表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/97

仲間

アベルにとってレトは、獲物にするにはまだ大きすぎたのかもしれない。なので敢えて今回は見逃したのだろうか。


それがいずれにせよ、レトは自分が命を長らえたことに安堵した。


けれど、ホッとしたのも束の間、レトの頭にガツンと衝撃が。仲間が今度はパパニアンが食べない木の実を投げつけてきたのだ。それはとても固く、重く、十分に<凶器>になりえるものだった。


すると、レトの頭が赤く染まる。出血だった。さらに同じ木の実が頭を掠める。


「ひいっ!!」


仲間からの攻撃を避けるため、レトは別の木に飛び移って、陰に隠れる。


そうしてようやく、攻撃が止んだ。彼の姿が見えなくなったからだろう。


これからも、ずっと、こういう毎日が続く。レトは、仲間に見付からないように、体を小さく小さく丸めた。それしかできることがなかった。それだけが身を守る方法だった。


なのに、その日の夕暮れ。仲間から隠れていたことで何も食べていなかったレトは、空腹に耐えかねて、そろりと木の陰から顔を覗かせた。仲間達は、集まって休んでいる。


先にも述べた通りパパニアンは夜目はあまり効かないので、暗くなるとほぼ活動せず、早々に眠ってしまう。さすがに寝るにはまだ早い時間だったものの、何か危険が迫ったりでもしない限り、おとなしく体を休ませているのだ。


レトは、その隙を狙って、果実を採りに向かった。なるべく静かに。気付かれないように。


けれど、野生で生きている限りは、完全に安心して眠れることはない。パパニアンの群れも、完全に熟睡はしてしまわない。何か決まり事があるわけではないが、仲間の何人かは起きていて、交代で見張りを行う。二時間ほど起きていると他の仲間が目を覚まし、それを確認すると見張りをしていた者は眠りにつくのだ。


そして運悪く、レトは、見張りをしていた仲間に見付かってしまった。


「があっ! ごああっ!!」


見張りが猛然と声を上げると、


「がああっ!」


「がっ!」


「ぐああっ!!」


仲間達が一斉に興奮して、レトを威嚇する。しかも、見張りをしていて彼を一番に見付けた雄が恐ろしい形相で彼に向かって突進してきた。


それはもはや、捕食者(プレデター)と何も変わらない。


彼を食い殺そうとする者とまったく同じ姿だった。だから、レトは逃げた。捕食者(プレデター)から、昼間のボクサー竜(ボクサー)から逃げようとする時と同じように逃げた。


生きるために。死から逃れるために。


けれど、逃げようとして木の枝に飛び移ろうとして、すでに暗くなっていたことで目測を誤って枝を掴み損ねて、レトは、真っ暗な森の底へと落ちていったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