選抜試験の前日2 【リリーSIDE】
俺は全校生徒と教職員に初歩の初歩だが、魔法とは何かという理をキーボードLV2の機能である言霊を使って教えた。
それにより魔法を唱えても手元でしか発動出来なかった者、的にまで魔法を飛ばすことが出来なかった者達が全て、魔法を唱え発動し的を破壊する事が出来るようになった。
そして、その中から魔法にある程度適正がある者達を集め、次の理を言霊として教えるとほぼ無詠唱で魔法を放つことが出来るようになった。
ある程度適正とは、次の段階の理を理解できる者達の事だ。
ほぼ無詠唱とは、魔法の途中の詠唱を唱えずに魔法の名前だけを言って放つ事だ。
そして、次の段階である完全無詠唱の理に進もうとした時システムから
【システム 専門職以外には理解することが不可能です】
と、そう告げられた。
その事から、専門職を持っている俺やレモンちゃんしか無詠唱に至るまでの理を理解することが不可能であると分かった。
魔物との戦いにおいて、冒険者パーティーとして乱戦に陥った場合、仲間との意思疎通を行い言葉を発してから魔法を放つと一歩遅れをとる。
しかし、本当の乱戦時は仲間との声かけが出来ない場面が多い。
つまり、余裕がない魔物との乱戦時だ。
冒険者学校を卒業したてで、そんな魔物と乱戦状態に陥る事は稀だと思うが、この近辺で起こっていた魔物や魔物の軍勢の襲来……絶対に起きないとは、言い切れない。
余裕がない魔物との乱戦は、仲間の事を考えている余裕がどうしても無くなってしまう場面がある。
訓練をすれば可能であろうが、長い時を要してしまうだろう。
そうした場合に必要なのが、敢えて魔法の名前を言って発動させる事だ。
それにより、仲間の位置や何の魔法を放ったか? という事が分かる。
つまり、自己の判断で仲間の放つその魔法に対して回避や耐性魔法を瞬時に行うことができる。
数年という長い期間ではない冒険者学校で学ぶ魔法として、長期間をかけて仲間との信頼関係や意思疎通の習得は難しいと判断すると、完全無詠唱を覚えられない方がかえって良かったのかも知らないけれどね。
もし完全無詠唱を習得出来たなら、仲間との意思疎通の訓練を重点的にさせようと考えたが……。
しかし、仲間との意思疎通を訓練させるのは無駄ではない。
剣技においても、仲間との意思疎通は必要だからだ。
なので、剣技を担当しているカトレア先生や教師達に仲間との意思疎通は任せることにした。
しかし、俺とスミレちゃんは剣技が元々優秀なZクラスの皆と毎日顔を合わせているので、二人でZクラスの皆に自身の剣技や魔法の技術を見せて指導した。
毎日授業が終わってから、闘技場に来て特に人型の魔物と戦わせた。
人型の魔物は、武器を持っているものもいるからだ。
武器を持っている魔物の戦い方は、人とは違い技術は皆無かもしれないが突拍子もない攻撃を繰り出すので、野性の感で攻撃を仕掛けてくる相手として良い訓練相手になるのだ。
今回の交流試合に、正規の剣技を繰り出す者だけが参加するとは限らないしね。
それに正規の攻撃を繰り出す相手の訓練は、スミレちゃんの勇者の剣技や魔法、それに俺の変幻自在の職で対応すれば良いからね。
勿論、最大限に手加減をして指導を行ったよ。
時に、レモンちゃんも呼んで相手をしてもらったがレモンちゃんは召喚が特異な賢者だが、元のパッシブの恩恵で身体能力もかなり有ったようでZクラスの皆を翻弄していた。
やはり俺が与えた職は、何の職も有していない者に比べると次元が違うようだ。
明日は、代表メンバーの残り三枠を決める選抜試験の本番だ。
しっかりとZクラスの皆を教え込んだつもりだが、男子三人組より女子二人組の方がかなり強くなってしまった。
それに、他のクラスを見てみたがやはりZクラスだけ実力が突出しているようだ。
俺達は、授業が終わってからも残って闘技場で訓練を続けていた。
やはり、それが大きく差がついた要因のようだ。
Zクラスの皆は、放つまでの詠唱は無くても魔法を放てるようになり剣技も魔法を組み合わせることにより遠距離攻撃が可能となっていた。
「今日は男の子組と女の子組に分かれて、この前説明した土竜を倒してもらいますね。いつもは監視モニター室で様子を見ているけれど、今日は安全のために闘技場内に私とスミレちゃんが近くで見ているね」
俺が皆に説明をしていると、アザレアちゃんが手を上げる。
「リリーちゃん、質問です」
「アザレアちゃん、どうぞ」
俺は、アザレアちゃんに掌を向ける。
「リリーちゃん? 私達が土竜を倒したら、次はスミレちゃんと模範試合させてくれるのですよね?」
