↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/240

封印されていた魔物3

 【リリーSIDE】


 俺はユグドラシルに頼んで、眷属に様子を窺ってもらうことにした。



「ユグちゃん眷属の子に様子を見に行って貰っても良いかな?」



 すると、ユグドラシルは姿を現した。



「リリー様、様子は確認済みです。ユグの眷属によると、山の木々が赤、青、黄、緑の四色の糸で覆われており、その中に封印されていた魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーがいるようです。それとリリー様の仰っていたように、やはり変異していました。スノー様に教えて頂いた情報の魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーとは、異なる点が幾つかありました。外見だけの情報ですが、糸の色と体躯の大きさや形、それに臀部の体毛の色です。情報通り夜行性のようで、今は辺りの魔物を捕食後山の頂上に移動し眠ってるようです。麓(フモト)に住んでいた杏ちゃんの家族は、闘技場内でリリー様に指示を受けた後、すぐにユグの眷属達でどこよりも安全なリリー様の別荘に避難させるよう指示致しました。ルフの眷属達の能力を使用し、船で移動致しましたのでソロソロ到着されるかと思います。別荘には、ユグやディーネの眷属がおりますので、内側から解錠させますのでご安心下さい」

「ユグちゃん、色々と心遣いありがとね」



 ユグドラシルは俺に報告が終わると、消えていった。

 心情で、ユグドラシル自身の魔力を温存したいので申し訳ありませんと伝えてきた。

 俺も心情で、いつも同じ事を言っていることになるが



「ユグちゃん、ありがとう。感謝しているよ」



 と伝えた。

 優秀な聖霊であるユグドラシルの眷属は、信用できる。

 澱みの魔石を取り込んだ魔風(マカゼ)喰らいのキングスパイダーを討伐するなら、今が絶好のチャンスかもしれない。

 俺はマウスポインターの空間軸を遠方に移動させ、瞬間移動を繰り返し山の頂上を目指した。



        ※ ◇ ※



 【スミレSIDE】


 私とレモンちゃんと杏ちゃんは、お母様の案で闘技場の一部である西側に来ました。

 これだけの広さがあれば、巨大な炎龍とも十分戦えそうです。

 私が手にしている聖剣エクスカリバーは、リリーちゃん曰く劣化型神武具と言っていましたが、美しい金の文様が描かれている白い鞘から抜いてみると、剣の刃が白い光りを纏っており劣化しているように見えませんでした。


 炎龍を殺さないようリリーちゃんから言われているので、試しに闘技場に置いてあった石を刃先の上にそっと乗せると石の重さだけでスルリと切れました。

 リリーちゃんに初めて本格的な使用許可を頂きましたが、背筋がゾッとしました。

 以前この武器は制御出来ないとリリーちゃんから言われたので、お父様から頂いたミスリルソードを持っていますが、この神武具でどう手加減すれば炎龍を死なせずにすむのか疑問です。


 ……これで炎龍を攻撃したら、絶対死んじゃうと思うのだけど? 

 私は聖剣エクスカリバーをそっと鞘に入れ、代わりにミスリルソードを持ってアイギスの盾だけを借りることにしました。

 私の武器だけが特別ではないと思うので、レモンちゃんと杏ちゃんにも確認しようと思います。

 まずは、さっき急に真の姿になって、今は落ち着きを取り戻した召喚精霊達と遊んでいるレモンちゃんから……。



「キャハハ! ケットちゃん、尻尾でほっぺた触ると擽ったいよー」

「ミィー?」

「ケットちゃん、レモンちゃんを触った序でにディーネにまで尻尾を巻き付かせないで下さい」

「ミィー! ミィミィ」

「ケットちゃん? ディーネちゃんに尻尾を巻き付かせて濡らされたからと言って、ルフのもとへ尻尾を持ってこられても……」

「ミィミィミィ」

「仕方がないですね。ルフが乾かしてあげます」

「ミィ」

「ケットちゃん、お礼は良いですよ」



 相変わらず自身が召喚した精霊達と仲が良いようで、レモンちゃんはいつも精霊達と戯れている。

 召喚精霊達も居心地が良いようで、リリーちゃんが近くに居ない場合はレモンちゃんにべったりだ。

 リリーちゃんが近くにいる場合は、リリーちゃんとレモンちゃんの間を行ったり来たりしている。

 でもスノーちゃんや葵ちゃんがリリーちゃんの側にいると、遠慮して側に行かないようだ。



「レモンちゃん? リリーちゃんから使用許可を貰った武器は、扱えそうですか?」

「えっと……レモンね、封印の布から神の杖グリダヴォルを解いて持ってみたの。するとね、レモンの中で何かがホワホワって溢れてきて、ディーネちゃんとルフちゃんが急に大きくなったの。でねでね、ケットちゃんの眼が虹色に輝いたの」



 ……レモンちゃんの説明では、あまり状況が分からないわね? 

