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第23話 邂逅

――休憩を取り、激戦の疲れを少し取ってから転移装置のある場所へ向かう。


 幸いなことにさほど体力を使わない程度でたどり着くことが出来た。すると何やら転移装置の近くに一人の面影が見える。

 その人物はフードを深くかぶっており、顔はよく見えないが着ている服が純白と言っていいほど滑らかな白い修道服で明らかに場違い感があった。


「・・?誰だあれ?」


「あれは、・・・っ!?なんでこんなところに居るのよ!!」


 ミリアは大層驚いている様子だった。


 ルカの話から言えば、転移装置を使えるのは国に認められた存在ということだから名のある人物であることには違いないだろう。その人物はこちらに気付くと、近づいてきて自ら挨拶をしてきた。


「このようなところで奇遇ですわね。私《わたくし》はセレスと申します。

 見覚えのあるお顔が見えましたので、ぜひご挨拶をと思ったのですが・・。」


 セレスと名乗ったその女性はフードはかぶったままミリアの方に顔を向けたが、ミリアは完全にそっぽを向き挨拶どころか目も合わせようともしない。


「・・・今はお互い立ち場を用いて話をするような場所でも無いですわね。

 それではお話できず残念ですがここで失礼いたしますわ。ちなみにあなた方のお名前は?」


「え?ああ、ミコトと言います。」

「自分はルカっス!」


「ミコト様にルカ様ですね。今度ちゃんとお会いした際には、お茶でも淹れながらお話いたしましょう。」


 そういうとセレスという女性はたおやかな笑みをこぼし、転移装置を起動してから淡い光とともに消えていった。


「誰がアンタのお茶なんか・・何が入っているか分かったもんじゃない。」


 最後の最後にミリアがらしくもない不愛想な顔で悪態をつく。


「知り合いなのか?挨拶すら無視するなんてよっぽど仲が悪い相手か?」


「・・・・・、聖サントマルク教会の象徴ともいうべき存在、《聖女》よ。・・・ガワだけはね。」


 聖女か。いや、そんなこと言われてもよく分かってもいないんだが。教会のってことは、聖職者のトップということだろうか。

 でも、教会には教皇とやらが居るんだよな?どういった立場の人物なのだろうか。


「ミリアさんとはまた一味違った清楚美人って感じだったっスね~。ねっ?ミコト。」


 何故俺に聞く。おかげさまでミリアが凄まじい勢いでこちらを睨んでるじゃないか。


「戦いの後で疲れてるってのに、最悪なのに出くわしたわ。さっさと目的地に向かいましょう。ほらっ、早く転移装置の前に立って。」


「お、おう。分かった。」


 ミリアがぶっきらぼうに宝石のようなものを掲げると俺たちは、淡い光に包まれ次第に景色が移り変わっていく。

 気づくとそこは転移装置の周りこそ代り映えが無いが、先ほどのどこか人工的な岩場と違い天然の岩場といった一面地面の色が敷き詰められた場所に出た。


「なんだろう、テレビで見たグランドキャニオンっぽいな。体が動かせるならこういうところ一回は来てみたいって思ってたんだよな~。」


「おお~、遺跡もたくさんありそうでロマンの香りがするっスねぇ♪」


 俺とルカはついさっきまで命がけで戦ってたとは思えないほど、呑《のん》気《き》をかましていた。

・・・だがどうもミリアに関しては、ご機嫌ナナメのようだ。


「遊びに来たんじゃないだからさっさと行くわよ。」


 いやそもそも俺とルカはバザー見に行きたいっていう観光目当てだったんだが・・・、今ツッコミを入れると何で噛みつかれるか分かったもんじゃないな。


 ルカも俺の方を見てそれだけは止めとけと言わんばかりに首を横に振っていた。

 とりあえず町の方角は今いる場所から見えている、そびえ立つような高さの岩の裏側にあるらしい。


 まずは町に行ってバザーを見ながら旨いもんでも食おう。そうすれば少しくらいは機嫌も良くなるはずだ。


◇◇◇


 町に着くと、一層開拓地ならではの雰囲気が漂う光景が目に入ってきた。

 ただ予想外だったのは、バザーというほど活気が無くミリアの機嫌がより悪くなったことだろうか。


 町のあちこちで修道服を着た人たちがウロウロしていたのだが、ミリアの反応を見るに聞くまでもなく教会の人間ということだろう。

 前の町を出る際に行商人からも教会の人間が東に向かっているとは聞いていたが、まさかバザーに顔を出しているとは。


「今近くにいた商人から話を聞いてきたっスけど、どうも教会はバザーに違法なスキルアイテムが出回ってないか査察に来た名目で難《なん》癖《くせ》付けてスキルアイテムをせしめていってるらしいっス。」


 教会についてはあんまり知らない俺でも、流石にそれはムカついてしまった。

 だって、バザーを見に来るためにあんな無茶な戦闘を潜り抜けてきたんだぞ?


「これで分かったでしょ?聖女がどれだけお淑《しと》やかで、清楚で男ウケする見た目してようとこれが教会なのよ。」


 いや、容姿のことに関しては言及したことは無いが転移装置の前で出会ったということはきっと無関係ということでは無いのだろう。

 しかし俺の中での理解だと教会は聖職者、厳密には聖属性スキルを集めたり、刻印武具やスキルアイテムを独占しようとしているみたいに見えるがそれは利益だけが目的なんだろうか。


「とりあえずバザーに期待できそうにないんじゃしょうがないな。一旦宿だけ取っておいてこの町のギルド集会所で何か情報は無いか覗いてみるか。」


 二人とも異論は無いようで、とりあえず折角来たということもありバザーで楽しめなかった分は少し高めの宿を取ってからギルドの集会所へ向かった。

 


拝読いただき厚く御礼申し上げます。

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