「うん。初めから、そうするつもりだよ。ね? スミレちゃん」
そう言ってスミレちゃんを見ると、スミレちゃんが胸に手を添える。
「アザレアちゃん、ブルメリアちゃん、どーんとこいだよ。スミレはいつでも胸を貸すよ」
「良かった。私とブルメリアちゃん、男子よりも強くなったけれど本気を出していないスミレちゃんには二人がかりで、いつも軽くあしらわれるもの」
アザレアちゃんと、ブルメリアちゃんのお願いとも取れる言葉に、スミレちゃんが俺に助けを求める様に顔を向けてきた。
「あはは、リリーちゃんどうしよう?」
「スミレちゃん、考えが有るから」
頷くようにして、俺はスミレちゃんを安心させた。
「うん、リリーちゃんにスミレ任せるね」
そりゃー、勇者の全スキルを覚えたスミレちゃんが本気になったら俺が防壁張らないと破壊の使徒来襲になっちゃう位だからね。
色々と制限を設けないと、難しいと思う。
実は、改良を加えた闘技場には魔物を創り出す以外にも安全面を考慮している。
その機能を使えば、恐らく……。
それに、スミレちゃんが力を振るう場所は闘技場じゃないと外だとクレーターだらけになる。
いつも二人は、男子組に内緒でスミレちゃんに見て貰っているかもしれないけれど、外ではスミレちゃんも本気を出せないよ。
そういう男子組は、いつも授業の後に男女合同で訓練をするのだけれど、あまり真剣に訓練をしていない気がする。
俺のせいかもしれないが……俺が十五歳の容姿で来る日は、真剣に訓練出来ずにルビナス君とエレモフィラ君は呆けていて帰りに食事に誘ってくるし、五歳の容姿で来ればバレリアン君が気がついたら側にいて下から覗いていたり見境なく食事に誘ってくる。
バレリアン君は、十五歳の容姿の時も五歳の容姿の時も基本的に見境無しに誘ってきたりもするけどね。
いつもそんな感じだから、男子三人組は女子二人組よりも劣っているのだ。
男子三人組と女子二人組に説明を終えて、スミレちゃんと一緒に椅子を持って闘技場に入っていくと監視モニター室にカトレア先生とリカステさんとロベリアさんが見えた。
あれ? ロベリアさん、どうしたんだろう?
場所の確認のために、冒険者ギルドのギルドマスターの代わりに見に来たのかな?
明日の本番は、王と冒険者ギルドからギルドマスターが見に来ることになっている。
恐らく、その為だろう。
若しくは、カトレア先生と親しそうに話している事からお友達なのかもしれない。
カトレア先生の隣に、リカステさんが違和感なく普通に座ってるけれど、初めて教室で紹介された時は驚いた。
まさか飲んだくれ冒険者をやめて、冒険者学校の教師になるなんてね。
しかも、俺達の副担任としてだ。
リカステさんに事情を聞いてみると、いきなり騎士達に王の間に連れてこられたかと思うと国王様の勅令で無理矢理だったらしい。
しかも、王の理由が
「其方ほどの冒険者が、飲んだくれている暇があるのなら、冒険者学校の教師として魔物の事や知識をリリーちゃん達Zクラスに教えつつ、自身でもリリーちゃんから学び取りなさい」
と言われたらしい。
そう言う理由もあって、リカステさんは毎回俺達の様子を見に来ている。
カトレア先生と眼が合ったので、笑顔を向けて手を振った。
すると、リカステさんが俺を指さしカトレア先生の服を引っ張っている。
カトレア先生、服の布が少ないからあまり引っ張るとサービスシーンになっちゃうよ。
そう思っていたら、リカステさんがカトレア先生に引っ叩かれた。
まあ、そうなるよね。
リカステさんは、カトレア先生に引っ叩かれた後に謝っていた。
恐らく、何か気になって思わず引っ張っちゃったのかもね。
いつも冒険者ギルドで、紳士的な対応してくれるリカステさんがカトレア先生にセクハラをすることは無いと思うしね。
俺は魔道具の有る方に行き、Zクラスの皆が戦う魔物の情報を確認する。
いつもは地面の上を移動して戦う魔物だったのだが今日の魔物は移動する場所が根本的に違うのだ。
俺が土竜の情報を確認して、顔を監視モニター室に向けると、
「ぷっ!」
何て顔しているの? リカステさん? 強面の顔が、面白い顔になっているよ。
「ぷっ! リカステさん、変な顔しすぎ! スミレお腹苦しくなるよ」
スミレちゃんも、俺と同じように吹き出してお腹抱えてる。
ツボに嵌まったようで、少し涙目になっていた。
「リリーちゃん、あれ見てよ。リカステさん顔真っ赤」
「スミレちゃん、見ると私もお腹痛くなるから」
リカステさん、またカトレア先生に揶揄われているのかな?
