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カトレア先生対策グッズ3

 こうして俺達は、大浴場を後にした。



        ※ ◇ ※



 鈴が、この世界に初めて異世界転移して来た同日。



「このシステム……あのお方の仰った通り、管理者権限があれば簡単に操作できるようですね。

 僕でも簡単に操作ができたよ。

 だけど、あのお方は一体何を? 

 いや、僕はそのような事は考えなくても良い。

 それに、僕がこの因子を選択できる物として勇者生成システムに組み込んでも、システムに不具合が起これば自動的に処理されるから問題は無い筈だ。

 だから僕は、あのお方の仰った事に従い望みを叶えて頂ければ良いのだからね。

 同志と僕は少し趣向が違うけれど、僕の趣向を伝えた事で同志が服を作ってくれた。

 その服が今日届いた。早速僕の従者に着せて、給仕をしてもらおう。

 気に入った物があれば、毎日着させて給仕をしてもらうのも悪くは無い。

 今から本当に楽しみだ」



 最西の大陸にある転生陣の勇者生成システムを操作した管理者は、目映い光と共にその場から消え去った。



        ※ ◇ ※



 再び、現在。

 リリーの自宅の一階にある大部屋で――

 俺は、キングサイズのダブルベットをもう一つ作りだし隣のベットにくっ付けて寝転ぶ。

 スミレちゃんとレモンちゃんは、遊び疲れて寝たようだ。

 シルクとアイビーも、一緒になって寝ている。


 ウンディーネは、召喚を解かれて湖に帰ったようだ。

 ユグドラシルも召喚を解いて俺の中で休ませた。

 序でに賢者の全パッシブスキルとアクティブ魔法スキルのうち簡単な上級位まで魔法を、スキルマウスLV2でクリックコピーして個人チャットモードで自身のチャット欄に貼り付けて、自身のチャット発言モードだけオフにしてレモンちゃんに睡眠学習をさせた。


 この言霊で伝えるキーボードLV2のシステムはかなり至便だ。

 これで、レモンちゃんは必要なパッシブスキルと上級までの魔法を憶えるだろう。

 最上級魔法スキルは、ウンディーネがゆっくりとレモンちゃんに教えてくれるはずだ。


 俺は、幼虎のスノーと幼狐の葵と幼龍のクレマチスを自身の周りにくっ付けて色々と勘考する。

 にゃん。にゃん。にゃん。何匹ものスノーに似た、可愛い幼虎が現れる。

 こん。こん。こん。何匹もの葵に似た、可愛い幼狐が現れる。

 きゅい。きゅい。きゅい。何匹ものクレマチスに似た、可愛い幼龍が現れる。

 俺が寝転ぶと、幼虎、幼狐、幼龍の可愛い モフモフ フワフワ 達が一斉に群がり幸せな気分になる。



「今日は、スペシャル モフモフ謝恩祭ね!」



 そのモフモフ達の中から、今月の栄えある一匹を俺が選ぶ。 



「おめでとう、クレマチスちゃん」



 俺は幼龍を抱き上げて、鼻と鼻をくっつける。

 目映い光が消え去ると、クレマチスの着ぐるみセットを着た俺が現れる。

 今日は、クレマチス バージョンの着ぐるみセットだ。


 っと……スペシャルな妄想をしている場合じゃなかった。

 カトレア先生への対策をしないと……。

 先ずは、エディット機能を有効に使用してっと。


 フムフム……

 何でも自由に、入力ができるな。

 そうだな。先ずは、色々と考えをまとめてみるか……。


 俺の様に見た目小さくて、カトレア先生の身体(カラダ)にジャストフィットする。

 それでいて、誰からも可愛いと愛される様な縫いぐるみを作る事が出来る職か。

 考えれば考えるほど、悩んでしまうな。


 そもそも、そんな物を作れるのなんて創造神くらいだ。

 ……成る程、こうして創造神も悩んだ時期があったのでは無かろうか? 