 かと言って、召喚精霊達に直接聞くとレモンちゃんに悪いですし……だけど、異変があればレモンちゃんに召喚精霊達が自身の状況を伝えている筈……。



「レモンちゃん? ディーネちゃんとルフちゃんとケットちゃんは、その事で何か言っていましたか?」

「ディーネちゃんとルフちゃんは、レモンが封印を解いた神の杖グリダヴォルを持つと、魔力が溢れてきて小さくなるのが難しいんだって。ケットちゃんは、みゃーからにゃーに変わって眼が虹色になってケットちゃんが慌てたように眼を瞑むったくらいかなー? 今は再び布に包んだから、皆平気って言っているよー?」



 何となくレモンちゃんが神の杖グリダヴォルを持つと、どのような状態になるか判断できました。

 つまり、使用者と自身が召喚した精霊達の魔力が急激に上昇すると言うことでしょう。

 ミストルテインは、まだ装備していないようですが、レモンちゃんは使用しなくても良さそうです。



「えっと、レモンちゃん? その杖使用する時は、炎龍が来てからにしようね」

「うん。レモンが武器を使う時は、スミレちゃんが使っても良いって言ってくれた時で良いよー」

「じゃー、スミレが判断するね」

「はーい。皆、あっちで遊ぼうねー」



 一先ずレモンちゃんは、私の指示で劣化型神武具を扱えそうです。

 それに、レモンちゃん? 炎龍を押さえ込むのは、遊びじゃないのですが……。

 次は杏ちゃん武具なのだけど、腕に付けて自由な形に変化させた物を呼び出す形態の劣化型神武具。

 だけど劣化型神武具のミストルテインは、特殊すぎて私には理解が出来ない。


 杏ちゃんの拳鬼に合わせた形態に変化しているけれど、手(テ)っ甲(コウ)や脚絆(キヤハン)って武具なの? 

 試しに闘技場にあった、刃がない鉄の剣で手加減して上段から振り下ろしたけれど、杏ちゃんが素手で触れたかと思うと鉄の剣が曲がって使い物にならなくなった。

 そもそも素手で武器を攻撃したら、手が傷つくでしょ? 

 何なのでしょう? あの武器は? 



「杏ちゃん、どうです? 劣化型神武具のミストルテインは、使えそうですか?」

「スミレちゃん、この武器見た目は杏の手の甲や足に布がついているだけに見えますが、杏の身体(カラダ)全体を、薄い膜のような物(オーラ)が覆っていて杏の身体(カラダ)自体が武器になるようです。それに、杏の力を増加させるようで、先ほどの鉄の剣が小さな丸い玉になりました。ですが、手から離すと……このように、大きな丸い鉄の塊になります。不思議ですよね?」

「――――。杏ちゃん? もう一度、聞きます。劣化型神武具のミストルテインは、扱えそうですか?」

「まだ、杏には手加減が難しいようです。スミレちゃんに、判断は任せます」

「うん……。スミレだけで、判断できなくなりました。危ない時以外は、使用しない方が良いかもですね」

「杏も、そう思います。今、試しに闘技場の障壁を殴ってみたのですが……」

「スミレちゃん、ディーネちゃんが闘技場の障壁が壊れたって言ったから、レモンが張り直したよー?」

「レモンちゃん、ありがと! 杏ちゃん、私達が劣化型神武具を使用するのは止(ヨ)しましょう。闘技場が消滅しそうです」

「スミレちゃん、杏もそう思いました。障壁壊れちゃいましたけど、どうしましょう?」

「リリーちゃんに事が終わった後に、話しましょうね」

「はい……」



 アイギスの盾だけ使用しようと思いましたが、私もリリーちゃんの劣化型神武具が怖くなってきました。

 炎龍を殺さないようにするには、劣化型神武具の加減ができない私達には難しいようです。

 シルクちゃんの説明で、こちらの闘技場にも防御障壁が張られていると聞いていましたが杏ちゃんが破壊してしまいました。


 炎龍が闘技場内に入ってきたら、レモンちゃんが上空の障壁を張ることになっていましたが、レモンちゃんが闘技場の壁全てに障壁を張ってくれたので先ほどよりも強固になったのでよしとしましょう。

