天空のレストラン? と悪戯狐っ子
カトレア先生達がウインドウォーター王国に出立してから数日が過ぎ去り、遂に皆の水着が完成した。
水着を創るのに時間はかからなかったのだが、皆に合った水着の妄想に時間を費やしたり、シルクの説得には特に時間を費やしてしまった。
結局は初めに浮かんだ案の水着となり、シルクも「目立たないなら、良いわ」と言って納得してくれた。
ふー、やれやれ。シルクとのやり取りが、一番大変だったよ。
ともあれ、水着の創造に長々と時間を費やしたがホテルにふらりとやって来た宰相さんから良い話を聞いた。
ウインドウォーター王国の浜辺と浜辺の近くにある一部の土地に、ホワイト王妃が個人所有する浜辺が有るらしいのだ。
そこには、浜辺と土地位しか無いが自由に使っても良いとの許しを得た。
しかも、
「なんなら、リリーちゃんの家を建てても良いわよ。ウフフ。楽しみね」
と、王妃が言っていたらしい。
これって、王妃が建てて欲しいと言っているのと同意だよね?
まあでも、そこで寝泊まり出来て浜辺で遊べるのなら建てても良いと俺は思っている。
だって、他国の宿屋はライムお姉さんのような親切な人がいるとは限らないからね。
可愛い子が宿屋のペットとして飼われていたり、モフモフで可愛い獣人の子が番頭だったら行っても良いのだけれどね。
フォレストムーン王国に初めて来た時の出来事の様に、大きな宿屋の番頭から断られるのはもうこりごりだからね。
それに八歳~十五歳の少女達の団体で、信用が出来るか不明な宿屋に泊まるのは正直言って怖いしね。
まあ、何かされても怪我をするのは相手なのだけれど……。
そう言うのも含めて、王妃様の個人所有している土地と浜辺は有りがたいのだ。
キノットさんとライムお姉さんに皆で
「「「「「行ってきます」」」」」
と伝えた後、フォレストムーン王国の外に出る。
そして、広い平野でクレマチスに早速大きな龍の姿になってもらい隠蔽魔法をかけた。
「リリー様、約束通り私の頭に乗って下さいね」
「クレマチスちゃん? この前より、おっきくない?」
「リリー様、悠久の時を支配する神名を司る女王となった事で、もっと大きくなれますよ?」
「……クレマチスちゃん、このままでお願いします」
「はい、リリー様」
クレマチスは、以前魔法陣で引っかかっていた時より遥かに巨大になっていた。
俺の思い描いていたのは、背や首に直接乗っての移動だったのだが、クレマチスの大きさや皆を乗せての移動と考えると無理な話で有る。
なので、背に流線型でかつドーム型の家を強靱で巨大な魔道ハーネスで固定してもらうことにした。
そのドーム型の家は入ると様々な魔法がかかっており、クレマチスがどんな体勢になっても中の者はその影響を受けないようになっている。
なので、そのドーム型の家にスミレちゃんとレモンちゃんとスノー達には乗り込んでもらうことにした。
家に入る時は、スミレちゃんに渡している魔道具で指定すれば入ることが出来る。
因みに、クレマチスのアクセサリーの機能へ、この家の収納機能を追加したので俺が態々アイテムボックスに収納しなくてもよくなった。
安全面を考えて、生物が中にいる場合は収納出来ないようになっている。
更に、大きさも微調節可能なのでクレマチスが邪魔にならない場所に取り付ける事もできて至便なのだ。
因みに、現時点で中の広さは俺の自宅と同等なので、二階には小部屋四十八室と大部屋十二室有る。
なので帰りはもう少し拡張して、何も無ければ国王陛下達やカトレア先生達を乗せて一緒に帰っても良いと考えている。
だって、その方が皆早く帰れるし空からの景色を楽しめるからね。
そして、俺の自宅とは違う所が幾つかある。
その一つは、一階の一部をレストランの様に皆が食事を楽しめる空間を設けていることだ。
なので、キッチンが広く使い勝手が良いのだ。
そして俺とユグドラシルはというと、クレマチスが寂しがるのでクレマチスの頭の上に流線型の防壁を張って乗ることにした。
因みに、ドーム型の家とこの場所は拡声器で繋がっている。
なので、双方で話すことが可能だ。
「クレマチスちゃん、家は重くない?」
「リリー様、重くないです。寧ろ、私の身体が軽くなりましたよ?」
「あれ? 重力制御魔法が、強かったのかな? クレマチスちゃん、大丈夫?」
「はい。リリー様、ありがとうございます。これで、更に早く飛ぶことが可能となりました」
早く飛ばれると、折角の景色が楽しめなくなる。
なので、ゆっくりと飛んでもらうようクレマチスにねんをおす。
「あっ! でも、クレマチスちゃんゆったり飛んでね。早く飛ぶ必要はないからね」
「はい、リリー様」
でも一番は、クレマチスが不自由に感じない事だからね。
そして乗っている皆には安心してもらえるよう、飛行機に搭乗すると流れる様なお知らせを少し変え、ドーム型の家に繋がる拡声器に向かってお知らせをする。
ピンポンパンポン!
