ケモミミ尻尾2
王との話が終わると、第二王女が居ても立っても居られない様子で俺の元にやってきた。
メイドに椅子を用意させ、俺の隣に座ってくっ付くようにケモ耳と尻尾を触ってくる。
「リリーちゃん、凄く可愛いわ。どうしたの? その、お耳と尻尾?」
第二王女の問いに、スミレちゃんが答える。
「御姉様も、そう思いますよね? 私達もついさっき、教えてもらったの」
俺はスミレちゃんのアクセサリーにも、スノー達と同じように服の色を変更出来る様にした。
そして、追加で三種類のケモミミ尻尾と龍の角と尻尾を付けられる様に、アクセサリーを変更修正を施した。
ただ、スミレちゃんのケモミミ尻尾は、付けても身体機能は向上しない普通のアクセサリーだ。
俺の付けている眷属従者達のケモミミ尻尾は、特別製で何故か感情や何かの反応を感じ取ると動く。
「スミレちゃん、ケモミミ尻尾を装着できるようにしたから、好きな服に合わせて付けてみてね」
「わーい。私、あの時リリーちゃんが着ていた、美少女仮面モフモフレンジャーセットが良いなー」
「あははは、了解!」
俺はスミレちゃんにも、目元を隠せるマスクを【【全モノ作り創造】】スキルを使用し創り出した。
このマスクはスノー達と同じように、隠蔽魔法がかけられており着ける事で例えその人物を知っている者だとしても、その人物だと特定できなくなる。
まあ、例外もあるのだけれどね……
「スミレちゃん、これでどう?」
スミレちゃんのアクセサリーにも、マスクを付け外し出来るように変更を加えた。
「キャー! 可愛いー! リリーちゃん、この装いです。やっぱり、何度見ても可愛いです。えーと、そしてリリーちゃんみたいな可愛い仕草を……確か、こうかな? キラッ! モフモフ美少女仮面、参上!」
スミレちゃんが決め台詞を言って俺がよくする仕草を決めた瞬間、第二王女だけでなく王妃とカトレア先生まで欲しいと食いついた。
第二王女がスミレちゃんの元に行くと、夢見る乙女のようなそんな双眸を向けてたかと思うとぴょんぴょんと跳ね出す。
「キャー! 可愛いいー! 可愛いいー! ねえねえ、スミレ? 今度は、下から上を見を上げる仕草をしてみてー?」
「お姉様、こうでしょうか?」
「キャー! ヤーン! 可愛いいー! はっ! ……スミレ、素敵ですよ」
第二王女のあまりの変貌に、周りの騎士達から「今日のホワイトバイオレット王女、可愛らしいです」という声音が聞こえて来たことで気がついたように第二王女は佇まいを正した。
「ホワイトバイオレットは、よほど気に入ったのね。私も、気に入りましたわよ」
第二王女の燥ぎぶりに、王妃が優しい笑顔を向けていた。
王妃は、自信の若かりし頃を思い浮かべて優しい笑顔で見ている。
……と、周りに見せたいのかも知れないが、俺には王妃が燥ぎたいのを我慢しているのがよく分かる。
だって、俺やキノットさんの前だと王妃は普通に燥ぐからだ。
第二王女の、この燥ぎよう……間違いなく、王妃様似です!
「お母様、私少し燥ぎすぎて恥ずかしいです」
第二王女は、頬を染めて俯いていた。
スミレちゃんが着て見せた魔法少女の衣装と虎のネコミミ尻尾は、第二王女の中の何かを目覚めさせてしまったのか?
以前ホテルに初めて来た時も第二王女は愛しそうにスノーを可愛がっていたので、恐らくドレスには無い可愛い魔法少女の衣装と、自身の好きなニャン子の様なネコミミ尻尾が合わさった事で箍が外れる程の感銘を受けたのだろう。
「あの服とケモミミ尻尾を付けると、あの人も喜ぶかしら?」
と、王妃が小声で呟いていたのは聞かなかったことにした。
「リリーちゃん、私もあの服とケモミミ尻尾欲しいわ」
カトレア先生も乗る気になっているが、どうしよう?
やはり、年齢的に止めた方が良いのか?
