↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/240

カトレア先生対策グッズ4

 カトレア先生、頼むから俺の家で変な夢を見ないでね。

 と思い振り返ると、目を疑う光景が飛び込んできた。



「ひぃにゅ!」



 思わず開いた口を押さえて、息を押し殺す。

 クレマチスが、いつの間にかカトレア先生の手が届く所まで迫っていたのだ。

 そして、クレマチスが指さす方向を見てみると、カトレア先生に渡した大きなスノーの幼虎の姿をしていた筈の着ぐるみ人形が俺の姿に変わっていた。



「はぅわー! ふにゅ」



 スノーとクレマチスに、口を押さえられた。



「二人目のリリー様が、いますぅにゃん」

「リリー様、危うく叫ぶところでしたね」



 スノーとクレマチスの行動に、葵が興味を示し



「え、どうされましたの? って、あーん、可愛いリリー様があちらにもいらっしゃいますわ」



 と言った。



「うちやっぱり、あの縫いぐるみ人形返してもろうて来る」

「リリー様、危険ですぅにゃん」

「スノー様、リリー様を……」

「こちらのリリー様も愛らしくて、私には危険ですわー。リリー様、私にも縫いぐるみ人形下さいまし」



 俺は自分の眼を疑い、カトレア先生の元へ行こうとしたが全力でスノーとクレマチスに止められた。

 葵は止めてくれるより、縫いぐるみ人形に興味を示していた。

 俺はスノーとクレマチスに抱えられて、渋々カトレア先生の部屋から出る事になった。

 翌朝目が早く目が覚めて、服を早急に着替えて二階のカトレア先生に渡した縫いぐるみ人形が気になり階段を登って行く。

 すると、カトレア先生が俺の姿をした人形を抱いてやって来た。



「あれ? 私のリリーちゃんが、二人いるわ?」

「カトレア先生、それは昨日私が作った抱き枕件抱き人形のアクセサリーですよ」



 俺はカトレア先生に、抱き人形の使い方を教えると凄く喜んでくれた。



「この子、凄く可愛くてなぜか私の身体(カラダ)にぴったり合うの。私との相性も抜群なのだけれど、やっぱり本物のリリーちゃんが良いわ」

「ぃや!」

「リリーちゃん、つれないわね……」



 皆で朝食を取るために一階に愚図っているカトレア先生と降りて来ると、皆丁度起きた所だった。

 なので、朝食を食べる事にした。

 俺は何時もの様に【神級料理変換】で食事を作ろうとするとシステムの説明が流れた。



 【システム 神級全モノ作り師に神級シェフを統合する事が可能です】

 【システム 統合する事で作成済み及び作成する食事に、半日のスタミナ上昇効果と魔法力上昇効果、加えて体力持続回復効果と魔力持続回復効果が付与されます】

 【システム 統合されますか?】

 【システム 【はい】 【いいえ】】



 俺は【はい】を選択した。



 【システム 神級シェフが神級全モノ作り師に統合されました】

 【システム 全モノ作り料理変換で食事を作成、及び統合前の絶級シェフで作成済みの食事にも効果が付与されます】



 俺は、全モノ作り料理変換で全員の朝食を作った。

 皆で朝食を食べていると、カトレア先生が嘆願してくる。



「ねえ、リリーちゃん。相談が有るのだけれど良いかな?」

「カトレア先生、真面目な顔で縫いぐるみ人形を抱きしめてどうされました?」



 カトレア先生の真面目な顔と、人形を撫でている姿が不釣り合いで思わずそう言ってしまった。

 しかし、カトレア先生は全く気にもしていなかった。

 もしかして、リカステさんの言っていた疾風迅雷(シツプウジンライ)の人形(ドール)姫(プリンセス)を俺は目覚めさせてしまったのか? 

 そう俺が勘考していると、カトレア先生が顔を近づけてくる。



「冒険者学校の、新校舎の件だけれどね」

「はい」

「リリーちゃん? 私達のクラス以外の生徒達や先生方、それに食堂の方々にも新校舎の使用許可を貰えないか王様に頼んでみてくれないかな?」

「そうですね、王様に相談してみましょうか? 王様が良ければ、好きなように使ってもいいと思いますしね」



 元々俺は王様さえ良ければ、冒険者学校の全校生徒や職員の皆様に使って頂こうと思っていたので何も問題は無い。

 俺が、スミレちゃんにも相談しようと顔を向けると



「リリーちゃん? 私、お父様に事前に確認したのですけれど、お父様曰【この新校舎は、リリーちゃんが創った物である。よって経営権は王国に有るが、好きに使ってもかまない】だそうよ」

