第6話 開かれる扉②
見るとスキル欄の項目に真魔スキルなるものが解放されていた。
中をのぞくとそこには、ゴブリン級と書かれた項目がありFからSSまでのツリー上の表が見える。確かにFからBまでの項目がクリアになっており、他は???表記になっている。
「低ランクでも???があるな、これは他に習得条件があるってことか?
習得以外は代償必要なんだよな。コストが安そうなのを習得してみるか。」
いくつかのスキルの説明文を端から端まで食い入るように見ながら、習得コマンドを操作する。
「・・・代償が必要ないのもあるな、よしっ、これは何かと便利そうだ。」
ゴブリン級のスキルツリーから何個かスキルを選び習得する。
【ゴブリン級スキルツリーより【混沌の一撃】【暗視】【悪食】を習得しました。】
【混沌の一撃Lv3:攻撃時に力と知の合算値%×1倍を威力に加算して攻撃する。
発動代償:最大MPの3分の1を消費
維持代償:なし】
【暗視Lv3:暗い場所も照明無しで視認できる。狭所、暗所での不意打ち無効。
発動代償:発動中は閃光と目つぶしに弱くなる。
維持代償:なし】
【悪食Lv3:Cランクまでの状態異常アイテムが効かず、摂食可能になる。
発動代償:なし
維持代償:聖属性を持つアイテムを摂食すると割増ダメージ】
「よしっ!ゴブリン級のスキルゲットだ!!攻撃スキルはまぁ燃費悪そうだけど、他2つは生き残るうえで重要そうだし、取っておくに越したことはなさそうだ。」
まぁ正直他にとんでもなく強力そうなスキルもあったのだが、なんか発動時に皮膚を焼き切って発動とか、発動後1週間は錯乱状態になるとかおぞましい内容の説明文が見えたのでやめた。
するとガウスが神妙な顔をして重々しく口を開く。
「やはり、真魔のスキルも習得出来たか。それも人間の姿のままで。」
言われてはっとする。
真魔はあくまでも過剰な奇貨スキルの代償による人間の成れの果てだ。そいつらが扱うスキルが本来普通であるはずがない。なんなら奇貨スキルより危険な代物ってことだ。
「真魔のスキルはな、奇貨スキルを維持できなくなった結果、異形化する際にスキル自体も変化したものだ。」
ガウスは真剣な面持ちのまま答えた。
「つまりまっとうな人間にはどうあがいても習得することは出来ん。」
「なら、俺が今人間のままでいれるのは、転生スキルのレベルが上がって習得代償が無くなったからってことか?」
「そういうことだろうな。やはり補って余りある力だ。ただこうなるともうミリアが黙ってはいないだろうな。」
そういえばゴブリンスミスにとどめを刺す前に、可能性がどうとか言ってたな。今の話を聞く限り、俺じゃなきゃ真魔のスキルを任意で扱うことは出来ない。
そう考えると、確かに俺のスキルはプレミアなのかもしれない。
・・・まぁいまのところゴブリンに等しい存在だけど。
「いつまでもこんなところに居てもなんだ。ぼちぼち戻るか。」
軽く相槌を打って俺たちは元来た道を戻る。道の途中で待機していたミリアと合流し、入り口に戻りながらいきさつを報告した。
「すごいじゃないっ!!ということはその転生スキルを強化していけば、いずれは代償に関係なくスキルを使いこなせるようになるかもしれないわね。」
目を輝かせながら、期待に満ちた表情で褒め称えてくる。
やっぱりむさ苦しいおっさんと違って、美人に褒められると格別だなぁ。というか顔が近くに来ると、別次元の美しさで直視できない。
などと鼻の下を伸ばしかけたその時、威厳に満ちた女性の声が鳴り響く。
「そこで止まれっ!!不敬者どもっ!!!」
見ると坑道の入り口には、いかにも高そうな白金の軽鎧に身を包み、丁寧にウェーブがかかったショートボブの髪型をした女性がそこに立ちふさがっていた。
後ろには明らかに精鋭といった感じの、重装備の騎士たちが微動だにせず整列していた。
「・・・ちっ。ミリアがついてきたときから嫌な予想はしてたが、まさか本当に来やがるとはな・・・。」
ガウスが苦虫を嚙みつぶしたように顔をしかめる。
「待ってセフィリア。これは私が勝手についてきただけだから・・・」
セフィリアと呼ばれた女性は一層声を強めて返す。
「そもそもそれが問題なのですっ!一国の第2王女ともあろうものが、周囲の人間の思いも汲めないのですかっ!!」
怒り狂った表情から、少し悲哀とも取れる眼差しでミリアに詰め寄る。
「我々だけならまだしも、エマ様のお立場も考えたことはあるのですかっ!!」
――ミリアが第2王女だって?
「本人は隠してるつもりだがな、まぁあの見た目だし、何より何回か本人のスキルが発動したことで一部には周知の事実だ。相手が相手だから誰も直接は言わんがな。」
呆気に取られている俺にガウスが耳打ちで教えてくれた。
そんな俺たちをよそに美人2名の言い争いは続いている。
「姉さんの気持ちなんて考える必要ある!?あんな、国を平気で売り渡そうとする人なんて!!」
「今の言葉は姫様でも看過できません!どれほどの思いで、エマ様が今の国政の重責を預かっていると思っているのですか!?」
すごい熱の入りようだ。もう国政がどうとか言い出したら俺みたいな一般人は入る隙が無いな。
そう思っていると不意にミリアと目が合った。
「まだ終わらせないわ!!彼が、ミコトさえ居ればこの国はまだ戦える!!彼は転生者の中でも今までに居ない万物のスキルを扱えるのよ!!」
するとセフィリアと呼ばれた女騎士は一旦無言になり、こちらを凄まじい形相で睨んでくる。
「貴様か。姫様をあらぬことでたぶらかした下郎は。
とりあえずここでの現状報告をまとめたらお前は一緒に、騎士団の詰め所まで同行してもらう。」
いや、俺の方が一方的に絡まれて今に至るんですが。
・・・まぁ美人だからってホイホイついてきた部分は否定しないけど。
「余計な言い訳はしない方がいいぞ。それとアイツも今は殺気立ってはいるが、転生者相手に無下な扱いはせんはずだ。」
「・・ただ、まぁ真魔スキルのことについては今は言わん方がいいだろうな。
今回参加した冒険者たちには俺の方から口外しないように伝えておく。」
何から何までガウスには頭が上がらない。
お礼を言いつつガウス、ミリアと離れ騎士団に連れられて町の詰め所まで向かうこととなった。
拝読いただき厚く御礼申し上げます。
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