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第31話 岐路

―とりあえずその場にいる人たち、正確には俺たち3人とガウスは状況確認を含めて話し合うことにした。


「・・・とりあえずミコトもBランク冒険者としてはやれるってのは分かったがよ、それでも相変わらずHPは1のまんまだろ?未知の相手に無茶するわけにもいかねぇのは変わらねぇんだろ?」


「うーん、まぁそうなんだけどさぁ。」


 ちらりとミリアの方に視線を移す。髪の毛を逆立てんばかりに教会の人たちに睨みを利かせている。

 ガウスもなるほどといった反応でどうしたものか考えているようだ。


「しかし、ルカも一緒とは思わなかったぞ。お前いつも一人でしか行動しないだろ。

 大方、転生者とミリアについていけばうまい話に乗れると思ったんだろうが見てわかる通り貧乏くじだぞ。」


「まぁ退屈はしないっスね。まさかお偉いさんのイザコザに巻き込まれるとまでは思わなかったっスけど。」


 二人はどうやら知り合いのようだ。まぁルカは自治領ってところでギルドに拾われたようだから、関係者に知り合いがいても不思議ではないか。


「・・・おい、我々は足手まといと一緒にされても困るから先に行くぞ。

 トマス殿から聞いてるかもしれんが、仮に先に進むにしてもアイテムの持ち帰りは許されんからな。」


「あっ!おい、待て!!ギルドの許可はまだだぞ!!」


 ガウスが語気を強めて呼びかけるが、教会の集団は振り返りもせずさっさと進んでしまった。

 ミリアもさっさと進むことを提案してきたが、先の休憩所が使えなかったことから休みなく潜り続けているので流石に仮眠をとるべきだと俺とガウスで止めた。


 ボス級が2体も潜んでいるなら、コンディションは万全にしておくに越したことはない。

 ただこの休憩所も安全とは言い難いことから、ギルドの残った人たちとも協力して交代で休憩を取ることにした。


「・・・にしても何だってミリアはあそこまで教会を目の敵にしているんだ?」


「そりゃお前は知らんかもしれんが、先王が亡くなってから急に勢力を伸ばしてきた連中だからな。

 一部では先王の死に絡んでるんじゃないかって噂される程度には良い奴らではないのは確かだな。」


(先王・・・。つまりはミリアの親にあたる存在か。)


 しかもガウスの話によると、元々王国にはスキルによる階級制の為か貴族や王族による統治を快く思わないものも多くおり、教会はそういった人たちにも広く手を差し伸べているのだそうだ。

 なんなら貴族の中にすら教会に靡《なび》く人たちがいるらしい。


「貴族連中でも結局は持って生まれたスキルで上下関係が決まっちまうからな。教会を通じて、自分たちより格下の連中の支持を集めることで名声を保ちたいのさ。

 それに何より・・・《聖女》なんてもんを担ぎ始めやがったからな。」


 聖女・・・。ついこの前出合ったセレスっていう人のことか。


「聖女ってのは何なんだ?教皇が教会のトップなんだよな?」


「俺も詳しくは知らないが、噂だと貧しき者にも奇跡を施す神の代行者だとか、王族を凌ぐスキルの持ち主とか言われているな。」


 結局は抽象的すぎてよく分からないな。ただ王族を凌ぐなんて言われてしまえば、ミリアの心中が穏やかではないのは分からなくはない。

 ましてや政敵と呼べる存在が、そのような民心を集めていればなおさらだ。


「・・・全員そろそろ準備はいいかしら。

場合によってはボスを2体同時で相手をする可能性もあるから今回はガウスのパーティにも同行してもらうわ。」


 いつの間にかミリアが俺たちの背後に立っていた。その後ろを仮眠を取ったばかりのルカが眠そうにとぼとぼと付いてきている。


「・・・いつまでも大きい顔はさせない。・・そうよね、姉さん」


 俺には何と言ったか聞こえなかったがミリアは俺がつけているペンダントを見つめながら呟き、エンブレムを強く握りしめている。


「そんじゃボチボチ行くか。前衛は俺たちが引き受ける。斥《せっ》候《こう》はルカだ。

 単独での遊撃はミリアで、いざというときはミコト、おまえのスキルに期待していいんだよな?」


「ああ、前よりは成長してるところ見せれないと申し訳が立たないしな。」


 俺の言葉を聞いたガウスがにんまりと笑みを向けた後、すぐに険しくも勇敢な表情に戻り隊列を組んで前進を始めた。


 ある程度進んだところで、岩肌に焦げ跡があったり武器か何かで強く打ち付けたような跡があった。

 どうやら先に進んでいた教会の集団がこの辺りで戦闘を行ったみたいだ。おかげで俺たちは真魔の活性ポイントの渦中を通らずに済んだことは幸いだった。


「この辺りは元からこうなのか?」


「いや普段は休憩所周りは、俺みたいなのが交代で巡回してるから簡単には活性化しない。

 やはり例のボス級の影響とみて間違いないだろうな。

ルカ、スキルでの反応はどうだ?」


「んー気配はするっスけど、なんせ教会の人たちの数がそこそこ居るんで判別が難しいっス。」


 ということは、先行している教会の集団もまだ問題なく潜《もぐ》れているということか。


 すると、


―ゴゴゴゴゴゴ・・・。


 長く続く地震が起こった。


 全員で即座に天井などが崩れないか警戒をしたが、特に問題は起こらなかった。


「・・・今の地震が収まるまでの間に、教会の人たちの反応が半分くらい減ったっス・・・。」

 

 ボスの仕業か。もし今の揺れが直接戦闘か攻撃だったとしたら平均Bランクはある集団を一気に壊滅させたということだ。


 以前戦った忌《ネー》名《ムド》クラスのような奴かもしれないという緊張感の中、俺はそれでも前進を続けていく。

拝読いただき厚く御礼申し上げます。

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