↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/240

海の別荘に王妃と第二王女が現れた2

 シルクが言い訳をしようとしていたが、王妃と第二王女がメイドを引き連れて大温泉に入ってきたのでシルクとの話を終わらせた。

 騎士達は二階でシャワーを浴びて、今日の護衛任務を終了するらしい。

 これは、俺の能力で創った家であるための特別な措置らしい。


 まあ念のために、王妃が所有している浜辺と土地、それに海の別荘の周りに過剰とも言えるモフモフ警備ゴーレムを百二十体配置したので安全ではあるのだけれどね。

 だって、王妃が連れてきた護衛騎士の人数を遥かに超えているからね。

 メイド達はと言うと、王妃や第二王女のように今日は裸になるよう王妃から命令をされたので恥ずかしそうにしている。


 これらの事はユグドラシルの心情を読み取る能力で、王妃の考えを読み取り分かったのだが、どうやら王妃はメイド達にもこの温泉を楽しんでもらいたいらしい。

 つまり、日頃の感謝をメイド達にしたいと言うわけだ。

 ならば、俺から言ってあげた方がメイド達も気を遣わないだろう。


「スノー、葵、今日は王妃様と第二王女様をお願いね」

「はいぅにゃん」

「リリー様、賜りましたの」



 スノーと葵に王妃と第二王女の面倒を見させれば、メイド達も安心出来るだろう。

 スノーは物静かで、丁寧だ。

 なので、王妃や第二王女の身体(カラダ)を優しく丁寧な洗い方が出来る。

 葵は俺に対して変ではあるが、他の者に対してはスノーと同じように丁寧なので安心できる。



「リリーちゃん、ありがとう。もしかして、ユグちゃんから聞いてくれたの?」

「はい、王妃様」



 王妃と第二王女は、スノーと葵に笑顔を向けると身体(カラダ)を丁寧に洗われ楽しそうにスノー達と会話をしていた。

 よし、王妃達の事はスノー達に任せよう。

 メイド達の前に、もう一組心配な子達がいる。

 俺は、その方向に眼を向けた。

 スミレちゃんは、レモンちゃんと、クレマチスと一緒に身体(カラダ)を洗い合っているようだ。



「キャハハ。スミレちゃん擽ったいよ」



 スミレちゃんがボディーシャンプーを泡立て、手でレモンちゃんの背中から脇を洗っていた。



「今度は、レモンの番ね」



 レモンちゃんは逃げるようにスミレちゃんの後ろに回り込むと、同じように手でスミレちゃんの背中と脇を手で洗い出す。



「キャッ! レモンちゃん、擽ったいです」



 二人で楽しく身体(カラダ)を洗っていると、クレマチスが身体(カラダ)を洗うのにモタモタしている事に気づいたようだ。

 スミレちゃんとレモンちゃんの眼が、クレマチスを捕らえると



「「で、今度はクレマチスちゃんの番です」」



 と言って、泡まみれの身体(カラダ)でクレマチスに抱きついた。



「リリー様ー! このままだと私、スミレ様とレモン様に泡まみれにされちゃいます。ひやー」



 とまあ、三人の美少女が泡まみれになって身体を洗いあって楽しんでいるのだ。

 スミレちゃんの場合、年下のレモンちゃんがいると、不思議と変な服の脱ぎ方や、変なボディシャンプーやシャンプーの使い方をしなかった。

 恐らく、自身より年下のレモンちゃんがいる事で、きちんとした振る舞いが出来るようになったのだろう。

 そして、ウンディーネと魔眼のケットシーが泡まみれになって遊んでいる。



「ミィー、ミィー、ミィー!」

「ケットちゃん、待ちなさい! 素直に、ディーネに洗われて下さい」



 どうやら魔眼のケットシーは、お湯と石鹸の泡が苦手のようでウンディーネから洗われないように逃げているようだ。

 ウンディーネが苦戦しているのを見たスミレちゃんとレモンちゃんが、そこに参戦する。



「ディーネちゃん、スミレに任せて下さい」

「レモンも手伝うよ。ディーネちゃん休んでいてね」

「はい、お二人にお任せします。ディーネはクレマチス様の所に行っていますね」

「「うん」」



 魔眼のケットシー、絶体絶命のピンチである。



「ミィー! ミィー!」



 魔眼のケットシーが、可愛い声と双眸で二人に訴えかけた。

 細い尻尾を左右に振って、スミレちゃんとレモンちゃんの様子を窺う。



「ケットちゃん、良い子だからスミレの方においで」



 スミレちゃんが優しく伝えるが、魔眼のケットシーは首を傾げている。



「ミィ? ……」



 スミレちゃんの交渉では駄目なようで、レモンちゃんが駆け引きを行うようだ。



「ケットちゃんは、レモンの召喚精霊だよねー? 怖くないよー? レモンの方にゆっくり来てー」



 自身の召喚精霊に何をそんなに交渉しなくてはいけないの? と思う方もいるだろうが、魔眼のケットシーは猫の妖精と精霊が入り交じっているので、少しばかり気分屋な所があるのだ。