「皆様、本日はクレマチスちゃんのウインドウォーター王国行きをご利用頂きありがとうございます。クレマチスちゃんの機長はリリー・ヴァリー、副機長はユグちゃんです。そして、客室を担当致しますのはスノーと葵とレモンちゃんでございます」
「スミレちゃん、リリーちゃんの声がするよー?」
「ですね。レモンちゃん、ライムさんと離れても寂しくないですか?」
「うん、リリーちゃんや皆がいるから大丈夫」
俺が拡声器で放送をしていると、家からもスミレちゃんとレモンちゃんの話し声が聞こえてきた。
レモンちゃんは、まだ八歳で俺の元いた世界で言えばまだ小学生だ。
小学生が、大好きな母親と離れるとなると寂しく感じるのではないだろうか?
スミレちゃんは一番末っ子なのに、やはり王女様だけあって自身より小さなレモンちゃんに気遣っているようだ。
「まもなく出発致しますが当機のクレマチスちゃんが背負っているドーム型の家は魔法制御がされております。ですので、シートベルトも不要となっておりますのでご自由にご歓談下さい。尚、ウインドウォーター王国までの飛行時間は一時間を予定しております。何かご利用の際は、お気軽に乗務員に声をおかけください。それでは、ごゆっくりとお寛ぎ下さいね」
そう言ってお知らせをすると、シルクから早速要望が拡声器から聞こえてくる。
「リリー、私のお菓子とデザートは?」
いや、別にシルクだけのお菓子じゃないのだけれど……
それに、来る前に自宅でクッキーを食べていたよね?
また、食べるの? シルク、またアイビーに指摘されるよ?
「ねえねえ、シルクちゃん?」
すると、レモンちゃんが声をかけてきた。
「この家、リリーちゃんの家と同じ様な作りだから冷蔵庫は……ほら、シルクちゃん沢山のお菓子やデザート、それに美味しそうな食べ物がいっぱいあるよー!」
「レモンちゃん、ディーネもお手伝いします」
「ミィミィー」
「ディーネちゃん、ありがとー。ケットちゃんもお手伝いしてくれるのー?」
「ミィー!」
流石、客室乗務員のレモンちゃん。よく分かっているじゃない。
それに、ウンディーネと魔眼のケットシーもレモンちゃんに懐いているようだ。
食いしん坊の、シルクとは大違いだよ。ホントに!
「レモンちゃん、ウチの食いしん坊の事よろしくね」
「うん」
「誰が、食いしん坊よ!」
「ワン、ワオーン」
『シルクしか、いないでしょ』
「アイビーも、五月蠅いわね」
シルクが俺に突っ込むが、すかさずアイビーがシルクに追い打ちをかける。
本当にシルクとアイビーは、仲良しさんだ。
シルクのことは、アイビーに任せておけば大丈夫だろう。
「シルク様、こちらには飲み物もございますぅにゃん」
「流石スノー様、気が利くわ」
スノーも、俺が客室乗務員として選んだだけあるよ。
表情はあまり変わらないが、俺の言いつけ通り可愛い仕草を必ずするのでカフェバー&レストランで給仕のお手伝いをしている時も人気が高い。
「スノーも、ありがと。そちらのことは、頼むわね」
「はい、リリー様ぅにゃん」
スノーは後で、いっぱいモフモフしてお礼してあげないとね。
レモンちゃんとスノーに、色違いのロリメイド服セットを着させて正解だ。
レストランの様に食事が出来る広い空間を設けているので、どうしても給仕係も兼用してくれる客室乗務員が必要だったのだ。
なので、乗る前にスノーと葵とレモンちゃんに頼んで客室乗務員として給仕をしてもらっている。
筈なのだが……心配なのは、葵の行動だ。
葵にもロリメイド服セットを着させて、客室乗務員のように給仕の仕事をこないしてもらいたいのだが……。
しかし、拡声器から聞こえてくる声に葵の声音が一切無い。
「ねえ、葵の声が聞こえてこないのだけれど?」
誰もが
「レモン、葵ちゃんの事知らないよ? シルクちゃんは?」
「私も、知らないわね。アイビーは?」
「クウーン?」
『分かりません』
「ディーネも、葵様の事は知りません」
「ミィー?」
「……ぅにゃん」
と言っている中、スミレちゃんが声をあげる。
「リリーちゃん、葵ちゃんは寝室にいったよ?」
流石スミレちゃん、周りをよく観察している。
葵の密かな行動も、見逃さなかったようだ。
あれ?
