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第28話 無色

―エリゴールさんからとんでもない話を聞いて唖然となる俺たち。


「あくまでも最後に申しましたのは、仮説にすぎませぬ。それよりも本題のランクと職業の件ですが、こちらをお受け取りくだされ。」


 するとエリゴールさんは銀色に縁どられたギルドカードを差し出してきた。


「お約束通りミコト殿とルカ殿のBランクのギルドカードをご用意しましたぞ。以前説明した通り、これがあればダンジョンの単独パーティでの攻略も出来ます。

 ただしギルドや王国も全てのダンジョンを把握できているわけではおりせぬゆえ、人の手が全く入っていないダンジョンにはお気を付けくだされ。」


 ほぼ成り行きではあったが俺とルカはこれで一気にBランクへと昇ることが出来た。

 これで真魔討伐やそこそこ実入りのいい依頼を受けられようにはなったが、その分危険も増すことになるので気軽に受けられるかはしっかり吟《ぎん》味《み》しないといけないだろう。


「それで職業のことですが、まずは通常通り宿《しゅく》世《せ》の天盤で見定めてみましょう。」


「何ですか、それ?」


「初めて職業に就くことになるときに、就くことが出来る職業を示してくれるアイテムっス!これで職業を選ぶと以降は他の職業を選べないんで、よく考えて決めた方が良いっスよ。」


 エリゴールさんからも補足説明を受けたが、基本的には生来スキルに合わせて職業を選ぶ人がほとんどだということだ。

 稀に正反対の特性のものに就いたり、複合的な職業に就ける場合があるらしいが滅多にそのような特性を持つ人材はいないらしい。


「職業に就くことは今や当たり前となっておりますが、このアイテムもまた先史時代より継がれてきた貴重なものになります。

 扱えるのは国に認められた我々冒険者ギルドのような機関とあとは王国内では教会になりますな。」


 ここでも教会が出てくるのか。というか職業スキル云々をどうこうするアイテムに、教会なんてものがどう関係するんだろうか。やっぱり聖職系のスキル保有者を囲うためってことなのか?


「では早速使ってみましょう。・・・・・・・・ふむ。

反応がありませんな。」


 エリゴールさんがその後に何度も試してみるがやはり宿世の天盤は反応しない。


「転生者であっても今までであれば何か特化したり特殊な職業が浮かび上がってくるのですが、ミコト殿には反応しませんな。これでは職業は諦めるしかないですな。」


 割と期待していたからこの結果には結構ガッカリだ。

それでも通常では扱えないスキルを持っている分はまだマシと言えるだろう。


「・・・これはあくまで推測ですが倒した者のスキルを得られるのであれば、真魔以外でも可能でありましょう。もしその者が奇貨スキルを有するのであれば、それも含めて。」


「そ、それって人間を殺すってことですか?いくら何でもそれは・・・。」


「これはこれは、研究者としての性《さが》で余計な一言でしたな。気にしないでくだされ。」


 確かに俺のスキルならそういったことも出来るんだろうなと考えたりはした。だけどついこないだまで現代人として過ごしてきた俺には、そんな倫理観のかけらもない真似なんか出来ない。


 そのあとエリゴールさんはルカの職業スキルをランクアップさせることが出来ると伝え、ルカはその申し出を受け職業スキルのランクアップした。

 Sランクの忌《ネー》名《ムド》真魔を倒したことで一気にスキルツリーが解放できる状態になっていたらしい。


「そういえばミリアも職業は無いってことなのか?」


「ええ。自分のスキルの影響でね。まぁ私のスキルは身を守る上でも有効だから大して困らないから苦労は少ないわね。」


 やっぱりそうなのか。ただエリゴールさんの話を元にすると、ミリアの祖先も転生者ってことになるけど王族をやってるってことは何か特別な存在だったんだろうか。


 それにスキルが神の加護だとすると、スキルを打ち消すってまるで神を否定するような力に思える。

 けど今はそんなこと考えても仕方が無いか。元の世界に居た時だって、神についてどこまで知ってるなんて聞かれたところで答えようが無いのと変わらないしな。


「それより挑みやすそうなダンジョンがあればそこに挑みましょう。ルカのスキルも強化されたし、踏破はしやすいはずよ。」


 ルカもルカでもとはダンジョン目当てなところもあったからか、結構乗り気でいる。

 エリゴールさんが向かうなら町を出てさらに北東に、かかっても2日程度で帰ってこれるダンジョンがあるので向かってはどうかと勧められた。


 俺は先の戦いで武具が心もとなかったので、町で一新してから向かうことにした。


◇◇◇


「そういえば今回も野宿の用意してないけど大丈夫なのか?そもそもダンジョン内もよく分かんないし。」


「どうなっているのかはダンジョン次第だけど、真魔の活性エリアが無ければ比較的に安全よ。

 それにギルドの方で探索がある程度進んでいるダンジョンは、安全エリアが確保されていて簡易的だけど宿泊設備が整っているから大丈夫よ。」


 なるほど、それであれば安心だし野宿嫌いのミリアでも行きたがるわけだ。


「今回のランクアップで割とほとんどのスキル強化できたんで、不意の戦闘とかは任せてほしいっス!」


 なんやかんやルカはしっかりBランクの強さになったんだもんな。

 俺も守られてばかりは悪いし、少しでも有効スキルを手に入れられるように挑める相手には積極的に挑んでいこう。



拝読いただき厚く御礼申し上げます。

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