交流試合4
シルクとアイビー、カトレア先生達や生徒の皆で東にあるこの数を任せるしかない。
俺がそこまで考えていると、クレマチスが上から覗き込んできた。
「リリー様? 勘違いかもしれませんが、私の眷属が苦しんでいる匂いがしているのですが……」
「うん」
闘技場内を見ると、檻に入れられたワイバーンと小さく赤い龍の子供がいた。
クレマチスが、ワイバーンは龍種ではないと言っていたので、小さな龍の子供が苦しんでいるのだろう。
赤い龍種の子供がいると言うことは、親がどこかにいると言うわけで、火山島のこの反応はやはり……。
ここには、勇者の能力を有するスミレちゃん、賢者の能力を有するレモンちゃん、拳鬼の能力を有する杏ちゃんがいる。
使徒であるスミレちゃん達に、火山島の反応は任せるしかない。
俺は使徒・眷属・従者テレパシーを使用して、ここにいる全員に指示や情報を共有した内容を通達し、皆に劣化型神武具の許可をだした。
ユグドラシル曰く、劣化型神武具は聖霊であるユグドラシルでも制御がかなり難しいらしく、水の大精霊ウンディーネと風の大精霊シルフと魔眼のケットーシーには装備させないよう申し出たので装備させなかった。
そしてフォレストムーン王と王妃と第二王女、それにウインドウォーター王国にいるフォレストムーン王国の騎士達を含めた信仰の強い信者達にも、テレパシーでそれぞれ指示を伝えた。
限界突破LV2追加機能
天狐八尾のロリ服セット解放により
使徒・眷属・従者・召喚精霊に、主の劣化型神武具の使用許可を承諾
使用可能 眷属
スノー・フレーク(白銀虎)装備中●
【劣化型神武具】
神器 双剣 魔剣ダインスレイフ
魔剣ティルフィング
葵(天狐と八尾狐の王女)装備中●
【劣化型神武具】
神器 イザナギ神とイザナミ神の矛 天之瓊矛
キサガイヒメの誓約の弓 金の弓箭
クレマチス(悠久の時を支配する神名を司る女王)装備中●
【劣化型神武具】
神器 刀 草薙剣
弓と矢 天之麻迦古弓と天羽々矢
使用可能 使徒
スミレ(フォレストムーン王国 第三王女)装備中●
【パープル・パンジー・フォレストムーン】
【劣化型神武具】
神器 片手剣 聖剣エクスカリバー
盾 アイギスの盾
レモン(キノットとライムの娘)装備中●
【劣化型神武具】
神器 杖 神の杖グリダヴォル
腕輪 ミストルテイン【変幻自在】
新 杏 (兎獣人とドライアドとのハーフ)装備中●
【劣化型神武具】
神器 腕輪 ミストルテイン【変幻自在】
【手っ甲や脚絆に変化させ、両手両足に装備】
使用可能 従者
シルク・ジャスミン (妖精国 第一王女)装備中●
【劣化型神武具】
神器 杖 神の杖グリダヴォル
腕輪 ミストルテイン【変幻自在】
アイビー・ゼラニウム
(迷いの森の守護者 妖精狼の王)装備中●
【劣化型神武具】
神器 腕輪 ミストルテイン【変幻自在】
【爪に変化させ、両手両足に装備】
使用可能 召喚精霊
ユグドラシル (花の中偉聖霊第一王女)装備中●
【劣化型神武具】
神器 杖 神の杖グリダヴォル
ウンディーネ (水の大精霊)
新 魔眼のケットシー(希少精霊)
新 シルフ (風の大精霊)
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「スミレちゃん、レモンちゃん、杏ちゃん、この闘技場の事は任せるね」
「うん。リリーちゃん、闘技場の事はスミレ達に任せて」
スミレちゃんが、劣化型神武具である聖剣エクスカリバーとアイギスの盾を握りしめてそう言った。
「うん。レモンもディーネちゃん、ケットちゃん、ルフちゃんと一緒に頑張る」
レモンちゃんは、三体の召喚精霊を引き連れて緊張しているが、スミレちゃんがいるから大丈夫だろう。
