カフェバー&レストランで催し?
その日の夜、またカトレア先生とリカステさんが俺の自宅に尋ねてきた。
今度は、どうしたんだろう?
「カトレア先生、リカステさん、こんばんは」
今日は王様達もいないから、いきなり気絶することはないと思うけれど、昨日の今日で一体どうしたのかな?
「リリーちゃん、スミレちゃん、もし良かったらなのだけど私達と一緒ににウインドウォーター王国行かない?」
「えっ?」
でも確か、先生言っていたよね?
ウインドウォーター王国に行ける者は、代表選手だけって?
「ウインドウォーター王国はね、気候が温暖で暖かく、海が近くて砂浜があって、とても綺麗な王国なの。それに、北側には自然豊かな山と川があって飲み水も美味しいく、山から心地よい風が吹いてくるの。本来なら代表選手だけがウインドウォーター王国に行くのだけれど、私達のせいで代表選手として行けなくなったのも当然だと思うの。それに、交流試合が終わった後は体調管理も兼ねて数日ウインドウォーター王国でお休みするから、お買い物や好きな所に遊びに行くこともできるのよ。なので、旅費と宿代と食事代を私とリカステが自腹を切って支払うので一緒にどうかな?」
と、カトレア先生が言ってきた。
へー、ウインドウォーター王国ってそんなに南国なんだ。
俺の中で南国のイメージは、やはり海外の南国。
沖縄も良いけれど、日本国内なのでどうしても近辺旅行のように感じてしまうのだ。
海外の南国の中でも、ハワイのオアフ島はいいよね。
ジメジメしない乾いた温暖な気候で、綺麗な浜辺を泳いだり遊んだり、そして食事やお買い物も気軽に楽しめる。
何より、日本語で話しても通じるところがいい。
ハワイの隣島やグアム、それにフィリピンのセブ島も綺麗で良いよなー。
自然の美しい景色を楽しめて、現実から夢の世界へと誘ってくれる。
インドネシアのバリ島は、地上最後の楽園とか神々の棲む島って言われているしね。
癒やしが足りない現代社会人にとって、最高の癒やしの空間だ。
南国最高! ベトナムのダナン、パラオ、サイパンも美しい景色や自然の恵みに癒やされて良いよねー。
と言いながら、実はどれも全部パンフレットやネットで見た情報を元に俺の妄想の中で行った事にして夢に見ているだけなんだけれどね。
ふー……海外旅行に行きたかった。ホントに!
「俺も、自腹を切って払うのか?」
リカステさんが、首を傾げてそう言った。
でもこの二人、息がぴったりしているのは気のせいかな?
リカステさんは、カトレア先生の事を内心で思っているようでカトレア先生にもの凄く優しい。
でも紳士の行動を色々な人達に行っているので、自身ではカトレア先生に対して普通に接していると思っているのだろう。
カトレア先生も、リカステさんに頼っている所がある。
この二人の思いは、恋愛感情では無いようなのだが……まるで、親子のような不思議な関係なのだ。
ユグドラシルからの情報なので、間違いないだろう。
って言うか、ユグドラシルがいると個人情報筒抜けになるよね。
少しユグドラシルにも、心情を読んで良い事と駄目な事教えないと俺が大変だ。
今ユグドラシルはクレマチスの所に行っているので、近くにいないと俺の心情は読めないらしいから良いけれど、あまり変な事を考えないようにしないといけないよな。
まあ、変な事と言ってもモフモフな子の事が殆どなので別に良いけれどね。
「リカステ、さっきは良いって言っていたでしょ? それに、最近飲んでないからお金も貯まっているでしょ?」
「それは、忙しすぎてだな……まあ今回は、俺もカトレアを止められなかった責任があるから良いけどよ」
と言うわけで、カトレア先生達の折角の申し出を俺とスミレちゃんは無碍には出来ない。
なので、ウインドウォーター王国に行くことにした。
俺の海外旅行に行きたい気持ちが、溢れだしたとも言うけれどね。
だって、異世界の南国のイメージはパンフレットには載ってなかったからね。
今から、楽しみだ。
妄想の中で、シミュレーションしておかなくちゃね。ふふふふ!