 いやいや、そんな悩み無く創造神は様々な物を創った筈だ。

 だって、職すら存在しなかった筈だからね。



「はー……」



 俺は、考えを巡らせ溜め息をついた。

 兎に角、ツールを利用してみよう。

 先ずは、初めの一歩を……



「千里の道も一歩から、ということわざもあるしね」



 そう言って俺は、デフォルトにある神級裁縫師を職業名に入れてみると簡易的な説明が現れた。

 素材等を一切必要とせず、魔力だけで様々な凄い機能を持つ縫いぐるみ人形や神装服等も作れるか……これは、かなり至便だな。

 しかし、何か物足りない気がする。



  【職業エディット機能】                - □ ×

  ファイル 編集 ツール ヘルプ

          デフォルト職業 

          ← 神級裁縫師 →

          選択デフォルト職業の貼付

           神級裁縫師⇖

           オプション 

           - 付加価値の追加 

           +  ?ヘルプ――――――――――――

              |+を押して選択オプションを  |

              |選んで下さい。追加も可能です |

              |内容の変更も可能です     |

              |一つ目の追加         |

              | 例:デフォルト付加価値   |

              |   ← 6属性 攻撃 →  |

              |   6属性の付加価値を   |

              |   追加で付ける事が可能  |

              |二つ目の追加         |

              | 例:デフォルト付加価値   |

              |   ← 6属性 防御 →  |

              |―――――――――――――――|

  新規作成ファイル

  職業名:神級裁縫師



  職業の内容:素材等を一切必要とせずに、魔力のみで様々な

        裁縫物を創造可能。


  オプションの追加

  デフォルト付加価値:6属性 攻撃  6属性 防御

            ヘルプ 内容の変更も可能です。

  リセット



 カトレア先生に装飾品をプレゼントして、そちらに気を向けて貰える職? 

 ツールを利用して、今度はデフォルトにある神級装飾師を職業に入れてみる。

 これも素材等を一切必要とせず、魔力だけで様々な凄い機能を持つ神装飾等を作れて至便だな。


 しかし、何か物足りない気がする。

 このツールを利用して入力すると、職業内容も説明文に現れるので消さない限り全て残る。

 なので、説明文をそのまま残しツールで次の職を入力する。


 おっ! デフォルトの説明文も変更できるな。

 しかも、後で内容変更も出来るようだ。付加価値追加のオプションもあるな。

 編集し放題だ。細かく入力していくと、糸くずでも武器にできそうだ。


 いやでも、糸くずで戦うのは流石に嫌だ。

 しかし、服として着れば自動回復や汚穢無効化や戦闘時自動障壁展開なども選べるな。

 と言うか、そのデフォルトも変更出来る。


 うわー、これチートどころかもう神ツールだな……そういえば、俺女神だった。

 上書き保存や名前を付けて保存が出来るので、ファイル管理もできる。

 ツールを利用して、デフォルトにある職を見ていると神級鍛冶師があった。


 素材等を一切必要とせず、魔力だけで様々な凄い機能を持つ神武具が作れる職か――これだな、ロリコンヤロウが使用した武器の数々。あっ! 神級装飾師もそうか。

 他にもツールを利用して様々な職を見ていった。


 その度に、説明文も増えて行くが消さなかった。

 うーん、考え出すと限が無いな……。

 上は創世の神々が使っていた武器や羽衣から、元いた世界で使っていたスマホやパソコン、車、飛行機等々、色々と物を作る職? 