因みに、女性型の大精霊シルフはシルクと名前があまりにも間違いやすいので、ルフちゃんと呼ぶことになった。
レモンちゃんは右肩にウンディーネ、左肩にシルフ、そしてなぜか頭の上に魔眼のケットシーを乗せている。
この方が、戦いやすいらしい。
「はい。杏も皆のお役に立てるように頑張ります」
劣化型神武具であるミストルテインを手っ甲や脚絆に変化させ、手っ甲を重ねてその感覚を杏ちゃんは確かめていた。
杏ちゃんは初めての実戦だが、睡眠無音言霊学習とも言える方法で、恰も体験したかのように拳鬼の能力を習得したので恐らく大丈夫だろう。
スミレちゃんとレモンちゃんは、フォレストムーン王国の冒険者学校に有る闘技場の機能を使用して、実際何度も魔物と戦っているので任せられる。
それに炎龍とは戦わせていないが、火焔ゴーレムや龍種である熱波を放つドレイクと戦っても無傷だったので問題は無いだろう。
「でも、殺さないようにしてあげてね。クレマチスちゃんの眷属だから」
初めクレマチスに交渉させようと思ったのだが、クレマチスとユグドラシルが感じる炎龍の匂いで交渉は無理だと判断した。
つまり、それだけ炎龍の怒りが凄まじいと言うことなのだ。
「「「はい、リリーちゃん」」」
「クレマチスちゃん、それでいいよね?」
「はい、リリー様のご配慮に痛み入ります。ですが、龍種なら少々では死なない筈です。もし、その程度で死んでしまう龍種なら……」
「クレマチスちゃん、厳しすぎよ」
「リリー様、申し訳ありません」
「皆、そういう事だからほどほどにね」
「「「はい」」」
いくら龍種でも、劣化しているとは言え神々しい光りを纏う武器を、今回装備許可したからね。
クレマチス曰く、子供を攫われて怒り狂っている炎龍は少々痛みつけないと正気に戻らないらしい。
魔物の頂点だけ有って、力が全てなのかもしれないけれど、炎龍と話し合いで何とかならないのかな?
うちのクレマチスは、素直で本当に良い子なのにね。
怒ろうとすると、頭隠してお尻隠さないから、可愛いくてつい怒れなくなるし……。
しかし、炎龍が怒るのも無理は無いか。
子供を、攫われたんだからね。
でもそう簡単に、炎龍が子供を攫われるかな?
ルバーブ先生やその騎士団だけでは、とてもじゃないけれど炎龍の捕縛なんて無理だと思う。
何か別の者が係わっているとしか、考えられない。
「シルク、アイビー、カトレア先生達と東から迫っているものの対処をお願いね。それに、ルバーブ先生達の事も」
「私達に、任せなさい」
「ワン、ワオーン」
『リリー様、任せて下さい』
シルクとアイビーが、カトレア先生達のもとへ行った。
「スノー、葵、クレマチスちゃん、貴女達は海をお願いね」
「はいぅにゃん」
「リリー様、クレマチス頑張ります」
クレマチスには、戦う時に巨大な龍にならないよう伝えた。
そうしないと、クレマチスが暴れただけで大津波が起こっちゃうからね。
まあでも、海の別荘を守護するモフモフ警備ゴーレム達に防壁機能が有るので、少々大波が来ても横一列に並ばせれば海の町も守れるだろう。
それに闘技場に来る時、海の別荘の戸締まりはしたので、海に沈もうが関係ないしね。
「リリー様、心配いりません。私達が澱みの魔石を有する魔物から海の町をお守り致しますの」
「お願い」
スノー達も、海に向かった。
後は俺が山に向かうだけだが、嫌な予感がするのでユグドラシルにも来てもらう。
「ユグちゃん、ごめんね。私に付き合わせて」
「ユグは、リリー様と一緒に戦えるので幸せです」
「ありがとう」
そう言って俺達はそれぞれ、対処するために現地に向かうのであった。
※ ◇ ※
よもや、このような事をしでかすとは……。
炎龍は、火山島の守護龍にして我が国の象徴であるぞ?