ただ、俺とスミレちゃんが行くのなら自宅にいるスノー達とレモンちゃんも一緒に連れて行きたい。
それに実は、五月生まれのスノーとシルク、俺が五月十三日を誕生日としたユグドラシルとウンディーネ達に、まだこれと言ってお祝いが出来ていないのだ。
葵も六月生まれなので、時期的にお祝いも兼ねた旅行が出来れば良いと思った訳だ。
なので、俺達は現地でカトレア先生達と合流することにした。
それにユグドラシルからカトレア先生の懐事情を聞いていたので、旅費と宿代と食事代も遠慮することにした。
幸いホテルのカフェバー&レストランは、宰相さんの計らいで由緒正しい家系の人達が雇えたので俺達も毎日給仕のお手伝いをしなくてよくなったしね。
まあまだ、カフェバー&レストランとホテルの宿泊施設の全稼働には程遠い人数なんだけれどね。
兎に角、カフェバー&レストランが回ってくれる人数が確保出来たのが幸いだったのだ。
ウインドウォーター王国まではかなり距離が有り、馬車で一週間位かかるらしい。
なので、国王陛下と王妃と第二王女は護衛騎士団と共に、交流試合の視察のためウインドウォーター王国へ先に向かった。
カトレア先生とZクラスの皆は、用意をしてから明日ウインドウォーター王国に出立するようだ。
ルビナス君は別の件で、フォレストムーン王国に残ったけどね。
ブルメリアちゃんが殿下も残るなら私もと言っていたけれど、ルビナス君が獣王国の強さを見せつけてくるようにと言われた事で、そのまま代表選手としてウインドウォーター王国に行くようだ。
で、俺はと言うとキノットさんとライムお姉さんのいるカフェバー&レストランに来てレモンちゃんをウインドウォーター王国に連れていって良いか聞いている最中だ。
「キノットさん、レモンちゃんもウインドウォーター王国に連れていっても良いかな?」
「宰相さんの計らいで、新人の執事見習いやメイド見習いの人が来てくれるようになったからね。レモンさえ良ければいいよ。あっ、それとなリリーちゃん? 最近、レモンが長袖で首元が見えない服を着るようになったのだが、理由を知っているかい?」
もしかして、レモンちゃんキノットさんにアクセサリーの事を隠しているのかな?
確かに、子供がするには少し高価すぎるアクセサリーだったかな?
「そうなのよ。リリーちゃん? 私にも首元と手首を見せようとしないのよ。お風呂に入る時は、一度部屋に戻るし……」
ふむふむ。ライムお姉さんにも、隠してたのか……。
そう言えばアクセサリーの事、キノットさん達に俺から伝えていなかったっけ?
もしかしたらレモンちゃんは、俺がライムお姉さんに秘密裏に驚かせようとして贈り物をすると思っているのかもしれない。
確かに、あの時もレモンちゃんにアクセサリーを急に渡したからね。
俺から贈り物を受け取ったレモンちゃんは、驚いていたけれど凄く喜んでいた。
自身がこれだけ嬉しいなら、お母さんもきっと……と、思っているのかもしれない。
なのにライムお姉さんは、アクセサリーをいつになっても全く付けていない。
それに、俺からキノットさんやライムお姉さんにレモンちゃんのアクセサリーの件を伝えていない。
なので、キノットさんとライムお姉さんに見せて良いのか不安だった。
……レモンちゃんには、悪いことをしたな。
こういった事は、俺からちゃんと伝えるべきだな。
だけど、サプライズプレゼントも悪くない気がする。
しかも、趣向をを凝らしてね。
初めて会った時のキノット夫妻の生活は、はっきり言って貧乏宿屋の見本とも言える位に酷い生活環境だったからね。
恐らく、貴族達のように華やかで祝福されるようにして夫婦になった訳では無いだろうしね。
まあでも、その前にライムお姉さん達の誕生日を聞かないと……
「えっと、レモンちゃんの事情は分かりました。でもその前に、ライムお姉さん達のお誕生日をお聞きしても良いですか?」
俺がそう言って、ライムお姉さんに顔を向けると眼をパチクリさせた。
「えっ? 良いけれど、リリーちゃん? レモンの隠し事に関係があるの?」
「はい。私の為にレモンちゃんは隠してくれているので」
「あら、そうだったのね」
俺の答えにライムお姉さんが笑顔になり、キノットさんも安心したようだ。
「リリーちゃん、そうなのか」
「はい」
「えっとね、私の誕生日は……」
ライムお姉さんが頬を染めて恥ずかしそうに言いかけたので、俺が知りたい誕生月日の事を伝える。
「ライムお姉さん、年数は良いので誕生月と生まれた日をお願いしますね」
「あっ、そうなの? 実は、年数も言わないといけないと思って恥ずかしかったのよ」
キノットさんとライムお姉さんの年齢は、以前にレモンちゃんから聞いているので二人とも二十五歳なのは知っている。
ライムお姉さん、二十五歳なら気にする必要ないのにな。
「私の誕生日は、十月三十一日よ。でも、パパは自身の誕生日を知らないのよね」
「ああ、俺は生まれた年は聞かされたから今年で二十五歳ってのは分かるんだけどな」
平民が自信の正確な誕生日を知らない事は不思議ではないし、貴族のように祝いをする事もない。
平民はお金がなく、日々の暮らしをするだけで精一杯な事が多いからだ。
キノットさん夫妻は貧乏な暮らしを経験した為か、売り上げの一部を宰相さん経由で貧しい人達の為に使って頂くように援助金を渡している。
宰相さんもキノットさん達の行動に感銘を受け、臣下達言って貧しい人達への物資の援助回数を増やした。
元々この国は貧民達に毎週二回物資を援助しているのだが、キノットさん達の支援金のお陰で毎週四回の物資援助となり貧民の生活がかなり改善したようだ。
「ライムお姉さん、ありがとうございます。キノットさんは……別に良いです。ライムお姉さんは少し待っていて下さいね」
「ええ」
「リリーちゃん、俺は良いのかい?」
「はい。あっ、でもキノットさんはこちらに来て下さい」
「ああ」
キノットさんは、俺が「別に良いです」と言ったことで少し落ち込んでいたけれど、このサプライズに関しての主役はやはり女性であるライムお姉さんだと俺は思っている。
まあでも、キノットさんも主役なので少し勘考する。
確かキノットって、オレンジ科だったかな?