「ミィミィミィ、ミィー?」



 魔眼のケットシーは、お湯と泡まみれになるのがどうしても嫌なのようでレモンちゃんに交渉している。

 ただの精霊であれば洗う必要は無いのだが、肉体や実体が常にある魔眼のケットシーはお腹も空くし身体(カラダ)も汚れるので、定期的にミルクを与えたり、洗ってあげたり、伸びた爪を切ってあげなければならないのだ。



「みゃーみゃーみゃー。ケットちゃん、怖くないよ? 凄く気持ちが良いし、良い薫りがするの。本当だよー」

「ミィーミィー?」



 レモンちゃんに、小首を傾けて本当なの? 

 というような、魔眼のケットシーの表情が可愛いが俺は手出しをせずに我慢する。

 そして、召喚主に従うようにゆっくりとその歩みをレモンちゃんの方に向ける魔眼のケットシーだが、尻尾が下がっているので半分諦めているようだ。



「ケットちゃん、良い子ねー。もう少しだよ。レモンの所に、おいでー」



 そして、魔眼のケットシーの背後にスミレちゃんが来ると、勇者の能力で素早く動き



「みゃー! レモンちゃん、ケットちゃん捕まえたよ」

「ミィー!」



 魔眼のケットシーは、あえなく捕まった。



「みゃー、みゃー! スミレちゃん、レモンがケットちゃん洗うので持っていてね」

「みゃー」



 そして魔眼のケットシーは、スミレちゃんとレモンちゃんに捕まえられると大人しくなって素直に洗われていた。

 よし、泡モコニャン子のケットシーはスミレちゃん達に任せておこう。

 泡だらけのドジゴンは、ウンディーネが四苦八苦しているので、ユグドラシルが面倒を見てくれるようだ。

 涼んで調子が良くなったアイビーが再び入ってきたので、シルクの事を任せ俺は戸惑っているメイド達に声をかける。



「メイドの皆様、本日はこの温泉でゆっくりと身体(カラダ)を休めて下さい。王妃様からも許しを得ているので、どうぞ心ゆくまで温泉を楽しんで下さいね」

「「「リリー様、私共がこのような聖域に? よ、宜しいのでしょうか?」」」

「聖域じゃなくて、温泉ね。この温泉はディーネちゃんが踊るので、万病に効果が有るのでお勧めですよ」



 と伝えると、腰が悪そうなメイドが温泉に浸かりその効果に驚いていた。

 他のメイド達も興味が湧いたようで、ウンディーネを呼んで水の微精霊や精霊達と一緒に踊らせた。

 メイド達が笑顔になって一緒に踊り出したので、後のことはウンディーネに任せようと思う。

 俺はスミレちゃんを温泉の湯船に呼んで、今日の事を話すことにした。



「スミレちゃん、ごめんね。ケットちゃんと、遊んでいるところを」

「リリーちゃん、気にしないで下さい。話って何ですか?」



 俺は今日のお昼に有った出来事、ウィリディスム殿下とのやり取りをスミレちゃんに話した。



「あははは。リリーちゃん実はね、私あの頃は人見知りが激しかったの。なのに、ウィリディスム君があの双眸で見つめて来るでしょ? だから、スミレ恥ずかしくて逃げていたの。でも、お城で会う度にあの双眸で見つめて来て「やあー、パ(・)ー(・)プ(・)ル(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)ご機嫌よう」って挨拶してくるの。なので、スミレも挨拶のように人(・)違(・)い(・)で(・)す(・)ってウィリディスム君に言っていたの。でも、今は平気だよ? スミレ、もう大人だしウィリディスム君よりも好きな子が出来たもん」



 そう言ってスミレちゃんが、俺に抱きついて来た。

 いや、スミレちゃんまだ十二歳だよ? 

 この世界の王族の考えでは、大人かもしれないけれど、俺の元いた世界で考えるとまだまだ子供だよ。

 ん? 今なんて? 好きな子が出来た? 

 えっ? それ爆弾発言だよ、スミレちゃん? 



「スミレちゃん、好き……」



 俺が聞き直そうとすると、スミレちゃんが話を続けて遮られた。



「それに、ウィリディスム君と会ったのは六年前だから、十五歳のリリーちゃんより背が低かったけれど、今はリリーちゃんより大きいよ? なのに、なぜ間違えたのかな?」



 と言って、首を傾げたあと



「でも、もう何とも思っていないよ?」



 と言って、笑顔になった。

 確かに今のスミレちゃんは、138cmの俺が見上げないといけない位の背の高さが有るので15cm以上は差が有ると思う。

 それに、二つの膨らみも大きいしね……。ん? でも、もう何とも思っていない? 


