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封印されていた魔物8

 【リリーSIDE】


 マウスLV2で山に来ると山が全て四色の糸に覆われていた。

 そして、山の頂上に行くに連れて糸の密度が濃いく侵入するところが無かった。

 その四色の糸を切り裂こうとすると、ユグドラシルが現れた。



「リリー様、お待ちください」

「ユグちゃん、どうかしたの?」



 俺はそう言ってマウスLV2を使用し、上空に戻った。



「山の麓にいる、魔虫をご覧下さい」



 ユグドラシルに言われ麓の魔虫を見ると、魔虫達が四色の糸に触れる度に、炎で燃やされ、風で切り刻まれ、水弾で穴を開けられ、至る所に死骸が転がっていた。



「魔虫や魔物の死骸が、いっぱい……」

「リリー様、恐らくあの糸には色それぞれにあった属性魔法が付与されていて少しでも触れると魔法が発動するようになっているようです。ユグは糸の効果を確認してから、頂上に向かわれた方が良いと思います」

「みたいね。ユグちゃん、教えてくれてありがと」



 俺はユグドラシルの忠告に従い、比較的糸が密集していない山の麓に降りた。

 麓に来ると、木の上側に糸が張られたいたが下には糸が無かった。

 これなら、通れる。


 その前に、糸の性質を確認した方が良いだろう。

 それに、木の上に糸が張られているのに木が燃えたり、切り刻まれたり、穴を開けられたりしていないのだ。

 なのに、魔物や魔虫が触れる度にその色にあった魔法攻撃が発動し死骸となっていた。


 俺は確認するために、石を赤、緑、青、黄色の糸にそれぞれ投げてみた。

 すると石は、燃やされ、刻まれ、穴を開けられ、くっ付いた。

 次に、木の枝を投げてみた。

 すると同じように、燃やされ、刻まれ、穴を開けられ、くっ付いた。


 次に、魔法を放ってみた。

 すると、赤色の糸は火の魔法を吸収し、水の魔法と氷の魔法を反射し、風と地の魔法で切ることが出来た。

 緑色の糸は、風魔法を吸収し、地の魔法を反射、火と水の魔法で切ることが出来た。

 青色の糸は、水と氷魔法を吸収し、火の魔法を反射、風と地の魔法で切ることが出来た。

 しかし、赤、緑、青色の糸は光りと闇の魔法を反射した。


 黄色の糸は四属性の魔法を吸収し、同じく光りと闇の魔法を反射した。

 しかし、それだけではなかった。

 職を剣神にして木の枝で切ってみると、赤、緑、青色の糸は切れたが、黄色だけは切れなかった。

 しかも、弾力がありくっ付いて糸が少し伸びるだけで取れなくなった。


 容姿を十二歳から十五歳にし、力を入れて無理矢理引っぱると、その木は根元から折れてしまった。

 そしてしばらくすると、他の色の糸もくっ付いていたせいか燃えて刻まれ穴だらけになった。

 魔法で火を鎮火させたが、迂闊に木を折ることも出来なくなった。


 この事から分かったのは、生命力豊かで且つ生きている木に対して糸は何も示さないが、生命力を失っていった木や死んでいる木はその効果が出てしまうと言うことだ。

 これは、不味い。


 木の枝は沢山落ちているので武器として使用しても問題はないが、鉄の槍や包丁が黄色の糸に引っ付いてしまうと使い物にならなくなってしまう。

 魔法を駆使すれば、赤、緑、青色の糸は全て断ち切ることが出来るが、黄色の糸は断ち切れず魔法を吸収若しくは反射されてしまうということだ。


 それに黄色以外の糸を全て断ち切った時に、澱みの魔石を取り込んだ魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーが眠りから眼を覚ますかもしれない。

 それは、折角の好機を逃す事に繋がる。


 そして、黄色い糸の反射と吸収については理解出来たが納得できない点がある。

 他の糸は切れたのに、この糸だけなぜ切れないのか? 

 そしてよく観察すると、黄色の糸だけ纏わり付くように障壁が見えた。


 澱みの魔物の障壁が断ち切れないと言うことは、今まで無かった。

 つまり俺の管理者権限よりも能力が上、若しくは特殊な能力持ちなのか? 