 ……あ! 全てを含めると、物作り職だな。

 物作り職には厳密に言うと、ひらがなで【もの作り】とカタカナで【モノ作り】と二つあるが意味合いが違う。

 ひらがなで【もの作り】は、存在する物を生産する事を意味し、カタカナで【モノ作り】は、考え想像してこの世に無い物を新たに作り出し生産する事を言う。


 俺はエディット機能のデフォルト創造職を全て使用して全説明文を残し、新たに職の名を創造した。

 その説明文の中には、既に取得している職も含まれっていたが、そのまま残した。



【システム 【神級全モノ作り師】を新たに創造しますか?】



 俺は【はい】と念じた。



【システム 【神級全モノ作り師】が新たに職に追加されました。選択可能です】



 俺は職から神級全モノ作り師を選び実行する。



【システム 神級全モノ作り師の全スキルをコンプリート限界突破しました】

【システム 神級全モノ作り師の限界突破スキルが使用可能です】

【システム 統合可能職が有ります。統合可能職から統合するか選択して下さい】



 俺の頭の中にスキル名が浮かぶ。

 その中の一つ全モノ作り創造スキルを選んだ。

 そして神級全モノ作り師専用限界突破スキルの全モノ作り創造スキルをアクティブスキルに追加した。


 説明を読むと、ありとあらゆるモノを考察し、目前で展開し、機能などを一つ一つ選び、創造して画面上で組み立て実際に使用できるまで作成空間で試す事で不具合等も全て自動で直していき完全に使用できる状態で納得して承諾する事で、創世の神々が使用していたあらゆる物、伝説、神話級の武器やアーティファクト、それに普通の物まで、ありとあらゆる【モノ】を創造する事が出来るスキルである事が分かった。


 このスキルの異常さは、使用する事で分かる事になる。

 これでカトレア先生の好きそうな物を作って、抱っこするのを止めてもらえるかな? 

 俺は若干ワクワクしながら何を作るか念入りに考えながらスキルを口にする。



「【【全モノ作り創造】】」



 スキルを口にすると広い作業台が現れて、思考して行くと様々なモノが現れた。

 先ずはスノーをデフォルメした縫いぐるみを作り出し、作業台に手を差し伸べて触ってみた。



「うーん、これはスノーの触り心地と違うよね」



 もっと柔らかくてフワフワしてモフモフで気持が良く、寒い時は心地よい温かさで、暑い時は心地よい涼しさで【たぶんスノーの元々有る、スキルが関係しているのだと思う】獣臭も全然無くて、リラックス効果も有って、モフリストとしては絶対お勧めの触り心地だ。

 俺がそう勘考していると、触り心地がどんどん近づいて行く……。



「うんうん、良か感じ」



 そしていつでも洗浄と言うと、洗浄ケースが現れ自身が作った服や自身が着ている服も一緒に縫いぐるみに持たせていると、自動で収納され出てくると作りたての状態に戻り出て来るイメージ……それに、モフリストの俺が考えたイメージの強い子、スノーや葵やクレマチスやアイビー等にも様々な子に変化して、自分の好みの形の子に代わってくれる抱き枕であり抱き人形――カトレア先生の身体にジャストフィットして、カトレア先生がイメージした子に変更出来る様に念入りにイメージしてから渡す事にした。



「これで、うちもカトレア先生から解放されそうやね」



 そしてその縫いぐるみ人形は、主人に危険が迫った時は守護縫いぐるみ人形となり大きくなってカトレア先生を守護する。

 俺は思いを巡らせて、様々な機能を持つ子を創造する。



「愛らしゅうて身体にフィットして、守ってくるー子は良かね」



 更にアクセサリーモードと言うと大人の女性でも凄く似合い、カトレア先生の誕生石であるアメジストのハート・シェイプ・カットを施したネックレスになり、縫いぐるみモードと言うと縫いぐるみ人形に戻る。


 もう一つの機能として、カトレア先生の強化系誕生石である同じカットを施したクリソプレーズを縫いぐるみ人形モードの時には縫いぐるみ人形の首に装着される可愛いアクセサリーにした。

 アクセサリーモードの時には、カトレア先生の指輪になるようになっている。



「大人ん女性が何時も縫いぐるみ人形ば持つんな、ちょっとねー。大人ん女性にも似合うアクセサリーがやっぱり良かね」



 そして縫いぐるみの時でも、ペンダント装着時でも、大きくなって守ってくれる子になっている時でも、抜剣と言うとカトレア先生に合う美しい装飾が施されたミスリルで出来た、火、氷、風、地、光、闇の6属性が付与される魔法剣がクリソプレーズを通して目の前に出現し装備できる様にした。