この際、オレンジで良いとして……誕生月は、五月二十八日だったような気がする。
まあ、それで良いか。
俺は二人の為にアクセサリーを創り出し、アクセサリーの機能で二人がある服を纏えるようにした。
キノットさんが俺の元に来たので、屈んでもらいコックコートの右胸元にステップ・カットを施したエメラルドの星が三つ並んだブローチを付け、同じカットを施したサンストーンの小さな王冠の形をしているブローチを左胸元に付けた。
うんうん、キノットさん似合ってるよ。
まるで、三つ星ホテルのシェフみたいで格好いい。
「リリーちゃん? これは!」
キノットさん、驚きすぎ。
ライムお姉さんに付ける前に、知られちゃうでしょ?
「キノットさん、静かにしてね!」
「こんな、高価な物……」
確かに、平民であるキノットさんにとっては高価すぎる宝石だと感じるかもしれないけれどね。
「いいの。キノットさんは、私のホテルの総支配人です。なので、受け取って下さいね。それに、これはキノットさん達を守護するのでお願いします」
「守護?」
そう。これは、俺が守りたい人に付けてもらいたいと願う物でもあるからね。
特に、キノットさん達は守ってくれる騎士達がいないのだから。
「はい。後で、詳しくお伝えしますよ。ライムお姉さんにも付けてきますので、これを……」
「え? ……」
「こしょこしょこしょ」
俺はキノットさんに、段取りを伝えた。
すると、キノットさんは照れくさそうにしていた。
そして、次はライムお姉さんの元に行き同時に使徒・眷属・従者テレパシーを使用し各自に指示を出した。
勿論、レモンちゃんにもね。
「ライムお姉さん、後ろを向いて屈んで下さい」
「リリーちゃん? 何するの?」
「私が不安な思いでこの国に来て、初めて暖かい心で迎えてくれたライムお姉さんに。そして、ホテル総支配人の奥方として私からのささやかな贈り物です」
「え? ……」
俺はライムお姉さんの首にラウンド・ブリリアント・カットを施したトルマリンのネックレッスを付け、両耳に同じカットを施したカイヤナイトのイアリングを付けた。
「わ……たしに?」
ライムお姉さんは戸惑いながらも、内心嬉しさが込み上がっているのが俺には見て取れた。
俺も、ライムお姉さんが嬉しく思ってくれている方が嬉しい。
「はい。それと、ライムお姉さん」
「はっ、はい」
「こしょこしょこしょ」
俺は、ライムお姉さんにも段取りを伝えた。
すると、ライムお姉さんは頬を赤らめた。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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シルク「リリー、ウインドウォーター王国って美味しい物あるの?」
リリー「この国より、暖かい気候のようだから美味しい果物が沢山有る
と思うよ」
シルク「じゃあじゃあ、この前リリーが言っていたクリームを山のように
かけるケーキ作ってよ」
リリー「モンブランの事?」
シルク「そうそう、それよ!」
リリー「じゃあ、果物の果汁をクリームに混ぜた物を生地の上面に山の形の
ように絞りかけた甘酸っぱいモンブランを作るね」
シルク「リリー、お願いするわ。今から楽しみね。山のようなモンブラン」
リリー「……シルク? 勘違いしないように言うけれど、山の形に似せて作った
ケーキの事を言うのよ? 決して、山のように大きなケーキじゃない
からね」
シルク「ガーン!」
モンブランに、変な思いを浮かべていたシルクがリリーに真実を
告げられて衝撃を受けた瞬間であった。




