封印されていた魔物6
【スミレSIDE】
あまりの大きさに圧倒されて、判断が遅れたわ。
炎龍のブレスは、まともに受けては駄目。
ならば、必殺の剣技と属性攻撃で……。
そう思った瞬間、いつの間にか杏ちゃんが客席の最上段に有る照明に備え付けてあるポールから大回転した勢いで飛んでおり、レモンちゃんが張ってくれた障壁ギリギリの位置から今度は真下に回転して強烈な踵落としを炎龍の大きな上顎に食らわせた。
シュルシュルシュル! ドゴォォォォォォー!
「くっ! 硬い!」
そう言って杏ちゃんは回転しながら着地すると、ブレスを阻止された炎龍は一瞬怯んだものの爪攻撃を杏ちゃんに繰り出すが、それを上手く躱し瞬時に私のもとにやって来た。
しかし炎龍は、全く効いているようには見えなかった。
「スミレちゃん、手加減しましたが炎龍の鱗が堅ぎです。杏の回転踵落としを喰らっても、平気で爪め攻撃をしかけてきました」
「杏ちゃん、先制攻撃で確認してくれたのね。それにブレスの阻止、ありがとう。今度はスミレがミスリルソードで炎龍の鱗を切り裂けるかやってみるよ」
「はい、お願いします。杏も手加減して魔力を練らなかったけれど、次の攻撃からは魔力を練った上で手加減して攻撃してみますね」
「お願い」
レモンちゃんを見ると、地面の障壁を一枚張り直していた。
恐らく、杏ちゃんが躱した炎龍の爪攻撃が地面の障壁を一枚破壊したようです。
もし闘技場の防壁がそのままで、炎龍を向かい入れそのまま戦いに突入していたのなら、闘技場が攻撃や衝撃に耐えられないばかりか、周りにも甚大な被害をもたらしていたでしょう。
「闘技場は、S級指定されている魔物の攻撃でも耐える事ができる障壁が張られているので、交流試合は存分に力を発揮しても良いわよ」
とカトレア先生が言っていましたが、炎龍はSS級指定されている中でも最強の存在です。
しかも物理攻撃力とブレス、それに防御力は、SSS級に匹敵すると言われています。
ではなぜ、炎龍がSSS級指定されていないのか?
それは多彩な攻撃魔法を得意としないという事と、比較的穏やかな性格であるという事が理由なのです。
それに四属性の一文字だけを持つ龍種は、自身の縄張りにいる者達を守る習性があるので、何か無い限りは襲って来ません。
つまり、人に対する危険種の枠組みで考えると、この国のように守護龍とされている国もあるので、SSS級からSS級となっているのです。
「スミレちゃーん! レモンは、炎龍が攻撃して障壁を破壊する度に障壁を張らないといけないみたいですー」
レモンちゃんが叫んで教えてくれているけど、既に私は炎龍に攻撃を仕掛けている最中です。
レモンちゃん、少し待ってね。
ゴォォォォォォ!
ガキィィィィィィン!
「くっ!」
杏ちゃんの言ったとおり、炎龍の皮膚と鱗が硬い。
それに、皮膚を傷つけない様にしたとは言え、鱗を普通の状態では切り裂けない事は分かりました。
ギィシャァァァァァァ!
ゴキィィィィィィン!
私が炎龍の鱗に衝撃を与えたせいか、炎龍が切り返しに詰め攻撃をしかけてきた。
不味い! と思った瞬間、ディーネちゃんが作ってくれた水を氷結させた三重に合わせた障壁で炎龍の攻撃が防がれた。
「ディーネちゃん、ありがとう」
「いいえ、お礼は良いですスミレ様。レモンちゃん、ディーネとルフちゃんがスミレ様と杏様の補助にそれぞれ付きます。ですので、ケットちゃんと闘技場が崩壊しないように障壁の管理お願いします」
「わかったー」
ブゥゥゥゥゥゥゥン!
ガシャァァァァァァン!
更に、私を追いかけるように炎龍が尻尾を振ってきた。
それを、私は後ろに飛んで躱した。
そして、躱した所に残っていたディーネちゃんの張ってくれた三重の氷の障壁が砕け散った。
「スミレ様、ディーネの案で宜しいでしょうか?」
「ええ、良いわ」
炎龍の攻撃は凄まじく、手加減した私と杏ちゃんの普通の攻撃では傷一つ付かないようだ。
そして、先ほど言っていたとおり私にディーネちゃんがついて、杏ちゃんにルフちゃんがついた。
恐らく、肩に付き添ってくれているだけで素早さが向上し、空中を自由に飛んだり駆け回る事ができるようになる能力を考えて、杏ちゃんにルフちゃんをつけたのだろう。
それに、回避が得意な杏ちゃんは防御面より素早さを向上させた方が得策のようです。
私の場合は剣の技に集中したときの隙を、ディーネちゃんの障壁で防ごうと考えたのでしょう。
だって先ほどを仕掛けてきた炎龍の二回攻撃は、ディーネちゃんが水の障壁を氷結させて、一回目は防ぐ事が出来たもの。
但し、次に来た尻尾による攻撃は防げなかったけれど……。
恐らく、私が後ろに下がる時間を稼ぐ為の障壁だったのだろう。
あれ? 急に、私の身体能力が向上した。
後ろを振り返ると、レモンちゃんが拳を振り上げていた。
「レモンちゃん、ありがとう」
「スミレちゃん、行っちゃってー」
「うん」
レモンちゃんにお礼を言って身構えると、杏ちゃんが炎龍に攻撃を仕掛けていた。
「魔練正拳突き!」
ドダァーン!