「……えっ?」



 その事実を聞いたカトレア先生は、一瞬唖然とした顔をしたが



「やっぱり、リリーちゃんだったのね」



 と、縫いぐるみ人形と話をしていた。



「カトレア先生、私の顔を見ずに現実逃避して縫いぐるみ人形と話すのは止めて!」



 朝食が終わり皆でお風呂に入ってから、スミレちゃんとカトレア先生と早めに冒険者学校の旧校舎の食堂に行く事にした。

 カトレア先生は少し恥ずかしいのか、食堂の人達に合う前に縫いぐるみ人形をアクセサリーモードに変化させていた。

 カトレア先生が食堂の前まで来ると、外で作業していた食堂のおばちゃんが手を振る。



「カトレア校長先生、お早うございます」

「朝早くから何時も悪いわね、食堂管理長」



 ここに来て、カトレア先生が実は校長先生だと言う新事実が判明した。



「えっ! カトレア先生って、校長先生だったの?」

「あれ? 私、言ってなかったかな?」



 俺がスミレちゃんの方を向くと、スミレちゃんも知っている事だったらしい……。

 知らなかったの、俺だけかよ。

 カトレア先生が、食堂管理長に笑顔を向ける。



「食堂管理長、忙しい所申し訳けれどいいかな?」

「何か、ございますか?」

「悪いけれど、今日からこの校舎の食堂及び厨房の使用を中止します」

「えっ? 一体どういう意味ですか?」

「国王様が新クラス増設に伴い、急遽新校舎を建設して頂けたの」

「はい? いつ建設されたのですか? 私達は何も聞かされていないのですが……」

「食堂管理長、悪い話ではないと思うわ。それに、最新校舎の食堂や厨房でのお仕事はここより遥かに快適だと思うわよ。実際に私も、新校舎の教室の快適さに衝撃を受けたもの」



 そう言ってカトレア先生が、空想を思い浮かべる少女のように青く澄み渡った空をみていた。

 カトレア先生の表情とは打って変わって、食堂管理長は戸惑っている。



「えっ? 最新校舎の食堂ですか?」

「えっと……リリーちゃん。申し訳ないけれど、食堂管理長に説明して貰えるかしら?」



 うまく説明できないカトレア先生が、俺にウインクをして合図してきた。

 カトレア先生、そのウインクは必要ないですよ……それに、隙を見て俺を抱っこしようとするのはやめて欲しいです。



「カトレア先生、分かりました。食堂管理長に説明するので、抱っこしようとしないでください」

「だって、食堂管理長の背が高いでしょ?」



 カトレア先生の行動を、俺が避けているのを見ていた食堂管理長が屈んでくれた。



「ごめんね、お嬢ちゃん気がつかなくて」

「いえ、ありがとうございます」



 俺は食堂管理長に、新校舎の良い所を簡単に説明した。

 俺が説明をし終わると、食堂管理長は慌てて他の食堂職員に伝えるため旧校舎の食堂に駆け込んだ。



「皆、喜びなさい! 今日から新校舎の食堂厨房で働ける事になったわよ。それに、苦労していた様々な問題も全て解決したわ。だから、食材を皆で頑張って新校舎の食堂まで運ぶわよ」