 ……それにしても、澱みの魔石を取り込んだ魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーって言う名前長過ぎだよね? 


 今から、澱みの魔石を取り込んだ魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーの事を、澱みの魔喰らいダーにするよ。

 いや、……まだ長いか。

 じゃー、蜘蛛……その辺りにいる、蜘蛛じゃ無いんだから。

 じゃー、大っきい蜘蛛……大っきくなっている、だけやん。

 じゃー……



「リリー様?」



 プニュプニュ! 



「リリー様?」



 プニュプニュ! 



「ひゃい?」



 ユグドラシル君? 君はなぜ俺に何かを伝えようとする時、いつもいつも耳元まで態々(ワザワザ)来て二つの膨らみを頬に当ててくるの? 

 肩に座ったまま話しかけて来ても、普通に聞こえるよ? 


 難聴じゃ、ないんだからね。

 それに、言葉じゃ無くて心情で伝えてきても良いんだよ? 

 君とは、通じ合っているのだから。



「済みません。ですがリリー様が一人の世界に入り込んでいたもので、耳元でお話した方が気がつかれると思いまして……」



 確かに、俺はよく勘考する事が有る。

 しかも、勘考中は肩を叩かれても少々の事では気づかない場合もあるよ。

 モフモフ達と戯れている時も、そうだ。


 どさくさに紛れて幼狐の葵が触ってきても、モフモフの毛並みに癒やされている場合は、全く気づかない

 今朝も十五歳の容姿で、幼虎姿のスノーを仰向けで抱いて気持ちよさに浸っていると、エレモフィラ君とバレリアン君が二階から降りてきて、アザレアちゃん達に見ちゃダメと言って反対方向を向かされていた。


 小首を傾けて、アザレアちゃん達にどうしたのか聞いてみると下着が丸見えだったらしい。

 自宅で寛いでいる時に、下着が見えるからと言って、見えない装いを着るとか普通そんな事考えないよね? 

 だけどその後、



「リリーちゃん? 男子が二階の部屋にいるのだから、下着が見えない装いを着て!」



 とこっぴどく言われたが、生憎そんな装いは魅惑の着ぐるみセットしかないよ? 

 魅惑の着ぐるみセットを着ちゃうと、皆を魅了しちゃうので着られない。

 なので結局、下がスカートの装いを着ることになるのだ。


 夏の時期、大阪で一人暮らしをしていた俺は普通にパンイチだったぞ。

 地元に帰ってからは、マンションに毎日のように妹が来るようになったので、それは止めたけれどね。



 プニュプニュ! 



「だから、ユグちゃん?」



 余計なことを勘考していたのは認めるけれど、耳元まで態々(ワザワザ)来て二つの膨らみを頬に当てて来ないでね。



「そんな事よりも、リリー様? もう素直に、澱みの蜘蛛で良いのでは?」



 そんな事って、もぉー! 

 確かに、余計な事を勘考する俺が悪いのだけどね。

 それに話が終わらなくなるので、その名前で良いよ。



「じゃー、ユグちゃんの案を採用します。澱みの魔石を取り込んだ魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーは、今から澱みの蜘蛛です」



