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交流試合2

 別に良いのだけれど俺が声をかけた家族皆は、スミレちゃんがどうしてもと言うので、応援する為に全員色違いの魔法少女服セットを着ている。

 観客席のこの一角だけ、明らかに可愛らしい装いを着ている少女がいるので、今から応援できると思っていたのに変に目立って恥ずかしいよ。


 それによく見たらなぜ、ホワイト王妃と第二王女まで、色違いの魔法少女服セットを着ているの? 

 ホワイト王妃が若返った事で、ウインドウォーター王国の王妃がホワイト王妃を見て羨望の眼差しを向けているし……。

 ホワイト王妃は、以前から俺が創り置きしていた日本酒を飲んでいるからね。


 ウインドウォーター王国の王妃や他の重鎮貴族の夫人達より、明らかに若く見えるのは仕方がないと思うよ? 

 しかも毎日かかさずに飲んでいるし、湯浴みの湯にも使用しているらしいからね。

 身体(カラダ)の内側や外側も、全て若返ったと言うわけだ。


 王侯貴族夫人達の中でも一際美しく見えるし、俺が与えたミレニアム・カットを施した100カラットのアメジストのネックレスと小ぶりであるが太陽光を受けて光る同じカットを施したシトリンのイアリングが、他の王侯貴族夫人達に比べ群を抜いているからね。


 あちらはあちらで、ホワイト王妃と第二王女が目立っている。

 第二王妃もプリンセス・カットを施したトパーズのペンダントと同じカットを施したクリソプレーズのイアリングを付けているので何気に目立っているのだ。


 それに気にしないようにしていたのに、ホワイト王妃が手を振るから、第三王子と眼が合っちゃった。

 第三王子が爽やかな笑顔を俺に向けて手を振るので、流石に返さない訳にはいかないでしょ? 



「スミレちゃん? 一緒に、手を振って貰って良いかな?」



 俺は、隣に座っているスミレちゃんに小声で話した。



「リリーちゃん、どうしたの?」



 スミレちゃんが、俺に小首を傾けてきた。



「国王陛下様達がいる方を、見て」



 俺は、言葉と眼で合図した。



「うん。あっ! ウィリディスム君だ。リリーちゃん、スミレにも気づいたみたいで手を振っているよ?」

「じゃー、スミレちゃん? 一緒に良いかな?」

「うん……。礼儀、ですからね」



 あれ? スミレちゃん? 少し、ムッとしてないかな? 

 もっ、もしかして、好きだった男の子が他の女の子に笑顔を向けているから? 

 他の女の子が、俺な訳で……これって、変な三角関係になっていない? 



「スミレちゃん? スミレちゃんの好きだった子の事は、私何とも思ってないから大丈夫だよ?」

「リリーちゃんが思わなくても、ウィリディスム君がリリーちゃんの事を思うと負けた気がして嫌なんです! ……はっ! なっ、何でもないです」



 スミレちゃんの乙女心は、俺にはよく理解が出来ない。

 だけどスミレちゃんは、俺と一緒に第三王子に笑顔を向け手を振ってくれた。



「「「「「キャー! オータムフラッド様!」」」」」



 俺とスミレちゃんが、ウィリディスム君とやり取りをしていると、闘技場内で黄色い声援が響き渡った。

 そして、オータムフラッド君が闘技場内に足を踏み入れ手を上げるとその声援が止んだ。



「いつも応援してくれる女生徒の皆、ありがとう。このウインドウォーター王国には、僕の力を増幅させる事が可能な水路が沢山有るんだ。今から詠唱する魔法は凄まじい魔力を必要とする。だから本来は使用しないのだけれど、美しい女生徒の声援に僕が応えるとしよう。審判よ、二体の巨大ポイズンファンガスと十体のゴブリンを出してくれるかい?」



