。
そう言えば、その事も伝えようとしてオープンテレパシーにしたんだった。
「葵、私その事も言おうとしてたのよ。女神システムサービスから、お誕生日特典プレゼントが届いたわ」
【「リリー様、葵はそれを待ち侘びておりました。
それは一度しか使用する事が出来ませんが、私達の結びつきを今以上に繋げる事が可能となる強力な女神の法具ですの。
その法具を使用すると、装着されている間だけ一時的にリリー様の能力の奥底に私達がリンクする事が可能となります。
同様にリリー様も、私達の能力の奥底にリンクする事が可能となりますわ。
ですので、葵がリリー様の能力にある限界突破にリンクすれば、劣化型神武具の真の能力を使徒・眷属・従者の皆が使用可能となりますの」】
葵が俺の限界突破LV2にリンクすると、使用出来る?
そう言えば、葵の召喚は限界突破の一部から行ったものだ。
スノーが不明と言っていたので、俺は限界突破の能力にもあったエディット機能は使用していない。
この世界や、俺の世界の能力ではないと感じたからだ。
つまり限界突破という能力は、葵の世界の能力で、葵は限界突破の能力と密接しているということか。
だけど、この法具の形って明らかに下着だよね。
それに葵が以前、下着の話をしていた気がするんだよね。
少し、探りを入れてみるか。
「葵? 女神の法具、なぜか形が変なのだけど……どうやって、使用すれば良いの?」
【「リリー様、女神の法具と一緒に取扱説明書が有ると思います。確か小冊子に記載してあったのは形は違いましたが恐らく同じ使用方法ですの。それを胸に直接あてがいリンクスタートと仰れば発動する筈ですわ」】
やはり、葵は知っていたか。
しかも、直接胸にあてがう?
確かに、下着は直接肌にあてがうものだけど今は戦闘中だよ?
そう考えていると、ユグドラシルがさり気なく取扱説明書を開けて指をさしてくれた。
直接、肌にあてがう必要性は無い……もう少し読まないと、分からないけれど。
「葵、下着の上からでは駄目なの?」
【「リリー様、それは駄目ですの! 直接胸にあてがって頂かなければ、葵が困りますの!」】
なぜ、葵が困るの?
ますます、意味不明だ。
「葵? 今、取扱説明書を読んでいるから待ってね」
【「リリー様、取扱説明書をお読みにならなくても葵が……」】
「――――葵? これって、直接胸にあてがう必要は無いよね? しかも、お客様の特別要望で創りましたとも記載があるのだけど? それに、特別要望のため時間を要してしまったとも別紙に書いてあったよ。一体、どういう事?」
【「くれぐれも、ご内密にと記載しましたのに……」】
「葵、聞こえているよ?」
【「コホン! リリー様、葵はお得に使える様要望しただけですわ。その法具の力が無くなったとしても、法具の形自体は残りますの。ですので、形として残るのなら葵が後で……ウフ」】
やっぱり、葵の魂胆か。
この誕生日特典って、葵が特別要望をしたから遅くなったんじゃないの?
まあでも、俺も人の事を言えないけれどね。
でも葵がこの特典を選んでくれたことで、今の状況が良くなるのなら俺は葵に感謝はしているよ。
形が形だから、使用した後は葵に渡さないけれどね。
「葵、下着の上から着けたよ。じゃー、リンクスタート!」
【「リリー様、なんてご無体な。
葵は、リリー様の肌の温もりと仄かな薫りが付いている方が良いですのに……ですが、リリー様感謝致しますわ。
葵の奥底で、リリー様と繋がりましたの。繋がりがなされた今、限界突破の能力で劣化型神武具を解放可能に致します。
ですが、使用者が劣化型神武具の真の力を解放するには真字を必要としますの」】
スノーや葵達の技や魔法までもが、俺の中で使用可能となった。
これが、女神の法具の力。
結びつきを、更に繋げる力か。
「葵、真字って?」
【「真字とはマナやマンナとも読み、意味合いは真名と同じ意味合いですの。
悠久の時の中で神武具は、数え切れない勇者や叡知ある者達に使用されてきましたわ。
そしてその者達に使用される度に、新たな名を与えられ、その者に合った形に変化してきました。
つまり神武具の真の力を発揮する為には、使い手に合った真字を決めなくてはなりませんの。
真字とは本来使い手の名であり、神武具は使い手の真字を以て真の力を発揮致します。
現在表示されている名は仮初めの名であり、別の神が創られた神武具の名ですの。
ですので、魂の奥底でリリー様と絆が繋がった今の私達なら、神武具の真字を解放し、その者にあった真字で真の力を発揮する神武具となりましょう。
皆様、リリー様との繋がりを心の奥底で感じとり自身の名を神武具に込めてこう叫ぶのです!
トゥルー ネイム リベレイション! と。
さすれば、神武具に真字の印が刻まれ、本来の能力を発揮する事が可能となりますわ」】
葵の説明が終わると、スノー、葵、クレマチス、スミレ、レモン、杏、シルク、アイビー、ユグドラシル、皆の真字が俺の心に届いた気がした。
【【『『「「トゥルー ネイム リベレイション!」」』』】】
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「ん? んー?」
シルク「リリー、レモンちゃんを見つめてどうしたの? もしかして、レモン
ちゃんの頭に乗っているキットちゃんが気になるの?」
リリー「キットちゃんも気になるけれど、レモンちゃんを見ていると
水着のサイズの微調整が必要だなーっと思って」
シルク「あー……明らかに、大きくなっているわよね」
リリー「でしょー? やっぱり、子供は成長が早いよねー」
シルク「だねー。絶対ライムさんに似て、大きく膨らむよねー」
リリー「膨らむ? シルク、レモンちゃんの背の高さが?」
シルク「えっ? レモンちゃんの、胸の膨らみじゃないの?」
リリー「ほぇ?」
大きさの事になると、注視する場所が違うリリーとシルクであった。