しかも、一国の王妃と冒険者学校の校長先生である。
俺は周りからの眼を考えて、二人に伝える事にした。
「ホワイトバイオレット王女様は、お似合いで年齢的にもまだ分かりますが、王妃様とカトレア先生は流石に恥ずかしいのでは?」
俺の助言に、王妃が頬を赤らめて咳払いをする。
「……オホン。少々年甲斐もなく、はしゃぎ過ぎましたわ。確かにそうですわね」
王妃の少し残念そうな顔に、カトレア先生が笑顔で助言する。
「では、王妃様。私の様に、リリーちゃんの縫いぐるみ人形を抱っこすれば良いですよ。リリーちゃん、この縫いぐるみ人形にはケモミミ尻尾は付けてくれるよね?」
「はい……」
いや、それも世間的にどうかと思うけれど、カトレア先生の場合人形を抱えて冒険者をしていた訳で……うーん。
カトレア先生への俺の返事に、王妃と第二王女が俺の元に駈けよる。
「「あぁーん! 私も、それが良いですわ」」
王妃と第二王女の声音が重なった。
あら、やっぱり王妃様も我慢できなかったのね
……そして俺の袖をスミレちゃんが引っ張り、欲しそうな顔を向けてきた。
この王族、可愛い物が好きすぎる。もしかして、王様もかな?
チラッと王を確認すると、王が優しい笑みで頷いていた。
「はい。分かりました……」
俺は王妃と第二王女、それに帝国に行った時用に、第一王女の誕生日を聞き出した。
王妃は二月十二日生まれで、誕生石はサポート系がアメジスト・強化系がシトリン。
第一王女は十二月二十九日生まれで、誕生石はサポート系がタンザナイト・強化系がアイオライト。
第二王女は十一月二十七日生まれで、誕生石はサポート系がトパーズ・強化系がクリソプレーズという事が分かった。
王妃にはミレニアム・カットを施した100カラット有るアメジストのネックレス。
それに、同じカットを施した小さなシトリンのイアリングを渡した。
王妃が目を輝かせて、声を震わせて感想を述べる。
「このアメジスト凄いわ。大きさだけでなく、どの角度からも光の色彩が豊だわ。えっ? 信じられない……。台座の装飾のキメ細かさも、城に有るどの宝石の台座よりも豪奢で美しいわ。リリーちゃん、こんなにも素晴らしい物良いの?」
もしカトレア先生がいなければ、以前スノーとアイビーのフワフワモコモコスペシャルパンケーキを作った時のように今にも燥ぎそうな雰囲気だ。
カトレア先生と周りを見て、落ち着こうと努力しているのがよく分かる。
いや、城に来るまでの馬車の中でカトレア先生を交えてスミレちゃんと十分燥いでたよね? 今更だと思うのだけれど……あっ! そうか。
今は、周りに騎士達や他のメイド達の眼があるからか。成る程ね。
「はい、私が住む国の王妃様に相応しい物ですので、どうぞ」
第二王女には、スミレちゃんと喧嘩をしない様に俺は気を遣った。
スミレちゃんと同じ大きさで、創ったのだ。
プリンセス・カットを施したトパーズのペンダントと、同じカットを施したクリソプレーズのイアリングを。
第二王女にそのアクセサリーを渡すと、
「キャー! リリーちゃん、私にも? 本当に、良いの? リリーちゃん、大好きー」
と言って可愛く燥いだ後、はっ! と、また思い出したように身形を整えて
「リリーちゃん、有り難く受け取らせて貰うわ」
と上品に言い直した。
……いや、もう先ほどから燥いでいるの何度も見ているからホワイトバイオレットちゃん? 今更だよ? と言ってあげたかった。
それに、俺の元いた世界で考えると年齢相応の可愛い女の子の喜び方だから良いと思うよ。
まあでも、王女様の喜び方じゃなかったけれどね。
王妃と第二王女は、それぞれウットリと宝石を眺めていた。
俺から使用方法の説明をすると、そのアクセサリーの能力と機能に絶賛の嵐だ。
この時ばかりは、周りの眼を気にすることなく燥いでいた。
恐らく、この光景を幾度となく騎士達やメイド達は見ているのだろう。
騎士達やメイド達は、微笑ましそうにその光景を見ている。
だったら、王妃達はそこまで気にしなくて良いのに。
でも、やっぱり恥ずかしいみたいだ。王妃達の顔や耳までが赤くなっていた。
俺は密かに、第一王女のアクセサリーも用意した。
コンケイブ・カットを施した50カラットのタンザナイトのネックレスと、同じカットを施した、アイオライトのイアリングを。
だって、三姉妹揃った時にスミレちゃんの一番上のお姉様が何も身につけていないと可愛そうだと感じたからだ。