 審判が頷くと、闘技場内へ檻に入れられた大きな毒茸の魔物である二体の巨大ポイズンファンガスと、別の檻に入れられた十体のゴブリンが配置された。

 ポイズンファンガスは、山に生息する毒茸の魔物で体躯が50cm以上あり攻撃すると辺りに毒をまき散らす厄介な魔物だ。


 普段はじっとしているので、近くに行くまでは分からない事が多く、山菜や薬草を摘みに来た冒険者や村人が不意に触れ毒に犯される事が有る。

 毒が有るため食用にも出来ず、基本的に倒せば燃やすしかない。

 燃やした後に魔石は残るが、価値はあまりないので換金には不向きなのだ。


 それ故に、冒険者達は大量発生した時以外はあまり討伐しないので、稀に年数を重ねた2m以上ある巨大なポイズンファンガスが現れることがある。

 2m以上になると魔石の価値が上がるので、冒険者は2m以上のポイズンファンガスを討伐する事が多い。


 そして、今回闘技場内に持ち込まれた巨大なポイズンファンガスは体躯が3m以上有り冒険者達の討伐対象ではあるが、Dランク以下の少数パーティーでは討伐が難しい体躯でもある。

 それに2m以上ある巨大なポイズンファンガスは、夜以外は常に飛び跳ねて移動しており、発見されやすいものの体躯が有る分攻撃力がある。


 しかも、出来る限り早く討伐しないと周りに毒をまき散らすので、冒険者も迂闊には手を出せない魔物なのだ。

 檻に入れられた巨大なポイズンファンガスとゴブリンを確認すると、オータムフラッド君が両手を掲げ言葉を発する。



「水の精霊よ! その姿を現せ!」



 すると、滴のような物がオータムフラッド君の肩に現れた。

 あれって、水の微精霊? 

 しかし、俺の知っている水の微精霊達と形や雰囲気、それに魔力量が全然違うのだけれど? 

 もしかして、水の微精霊の親戚? 

 俺が首を傾げてその滴を見ていると、レモンちゃんの肩に座っていたウンディーネが俺のもとに来た。

 そして、



「リリー様、あれはただの水滴です。微精霊でもありませんし、ディーネの眷属はあんなにも小さな魔力量でもありません。あの者は、水の大精霊であるディーネを怒らせたいのでしょうか?」



 と言いだしたのでウンディーネを撫でて落ち着かせた。

 一時的に落ち着いたものの暴れ出すと困るので、ユグドラシルを呼び出しオータムフラッド君の魔物討伐が終わるまで、ウンディーネを監視してもらうことにした。



「ユグちゃん、ディーネちゃんが暴走しないように見ていてね」

「はい、リリー様。ディーネ、ユグの隣に座りなさい」

「ユグちゃん先輩! あの人間、水の精霊を馬鹿にしています! 懲らしめてやりたいです」

「ディーネ、リリー様に迷惑をかけないようにしなさい」

「はい、済みません。リリー様、ごめんなさい」

「ううん、良いの。ディーネちゃんの気持ちは、痛いほど分かるからね」



 自身の家族を似ても似つかないあんな物で示されて、怒るなと言われても怒りを鎮めるのは難しいのは分かる。

 ……今俺の心情で、ウンディーネの立場になって自身の家族であるスノー達の事を、確かに思い浮かべた。


 だからと言って、女神システムさん? 

 天罰を、作動させようとするのは止めてくださいね。

 勿論【いいえ】だよ。

 全くもぉー、女神システムさん過剰反応し過ぎ! 


 まあそれだけ俺の心情で、ウンディーネの様に家族の事を思っての事で、女神システムが作動したのは分かる。

 なので、女神システムさん言い過ぎました。

 女神システムに「ごめんね」と、謝っておいた。

 そしてウンディーネには、人々の事を伝えておこう。



「だけど、本当の精霊を知っている者は極僅かなの。ディーネちゃん、だから許してあげてね」

「はい、リリー様」



 ユグドラシルが俺心情を読み取り、思いを伝えたようで、ウンディーネは落ち着きを取り戻した。

 それにしても、自身の魔力で水滴を動かし、更に今詠唱しだした事から、二十詠唱をしているのが分かる。



「天空より降りし恵みの雨、それは人々の命をつなぐ。しかし、時に人々を襲う水となりし時がある。水の精霊よ! この地に集う、数多の水を使いその力を示すのだ!」



 オータムフラッド君も、なかなかやるようだね。

 だけど、オータムフラッド君? 

 君、アバランチ君より詠唱長いよね? 

 ほら詠唱長いから、檻を開けられずに係の人が待ってくれているでしょ? 


 格好をつけて詠唱してると思いたいけれど、声援していた女の子達の様子を見ると、いつも詠唱が長いようだね。

 これだけ詠唱長いと、実戦では魔物にボコボコにされると思うよ? 