 そう言って山の奥まで進んで来ると、30m以上は有るだろう高い木の上に魔虫の巣が有った。

 魔虫は俺の世界で言うと、少し大きな蜜蜂のような見た目で、巣には魔虫蜜を蓄えている。

 その魔虫蜜は極上の美味しさらしいが、辺りはその魔虫の巣でいっぱいだった。


 しかし、上に飛んでいる魔虫が一切おらず、下には死骸が落ちているだけだった。

 恐らく、澱みの蜘蛛の糸にやられたのだろう。

 二つ下に巣が落ちているので近づいていくと、中の幼虫は熱で死んでいた。


 恐らく近くに澱みの蜘蛛の糸が張られていて、魔虫が飛んできた時に触れる等して燃えた状態で巣に戻り、更に偶然水弾の水に濡れて鎮火し、熱で中の幼虫がやられたのだろう。

 包丁で巣を割り、死んでいた幼虫を地面に全部埋めてあげた。

 そして、手と手を合わせて



「なむー」

『「リリー様、何をされているのですか?」』



 ユグドラシルが聞いてきたので『心情』で



『「弔って、あげたの。魔虫の幼虫に、成仏してねって」』



 以前、杏ちゃんの果樹園に行った時に正気を失っていた魔虫と戦った事が有る。

 恐らく、魔虫は鋭敏にこの現状が起こることを予感していたのかもしれない。

 残った巣に沢山の魔虫蜜が入っていたので、包丁でそぎ落として掻きだし、容器の中へ入れ魔虫蜜まみれになった包丁も一緒に入れておいた。


 だって、包丁に付いた美味しい魔虫蜜も勿体ないしね。

 後で、料理の材料として使おうと思っている。

 果樹園がある場所からかなり遠いが、ユグドラシル曰く、魔虫達は果樹園の花蜜や薬花蜜も溜め込んでいると言っていた。


 魔虫蜜から、その薫りがするらしい。

 もしかすると、俺の元世界のマヌカハニーのように食物メチルグリオキサールや、周りに生えている薬花草に含まれる成分が入っている魔虫蜜かもしれない。

 手に付いた魔虫蜜を舐めてみたが、思わず身体(カラダ)が震えるほどフルーティーで且つ濃厚で美味しかった。


 魔虫の巣地帯を離れ先へ進むと、山道を登る事になる。

 その山道を登ると、魔物や獣の道しか無くなった。

 どうやらこれ以上先は、人が来ない険しい山のようだ。


 しかし、この先に澱みの蜘蛛がいるのは間違いない。

 なぜなら眼前に見える幅広い斜面には沢山の木々が横倒しになり、100mは有ろうかと思われる背の高い大木の上が、密集した蜘蛛の糸で出来たいたからだ。

 外から見たドーム状の糸の端は、この辺りだろうか? 


 耳を澄ますと、炎龍の雄叫びのような声がかすかに聞こえた気がした。

 ここは吹き下ろしの風が強いので、風の音かもしれない。

 心配になった俺は『使徒』・【眷属】・「従者」テレパシーを使用し状況を確認することにした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

海の別荘にて

アザレア「リリーちゃん、下着が見えているのでスカートを元に戻して下さい」

リリー「アザレアちゃん、教えてくれてありがと」

    そう言ってスカートを直すと、アザレアちゃんは和やかになって階段を

    上がって部屋に帰っていった。

ブルメリア「リリーちゃん、隣に座りますね」

      そう言って、さり気なくめくれていたスカートを

      ブルメリアちゃんが直してくれた。

リリー「うん。ブルメリアちゃんも、ケットちゃんをモフモフしてみる?」

ブルメリア「はい。ケットちゃん小さいですね」

リリー「でしょー」

ケット「ミィー!」

リリー「ケットちゃん、擽ったいよ」

ブルメリア「ケットちゃん、めっ! ですよ。リリーちゃんのスカートの

      中に入ってはダメです」

ケット「ミィ?」

    ブルメリアちゃんはケットちゃんを抱き上げると、レモンちゃんの元へ

    連れて行った。

リリー「ケットちゃん、ブルメリアちゃんに連れて行かれちゃった」

    足をブラブラさせてソファーに座っていると

葵「リリー様に、ダーイブですの!」

    そう言って葵が、幼狐になってスカートの中に入ってきた。

    しかし、そこにスミレちゃんが現れた。

    そして、

スミレ「悪戯幼狐は、スミレがロープで縛ります」

    そう言って、スミレちゃんが人の姿に変化した葵をロープで

    縛っていた。

葵「はうー、ですの!」

    葵はなぜか、嬉しそうにロープで縛られていた。

スミレ「葵ちゃん、幼狐になったら逃げられると思って、反省していない

    ですよね? あっちでお説教です」

葵「――――」

    スミレちゃんから説教されている葵は、静かになった。

リリー「スノー、おいでー」

    スノーと遊んでいると、アザレアちゃんが二階からおりてきた。

アザレア「リリーちゃん、また見えていますよ」

リリー「はい……気をつけます」

    皆がいるリビングでは、モフモフな子達と自由に寛げなくなった

    リリーであった。

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