まあ、第一王子の奥方となる方にも必要かも知れないが、会ったことがないわけでスミレちゃんとも血が繋がっていない。
なので、会ってお話をしてから決めれば良いと思った。
第一王女とも会っていないが、スミレちゃんや王妃、それに第二王女の人柄からして第一王女の人物像が見えたので創っても良いと感じたのだ。
スミレちゃんには、先生の様な機能を付けた縫いぐるみが新たにペンダントから出せるようにした。
俺がそれぞれのアクセサリーに付与していった物は、スミレちゃんと先生以外は色々限定した。
カトレア先生には今のままで、ケモミミ尻尾を縫いぐるみ人形にいつでも取り外し可能にした。
それに、一応カトレア先生の頭とお尻にもケモミミ尻尾を付けられる様にして……付ける事が出来るのは秘密にしたが……悪戯にも使えそうだしね。でも、秘密だよ。
王妃にもカトレア先生同様の機能を付けた、但し武器の取り出しや自身に装いケモミミ尻尾の装着等は出ないが、縫いぐるみ人形へのケモミミ尻尾の取り外しは可能で、カトレア先生同様に縫いぐるみ人形が守護してくれる機能はある。
第二王女と第一王女の分には、王妃同様の機能に加えて、色が変更可能な魔法少女の衣装を着飾ることができる機能も付けた。
でもここで、前の世界で町中を普通に歩いているコスプレイヤーの事を思い出した。
王妃、カトレア先生、ライムお姉さん、ロベリアさん……そうこの四人で魔法少女の衣装を身に纏っても見た目的に有りなのだ。
ネットで見るような整形メイクなど、少し化粧で幼い女性の様にすれば尚更である。
つまり、容姿が妖艶な大人の魔法少女の完成である。
妖艶な魔法少女F、妖艶な魔法少女G、妖艶な魔法少女H、妖艶な魔法少女F……あれの大きさで、最後の文字が王妃とロベリアさんで被ってしまったが無問題。
俺が良からぬ事を勘考していると、王妃が前にきて顔をのぞかせる。
「リリーちゃん、本当に有難う」
一瞬見透かされたと焦ったが、お礼のようだ。
第二王女も王妃に続き、俺の前に来て顔をのぞかせる。
「嬉しいわ。リリーちゃん本当に有難う」
カトレア先生は俺の姿を模した人形を抱いて俺に近づく。
「リリーちゃん、ありがと。ウフ、フフフ、私のリリーちゃんが可愛くなるわ」
王妃達へのプレゼントに、王が少し困った顔をしだした。
「リリーよ……私が褒美を本来渡さねばならん所を、リリーが褒美を王族に渡すのは流石に困る。私が、これらを買い取るとしたら如何かな? 宰相、鑑定者を後日よこして、鑑定せよ!」
「承りました」
王がお金を支払うと言っているが、鑑定は不可能だろう……。
鑑定が出来たとしても、付いている能力も機能も未曾有すぎてこの世界に存在しない。
「国王陛下、王妃様達に渡した宝石はカット技術も能力も優れているので、世界にそれぞれ一つだけです。判断は出来ないかと存じます。それに、王妃様に渡したアメジストはカット技術も大きさも考えると能力抜きにしても世界に一つだけです」
「なっ! なんと。そっ、そうであるか。ウム、ムム、代わりに爵位を授け領地を与えるとしても、リリーちゃんに授けるのはある事から失礼に当たる……宰相如何する?」
「怖れながら、陛下……リリー殿に返却下さい」
宰相の提案に、王妃と第二王女の顔が一気に悲壮感溢れる状態になった。
「国王陛下、王妃様達に是非と創った物です。ですので、受け取って貰えると私は嬉しいです」
王と宰相は溜息を吐いていたが、王妃と第二王女の表情が一気に明るくなった。
王妃が笑顔で前に出て王に進言する。
「陛下、夜も更けてきた事ですしそろそろ……」
「そうで、あるな。メイド長、カトレアを客室に」
「はい」
カトレア先生がメイド長に連れて行かれたのを確認すると、スミレちゃんが俺の手を引く。
「リリーちゃん、湯浴みが終わったら私の部屋に来て」
スミレちゃんの行動に、第二王女がそれを阻む。
「スミレはいつもリリーちゃんと一緒なんだから、今日は私にリリーちゃんと一緒にお休みする権利を譲りなさい」
二人の王女の間に、王妃が入る。
「貴女達、何を言っているの? 今日は私の寝室で、リリーちゃんはお休みするのよ?」
そう言って、王妃と王女達が口論しだした。
王がそこに入り仲裁をする。
「お前達、止めなさい。今日は、私とホワイトの間でリリーちゃんが休むのだ」
と伝えると、王妃が頬を赤らめたが王女二人に即却下された。
あれ? 王様は王妃様と普通、一緒に毎日お休みするよね?
