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第25話 与えられた試練②

―宿で1泊してからエリゴールさんに指定された場所に向かう道中。


「しかし大変なことになったっスねぇ。本当にこんな依頼受けてよかったっスか?」


 それはむしろ俺が聞きたいことだ。

勝手に話進めて、勝手に引き受けたのはミリアなわけだし。


「大丈夫よ。道中は3人で良いって話だし、Sランクの忌《ネー》名《ムド》スキル試すのにちょうどいいでしょ?」


「いや、他人事みたいに言ってるけどボス戦だと2人の救援も受けられないから本気の命がけじゃないか。」


 流石に俺の命を軽く考えすぎじゃないか?結局職業にも就けていないわけだから、前衛のガードスキルも後衛の補助スキルも使えない。

 特に俺の場合は真魔スキルの影響でバフを受けられない以上、チーム戦が出来ないなら防御スキルは何か一つでも取っておかないとマズい。


「やっぱり準備とか色々してからにしないか?」


「ミコトは考えすぎなのよ。今のレベルとステータス量なら開戦してすぐにスキル叩き込めばすぐ終わるわよ。それに、いざというときのためにこれ預けておくわ。」


 するとミリアは、淡く輝く宝玉のようなものが付いたペンダントを差し出してきた。


「これは?なんか不思議な感じがするな。」


「私が初めて冒険者登録したときに、姉さんからお守りにってもらったのよ。

 用意周到な姉さんのことだから、何らかのスキルアイテムなんじゃないかとは思うんだけど。」


 姉さんってことは今までに聞いた話だと、この国の女王様ってことだよな?

 そんな人がお転婆な妹のために拵《こしら》えたお守りってことは、国宝とかそういうレベルなんじゃないのか?


「思うけどってのは詳しくは知らないのか?」


「もう分かってると思うけど、私のスキルレベルだと無効化は任意発動じゃないからそれ身に着けてても本当にスキルアイテムなのか分からないのよね。

 まぁそういう意味でも、それがスキルアイテムかどうか確かめるためにミコトに貸すってワケ。」


・・・いやだから、人の命を簡単に実験台にするなよ。


「おぉ~。王家の人たちの代々のお宝っぽくて自分もワクワクするっス!

・・・というか今ミコトの手に渡った時、ちょっと光らなかったっスか?」


「いや、そこまでは見てなかったから分からないな。」


 まぁ仮にスキルアイテムだったとしても、バフ系でないことを祈るしかないな。それだと俺にも効果が無くなってしまう。


 そうこうしているうちに真魔の活発エリアに入った。


 景色こそ先ほどまで通ってきた峡谷地帯であることに代わり映えしないが、岩場の影や茂みの奥からは明らかにこちらに対する明確な敵意のようなものを感じる。


「ここに来るまでに言ったと思うけど、ミコトはボス戦まで温存してて。私とルカで処理できる範疇なら手を出さなくていいから。

 間違っても回数制限のスキルを使わないでよ。」


「分かってるよ。でも危ないと思ったら俺も加勢するぞ。」


「まっ、この辺の真魔ランクなら自分の隠密と陽動でどうにでもなるんで滅多なことないと思うっスけどね。」


 ここからは一層警戒を強めながら進む。途中何回か戦闘が発生し、何度か武器を構えようとするたびにミリアに強く止められた。


 2人のおかげで事なきを得て、ボスのいる場所までたどり着くことが出来たが、「ここまでやったんだからあとはうまくやれ」と言われている気がしないでもない。

 入り組んだ谷間の奥に入っていくと、通常の真魔ではないと認識できる存在がそこには居た。


 巨大な体躯に鋭い牙、禍々しいオーラではあったが見た目は完全に猪である。

 そういえば以前遭遇したボスも巨大ではあったが、元の世界で見かけたような蛇の巨大版という見た目であったことを思い出す。


 だが、深く考えている間もなく対象はこちらに気づき戦闘態勢に入った。それと同時に結界が張られていくが、前回とは明らかに規模が違う。

 張られた結界はかなり狭く、逃げ場と言っていい場所がまずなく一騎打ちの状態を余儀なくされる範囲だった。


【ハタノ ミコトが地を抉るイノセント・ボアとの戦闘を開始します。】


「ミコト!早く先制攻撃して!!相手に動かれると防戦一方になるわよ!!」


「そうするしかなさそうだなっ!!」


 魔法攻撃では発動動作が緩《かん》慢《まん》で、相手に動く隙を与えかねない。まずは通常攻撃で、防御力が弱そうなところ探してスキルを打つか。


(相手が狙いを定めきるまでだから、1,2発が限度ってところか。それ以上は危険だから、そのあとは狙える箇所にスキルを連打するしかない。)


 俺は一度相手の正面に飛びこむと見せかけ横に飛び、猪の脇腹から後ろ脚を狙えるポジションを取り、脇腹下を斬りつける。


「ギャヒィイイイィィィッ!!」


・・・弱点というわけではなさそうだが、ダメージは通るようだ。


「ミコトっ!!相手が牙を剥いてそっちに振り返ろうとしてるっス!!」


 ルカの一言を受け、連続攻撃の予定を止めバックステップで距離を取る。だが相手が突進準備をしている以上このまま足を止めるわけにはいかない。


(1度やったから回り込みは厳しいな。正面から狙うとするとあの鼻か。だけど、そのまま突っ込めば牙の餌食だ。)


 俺は【混沌の一撃】を2回発動させ、横飛びのフェイントをかけつつ相手の牙めがけて武器を振り下ろし2つともへし折った。

 武器の方は少々刃こぼれを起こしているので、スキルレベルが足りていなければこの戦法は使えなかっただろう。先の戦いで攻撃スキルを強化していて正解だった。


「あとはこの1発に賭けるっ!!!。」

(これでダメならあのスキルだ!!)


 最後のMPを使い3度目の【混沌の一撃】を放ち、その一撃は猪の鼻の中心部を捉えることが出来た。


「ミコト!!最後まで油断しないで!!そのまま武器を壊すつもりで一気に貫いちゃって!!」


 ミリアの言葉に応じて、そのまま武器を前方に力づくで突き出す。


「グガァアァアア!!・・ゴフっ!!・・・・フシュっ、・・・」


「やったか?」


 すると間もなくメッセージウィンドウが表示される。


【ハタノ ミコトが討伐に成功しました。】


「お見事っス!!これでエリゴールさんとの約束もクリアっスね!!」


「ああ、そうだ―――」


 言いかけた瞬間、解けた結界の真上から巨大な何かが飛来した。

拝読いただき厚く御礼申し上げます。

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