 出来たら、もう少し短くしようね。



「我が名は、オータムフラッド! この名に相応しき、激流の渦で敵を葬り去れ!」



 やっと、オータムフラッド君の詠唱が終わったようだ。

 詠唱が長かっただけあって、アバランチ君の使用した魔法より大きい……のかな? 

 オータムフラッド君が詠唱を終わったのを見届けた審判が、係に檻を解放するように言ってポイズンファンガス二体とゴブリン十体が解き放った。

 と同時に水が外の水路から集まって、空中にその水の固まりとして渦を巻いている。



 ギュルルルルルル! ゴォォォォォォ! 



「水の惨禍(サンカ)! テリブル ウォーター ディザスター!」



 ギュゴォォォォォォ! ザブゥゥゥゥゥゥン! 



 凄い勢いの水の固まりが、魔物を襲い壁に激突しその衝撃で魔物は息絶えた? 



「ハァーハァーハァー」



 オータムフラッド君は肩で息をして、魔力を使い切ったようだ。

 膝をついており、一つ上の兄であるサイクロン ルバーブ君とメイストーム ルバーブ君が側に来て二人して肩を貸していた。



「オータムフラッド、見事だ。我がルバーブ家に相応しい派手なものだったよ」



 サイクロン君が左肩を貸して、オータムフラッド君を激励していた。



「サイクロン兄さん、やりましたよ。フォレストムーン王国の奴らに、見せつけてやりました」



 更に、メイストーム君が右肩を貸してオータムフラッド君を褒める。



「よくやった。次は、私達が披露する番だ。オータムフラッド、ゆっくり休みなさい」

「はい」



 確かに派手だったけれど、今のって南西の大洞窟でシルクが俺に見せてくれたフラッシュフラッドを凝縮しないで広げた物でしょ? 

 シルクもかなり消費していた魔法だったから、凄いのは認めるけれど、あれだけ広げると寧ろ魔法として威力が弱くなっていると思うよ? 

 確かに、押し流すのは有効な攻撃手段ではあるのだけどね。


 でも、ちゃんと見て? 

 私の近辺マップ表示には、反応がまだ二つ残っているのだけれど? 

 安心して、控え室に帰って良いの? 

 打ち所が良くて死を免れた体重が軽いゴブリン二体を、係の人達が処理しているでしょ? 

 あんなの放置していたら、周りに迷惑がかかるって分かっているのかな? 


 それを横目で見て、既に準備を終えているバレリアン君が肩をすくめていた。

 それに、アザレアちゃんとブルメリアちゃんとエレモフィラ君も椅子に座って寛いでいるように見える。

 凄んでいた相手側代表選手達の倒した魔物が、弱いポイズンファンガスやゴブリンだとそうなるよね。


 気持ちは分かるけれど、普通の冒険者学校の生徒は、これでも凄いと思うよ? 

 俺達の戦闘訓練の相手が、Bランク指定されている魔物なんだしね。

 どうやら最後は、双子のサイクロン君とメイストーム君が、二人で魔法を披露するようだ。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリー「シルク? なぜ眼帯して、手と足に包帯巻いているの?」

シルク「我の、究極魔法を見たいか? ならば見せてやろう」

リリー「私、最近いつもシルクの練習相手をしてあげているでしょ? だから、

    見慣れているけれど? 新しい魔法でも、編み出したの?」

シルク「違うわよ! リリーの寝言で言っていた姿をして、格好良い言葉を

    使ってみたの」

リリー「私、そんな寝言言っているの?」

シルク「言っているわよ! 長文詠唱の方が、格好いいとか言っているし」

リリー「長文詠唱なんて、実戦では出来ないでしょ?」

シルク「じゃ、リリーが言っていた長文魔法言ってみるけれど良い?」

リリー「覚えてないでしょ?」

シルク「フフッ! 覚えているわよ」

リリー「シルク、恥ずかしいから言わないで」

シルク「光り届かぬ、深き闇の中より燃ゆる煉獄の炎よ! 我は汝に問う! 

    全てを破壊する煉獄は闇を燃やし尽くせぬのか? 否! それは

    偽りの煉獄! 時は満ちた! 汝は破壊の化身! 我に究極の力

    を示せ! だったかしら?」

リリー「何で、覚えているの?」

シルク「何となく?」

    この後リリーはシルクとは別の部屋で休むのであるが、いつの間にか

    隣で寝ているシルクであった。

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