だって、王妃様はお風呂で見たけれど若くて綺麗だし……うん、詮索しないでおこう。
埒が明かない様なので、俺はメイド親衛隊に頼んで以前泊まった客室に行く事を伝える。
すると、王、王妃、第二王女とスミレちゃんが残念そうな顔をした。
だって、スミレちゃん以外と一緒に休むとお気に入りの魅惑の着ぐるみセットを着て休む事が出来なくなるからね。
俺が湯浴みをしていると、見計らったように第二王女とスミレちゃんと王妃が湯浴みをする場に同時に入って来た。
なので、それぞれの側付きメイドも一緒に入って来る。
すると、湯浴みの場が公衆浴場のように人でいっぱいになった。
仕方がなかったので、俺は早めに湯浴みを切り上げメイド長に言って大客室で休むことにした。
※ ◇ ※
「陛下、リリー様にあの件をお伝えしなくて良かったのですか?」
確かに、この世界で起きた西にある大陸の突然の消失……
しかし、女神リリーには知らせる訳にはいけない理由がある。
「宰相、この世界の理を知っておるか?」
「存じております」
「うむ。この世界は海を隔てて、五つの大陸がある。そして、西、東、北、中央それぞれには神と魔王が存在しておる。神は、勇者転生陣より異世界で死んだものをこの世界に赤子として転生させ、勇者の能力を与え魔王を討ち滅ぼす。魔王は、勇者が生まれると同時に理を持って生まれた魔の物が選ばれ、魔王となり魔の物を率いて勇者と対峙する。これが、四つの国の理だ」
「はい。その通りでございます」
私の父より受け継がれた物語……この物語を聞かせねば、宰相も納得しないであろう。
「そして、この国には物語があるが知っておるか?」
「いえ、物語は存じておりません」
「そうであるか。やはり、この物語は王家だけに語り継がれた物か……。しかし、このような状況であれば、宰相にも教える必要があるだろう」
「陛下、よろしいのですか?」
「うむ。それはな――」
私は、宰相に王家に伝わる物語を聞かせた。
「成る程……つまり、この大陸は四つの大陸と違い神が顕現されたとされるのは数百年前に一度きりだった。それは、当時神の力に匹敵した妖精王と月狼王が争っており、四つの大陸の神や魔王さえも近づかない死の大陸だった。その妖精王と、今は妖精狼の王と名を変えた月狼王との争いを治め、死の大陸を豊かなる自然が溢れる大陸としたのが我が国の最南東に位置する女神の住まう大森林から降臨された幼い女神様だった。その女神は、四つの大陸の神とは違う存在である為、決して四つの大陸に存在する神と魔王の問題に介入させてはならないと……」
「うむ。要約すると、宰相が申したそれが我が王家に伝わる物語だ」
「分かりました殿下。この物語は、私の墓場まで持っていきす」
「うむ。しかし、既に一部でリリーちゃんは介入してしまった」
「我が国を覆った魔の物の大軍ですな……そして、リリー様に絶望的な危機を救って頂いた」
「うむ。その通りだ宰相」
「では、西の大陸の件はリリー様には内密にする必要がありますな」
「うむ……これ以上介入させて、物語りのような結末だけは避けたいのだ」
「はい、承知致しました。陛下」
※ ◇ ※
朝、目が覚めるとメイド長率いる親衛隊がウットリした顔で尊いと呟き俺の顔を覗き込んでいた……。
「ひやぁー!」
流石に怖くなり一瞬声音を上げてしまった。
しかし、メイド長の双眸の奥には娘や孫でも見ているかの様な優しさが感じられた。
俺は気を取り直し、素早く服をアイビーの着ぐるみセットから着替えた。
確かメイド長とメイド親衛隊は、王族に続いて強い絆と信仰を持った信者になっていた筈だよね?
