久しぶり
俺は人類の半分以上を、たった2日で殺した。
そんな俺に生きる意味をくれた折紙さんには、感謝してもしきれない。
今日から俺は変わる。そう心に決めて、俺は折紙さんと共に《エンジェルバレット》の基地に向かっていた。
「昨日はありがとうございました」
「いや、私は真実を伝えただけだ。《エンジェルバレット》に入るかどうかは君が決めた事だ」
白衣に身を包み、口にはタバコをくわえている。
昨日は遅くまで仕事をしていたのだろう、目の下にはくまができている。
昨日は俺のせいで仕事ができなかったのだろう。本当すいません。
「無理しないでくださいね」
「……誰のせいだと思ってる」
指でタバコをつまみ、煙を上にあげ、こちらを見る。
「先に注意しておくが、あいつらはお前の事が嫌いだ。もちろん全員な」
そりゃそうだろう。
俺に家族を殺された奴も中にはいだろうしな。
「俺に家族を殺された奴も、中には入るでしょうし、嫌われててもしょうがないですよ」
「他人事みたいにいいやがって……そういや1人、お前の事を嫌いじゃない奴がいたな」
珍しい奴もいたもんだ。
俺の事を知らないわけないだろうし。
俺を嫌いじゃない奴なんてそうそう……そういや知咲はどうなんだ? あいつは普通に話してくるが。
いろいろ考えてるうちにもう着いちまった。
「この扉の先にエンジェルバレットのメンバーがいる」
「もう、他のメンバーには連絡が行ってるんですよね?」
「ああ。12時半にここに来ることは連絡済だ」
それならいい。
しかし、ちゃんと時間内に着いていたらもっとよかったよ!
「今はもう13時半! 1時間遅いですよね!」
もちろん遅れたのは俺ではない。折紙さんだ。
折紙さんは時間にルーズだ。そのせいで12時待ち合わせの所に12時半に姿を現した。
「うるさい男は嫌われるぞ」
途中で弁当食ってさらに30分遅らせたのは誰ですか?
「こんかいは他の人にも迷惑かけてるですよ」
「世界中の人々に迷惑をかけたのは誰だ?」
うっ……精神的にヤバイ。
「そうやって傷口を広げないでください」
「すまんすまん。ついな」
優しいのか怖いのかどっちかにしてほしい。
このままだと俺、折紙さんに何も言えなくなる。
「そんな事はどうだっていい」
「遅れた事実はなくなりませんがね」
その直後、俺の頭に拳が降ってきた。
ほんと、もう、何も言えない。
「いいから入るぞ」
言って、扉がギギギと音をたてながら開く。
「お前ら生きてるかー」
扉が開かれ、中に居た全員がこちらを見る。
そして、その中の一人が俺の方に駆け寄ってくる。
「幸太!」
銀髪の髪に赤い瞳、白色のパーカー。
その整った顔と、お気に入りの服、俺が消して忘れる事のない友の姿が、そこにはあった。
「久しぶりだね、幸太」
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