穏やかな炎龍が、西へとち狂ったように飛び去ったと言う目撃情報があり調査させておったが、まさかディザスターが炎龍の子を……。
それに、ワイバーンにある文様はリーフリュウシン小国の物。
ディザスターは、我が国とリーフリュウシン小国を戦禍に導きたいのか?
「彼奴は、何を考えておる? なぜ、あのような狂態を? 交流試合は、中止だ。近衛騎士団総長、即刻ディザスターを捕らえよ。そして、緊急警戒にあたれ」
「はっ! 承知致しました。陛下」
近衛騎士団総長が即時行動を開始すると、息子達が私の前に跪く。
そして、プルルスが前に出ると眼差しを向けてきた。
「父上、我らも行って参ります」
「うむ。プルルス、フラーウム、ウィリディスム頼んだぞ」
「「「はい」」」
近衛騎士団総長と息子達が行動に出たが、この部屋に残るのは我妻ロセウスとフォレストムーン王と我が妹であるフォレストムーン王国の王妃だけだ。
不味い、不味いぞ。
同盟国であるフォレストムーン王がいるこの場所で、このような事が起こるとは……。
それに、謝って済むような問題ではない。
しかし、我が妹アルブスの……先ずは、フォレストムーン王に心から謝罪する事が何より必要かもしれぬ。
「済まぬ……フォレストムーン王よ」
私がフォレストムーン王に謝罪したが、なぜその様に落ち着いているのだ?
「構わぬ。それより、耳を貸してくれるか?」
耳を貸すのは、構わない。しかし、名案があるのか?
炎龍の子を密かに火山島へ返すにしても、西へ飛び去った炎龍がいつ戻ってくるかも分からぬ。
それに、リーフリュウシン小国の文様が付いているワイバーンも気がかりだ。
あれも、リーフリュウシン小国へどう言い訳をする?
フォレストムーン王に、話を通してもらうか?
くっ、この問題もフォレストムーン王に迷惑がかかる。
「炎龍の親が、ここに来るやもしれぬ」
「何? それは、真か? ……済まぬ」
驚きのあまり、大声を出してしまった。
「うむ。天空より舞い降りし、我が国の女神が既に動いたのが証拠だ」
フォレストムーン王の言葉、聞き間違いか?
「女神? お伽話にも出てくる、天空の城に住まう王女ではなかったのか?」
酒の席ではあったが、私はそなたから直接聞いたのだぞ?
口答だけで伝えるようにと不思議なことを言っておったが、間違いなくそなたから聞いたのだぞ?