でも、スノーだけ少し溜め息が混ざっているような?
気のせいかな?
「えっ? 葵、寝室に行ったの?」
葵の俺に対するいつもの行動から、嫌な予感しか思い浮かばない。
悪戯幼狐のする事は、皆には予想できないようだ。
「うん。リリーちゃん、心配ならスミレが見に行きましょうか?」
「悪いけれど、お願いできるかな?」
「いいよ」
本当は誰かに、葵の行動を見ていてもらいたかった。
しかし、楽しい旅行にその役を押しつけるわけにはいかないし葵は俺の召喚獣であり俺達の家族だ。
なので、誰もが葵がまさか変な事をするなど思わないだろう。
それに、葵からの被害は俺だけだからね。
だけど、ユグドラシルが守ってくれるので最近は被害も少なくなってきた。
ただ最近、葵が頻りにクローゼットやタンスをよく覗いているのだ。
俺の嫌な予感が、当たらなければ良いのだけれど……。
暫くすると、スミレちゃんから声がかかる。
「リリーちゃん、いいかな?」
「うん」
やっぱり葵、何かしていたのかな?
「えっと、伝えた方が良いと思うからスミレ伝えるね」
まさか葵? スミレちゃんが、直ぐに言えないような事していたの?
「はい……お願いします」
「リリーちゃんのかは、分からないのだけれど……葵ちゃん、タンスにあるパンツに埋もれて幸せそうな顔をして頭にパンツを被っていたよ?」
「――――」
……俺の嫌な予感が当たってしまった。
折角、タンスに来客用に下着を綺麗に収納する形で仕上げて創りあげたのに。
しかも、それ俺のじゃ無くて泳いだ後やお風呂に入った後、代えの下着が無い来客の人達の為に創った物だからね。
それに、この家と共に一緒に創ったからたまたまタンスに入っていたけれど、普通はアイテムボックスに収納しているからね?
葵、それくらい気づいてよ。
「……スミレちゃん、葵が悪さしないようにロープで縛って連れてきて」
「うん……」
暫くすると、葵の声が聞こえてくる。
「リリー様、これは出来心ですの。決して、葵には悪気はありませんのよ?」
まるで、ドラマで嘘をついている人の言い訳のようだ。
そう言う人に限って、計画している事だというのは目に見えている。
「葵、それ私のじゃないから」
「えっ? エェェェェェェ! 一体、どういう事ですの! リリー様の寝室に有りましたのよ? それなのに葵は、まさかリリー様に騙されましたの? 葵はリリー様の下着だと思って頭に被りましたのよ!」
やはりか、スミレちゃんの言うとおり葵が頭に被っていた事を自白した。
って言うか、チョロすぎる。
「それはね、私以外で換えの下着がない人のために創ったの。例えば、アザレアちゃんとか、ブルメリアちゃんとか、カトレア先生のね」
「だから、リリー様の芳しい薫りがしませんでしたのね。葵、ショックですの」
ショックと言われても、葵は有罪確定だよ。
到着するまで、そのままね。
「スミレちゃん、葵はそのまま縛って動けないようにしていてね」
「リリーちゃん、分かったよ。葵ちゃんに、めっ! って怒っておくね」
「スミレちゃん、お願いします。あっ! もぉー、葵のせいで忘れる所だったわ。スミレちゃん、壁際に切り替えスイッチが有るでしょ?」
皆を楽しませる為の空の旅なのに、葵のせいで台無しになるところだった。
本題に、入らないとね。
俺の自宅とは違う、機能を皆に見せるために。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「シルク何しているの?」
シルク「研究よ。リリー、知っているかしら? 物と物は、お互い引かれ
合っているの」
リリー「シルク、物理学知っているんだ。凄いね」
シルク「へへーん。凄いでしょ」
リリー「でも何で、私が作った新しいお菓子と飲み物の前で?」
シルク「これこそが、お互い惹かれ合う饅頭飲料の法則よ!」
リリー「――――」
シルク、それ違うから。色々と考え方、間違っているよ。
と言いたいリリーであった。