 それに、炎龍をこちらにおびき寄せる為に炎龍の赤ちゃんを東側から移動しているらしいですけれど急いで貰わないと炎龍が到着しそうです。

 だって、もう西の空に炎龍が見えているもの。



「スミレちゃん、炎龍の赤ちゃんが運ばれてきませんね」



 杏ちゃんが、私に声をかけてきた。



「ですよね。何か有ったのでしょうか? 杏ちゃん、悪いけれど見に行ってもらえるかな?」



 私はリリーちゃんに指揮を任されていて、レモンちゃんは障壁を張るので、杏ちゃんに炎龍の赤ちゃんの様子を見に行ってもらう事にした。



「はい。良いですよ」



 杏ちゃんが様子を見に行くと、炎龍がもう直ぐここに来そう。

 だけど、炎龍の赤ちゃんがここにいないと、別の場所に行ってしまうかもしれない。

 そう思っていると、杏ちゃんとカトレア先生とロベリアさんが巨大な檻を運んできた。


 事情を聞くと、途中で檻の車輪が壊れて兵士達が立ち往生していたらしい。

 今は、杏ちゃんが壊れた車輪を持ち上げて引っ張って運んでいるようです。

 カトレア先生とロベリアさんが後ろから押しているように見えますが、恐らく触れているだけでしょう。


 私達を見て手を振っている今は、二人とも檻を持っていないですから……。

 それに、ソロソロ炎龍が来るので途中で兵士達を戻らせたようです。

 炎龍の強さが不明な状態で、カトレア先生達を庇いながらの戦闘になりそうです。


 ロベリアさんの特異能力は不明ですが、カトレア先生が連れてきたところを見ると、炎龍にも通用するのでしょうか? 

 私達は劣化型神武具の使用を見合わせ、私達と違ってリリーちゃんが作った装いを着ていないカトレア先生やロベリアさんに何か有っては困ります。



「カトレア先生、縫いぐるみ人形を召喚してロベリアさんと共に控え室で見ていて下さい。縫いぐるみ人形が手伝ってくれるだけでも、かなりの戦力になるので。それに、炎龍の実力が不明なので……」

「ええ……」

「えー。私も駄目なのー?」

「ロベリアちゃんは、遠距離から発動出来るでしょ?」

「そうなんだけどさー、私達、これじゃお荷物なんじゃないかなー?」

「――――。そうかもしれないけれど、何かあった場合は、私に責任があるので……」

「カトレアちゃーん? 先生みたいねー?」

「ロベリアちゃん? 私、冒険者学校の校長先生よ? 忘れてない?」

「あはー」



 ……これで、炎龍への対策ができた? 

 このメンバーで、私に指揮が出来るか正直不安ですが、リリーちゃんからの命を受けたので頑張ろうと思います。

 炎龍が赤ちゃんに気づいたようで、こちらに向かって下降中。



「皆、炎龍が来るよ! 戦闘準備! ですが、リリーちゃんより殺さないようにと言われているのでお願いします」

「「「「はい! うん! スミレちゃん、了解よ! はーい」」」」



 返事もバラバラで、不安になってきた。

 リリーちゃん、スミレ達をお守り下さい。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

レモン「ケットちゃん、リリーちゃんと温泉に行くよー」

ケット「ミィ! ――――――――」

レモン「あれ? ディーネちゃん、ルフちゃん、ケットちゃんはー?」

ディーネ「逃げたようです。ディーネに任せて下さい!」

ルフ「ディーネちゃん、お淑やかにお願いしますね……」

ケット「――――」

レモン「アハハ! ケットちゃん、また温泉に行く前にびしょ濡れニャン子に

    なっちゃったね」

ルフ「そして、ルフがいつもケットちゃんの乾かし役になるのです。だから、

   ディーネちゃんにはお淑やかにと言いましたのに……」

ケット「ミィ]

ルフ「いえ、ケットちゃんお礼は良いですよ」

    こうして魔眼のケットシーは、毎日温泉に行く前にびしょ濡れ

    ニャン子になるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。