「それは、例えようが無かったからだ。話せば長くなるが、ホワイトの実の兄であり国は違うが同じ国であれば私の義兄になるルーフス兄上には、伝えておいた方が良いだろう。しかし、この話を聞くからにはいくら王であっても口外禁止だ。私達は王族であるが、リリーちゃんはそれ以上の存在。いや、全ての存在の頂点に立たれるお方だ」
「まさか……本当の女神?」
「うむ」
信じがたい話しだが、女神であるならば全てに説明がつく。
我が妹アルブスは三十代である筈なのに、見た目がフォレストムーン王国の第二王女の姉にしか見えない。
それに、我が妃の若返り。
妃は、アルブスの専属メイドに化粧を習ったと言っていたが、今までと明らかに肌が違うのだ。
それだけでは無い。
亡き父がアルブスに与えた土地に、豪華な屋敷がいつの間にか建てられており、その周りを守護する小さな獣……。
妃は女の楽園を守護する、可愛い獣型のゴーレムだと言っておった。
調査するため隠密に優れた者を十二名向かわせたが、伸びた状態でアルブスの近衛兵が連れてきた。
そしてアルブスに怒られ、それを耳にした妃にも怒濤の勢いで隠密者を絶対に向かわせるなと怒られた。
不思議な事が多かったが、女神と聞かされた事で全てが納得できた。
考えを巡らせていると、小さな妖精と小さな狼が王族専用の部屋に入ってきた。
そして、アルブスが立ち上がると小さな狼を抱き上げた。
「シルクちゃん、アイビーちゃん? 陛下と私も、リリーちゃんから啓示を賜ったわ」
「うむ」
我が妹アルブスとフォレストムーン王が、啓示と言った。
私には、届いていない。
「なら、話は早いわね。王様、王妃様方、西より炎龍、東よりワイバーンの群れがやって来ます。これより、女神の住まう大森林を守護する迷いの森の王女である私の指示に従って頂きます」
「「ええ」」
アルブスと妃が頷き
「勿論だ」
フォレストムーン王が頷いた。
これは、夢でも見ているのか?
本物の女神と聞かされた後に、今度は迷いの森の守護者の王女だと?
はっ! 驚いているのは、私だけなのか?
妃も、なぜアルブスと共に既に妖精の王女と名乗ったシルクという妖精に従っているのだ?
「――――」
私が何も言えずにいると、アルブスが幼い頃よくしていた姿勢を取った。
腰に左手を当て、右人差し指で私を指さして
「お兄様、呆けないで下さい。緊急事態ですので、シルクちゃんに従って下さい」
と言った。
確かに緊急事態ではあるが、私はウインドウォーター王国の国王なのだぞ?
しかし、アルブスのその姿勢は幼い頃のままだな。
思わず、また昔のことを思い出したぞ。
私はアルブスの事がいつも気になり、どこへ行くにも心配で片時も離れないよう護衛のようについていった。
しかしある時、
「お兄たま、わたちはもう子供ではありまちぇん。おちろの花どのまでついて来ないでくだちゃい」
と言われ落ち込んだ事が有った。
当時のアルブスはまだ三歳でヨチヨチしていたが、あれから何をする時にでもついていくと言われたな。
「お兄様、私はフォレストムーン王国へ嫁ぎに行くのです。ついて来られても、困ります」
当時のアルブスは、十二歳だった。
本当に、可愛かった。
私は他国へ嫁ぎに行く、アルブスの事が心配で心配で仕方がなかった。
でも今は、すっかり大人になり美しく気品がある女性だ。
前年より、明らかに十歳以上若返ってはいるが……。
「お兄様? ちゃんと、訊いて下さっているのですか?」
「ああ、アルブス済まない。私も、従おう」
そう言うと、我らは外に控えていたウインドウォーター王国の王妃専属近衛兵とフォレストムーン王国の騎士団と共に、妖精の王女シルクの後を追った。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「シルク? 爪楊枝を持って、アイビーを引き連れて何しているの?」
シルク「何かあった時の事を考えて、日頃から避難誘導する訓練をアイビーと
一緒にしているの」
リリー「でも、その爪楊枝は?」
シルク「あれ? 旗が無いわ?」
リリー「それはお子様ランチ用の旗で、紙で出来ているから、水に濡れると駄目に
なっちゃうよ?」
アイビー『クシュン! シルク、さっき波を被ったから流されちゃったのかも?』
リリー「もしかして、キノットさんのカフェバー&レストランで出す予定で、試作
して作ったお子様ランチを食べたのはシルク?」
シルク「アイビーが、食べていたわよ」
アイビー『僕は食べてないよ。タマネギが入っているからって、シルクが全部
食べていたよね?』
リリー「シルク? 服に、お子様ランチのお弁当付いてるよ?」
シルク「――――」
何も言い訳が出来なくなったシルクであった。