カトレア先生、今まで散々揶揄われたからって揶揄い返してるんだろうな。
土竜の情報確認を終えて、スミレちゃんに指示を出す。
「スミレちゃんは私と少し離れて、そちら側からあの子達が危ない時は助けてね。私もこちら側から、あの子達が危ないと判断したら助けるから」
「うん、分かった」
そうは言ったものの、土竜はZクラスの子達と初めて対戦させる魔物だ。
それに、少し気になるのだ。
「その前に、今回対戦させる土竜を見ておくけど良いかな?」
「いいよ。でも、少ししたら出てくるから気をつけてねリリーちゃん?」
いつも気にかけくれるスミレちゃんは、本当に優しいな。
今はスミレちゃんより年上のお姉さんになっているけれど、実は背の高さは俺の方が低いんだよね。
だから、スミレちゃんと一緒に外を歩いているとスミレちゃんの妹だと思われてしまう。
しかし、下着は十五歳の年齢になった途端変貌した。
要するに、大人っぽい女性の下着になったのだ。
今も下着は清楚な下着ではあるが所々透けていて、ハイソックスが付いている衣装を着ると下着に合わせたお洒落なガーターベルトが付いてくる。
下着の変貌はどうやら、五歳、十歳、十二歳、十五歳で変わってくるようだ。
それに、十五歳の年齢の筈なのだけれど身長は僅か138cmしかない。
五歳が65cm、十歳が115cm、十二歳が127cm、十五歳が138cmなので全体的にかなり低身長なのだ。
まあ確かに、女神が自身の身体で身長を気にする事は無いと思うし異世界で俺の常識は通用しないからね。
でも二つの膨らみは、A、A、B、Cと確実に成長している。
どこの成長を見て、判断しているの? と言われそうだが、五歳からの成長が俺の元いた世界の常識から考えると微妙な成長率なのだ。
それに比べて、二つの膨らみはちゃんと成長しているからね。
なので、仕方がないのだ。
「スミレちゃん、ありがと」
俺は魔道具を操作して、魔物を創造させるとその土竜の毛並みが気になった。
一瞬で地面に潜ったかと思うと、土竜が急に地面から姿を現し俺のスカートを捲り上げた。
「ひゃー」
一瞬驚いたが、刹那スミレちゃんが俺の眼前を通り過ぎ土竜は光りとなって消え失せた。
そして、捲り上がっていたスカートがユックリと元の状態に戻る。
「もぉー! リリーちゃん? 少しモフモフしていそうな魔物だったからって、油断しすぎです。ほらー、あんなサービスシーンを見せるから、入口で見ているルビナス君とエレモフィラ君とバレリアン君の顔が真っ赤です!」
スミレちゃんが、頬を染めて言ってきた。
男の子だと、見ちゃうよね。仕方がないと、思うよ。
おじさん分かるよ。その気持ち。
でも最近幼女や少女の言葉を使いすぎて、自身がおじさんだった事も忘れているけれどね。
「あは、でもモフフサしてなかったよ?」
でも、モフモフしていそうな魔物はやっぱり気になっちゃうんだよね。
「それは、そうでしょ? 魔物なんだから。それに私が攻撃するより、リリーちゃん先に土竜を倒していたでしょ? 私が攻撃した時には、既に手応えなかったし……ああいう時は、私に倒させて下さいね。私、リリーちゃんの使徒なんですよ」
あらら、分からないような早さで倒したけれど倒した瞬間手応えなくなるんだ。
知らなかった。
「ごめんね、スミレちゃん。気を遣わせちゃったね」
「良いのです。それより、リリーちゃん? 三人組が、来ましたよ?」
「えっ?」
「「「リリーちゃん、これを……」」」
ルビナス君、エレモフィラ君、バレリアン君の三人組が俺の前に跪き、宝石の付いたネックレスやイアリングの入った宝石箱を渡してきた。
この前いらないって言って断ってもダメだから、仕方なくどうしたら良いか三人組に聞くと逆に要求されちゃったんだよね。
でも、服は毎日変える物だし良いやと思っていたら、また贈り物攻撃?