 もしかするとスミレちゃんは六歳の頃、ウィリディスム君に恋心を抱いていたのかもしれないな? 

 でも、今スミレちゃんの好きな子の方が気になる。

 ユグドラシルと幼龍の姿に変わったクレマチスが温泉に入ってきたので、ユグドラシルに『心情』でスミレちゃんの事を確認をすると



『「リリー様、そういう所は鈍感ですね」』



 とだけ言われ、教えてくれなかった。でも切り返しに



『「でも、幼女の時は敏感なのよ」』



 と『心情』で伝えておいた。

 だって、モフモフの女神様が降りてきて知恵をくれる場合も必ず幼女の時だし、幼女は色々と敏感なのだ。

 スミレちゃんと、温泉のお湯でフワフワの毛がぺったんこになっている幼龍のクレマチスを触っていると、王妃と第二王女が温泉に入ってきた。

 俺はすかさず、十五歳の容姿になる。

 だって、王妃と第二王女が湯船に入って進んでくると二つの津波が避難指示レベルでやって来るので五歳の容姿だと確実に転覆するからね。

 王妃が俺の元に来ると、



「リリーちゃん、もう安全だから小さくなっても良いわよ?」



 と言って、自身の膝の上に抱き寄せる。

 どこが、安全なのだろうか? 

 俺は今、自身の背中が五歳の容姿に変わると危険な場所へと変貌する大きな膨らみに押しつけられているのだが? 



「リリーちゃん?」

「ひゃい」



 どうやら、王妃はどうしても五歳の容姿をご所望らしい。

 仕方がないので、五歳の容姿になると二つの膨らみの間に頭が挟まれたが王妃が撫でてきた。

 逆方向を、向かされない事を祈ろう。

 逆方向を向かされると、危険な場所に変貌するからだ。



「リリーちゃん、交流試合の相手は知っているかしら?」

「いえ、聞いていません」



 しかし、俺の耳に聞こえて来る鼓動は安心感を与えてくれる。



「スミレとリリーちゃんは、代表選手ではないから伝えても良いわよね?」



 王妃が、第二王女に目線を向ける。



「お母様、良いのでは? リリーちゃんとスミレを代表選手から外した、いけ好かない公爵の息子の事ですし」



 第二王女が怒っているようで、いきなり立って握りこぶしを作った。



「ぷひゃ」



 立つのは良いのだが、温泉のお湯が俺の顔に降りかかった。



「あっ、リリーちゃんごめんね」



 顔のお湯を手で拭い取ってくれるのは良いのだが、第二王女様? 色々と近いよ? 



「ホワイトバイオレット、言い過ぎよ。私も公爵を睨んだだけで済ませたのに」

「お母様、その方が公爵の冷や汗が凄かったと思いますが?」



 俺もそう思う。

 王妃が交流試合の相手選手の事を聞いていると言うことは、両国の王がいる訳で、一国の王妃が睨みつけているのを両国の王や、もう一方の王妃も見ているというわけだ。

 つまり、同盟でしかもウインドウォーター王の実の妹に、睨まれるような事をしたと言っていると同義なのだから。



「そうかしら?」



 王妃の話によると、ウインドウォーター王国側の代表選手は公爵の息子四名らしい。

 だから、息子が酷い怪我をしないように、俺達の偵察と代表選手を見極めていたのかもしれない。

 それで、俺とスミレちゃんの実力を見て危険と判断して無茶な事を言ってまで試合を中止させようとした。

 しかし、こちらの方が折れたので交流試合を予定通り行う事になったと言うわけだ。

 俺も自信の身内が、大けがをする事が予想できる試合になんて出来れば出したくはないからね。

 うーん……なら、公爵さんは情状酌量の余地が有るかもしれないな。

 そして、王妃達と楽しい海の別荘での時を過ごし次の日を迎えるのであった。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「リリー? 今日のメイドさん達、十代の若い子が殆どよね? どうして

    なの?」

リリー「それねー! メイドとしてはまだ新米なのだけれど、第二王女様の為に

    年齢が近い側付きメイドを王妃様が厳選した子達なの。一名は、その

    新米メイド達を指揮する三十代のメイドさんなのだけれどね」

シルク「だから、皆慣れていなくて恥ずかしそうにしていたのね」

リリー「うん。それに、スミレちゃんが私達のもとにいるので、第二王女様が

    寂しくないようにという王妃様の気遣いもあるの」

シルク「成る程ねー……。でも、リリー? ディーネちゃん達と腰を振って

    踊らせるの、ソロソロ止めさせないと三十代のメイドさんが……」

リリー「だよねー……」

    十代のメイド達に負けないよう、必死に腰を振る腰を痛めていた三十代

    のメイドの姿がそこにあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。