表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/97

ヒト蛇(ラミア)は、腰の部分までは人間のそれのようにも見えていた。ヒト蜘蛛(アラクネ)の<人間のようにも見える部分>と同じく。しかし、麻酔薬のアンプルの針がまったく刺さらないどころか、金属音を立てて弾かれたのだ。


これは、ヒト蛇(ラミア)の<人間のようにも見る部分>が、ヒト蜘蛛(アラクネ)のそれとも違っていることを示していた。ヒト蜘蛛(アラクネ)のそこは、構造そのものは人間とほぼ同じだったのだ。肉体的な強度も、普通の人間に比べれば頑健ではあったものの、それでも常識を大きく逸脱はしていない。人間にも鍛え方次第ではこのレベルに達するものも中にはいるだろう。


が、ヒト蛇(ラミア)のそれは、完全に常軌を逸していた。ドーベルマンMPMを制御するAIは、その原因をすぐに察知する。実は以前にも今回のヒト蛇(ラミア)と非常によく似た個体が出現した事例があり、その際にデータが採取されいたのである。


以前に現れたヒト蛇(ラミア)は、


<タングステンに匹敵する強度を持つ鱗>


を持ち、それによって身を守っていたのだ。ただし、前回の事例では、何度か他の猛獣との戦いによって傷付いたことをきっかけに発生したものだと推測されていたが、今回のそれは、明らかにすでに皮膚の下に鱗ないしそれに類するものが生じていることを物語っていた。


これはつまり、拳銃弾程度ではダメージを与えられないことも示している。


このため、現在のドーベルマンMPMの装備では、倒すことは事実上限りなく不可能に近いことも意味している。


ゆえに、ドーベルマンMPMは、自身の役目を<遅滞戦闘>へとシフトした。一体では対処のしようがないので、なるべくヒト蛇(ラミア)を自身に引き付けつつこの場に停滞させることで時間を稼ぎ、増援の到着を待つのである。


しかし、この時、最も高い戦闘力を有する機体が遠方に派遣されており、直ちにこちらに向かっても最低三時間はかかるのだという通信が入った。それ以前にもドーベルマンMPMらの増援は約七百二十秒で到着するとのことだが、果たしてそれまで持ち堪えられるかどうか……


とは言え、ロボットであるドーベルマンMPMは文句も言わなければ絶望もしない。己の全能力をもって命令の遂行を目指すのみである。


よって、木々を盾としヒト蛇(ラミア)の攻撃を凌ぎ、援軍の到着を待つ。


その姿は、それこそ紙一重で攻撃を凌ぎつつ、焦りも恐怖も感じさせなかった。ロボットなのだから焦ったり恐怖を覚えたりしないのは当たり前なのだが、見ている方がそういうものを感じてしまう光景であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