いくらサービスシーンが見られたからって、これは俺でも引くよ?
今まで貰ったお菓子は、全部シルクのお腹に消えたけれどね。
お陰で、シルクのお菓子暫く作らなくて良かった。
それだけは、三人組に感謝しているよ。
「えっと、これは何でしょうか?」
「「「リリーちゃんのサービスシーンへの、俺様、俺、僕からの貢ぎ物です」」」
俺が戸惑っていると、アザレアちゃんと、ブルメリアちゃんがやって来た。
「「男子は、エッチーです!」」
と言って三人組の男子は、二人組の女子に罵られていた。
俺はアザレアちゃんとブルメリアちゃんを宥めて、二人の手を引き俺両隣にアイテムボックスから椅子を出して腰掛けさせた。
「ルビナス君、エレモフィラ君、バレリアン君、今日は事前に能力や特性それに弱点を説明した土竜を三人で倒してみてね」
俺の言葉にルビナス君、エレモフィラ君、バレリアン君がそれぞれ反応する。
「俺様が、もし一人で倒したらリリー姫は何かしてくれるのか?」
「だから、ルビナス君三人で倒してね」
「俺が、君のために倒すさ。リリー姫が、今夜僕の食事の誘いに乗ってくれたらね」
「だからー、エレモフィラ君三人で倒して下さーい」
「リリーちゃん、僕が君のために一人で倒すよ。だから小さくなって僕と遊びに行こうよ」
「バレリアン君も? アザレアちゃん、ブルメリアちゃん、どうしよう? 男の子達、聞いてくれないよ」
「「私達があの三人組を、引っ叩いてきましょうか?」」
「え? ううん。そこまでしなくてもいいよ。スミレちゃーん」
「はぁー、そこの男子三人組! リリーちゃんが、逆に頼みを聞いて毎日貴方達の希望する衣装を着てくるので、贈り物はもうしないと約束しましたよね? さっきも、見ていましたよ。なのに、またリリーちゃんに頼み事ですか?」
「「「それは、スミレちゃんを含めた女子も同じだろ」」」
確かに、俺はスミレちゃんを含めた女子三人組からも、希望している服やケモミミ尻尾を付けて学校に来ている。
スミレちゃんに限っては、スミレちゃんの好きな衣装の場合は同じペアルックだ。
「貴方達は、スミレの剣の錆になりたいんですか?」
あらら、スミレちゃんを少し怒らせちゃったよ。
「「「いえ、何でもありません」」」
そう言って、三人組は回れ右して魔道具の操作をする場所に行き土竜を呼び出した。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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シルク「リリー、今度は何作っているの?」
リリー「えっとね。他校との交流試合が有るのだけれど、スミレちゃんが
どうしても魔法少女服セットじゃないと嫌だって言うの」
シルク「確かに、凄く可愛いよね。私も魔法少女の服とリリーが新しく創った
兎のケモミミ尻尾、クマのケモミミ尻尾、栗鼠のケモミミ尻尾、
今スミレちゃんが一番気に入っているパンダのケモミミ尻尾を
付け替えて、ケモミミ魔法美少女仮面として日々アイビーの尻尾で
鍛えているからね」
リリー「だから、代表の子が男の子じゃなくて、もし女の子だったら皆で
お揃いの服を着ようと思っているの」
シルク「それ、良いわね」
それぞれ、好きなことをして遊ぶリリーとシルクであった。