 これで今回みたいな魔物が現れたとしても、大きくなった縫いぐるみのこの子とカトレア先生で対処できるだろう。

 それに、お風呂であったウンディーネの件も有るしね。

 でも、カトレア先生が裸で戦う姿……いやー、昔のアニメを思い出すよ。顔は隠していないけどね。


 よし取りあえず、これでいいかかな。

 まあ、他に機能を追加しようと思えば【全モノ作り創造】でいつでも編集できるようだしね。

 それに、作ったこの縫いぐるみの情報をファイル保存出来るのも至便だ。

 少し編集すれば、また別の物を創造できる。



「よし、完成ばい! 初めはスノーばイメージして作ったけんスノーそっくりね」



 実は、俺が幾つかの宝石の種類やカットの種類を知っているのには訳がある。

 前の世界で俺が花楓院流の当主をしていた時の話である。

 華道フェスティバルの時に、有名な宝石商とのコラボが有った。


 時価数百億円の宝石の貸し出しがあり、華道と宝石のコラボフェスティバルは成功した。

 しかし、あまりにも高額な宝石が多くて気苦労の方が多かった。

 まあ今となっては、そのような経験ができた事に感謝だ。

 完成した縫いぐるみ人形を持って、ベットの上で女の子座りで嬉しさのあまり深夜に思わず



「はうー、こん子ちかっぱ愛らしいばい」



 と言って笑顔になっているとスノーと葵とクレマチスが起きた。

 なので、口を押さえて今度はスミレちゃん達に聞こえない様に眷属テレパシーを行った。



『「スノー、葵、クレマチスちゃん。寝とー所に悪かばってん、人型に変化してうちと一緒に完成した縫いぐるみ人形ば、先生ん元に持って行くけん、捕まった時ん対処として付いて来てくるーかな?」』

『「はい、リリー様。うにゃん」』

『「はい、リリー様。今回は葵がスノー様と共に、リリー様を必ずお守り致しますの」』

『「はい、私はいつでもリリー様と一緒にいます」』

『「スノー、葵、クレマチスちゃん、ありがとね」』



 俺達は二階に行ってカトレア先生の寝ている部屋を、小さくノックすると先生は寝ている様で返事は無かった。まあ、深夜だから当然だよね。

 


 ぽっぷん! 俺の頭の中で、迷彩服を身に纏った女神サラが出てきた。



「本件は、私の采配が必要なようね」



 今度は俺の頭の中で、子供の頃の俺が出てきた。



「イエス、マム」

「本件は、身代わり抱き枕人形作戦と称する。これより采配は、私が振ります。鈴(レイ)君、前へ」



 子供の頃の俺が、女神サラの前に出てきて敬礼する。



「イエス、マム」

「尚、本件は鈴(レイ)君の単独任務とする」

「イエス、マム」

「鈴(レイ)君、期待しているわ」



 続く……。



「え? いや、続かないから。続かれると私、困るから」



 頭の中の妄想劇場が終了して、現実に戻る。

 俺はそっと忍び込み、スノーの幼虎の姿をした縫いぐるみ人形を、そぉーっとカトレア先生の側に置いた。



「にぱー、単独任務成功しちゃった」



 俺は、小さく呟いた。

 ふぅー……瞬きした瞬間、ベットの端に置いた筈の縫いぐるみ人形が消えて少し焦ったけれど、どうやら俺は捕まらずに済んだようだ。

 俺はスノーと葵に眼で合図を送り、そっと部屋の扉から出て行こうとすると急にカトレア先生の声音が発せられる。



「いやーん! 凄く、抱き心地が凄く良いわ。もう、絶対に離さないわ」



 カトレア先生、頼むから俺の家で変な夢を見ないでね。

 と思い振り返ると、目を疑う光景が飛び込んできた。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

今回で、100部分になりました。

これも、ブックマークをして読んで頂いている方々皆様のおかげです。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

現在、妹編を追加執筆しています。

ですので、文面が増えていますがご容赦下さい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「ねえ、リリー? 私にもカトレア先生と同じ縫いぐるみ欲しいな」

リリー「でも、シルクはアイビーがいるでしょ?」

シルク「寝る時に欲しいの」

リリー「作っても良いけれど、どうして?」

シルク「起きるとね、アイビーの背中が私の涎で……」

リリー「ああー……。うん、考えておくね」

    早急に作らないと、アイビーが大変なことになる。

    そう思ったリリーは、準備をするのだった。

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