ドォーン! ズズッズッ!
手加減したとは言え、杏ちゃんから魔力を練り上げた正拳突きを喰らったのに、炎龍は少し下がったかと思ったのに耐えたようだ。
「スミレちゃん、杏の正拳突きを喰らう瞬間に炎龍が防壁を張ったみたいです。防壁は破壊出来たみたいですけど、炎龍に衝撃はあまり行かなかったみたいです」
「杏ちゃん、教えてくれてありがとう」
炎龍は無意識に、魔力を通した攻撃に対しては、防壁を張るようね。
流石、四属性の一文字だけの名を持つ龍種だけ有るわ。
学校の闘技場で、熱波を放つドレイクとも戦ってみたけれど炎龍の強さは次元が違う。
それに、先ほどレモンちゃんから身体能力を向上させる補助魔法を杏ちゃんも受けていたはず。
なのに、炎龍は少し下がっただけだった。
私もミスリルの剣に、固有の能力で氷属性を付与させて攻撃を試みてみるか……それとも、氷の技を繰り出すか……。
だけど、炎龍の防御魔法の度合いが不明なのよね。
スノー様の説明も、なぜか大雑把だった。
「炎龍は、クレマチスより遥かに弱いですぅにゃん」
だから、強さの状態があまり分からないのよね。
それに最近のクレマチスちゃんの行動を見ていると、怒られて頭隠してお尻隠さないとか……もう本当に可愛い行動をしてくるから、強さの状態と程度が全然分からないのよ。
考えを巡らせていると、杏ちゃんがルフちゃんの能力を上手く生かし炎龍の攻撃を全て躱し、躱した序でにその炎龍の腕に魔力を練り上げた攻撃を繰り出していた。
だから、先ほどからドンドンダンダン音がしていたのね。
「スミレ様、何かお考えが?」
ディーネちゃんが聞いてきたので、氷属性が有効か聞いてみることにした。
「ディーネちゃん、炎龍にスミレの氷属性攻撃を仕掛けても大丈夫かな?」
「確かに弱点ではありますが、弱点属性に対して炎龍は防壁の強度や枚数を増やしてきますので、実際に攻撃してみないと分かりません」
「だよね。だけど、固有属性つけて攻撃してみるね」
「はい、ディーネも補助致します」
ディーネちゃんの言葉に安心感を感じ、私は氷属性をミスリルの剣に纏わせて、杏ちゃんが後ろに飛んで距離を開けた瞬間に炎龍を攻撃する。
シュッ!
ガァァァァァァ! ゴォォー! ジュッギィーン!
ゴォガァ!
今度は炎を纏う防壁を展開させ、私の氷属性を纏っていたミスリルの剣の攻撃を防いだ。
敢えて、気合の声を出さずに静かに攻撃したのに、その攻撃に対応してきた。
ピシピシピシ! パリーン!
炎龍の炎を纏った防壁は砕け散ったが、ダメージは無いようだ。
やはりクレマチスちゃんの言っていたとおり、本気で倒しに行かないと炎龍を大人しくさせるのは難しいようだ。
ただ、幾つか分かった事がある。
炎龍の爪による攻撃は、レモンちゃんの障壁を一枚破壊する。
しかし、ディーネちゃんの三重にした氷の障壁は破壊出来なかった。
但し、尻尾による攻撃では破壊してきた。
この事から、S級危険種の氷眼のサイクロプスより攻撃力は遥かに上だと分かった。
以前カトレア先生が、闘技場の機能を使用して初めて氷眼のサイクロプスと対戦した時、レモンちゃんが補助でディーネちゃんを貸し出した事が有ったの。
その時カトレア先生が避けるのを失敗したのだけれど、ディーネちゃんが障壁で氷眼のサイクロプスの攻撃を防いでいたもの。
……やっぱり、S級危険種ごときでは炎龍との強さの判断がつかない。
で、クレマチスちゃんより遥かに弱い?
炎龍の防御面は、本気ではなかったとは言え、私の属性攻撃や杏ちゃんの魔力を練った攻撃でも傷一つ付かなかった。
だけど、S級危険種の氷獄の悪魔ドッペルゲンガーは簡単に切れたよ?
……防御面も、S級危険種ごときでは炎龍との強さの判断がつかないよ。
だけど、クレマチスちゃんより遥かに弱いのでしょ?
「スノー様、炎龍に対してクレマチスちゃんを判断材料にするのは止めてほしかったです。スミレ、炎龍に対して手加減の判断がつかなくなりましたよ!」
一筋縄ではいかない炎龍に対して、どうしたらよいか悩むスミレであった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「葵、何一人で水着を着ているの?」
葵「リリー様が渋って、なかなか水着を出さないからですの!」
リリー「だから、交流試合が終わってからって言ったでしょ?」
葵「ですので、葵自ら作成しましたのよ」
リリー「で、なぜ水着に名前入りのゼッケンを付けているの? しかも
旧スクール水着で……」
葵「世の殿方の誰もが好きな、聖なる幼女の水着ですの! リリー様にも
、お揃いの水着を作りましたわ。葵お手製ですので、是非」
リリー「生地が何となく変なのだけど、濡れると溶けるって事は無いよね?」
葵「ギクッ! 最新の、使い捨て水着ですの。しかも、自然に優しい水着で
すのよ。お魚さん達が食べても、問題ないように葵が丹精込めて食品から
作りましたの」
リリー「そんな、水着は無いよ!」
リリーが投げ捨てた水着は、お魚さん達が美味しく頂きました。