なので、それほど魅惑にかからない筈なんだけれどな? へんてこりんだ。
ここの大客室で眼を覚ますと、いつも見られてるんだよね。
でも、気のせいなのかな? よし、気のせいにしよう。そうしよう。
「リリー様、お早う御座います」
「皆様、お早うございます。いつも起こしに来てくれて、ありがとっ」
「驚かせてしまい申し訳ありません。僭越ながら私率いるメイド親衛隊はいつでも、リリー様をお守り致せる準備は万全です。どうぞご安心下さい。本日の朝食も既にご用意は整っておりますので、大広間にどうぞお越しください」
「メイド長さん、親衛隊の皆さん、知らせに来てくれてありがとっ」
俺はそう言って、メイド長と親衛隊に守られる様にして、大広間に辿り着くとカトレア先生も食事の席に着いた所だった。
「リリーちゃん、おはよう」
「カトレア先生、お早うございます」
カトレア先生と俺が食事をしていると、眠そうな目を擦りながらスミレちゃんがやって来た。
今日も学校の授業があるので、いつもとは違い距離が離れているので昨日早く起きる様にスミレちゃんに伝えておいたのだ。
「カトレア先生、リリーちゃん、ふぁー……お早うございます」
「スミレちゃん、おはよう」
「スミレちゃん、おはよっ。眠そうだけど、大丈夫?」
スミレちゃんは大きな欠伸をして、目を充血させていた。
普通、王女で有るならばそんな醜態は晒さないだろう。
しかし、スミレちゃんは普通に晒している。
やはり、俺の使徒になった影響だよね。
「リリーちゃん、ねえ聞いて。御姉様が夜中に2回も起こしに来たのよ」
夜中に起しに来るなんて只事では無い筈だ、何か有ったのだろうか?
まさか、俺の神薬で完治した筈の病が再燃したのだろうか?
俺は様々な事を思考し、第二王女に回復魔法を施さねばならないかもしれないと気をはっているとスミレちゃんが語りだす。
「御姉様がね、リリーちゃんが帰る前に、必ず貰う様にと嘆願してきたの。嘆願と言うより私に対して脅しとも言えるわ。一度目は濃厚チーズケーキの件で、二度目は蕩けるプリンの件で来たのよ」
取り越し苦労で、本当によかった。
第二王女は、最近笑顔が増えてきたとメイド長がここに来るまでに話してくれていたからだ。
「あはは、スミレちゃん大変だったね。うーん、どうしよう? 今作って、出した方が良い?」
「リリーちゃん、お願いします。だって、またお姉様来て言いそうだもん」
「うん、分かった」
そう言えば昨日、料理長の料理を楽しんだので自身で作ったデザートは出していない。
今朝も料理長が朝から和やかな顔で、大厨房から顔を覗かせていた。
カトレア先生が、また俺に怪訝な顔を向けてきたけれど
「料理人は、幼女に美味しいと言われると嬉しいものなのです」
と、言っておいた。
俺がデザートを作ってお皿に盛り付けていると、料理長が薫りに誘われてまた顔をだした。
つまり第二王女は、料理長達のように俺のデザートの味に魅了されたという訳だ。
俺はご要望通り、沢山の濃厚チーズケーキと蕩けるプリンを作り出した。
そして、カトレア先生とスミレちゃんのテーブルに並べる。
壁際に、メイド長率いる親衛隊がいたので同じものをメイド長達に渡した。
「リリー様、私達の分まで、宜しいのですか?」
「うん。だって、メイド長さん達にはいつもお世話になっているからね」
「リリー様、感謝致します」
俺はメイド長達に笑顔を向け、更に王族達の分も皿に盛り付け、料理長に用意して貰った大樽に葡萄酒と日本酒をそれぞれスキルで作成しメイド長達にお願いした。
料理長達が大樽を沢山用意してくれたので、余分に数ホール分の濃厚チーズケーキと数十人分の蕩けるプリンを作成し皆で分けるように言って、城をカトレア先生とスミレちゃんと共に後にした。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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スミレ「お母様、リリーちゃん大客室に行ってしまいましたが縫いぐるみ人形
が有りますよ?」
王妃「そうよね。どう使うの?」
第二王女「お母様、こうですよ」
王妃「わー、リリーちゃんのお人形。うふふ。可愛いわ」
スミレ「ですよね、お母様」
第二王女「スミレ? 確か貴方は、服装も変えられたわよね?」
スミレ「はい、お姉様、このようにスノー様のお耳と尻尾も付けられます」
第二王女「キャー! 可愛いわ。私も可愛いスノー様のようになれるかしら?」
スミレ「確か、リリーちゃんが服装は魔法少女服限定ですがケモミミと尻尾
は付けたり外したりが可能だったはずです」
第二王女「キャー! 出来たわ。どう? スミレ、似合っているかな?」
スミレ「はい、お姉様、可愛いです」
娘達二人の姿を、羨望の眼差しで見つめる王妃であった。