 食堂管理長の、突拍子もない発言に食堂職員一同が戸惑う。



「あっ、はい。って? エェェェェェェ! 食堂管理長? 唐突に何ですか、それは?」



 食堂職員達が戸惑っているので、俺は食堂職員達にも王様が新校舎を建てた件も含めて説明した。

 説明後、食堂職員が一丸となって食材を荷車に詰め込む作業をしだした。

 なので、俺がアイテムボックスに全てを収納。

 収納し終えた全ての食材や荷物を新校舎に運んであげると、一同揃って驚愕して感謝していた。

 食堂管理長が俺の元に来て、屈んで笑顔を向ける。



「お嬢ちゃん、小さいのに凄いわね」

「いえ、大した事はありませんよ」



 俺と食堂管理長の会話に、カトレア先生が口を挟む。



「リリーちゃん、大した事無いって……大ごとよ。こんなにも多い荷物を、いとも簡単に全部運ぶ事なんて普通はまず不可能よ」



 カトレア先生は肩を竦めて、食材倉庫に運び込んだ多量の食材の数々を指差していた。

 序でに昨日狩った獲物を新鮮に保つ事が出来る、備え付けの冷蔵庫と冷凍庫にも入れて行くと食堂管理長と食堂職員一同が驚愕していた。



「カトレア校長先生、これは一体? どこかの皇族様方の団体が、学園にいらっしゃる予定なのですか?」

「フォレストムーン王は昨日来ていたけれど、他国の皇族の方々はまだ来る予定は無いわよ?」

「ですが、この高級なオーク肉の異常な数は何ですか?」

「フヒッ……失礼。えっと食堂管理長、確か担当の生徒達が狩って来た獲物の量と大きさで担当教師の食事代が免除になる約束でしたわね」

「ええ、そうですよ。でも、これはもう既に、数年分の学食費を越えていますが……」

「ウフフフ、リリーちゃんのお蔭よ!」



 カトレア先生は大きな胸を見せつける様に胸を張り、獲物を自慢していた。

 俺は咳払いをして、食堂職員達に説明をする。



「コホンッ! 新食堂厨房の使用説明をしますので、食堂職員の方々は私の所に来て下さいね」



 その後、食堂施設の使用説明をすると、驚愕だけでなく腰を抜かしてギックリ腰になって座り込んだ食堂職員が数名出てしまった。



「あ痛、たたた」


 俺は慌てて、近くの腰を抜かした人を支える。



「危ないですよ。大丈夫ですか?」

「お嬢ちゃん、支えてくれてありがとう」



 これは不味い……まさかここまで驚くとは思っていなかった。

 このままだと、食堂職員さん達の仕事に支障を来してしまう。

 治療魔法を施して早く治ってもらった方が良いだろう。

 俺は腰を痛めた人達に、慌てて聖女の魔法であるエクセレントヒールを唱える。



「【【エクセレント ヒール】】」



 【システム ピピー! エクセレント ヒールの最大許容魔力を大幅に越えました】

 【システム 無事限界突破しました】

 【システム これよりエクセレント ヒールは自動でブレスド ファビュラス ヒールに変換されます】



 そして順番に治療魔法を施していく



「エッ、エェェェェェェ! リリーちゃん! ねえ、リリーちゃん。私、白昼夢見ているのかしら? 貴女、伝説の大聖女様しか使えないとされている、最上級魔法まで使えるの?」



 と、食堂の職員だけでなくカトレア先生まで驚愕していた。



「私は大聖女じゃなくて、普通の幼女ですよ。にぱぁー」



 この場は、幼女の可愛い笑顔で誤魔化す。

 その後、カトレア先生が他の先生方達に連絡をし先生達が総出で掲示板等を使用したり呼びかけを行い全校生徒に今日から新校舎で授業をすることを通達した。

 更に、授業後に新校舎の三階が新しい寮なので、各自で引っ越しをするよう全校生徒に通達をした。

 やっとの事で全校生徒や職員達に連絡が行き渡ると、一限目の授業時間になっていた。



「リリーちゃん、スミレちゃん、ごめんね。今日も、私の授業は無理そうよ。だから、Aクラスの先生に言って、Zクラスの子達を任せることにしたわ」

「カトレア先生、大変そうですね。私はスミレちゃんと一緒に、Zクラスの皆の所に行きますね」

「えっ? リリーちゃんは、私と一緒よ? だって、他の先生方や他のクラスの子達にこの校舎の使用方法を話さないといけないでしょ? 私では使用方法説明できないですし……」

「スミレちゃんは?」

「スミレちゃんはZクラスの皆の所に行って、Aクラスの皆と一緒に授業よ?」

「リリーちゃん、私も少しは教室の使い方を知っているので皆に教えられるよ? だから、私は皆の所に行くね」



 えっと、スミレちゃん? 教室の使い方より、装いの脱ぎ方や着替え方を先に覚えて欲しいのだけれど……。

 俺がそう思っていると、ユグドラシルも



『「確かに、着替えを覚える事を優先する方が先だとユグも思います」』



 とユグドラシルから『心情』が伝わってきた。



「スミレちゃん、私も全校生徒や職員の皆様に説明が終わったらZクラスの授業に合流するね」

「うん」



 そう言ってスミレちゃんと別れを告げると、早速カトレア先生と俺は呼び出しを受けた。

 他のクラスの教師と生徒達が集まる度に、カトレア先生と共に呼びだしを受ける。

 教師と生徒達に教室の使用方法を教え、驚愕され、感謝され、可愛いと揉みくちゃにされる。

 最後に食堂管理長に捕まり、食堂の調理場の詳しい説明を全て説明。

 説明し終わり解放された時には、既に夕方になっていた。



「カトレア先生、疲れましたね」

「そうねー、リリーちゃんご苦労様。そう言えば私達のZクラスの皆をAクラスの先生に任せた後、Aクラスの先生が気を利かせてB~Cクラスの先生や副教員達に掛け合って、全校生徒で昨日Zクラスの皆が受けられなかった狩りの授業に連れていってくれているそうよ。けれど、あの子達迷惑かけてないかしら」

「スミレちゃんも居るから、大丈夫なはずですよ」



 夕方過ぎに全ての説明を終えて、カトレア先生と一緒に教室に戻って来た俺は、誰も居ない教室で少し休憩をしていた。

 休憩をしていると、スミレちゃんから緊急の使徒眷属間テレパシーが届いた。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリー「アイビー、じっとしてお目々を瞑っていてね」

アイビー『はい』

リリー「シルク、縫いぐるみ人形とアイビーどっちか分かる?」

シルク「そんなの、簡単よ!」

リリー「アイビーの匂いも、体温も同じだけど分かるかな?」

シルク「……こっちよ!」

リリー「正解! よく分かったね」

アイビー『リリー様、シルクはお菓子の匂いに敏感なので……』

リリー「あっ、確かにそうだったわね……」

    アイビーのいつも首から提げているお菓子箱の中からする

    匂いの事を、完全に忘れていたリリーであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。