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神送りの夜  作者: 千石杏香
第六章 霜月
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8 巻き込まれる

 ――菅野さんが亡くなった。

 その報せは、冬樹の元にも昼ごろ届いた。

 ほかならない、「放課後探偵団」で美邦が教えてくれたのだ。


 当然、幸子も芳賀も動揺していた。


 スマートフォンから顔を離す。

 窓の外を見た。

 灰色の空と、鉛色の海がある。いつもと変わらない港の景色だ。


 ポンという音を聞き、画面に目を戻す。

 幸子からメッセージが入っていた。

〈もう、やめたらええでない?〉


 白い吹き出しが立て続けに送られる。

〈神社に関わった人が次々

 亡くなっとる〉

〈深入りしてったら、

 もっと危ないことに

 巻き込まれるかも〉


 心中を察し、複雑な気分になる。

 一週間前、親友を亡くしたばかりなのだ。それどころか、まだ立ち直れていない。そんな中、今度は菅野が亡くなった。


 芳賀からのメッセージが表示される。


〈触らぬ神に祟りなしって

 いうけど〉

〈これ以上、神社について

 調べて何になるだ?〉

〈藤村君も、

 まだなんか調べれそうなん?〉


 ああ――と、冬樹は打ち込む。

 山での経験について報告していない。


 心の整理がついていないせいでもある。

 加えて、仲間に隠し事をして危険を冒したのだという負い目と、由香が亡くなった直後なのに不謹慎ではないかという気持ちもあった。


 ――でも。

 留め金に描かれていたあの模様は何か。

 加えて言えば、社務所で見たあれは。

 菅野の家で美邦が発した言葉は――。


 いずれ言わなければならないはずだ。

 ならば、いつでも同じかもしれない。


 慣れない手つきで画面をタップする。

 社務所で見た異様なものについてはまだ言えない。それでも、山に這入った経緯について詳細に語っていった。


     *


 ベッドに腰かけ、美邦はLIИEを眺める。

 冬樹が送ってきた画像には、平坂神社の現在の姿があった。

 荒れ果てた境内から目が離せない。

 同時に、山の中へ這入った冬樹の行動力に呆れ果てる。


 ポンと音がして、芳賀のメッセージが表示された。

〈まさか、こがなこと

 しとっただなんて〉

〈藤村君の行動は凄いけど、

 ちょっと呆れたわ

 普通、山ん中に入ろうなんて

 せんだら?〉


 冬樹が返信する。

〈悪いな。

 でも、写真を撮れただけでも

 収穫だ。〉


 美邦は、今の気持ちを素直に打ち込んだ。


   〈神社について、ここまで調べ

    てくれたのは嬉しい〉

   〈でも、今度からは

    あまり危ないことしないでね〉

   〈藤村君の身にも、

    万が一何かあったら〉


 すまんなと冬樹からメッセージが来る。


 芳賀が返信した。

〈僕も、藤村君のことが

 ちょっと心配。

 あんま、危ないことに

 巻き込まれんでほしいけど〉


 既読は常に三つついた。

 しかし幸子は静かだ。

 どれだけ経っても返信しない。


 やがて、グループトークとは別の――幸子とのチャットルームにメッセージが入る。


〈信じられない〉

〈由香が亡くなってすぐ〉

〈こんなことするなんて〉

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